暇。
白ちゃんとどこかへ逃げたい気分。
サリエーラ国はまだ私がいったことないから転移できないし、皆の足に合わせて歩くのが暇。
魔王でさえ私にとっては足手まといなんだもの。
私はシステム外の力を色々と使ってるから。
そもそも、昔から魔術自体は使ってた。
多重魂魄をオフにしてみても魂は増えたままだったからね。
多重魂魄はシステムをハッキングして手に入れたはずだけど、実際はそれっぽい名前の何の効果もないスキルを作っただけらしい。
普通に魔術で自分の意思を増やしていたっぽい。
実質魂の容量は無限。
とはいっても、同じ魂を増殖してるだけだから内包するエネルギーは変わらない。
エネルギーが分散するとか、本体があるなんてことはない。
全部私。
まあ、私自身の魂に容量なんてなさそうだけど。
今もなおレベルが上昇している私には誰も敵わないと思う。
ステータスはこれ以上は上がらないけど、神性領域拡張以外は軒並みカンストしたし。
システム内の攻撃なら全てを無効化できる。
だから、暇。
ギュリギュリと死闘を繰り広げるくらいしないと、戦った判定にならないし。
今までギュリギュリと戦ったなんてことはないんだけどね。
ギュリギュリの転移を妨害したことはある。
なんかすごい驚いた眼で私を見てきたねー。
とりあえず暇だから私は龍王ズの様子を見に行くよ。
ブルーとグリーンには留守番を頼んでるから。
久し振りにエルロー大迷宮に転移するね。
ということでやって参りましたエルロー大迷宮。
蜘蛛がワラワラいる。
産卵のスキルで作り出した分体かな?
……なんか素っ裸の爺もいる。
何だアイツ。
「おお!その緋色の御身!迷宮の夢喰殿とお見受けする!どうか、どうか弟子にしてくだされ!」
鼻水と汗となんか色々ぐちゃぐちゃな顔で私に近づいてくる。
うーん、そんな態度だと普通の人には塵にされちゃうよ?
私は気持ち悪いとかそんな感情が湧いてこないから変な奴で済ませるけど。
「誰?」
「儂はレングザンド帝国筆頭宮廷魔術師のロナント・オロゾイ!悪夢殿と夢喰殿の魔法に憧れ、ここまで参った次第ですじゃ!どうか、どうか弟子にしてくだされ!」
レングザンド帝国といえば、チェリシアちゃんを拾ったところだね。
どうしてそんなところの魔術師がここにいるのかは分からない。
「そういえば、悪夢殿はいないのですかのう?儂は悪夢殿のほれぼれするような魔法にも憧れてきましたのじゃが……」
「――ッ!そう!白ちゃんはすごいの!」
「そうですとも!悪夢殿の魔法の構築速度といったら!」
「そうそう!システム内の存在でありながら転移の速度は管理者に迫る勢いで!」
「魔法をスキル無しで構築するあの技術には感服しましたわい!」
なんか、白ちゃんの話で盛り上がってしまった。
白ちゃんを褒められたら私だって嬉しい。
そして白ちゃんを敬うとはなんと敬虔なことか。
よし。弟子にしよう。
白ちゃんを敬う人に悪い人はいない。
まあ弟子にする前に老衰で死にそうだから若返らせよう。
姫神殺毒は、威力とか属性とかを操作できる。
私の魔術で作った姫神殺毒がどんなものかはわからないけど、少なくとも色々な効果を持たせられるのは確実。
ということで、てれれれってれー、不老不死になるリンゴー。
まあ実際は多少エネルギーに満ち溢れるだけのリンゴなんだけど。
その辺にあったリンゴっぽいなにかに姫神殺毒(薬バージョン)をぶっかけただけ。
その名もふじりんご。
いや、速く走れるようになるお茶の方がいいかな?
その名もビチャビちゃ。
まあこれとこれを飲めばいいでしょ。
組み合わせとしては微妙だけど。
「おお、喜んで賜りまする!……こ……これは!体中にエネルギーが満ち溢れて……!」
無事青年くらいまで若返ったみたいだね。
それじゃあ特訓を始めようか。
ケツイはちゃあんと抱いておくように。
行こうか、マイワールドへ。
「どうしたんです?って、それは新しい被害者ですか?」
「可哀想に」
ブルーとグリーンがなんか言ってる。
よし、ロナントを頼んだ。
姫神殺毒のシャワーはONにしておくから。
実戦形式の組手を姫神殺毒を浴びながらやるよ。
周りから常に魔術が浴びせられることにもなる。
ね?ケツイがみなぎったでしょ?
「ぬわーーーーーっっっ!!!」
ふふふ、一回殺したくらいで私が満足すると思った?
