燦々と照りつける太陽。
歩く赤ん坊。
現在私達は、サリエーラ国の首都に向かっている。
その経緯としては……。
チェリシアちゃん達を蜘蛛子さんに届けにいったら、何故かそこに魔王がいた。
ナイフはどこだ
咄嗟に殺そうとしたけど、蜘蛛子さんが言うには停戦したとのこと。
ふーん、それなら別に良いけどね。
どうやら蜘蛛子さんの魂とは完全に同化したらしく、もうこれ以上戦う意味がなくなったのだと。
あと、蜘蛛子さんの不死身の秘密が分からないから停戦するって。
私にもよく分からないって言ってた。
そうかなぁ?ケツイを高めて防御してるだけだよ。
気を抜くと体が溶けそうにはなるけど。
ケツイに肉体が順応してないのかな。
ま、ステータスを高めたからもうほぼドロドロになることはないといっていいね。
今後の行先はちゃんと相談して、拾った転生者達を助けることにした。
蜘蛛子さんが拾ったソフィアちゃんという転生者、プラス従者のメラゾフィス。
この二人をサリエーラ国の首都へ連れて行くことになった。
そこでサリエーラ国で暮らすか魔王についていくかを決めるのかな。
ちなみにチェリシアちゃんとマリィムちゃんは私と一緒ね。
まあ、ソフィアちゃんに情がわいたのなら解放してあげてもいいけど。
そんな感じで色々な歯車が複雑に噛み合った結果、こんな感じの旅を続けている訳。
なんで赤ちゃんが歩いているのかって?
蜘蛛子さんも私も暇だったし、自分を強化したいよねーってことで、称号の獲得とかの為に糸で操り人形にしてみたって訳。
……チェリシアちゃんだけは、もう小走りで私たちの周りを歩けるくらいにはなったけど。
あれー?おかしいなー?
年齢的にはソフィアちゃんやマリィムちゃんとそんなに変わらないはずなんだけどなー?
超重力を発する腕輪(私作)をつけてこれ。
ちょっときつそうにしてるけど、その程度。
重力三百倍なのに。
ソフィアちゃんが、「こんなに鬼畜なことやってられるかー!?」って言ったとき、「え?こんな簡単なのに?」ってチェリシアちゃんが言ってた。
それを見てソフィアちゃんが超驚いてたなぁ。
バトルより先に常識を教えればよかったかと、若干悩んでいる今日この頃。
そういえば、魔王が私たちに名付けした。
私は魔王より格上だし、蜘蛛子さんは名付け支配が効くほど弱くないし、ほぼほぼ呼び方を定めるってだけだったけど。
蜘蛛子さんは白。
私もこれから白ちゃんって呼ぼう。
私は、姫ちゃんが白ちゃんに却下されて
白ちゃんは緋ちゃんって呼んでくれる。
私達はかなりの人外集団なので、一目を避けて旅をしている。
けど、補給をするために街へ行かなくちゃいけない。
私と白ちゃんは下半身が蜘蛛だから、ついていくことはできない。
白ちゃんが言うには、かーなーしーみーのー、おーいーてーけーぼーりー、だね。
悲しそうにしているのを見て魔王を殺しそうにはなったけど、白ちゃん自身は納得しているみたいだから許す。
白ちゃんの寛容さに感謝するんだね。
魔王なら滅多な真似はしないでしょう。
レッドとレーヌちゃんを魔王につけたから大丈夫なはず。
あの二人、普通に全ステータスカンストしてるから。
私達の仲間は全ステータスカンストが最低条件だよ。
ああ勿論白ちゃんは別ね。
白ちゃんは白ちゃんとして強くなってほしい。
置いてけぼりされた私達。
魔物肉パーティを開くよー!
私は、ふとした瞬間に全てを灰燼へと帰しちゃうから待機。
白ちゃんのお手伝いをしたい気持ちはあるんだけど、力の制御が最近難しくなってきたんだよね。
なんか、レベルが上がっていくほど罪悪感がどんどん薄くなっていってるような。
うーむ?無慈悲の効果かな。
私は万能姫の効果でレベルが上がり易くなってるから、白ちゃんのように停滞してないんだよね。
それに、魂の容量が全然満タンにならないというか……。
えーっと、現在のレベルは五十八万二百十一か。
LV580211!?
