私は、目の前の赤ちゃんの鑑定結果に唖然とした。
名前が二重だったり、迷宮創造とかいう聞いたことないスキルがあったり、それもまあ驚く要素として充分。
転生者なんだろうなーというのは、なんとなく分かる。
それじゃなくて、もっとおかしいことがある。
この赤ちゃんは正気じゃない。
探知がある。しかもレベル上がっているし。
これは探知を発動したということ。
さらに、外道大耐性という文字。
恐らくスキルポイント1000ほど使って耐性を上げたのではないかと推測できるけど、この程度の耐性で探知して魔力操作を発動するなんておかしい。
私じゃないんだから、余程の才能がない限り死ぬよ?
しかも、成長率が多分高いんじゃないかな。
MP魔力抵抗の値がおかしいもの。
色々なスキルがあるところを見るに、傲慢並みのポテンシャルを持ってるんだと思う。
とんでもない赤ちゃん見つけちゃった。
どうしよ……。とりあえず、蜘蛛子さんに指示を仰ごうか?
ということで、急遽帰還する。
この赤ちゃんは……私のマイワールド内に保管しておこう。
あ、その前に念話で話せるようにしないと。
もしもーし。
『お、お前は何だ?』
私?
蜘蛛ですけど、なにか?
ああいやそういうことじゃないのね。
でもねー、前世の記憶とかないから。
そもそも私という存在がいたのかも定かじゃないし。
まあ、そんなことはどうでもいいでしょ。
よろしくね、チェリシアちゃん。
『俺は桜崎一成なんだが……』
この世界は危険だからねー、エルフが現代兵器を持つくらいには。
とりあえず、ステータス底上げ系のスキルはカンストか星級まで行きたいよね。
できれば星王まで。
私が魂を注入すればSPくらい回復できるし、永久的に訓練できる。
よし、英才教育の時間だ。
さーて、人間は歩くことから始まるのだ!
操り人形の如く立たせよう。
子供なら相当な運動量になるでしょ。
『全然この蜘蛛の人話聞いてな……ちょおっ!待ってくれ!俺を殺す気か!?』
大丈夫大丈夫モーマンタイ。
死にはしないよ。
龍王ブラザーズよりは楽にするし。
うーん……それにしても、将来この子美女に育ちそうだなぁ。
だからなんだという話ではあるけど。
最強の淑女(笑)に育ててみせる。
『血も涙も無いなお前!』
そりゃあ、ねえ?
私って若干感情の振れ幅が小さいから。
感情が無いなんてバカげたことはないだろうけど。
現に今罪悪感を欠片ほども感じていない。
ん?
あっちの方でエルフの臭いが。
どうせまたなにかやらかそうとしてるんでしょ。
ポティマスはそういう奴だって別の私が言ってた。
ちょっとチェリシアちゃんはマイワールドに保管しておいて……。
『ちょ、待』
さて、あの洞窟かな?
エルフをジェノサイドする時間です!
万里眼で位置を特定。
転移。
そしてエルフを後ろから[fight]する。
他の人間みたいな奴等は暴食の応用でエネルギーのみを吸い出す。
これでよし。
あ、また赤ちゃんが攫われてるじゃん。
ほんと、ポティマスは見つけ次第ぶち殺さないと。
え……。
おお……うーん。
絶句。
まさか一日で二人の転生者に出会うことになろうとは。
ま、いいか。
この子もマイワールドへ放り込んでおこう。
説明はチェリシアちゃんに任せた。
それじゃあ蜘蛛子さんの所に転移で帰ろうかな。
まずは「
龍王ブラザーズの家、魔物養殖場、ハニージゴアットの巣があるところだね。
ただいまー皆!
「お帰りなさい、ご主人様」
「「「お待ちしてました!!!」」」
人化した四人が迎え入れてくれる。
ということで、新たな被害者……ゲフンッ!挑戦者の特訓をよろしくね。
「あらー可哀想に。ご主人様の目に留まったのね」
「俺達が受けた地獄の特訓を受けるか?」
「待てレッド、あれは常人や常龍がやったら死んでしまうぞ」
「……死にはしないぞ。苦しいだけで」
「確かに。一番HPが0になる回数が多かったグリーンが言うならそうだな」
『ひぇぇぇ……俺は今からなにをされるんだ』
『え?ええ?私、今どういう状況?』
さて、まずは十分の一に薄めた姫神殺毒を浴びてもらおう。
そして浴びながら魔力制御。
虚空魔術でもなんでもいいから自分に攻撃を当てて耐性を獲得しよう。
あ、魔法系のスキルはオフね。
オフのまま魔術を獲得してみよう!
でも、探知とか魔闘法とか気闘法等の発動するだけで熟練度が稼げるスキルは片っ端から発動しよう。
私と戦いながらじゃないし、優しい方だよね。
これが終わったら私と戦うけどね!