それじゃあ無効を獲得するまでがんばってね。
せめてブルーやグリーンに追いつかないと私の特訓で魂が消滅しちゃうから。
亜神と戦って魂の原型を留めていられるなんて無理だもの。
「いやじゃ!壊れてなるものかーーーーーー!!!」
*まじゅつの あめにうたれて まどうのきわみに いっぽ ちかづいた
*たぶん ちかづいたと おもう
*ケツイが みなぎった
へぇ……。
結構やるね、ロナント。
流石ニンゲン、ケツイが強い。
このケツイだけはチェリシアちゃんより強いかもね。
私は少しロナントを過小評価していたかも。
これは期待できるかな。
あ、そうだ。この空間の調整しなきゃ。
最近メンテナンスしてなかったし。
いや、何なら自分でシステム作っちゃえばいいんじゃない?
いいねー、やってみよう。
レベルを設定する。
これがあった方が、達成感が出るよね。
次はヘルスポイント……HPも必要。
無くなったら死ぬってやつ。
ケツイで生き返ることはあるかも。
次、アタック。
ATとかATKとかの、攻撃力。
次、ディフェンス。
DFとかDEFとかの、防御力。
次はEXPだね。
魂を肥大化するっていうD方式でもいいけど、もっとなんかこう表現を……。
あ、他者を傷つけた数値とかいいんじゃない?
基本的には魂を吸収する感じだけどね。
ただ魂を吸収するんじゃなくて、オシャレな表現があってもいいと思うんだ。
魔力とか無敵時間とかスピードは表示するの面倒だし非表示でいいか。
後は装備してるものも表示しておこう。
うん、完璧。
スキルとかはまあ自分でなんとかしてほしい。
Dほど高位の神じゃないし、スキルを作るなんて高度なことは……できるかもしれないけど面倒だからね。
ロナントの訓練が終わった。
予想以上に早くノルマを達成したから驚いたよ。
大体七十二年くらい。
現実時間で三日程度。
お茶とリンゴをずっと食べたり、私の力を注ぎ込んで若返らせたり、そんな感じで爺が化物になる図は見てて面白かった。
色々な無効、探知と鑑定をカンストさせて英知を獲得、英知の支配者の効果で魔導の極みと星魔を獲得等々。
育成ゲームのようにポコポコスキルが生えてくる。
褒美をあげたくて、銃も渡した。
これは魔術を込める仕様になってる。
スキルはこめられないから、属性とかがない魔術そのものを入れる必要がある。
うーん、このDに裏から不意打ちをする感じが最高だね。
ちなみに抗魔術結界にも耐性を付けておいた。
真の龍が作る結界の中でも多少効果が減衰するくらいになるという耐性をね。
純潔程度なら普通に貫ける。
でも、私には効かないと思う。
私は龍の結界を色々改造したものを纏ってるから。
どんな感じか説明するなら……。
まずは私に近づけば近づくほど速度が減衰していく仕組み。
空間魔術を色々解析した結果、私の周りだけマイワールドを構築するということができた。
時間を極限まで遅くする感じ。
次はあらゆる物質、生命を塵にする仕組み。
退廃を解析し、腐蝕の波動を常に周りに待機させておくことによって完成した。
多少制御が難しいけど、速度が遅くなった物なら簡単に崩壊できる。
次、魔術を分解する仕組み。
魔術のエネルギーを吸収する感じだね。
魔術を無効化するなら、龍の結界をそのまま使えばいい。
でも、私はそれじゃ納得しない。
話は変わるけれど、虚空魔術とは純粋な魔力をマイナスエネルギーに変換して打ち出す魔術のことだね。
マイナスエネルギーに変換するからわざわざ魔力を包む必要がないし、自動的に集まってくれる。
普通魔術は分散して威力が落ちないように魔力で包むんだと思う。
魔力操作でもそんな感じはあった。
でも虚空魔術は違う。
光も吸い込むからブラックホールみたいなもの。
話を戻そう。
私は、虚空魔術で魔力を吸い込むことにした。
虚空魔術は私のマイワールドに繋がっているから、自動的に魔力を我が物にできた。
魔力を分解するだけでなく、吸収することにしたって訳。
無効化だけじゃつまらないでしょ?
だから、回復してやることにした。
痛痒を与えるどころか、回復する。
絶望に満ちた敵の顔を見ると、やってよかったって思うよね。
あ、腐蝕の波動で物理攻撃が分解されるけど、その攻撃に貯まっていた運動エネルギーやら魔術的エネルギーは全て美味しくいただくよ。
ちなみに白ちゃんにだけはこの結界効かないよ?
だから、私を殺すなら圧倒的力でねじ伏せるか白ちゃんが殺すかしないといけない。
迂闊に弱い存在が近づいたらエネルギーにされるだけだから。
だからロナントには特訓をさせた。
肉体と魂が分解されないように。
私をもう一人ここに置いていくから、特別特訓を始めておいてね。
私は白ちゃんの所に戻る。