私のタマシイを消費して複製してを繰り返してるけど、まさかこんなバカみたいな数値になってるとは……。
最近分割した私と合流して、レベルを共有したのが不味かったかな。
七大罪と七美徳がオールコンプリートとかいう結果になったからね。
勤勉っていうスキルが手に入ったおかげで、前よりもさらに世界へ自分を浸透させやすくなったのもそれに拍車をかける。
最近化身的なものを世界中にばらまいているんだよね。
千くらいの化身をね。
まあ、それぞれ私の人格をリセットして人間魔物ごっこをしてるだけ。
ハイリンスみたいな感じで、私の人格を持ってる奴もいる。
あ、ハイリンスっていうのはギュリギュリの化身のことね。
神って化身作るの大好きなのかな。
Dもギュリギュリも化身作ってるし。
「はい、緋ちゃんあげる」
肉が焼けたみたいだね。
白ちゃんから肉を受け取って食べる。
うーん、美味しい。
白ちゃんはパペットタラテクトに肉をあげてる。
やっぱり優しいなぁ。
パペットタラテクトの女子力に敗北感を味わってるみたいだけど、私はそんな白ちゃんが好き。
どうやら女子力を上げるために今から服を作るらしい。
うん、確かに布を一枚巻いただけだよね。
私なんて別につけなくてもいっかーって思ってたくらいだし。
流石に白ちゃんが布を一枚くれたけど。
「神織糸の力を見よ!うぉぉぉ!」
おおお!流石白ちゃん!
あっという間に服が完成した!
私も作るよ。
パパッササッと。
どうよ、白ちゃん。
「おおー!すごいね緋ちゃん!」
我慢できなくなったのかパペットタラテクト達も参加し、服作り大会はさらに盛り上がった。
そして夜中になる頃、ついにパペットタラテクトも服が完成したらしい。
それを着ると、なんともまあ改造欲がそそられる光景だろうか。
マネキンのままではもったいない。
ということで、思考超加速+マイワールド起動してボディを作っていく。
糸は原子でできている。
それは、異世界の知識を持っている私達には常識、なはず。
若干記憶が曖昧だけど。
マザーは、糸を使って岩を再現したらしい。
はたして糸にはそんなに原子が含まれているのか?
神織糸とは糸で物質を再現するスキルなのでは?
ならば、人体も作れるはず。
細胞も作れるはず。
生命さえ、作れるはず。
そもそも私は生命くらい作ったことあるもの。
今回は糸で再現するだけ。
タマシイを創造しない生命創造なんて、私にとっては児戯に等しい。
白ちゃんが生命体に必要な要素を色々教えてくれたのはいいんだけど……。
炭素、酸素、窒素、水素、リン?
DNAことデオキシリボ核酸?
リボソーム?
ミトコンドリア?
ゴルジ装置?
ナニソレオイシイノ?
……私には理解するのは無理だった。
その辺から拾ってきた冒険者の死体を再現すれば大概はなんとかなるよね?
細胞を作ったら、次は似たような細胞を合わせる。
そうしたら、色々うまくいくでしょ。
弱点になるようなものは異空間への接続で完全化し、完全型抗抗魔術結界によって魔術の無効化を封じる。
心臓、肺、胃、脳、腸、肝臓、腎臓、脾臓、膵臓その他諸々。
筋肉や骨を再現し、糸と筋肉を同化。
脳と本体を糸でつなぎ、思考すると同時に糸によって体が動かされるように調整。
舌や髪の毛、瞳や爪、歯などといった細かなものを設置。
皮膚を再現し、人間のような感触へ。
……その後は色々!
ということで完成した。
パペットタラテクトの肉体×4
どうやら四人いるみたいだったし、作ってあげた。
早速着てもらう。
うむ、もう人間にしか見えない。
「神にバレたら生命の冒涜とかそんな感じで怒られそうやね」
うん、白ちゃんの言う通り怒られそうだね。
でもここまで完成度高いんだから悔いは無し。
さて、後は寝るだけだね。
もうすぐ朝だけど、皆寝たいでしょ。
別のパペットタラテクトが来た時にこの肉体は渡すことにする。
てことで、おやすみ。
白ちゃんを抱きしめながら私は眠りに落ちた。
「は?」
翌日、魔改造したパペットタラテクトを見た魔王の最初の台詞がこれだった。
もうふざけるのを止めて驚愕してた。
「え、何これ?ええ?再現したの?これ?」
『『『………………』』』
赤ん坊シスターズは驚きに目を見開いて固まってた。
どうだ、これが白ちゃんと私の愛の結晶だぞ。
感じた情報は脳を通じて本体に送還される。
しかも本体は霊体となって魂としてこの肉体を制御してる。
うむ、完璧だな。
鑑定結果は鑑定不能ってなってる。
あはは、ついやっちゃったよね。
またもや鑑定不能を増やしてしまった。
白ちゃんも若干驚いてる感じがするのは私だけかな。
ケツイがあれば何でもできるものなんだよ?