強くなる。
蜘蛛子さんを守れるくらいには強くならないと。
そう意気込んだはいいものの、私にできるのは魔法の練習だけ。
並列して蜘蛛糸の練習と蜘蛛子さんの監s……いや!観察をしてる。
とりあえず三匹目の蛙がかかったみたいだ。
今回は楽に仕留める。
苦しみながらも蛙を食べると、毒耐性を獲得したと言われた。
かなり苦痛が楽になったけど、私はどうして毒耐性を持ってなかったんだろう?
それと同時に、「悪食」という称号も手に入った。
毒耐性と腐蝕耐性を入手。
蜘蛛子さんに称号って何?って聞いた。
そしたら、特殊な行動をすると入手できるものなんじゃないかと返ってきた。
前に踊り子の称号がないかと実験して酷い目にあったと愚痴っていたけど。
《熟練度が一定に達しました。スキル「並列思考LV5」が「並列思考LV6」になりました》
蜘蛛子さんを監、げふん、もとい、観察しながら魔法と糸の練習をしていると、スキルレベルが沢山上がった。
魔法は未だに習得できないけど、スキルポイントを貯めて魔法を習得しようかなーと思ってる。
試しに火魔法が欲しいと天の声に頼んでも、スキルポイントが不足しているって言われた。
どれくらいスキルポイントが必要なのかはわからない。
でもレベルが10くらいになれば獲得できるんじゃない?
糸はLV4になった。
蜘蛛子さんには及ばないけど、私も巣の手伝いをしている。
この巣……蜘蛛子さんがマイホームと呼んでるところの外に糸を配置するのが私の役割。
外の方はあまり重視されてないから、装飾を追加してる。
耐久力は落ちるけど、このレリーフっぽいものもマイホームに繋がってる。
どうやら私の糸は近くを通った生物をある程度認識できるらしい。
だからマイホームに近づかれる前に気付けるって訳。
まあ勿論体力を消耗する。
特に私は、蜘蛛子さんより体力が少ない。
私の糸レリーフも活用して、沢山の獲物を狩った。
小さい恐竜っぽいのが六匹。
蜂、ペリカン猿、石化トカゲが一匹ずつ。
蛙も追加で4匹。
それぞれエルローランダネル、フィンジゴアット、エルローペカトット、エルローバジリスクっていうらしい。
蜘蛛子さんが教えてくれた。
ちなみに、蜘蛛子さんはLV6、私はLV8になった。
何故か私のレベルアップ速度が速い。
順調にスキルポイントは貯まってきてると思う。
蜘蛛子さんの鑑定、私も使いたいなーって思ったら、天の声が聞こえた。
《現在所持スキルポイントは350です。
スキル「鑑定LV1」をスキルポイント300使用して取得可能です。
取得しますか?》
そんなにスキルポイント貯まってたのかーと驚く。
でも、初めてのスキル取得にワクワクする。
勿論取得!
その辺にある壁を鑑定。
<糸>
うーん、ゴミ。
というか、壁に糸貼り過ぎて糸判定になってる。
それはまあレベルを上げればいいとわかる。
問題は別。
これ、結構クラクラする。
壁を一回鑑定しただけで気を失いかけた。
自分を鑑定したら気を失った。
<蜘蛛 名前 なし>
目が覚めると、高級感あふれるクッションの上に寝かされていた。
蜘蛛子さんにお礼を言うと、ちょっと嬉しそうな雰囲気が伝わった。
相変わらず必要以上に話してくれないけど。
ウトウトと私達が眠りについていたところに、急に火の手が上がった。
蜘蛛子さんが見ている先には、丹精込めて作ったマイホームの入り口がある。
そこが、無残にも燃えていた。
私が呆然としていると、蜘蛛子さんが私を背負って走り出した。
蜘蛛子さんより二回りほど小さい私が抵抗できるはずもなく、私は逃げることになる。
悔しかったと思う。
蜘蛛子さんと一緒に作った、あのマイホームが燃やされていく。
悲しくて、辛くて、蜘蛛子さんは辛いはずだ。
私は前を向いた。
最後のレリーフが見える。
もう後戻りはできない。
私達は、その糸を超えて巣立った。
……マイホームが燃やされても何も感じていない私は、なんなんだろう?
余談だけど、私の糸は蜘蛛子さんの糸に比べて燃えにくかったそう。
冒険者は蜘蛛子さんの作った糸束と、私の作った糸人形、あの卵を運よく回収。
蜘蛛子さんの糸を使った服はとても高値で売れて、糸人形と共にどこかの王族も購入したそう。
卵も無事に孵化。
私の糸人形は、安全のお守りとしてごく一部の冒険者が身に付けたとか。