さあ頑張れ!
この空間では肉体の老化はオフになっているから、いつでも最高効率で特訓できるぞ!
赤ちゃんにとって過酷な訓練だから、ステータスがぐんぐん伸びると思う。
特にチェリシアちゃんは素質がある。
赤ん坊の時点でこんな桁違いのステータスを持っているんだから。
迷宮創造の練習はまた後でやろうか。
ケモナーとかいうスキルを持ってるマリィムちゃんは……。
うん、保留で。
成長率もステータスも見た感じあまり高くないし。
さて、じゃあ私は蜘蛛子さんに会いに行くね。
魂の繋がりを辿って……転移。
『うわぁお!?びっくりしたぁ……姫蜘蛛ちゃんかー。ギュリギュリかと思った』
ん?どうして私はギュリギュリと間違えられているんだろう?
あ……転移の精密さかな。
確かに私は行ったことある所ならコンマ一秒もかからずに転移できるからね。
でも、蜘蛛子さんも三、四秒くらいで長距離転移できるよね。
流石に龍結界があると妨害されるみたいだけど。
『姫蜘蛛ちゃんも果物食べる?なんか私女神様って崇められてて、貢物が超届けられるからさ』
じゃあ頂こうかな。
うーん美味い。
エルロータニシムシとどっちが美味しいだろう?
あんなゲテモノビジュしておきながら美味しいからなぁアレ。
『ねぇ、私が火種になって戦争が起こりそうなんだけど……どうするよ?』
私がそんなことを考えてるうちに、蜘蛛子さんは真面目なことを思案してたみたいだ。
まあ勿論、一言一句、一挙手一投足、呼吸の乱れに空気の流れまで記録してるし聞き逃してるなんてことはないけど。
で、うーん……戦争か。
蜘蛛子さんを信仰してる奴以外はぶち殺しちゃえばいいんじゃない?
女神蜘蛛子を信仰しないなんて、頭が狂ってるんじゃないかな。
いい経験値になってくれるよ。
なんなら私が殺してくるよ。
『うーん……とりあえず、私を信仰してるやつらは守ろうかなー』
『その意気だよ!』
そんな感じでやってきた、戦場なう。
開幕、蜘蛛子さんが闇魔法を放った。
それだけで結構な数の敵軍が消滅する。
パニックを起こした敵軍に、聖戦軍が追い打ちをかける。
いやー、いいね。
蜘蛛子さんの加護は素晴らしい。
そんな中でも苦し紛れに蜘蛛子さんへ矢を放ってきた兵士がいたから、死んでもらおう。
はいとりあえず敵軍に向けて魔術。
最近開発した、超重力を生み出す魔術をやってみる。
その名もブラックホール。
私が指定した存在だけにすさまじい重力が発生する魔術。
いや、光は吸い込んでないからブラックホールではないな。
うひょー、今ので七割消し飛んだよ。
蜘蛛子さんに攻撃を当てたらこうなっちゃうよね。仕方ないね。
ん?空間の乱れ?
まあまあ遅い魔術構築……ってこれギュリギュリか。
もうギュリギュリを遅いと思うほど転移が上手くなったのか、私。
……魔王じゃん。
えぇ?なぜ魔王がここに?魔王って次元魔法持ってなかったよね?
迫る拳。流石平均ステータス90000程度は伊達じゃない。
先に私を殺しておこうっていう判断かな。
確かに私の方が弱そうかもしれないけど……。
ビビビビ――ガガガガ――
ざんねん しかしこうかがなかった こうかナシ すいこまれた きにするな たまらない……
お、私に攻撃が当たったね。
予想はしてたけど、案の定効かないな。
そりゃそうか。常時ありとあらゆるスキルを発動してるんだから。
そのせいか、若干体が溶けてるけど。
あとは……ケツイかな。
効く訳がないよね。
ん?なんか少年が戦場に出てきた。
魔王が警戒してるけど、どうしたのかな。
……鑑定結果、勇者だねこの子。
警戒してるのは勇者の隠し機能か。
と、邪教軍から攻撃が。
蜘蛛子さんがそれに意識を逸らす。
その隙をついて、魔王が深淵魔法用意している。
これは……無理だね。
仕方ない。蜘蛛子さんは恐らくこの体を捨てるだろう。
だったら私も蜘蛛子さんについて行こっと。
じゃあね、また会おう。
そろそろ進化できそう。
レベル999になったから、進化できるはずだよ。
実際可能って表示されてるもの。
速いなー、スパンが。
今までの苦労が何だったのかっていうくらいには。
《アトラク=ナクア》
選択肢は一つ。
さーて、蜘蛛子さんが進化したら私も進化しようかな。