姫蜘蛛ですが、なにか?   作:トンTon

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31 渡さないよ

神になってから随分経った。

ほぼほぼ寝てて記憶がほとんどないんだけどね。

記憶が全部途切れ途切れだよ。

いやぁ、よく寝た。

今でも毒を分解するためにエネルギーを使ってるから超眠いんだけどね。

力がある程度戻ったとはいえ、まだ意思を増殖することしかできない。

繋がりを辿って乗っ取るなんてのは夢のまた夢。

ちなみに、ケツイに耐えられるよう体を強化しているから私は不死身。

というかタマシイが無いから不死身なのは当たり前なんだけど。

 

笹島京也っていう人を拘束した後、Dから連絡が来た。

だから白ちゃんと私は、Dに会いに行くことにする。

地球の光景は白ちゃんがしっかり覚えてるから、私は白ちゃんに任せるだけ。

それにしても、笹島京也はそこそこ強かったね。

 

『*ラズラズ AT20 DF20

 *ニンゲンを深く憎んでいる』

 

私のシステム、通称緋色システムは、別の私によって前よりアップデートされている。

装備の表記がもっと分かりやすくなったり、鑑定不能をぶんせきできるよう調整したり……。

別の私は神になった私の影響を受けて、少しずつ神になってるみたい。

神になったおかげでシステムのくびきから解放されて、前より作業がしやすくなったとか何とか……。

この星の生物の肉体を解析して作った体を魔術的に改造した14人の私。

そんな感じで作られた体だからか、ケツイに耐えられたみたい。

私もそんな感じで肉体改造しておけばよかったよ。

アトラク=ナクアの時点で既に神みたいなものだったんだから。

あの時、やろうと思えば私はシステムから脱出できた。

それをしなかったのは、やっても弱体化しそうだったから。

こんな風にね。

まさか、神性領域拡張がこんなにやばい効果だったなんてね……。

 

 

 

暗い教室。

そこには机や椅子は一つもなく、ただ静寂だけがあった。

ドアには鍵がかかっていて、まるでこの教室を封印しているよう。

鼠一匹すら入ることはできないと思う。

蚊くらいなら可能かもしれないけど。

でもまあ、流石に神の侵入は防げないよね。

ここは平進高校。

白ちゃんの記憶、若葉姫色が通っていた高校。

そして、白ちゃんのタマシイの記憶の一部を受け継いだ私も、ここに通っていたという記憶がある。

あるだけで、それは紛い物だけど。

 

私は転生者ではない。

そして、あの世界の者でもない。

何者かによって人工的に作り出されたタマシイ無き生命体、それが私。

Dが認知していなかったことから、私はDに作られた存在ではない。

多分、Dとは別の神。

なんか、卵から生まれる直前にGって聞こえたような……。

名前をつけるとしたら、管理者G?

でも別にあの世界に干渉してる訳ではないから管理者ではないのか。

まあそんなことはどうでもいい。

暫定で管理者Gとしておこう。

 

平進高校の教室内から人目のない道路に転移する。

そして、まっすぐに目的地へと歩いていく。

路地裏を迷うことなく進んでいく白ちゃん。

そして、一軒の家の前で立ち止まる。

表札には、「若葉」と書いてあった。

観葉植物の根っこの間から鍵を取り出し、扉を開く。

お邪魔しまーす。

 

階段を上って、一つの部屋の扉を開ける。

そこには、禿げたおじさんを操作してゲームをしている少女の姿があった。

部屋にはカタカタとPCの音だけが響く。

クエストクリアの文字が表示されたころ、その少女は私達の方へ振り向いた。

管理者D、本物の若葉姫色が。

 

「いらっしゃい、私の身代わりさん。そして、謎の蜘蛛さん」

「初めまして、でいいのかな。本物の若葉緋色さん。いや、Dって呼んだ方がいい?」

「やっほー、D。こうして会うのは初めてだね」

 

"☠︎♓︎♍︎♏︎ ⧫︎□︎ ❍︎♏︎♏︎⧫︎ ⍓︎□︎◆︎"

 

それぞれが挨拶をする。

……ん?私達以外の声が聞こえたような気がするけど、気のせいかな?

 

 

 

目の前にはカップ麺。

ちょうど夜ごろだったこともあり、夜ご飯を奢ってくれた。

カップ麺なのはどうかと思うけど。

とりあえず暴食の要領で食べる。

この程度で足りるわけがないので、冷蔵庫にあるものを片っ端から取り出して貪る。

勿論包装しているプラスチックや紙も食べますとも。

Dはそれを見てやれやれといった動作をしてからカップ麺を食べ始めた。

殴りたい。

むかついたしまだ足りないので、冷蔵庫を食べる。

Dは流石にまずいと思ったのか私を止めようとするけど、もう遅い。

すでに私の腹の中にある。

ニヤリとDを嗤ってやる。

今どんな気持ち?=)

Dは諦めたように私を無視してカップ麺を食べるのを再開した。

勝ったな。

 

カップ麺を食べ終わった後、Dは私達にゲームのコントローラーを差し出した。

格闘ゲームをするつもりみたいだね。

遠慮なくクッションに座って、白ちゃんにも座るよう促す。

さて、じゃあやろうか。

 

ゲームをやりながら、Dは色々なことを教えてくれた。

どうして平進高校の皆はあの世界に転生してしまったのかということを。

先代勇者と魔王が盛大にMAエネルギーを使ってDに攻撃をしかけ、自滅したこと。

そして、白ちゃんが転生した理由。

白ちゃんは、Dが仕事をさぼるために生み出されたらしい。

いや、しょーもなー。

あまりにも白ちゃんが可哀想。

私がDを睨んでいると、いつの間にか移動したDが白ちゃんを口説いてた。

 

[fight]

 

おっと手が滑った。

Dはその攻撃をバリアで防ごうとする。

 

BLOCKED

 

うーん、結構固いね。

でも、私のケツイを舐めないことだね。

二連撃[fight]

咄嗟にDはテレポートしてそれを避けた。

けど、避けたということはダメージを与えられるということ。

Dが私を止めようと、魔術を使う。

恐らく、喰らったのが白ちゃんなら即死していると思う。

これは、「死」という現象を具現化する魔術なのだから。

流石、冥界を統べる神。

でも、私はケツイでそれを無効化する。

ケツイは「死」すらも克服する。

私は白ちゃんに近づいて、抱き寄せた。

そしてDに冷蔵庫を食べた時よりニヤリと嗤って見せる。

 

「渡さないよ」

 

Dは一瞬動きを止めた後、またやれやれといった動きをした。

 

「ふぅ、仕方ないですね。どうして私の魔術に耐えられたのかはわかりませんが、今回は見逃してあげましょう」

 

勝ったな風呂入ってくる。

まあでも戦闘では勝ててもゲームではコテンパンにやられたんだけど。

お土産を持たされて、私達は帰路につく。

 

Dが白ちゃんを惑わしていたので、騙されないよう白ちゃんに深く言い聞かせる。

もう、白ちゃん、Dの言葉に惑わされてたでしょ。

浮気はダメだよ。

白ちゃんを真に愛しているのは、私だけなんだから。

ベッドに押し倒しながらそう言った。

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