早いもので、この公爵邸での暮らしも一年が過ぎた。
ここで居候していたラズラズこと笹島京也は、半年ほどここで魔族語を習って軍に。
憤怒が解けたラズラズは以外にも紳士的で、勉強にも真剣に取り組んでいた。
ブイリムスという義父がいたらしく、その人のように全ての言語を習得してやると意気込んでたね。
というかブイリムスって、私達の巣を焼き払ったから返り討ちにした一味の中にいたよね。
遺伝子情報的にマリィムちゃんと血縁なんだよね。
だから父さんって呼んでたのかな。
いや、あんまり似てないよ?
同じ父を持つ者として仲良くしてるみたいだけどさ。
マリィムちゃんはいつの間にか転移を習得していて、アナレイト王国という国にいる友人やラズラズに会いに行ってる。
その友人はサイリスっていうみたいだけど、どっかで聞いたことあるような……。
チェリシアちゃんも当然のように転移を習得していて、レングザンド帝国の王子と仲良くしてるらしい。
ソフィアは、うん……。
とくに何もなし。
あるとすれば、かなり鬱陶しいこと。
自立してる人たちを少しは見習ってほしい。
機嫌がいいと思ったらいきなりキレだすし……。
止められる人は結構たくさんいるけど、それが常時この家にいるかといえばそうじゃないからね。
メラは城にいるし、レッド、レーヌちゃん、マリィムちゃん、チェリシアちゃんは転移でいない時が多いし、ブルーとグリーンはそもそもここに来ないし。
つまりどういうことかというと、私か白ちゃんしか止められる人がいないってこと。
めんどくさぁ。
うん、まあでも、概ね平和だよ。
ちなみにこの一年で私は何をしていたかというと、分身体の作成に勤しんでいた。
意思を増やすのはできるんだけど、それにちゃんとした肉体を与えないといけない。
無理矢理具現化するとケツイの影響で溶けるからね。
ということで、産卵のスキルを思い出して分身を作ってみた。
蜘蛛型は手に糸を巻いて卵状にして孵化させる。
人型は私のお腹の中で卵を生み出して孵化させる。
やったね白ちゃん!私達の子供だよ!
毎日ヤってるから間違いではない。
粘膜で遺伝子を交換してる感じ。
白ちゃんは意外と舌を入れるのが上手い。
名付けてnight fightだね。
ま、やってることはkissだけど。
期待した?残念でしたー。
ってチェリシアちゃんに語ったらブチギレられた。
あの平手、私じゃなかったら死んでたよ?
それで分身の成果だけど、七大罪の私とも相談しながら作った結果、量産型と特注型ができた。
基本的に蜘蛛型は量産型。
すぐ作れるからね。
人型は全部特注型。
産むまで一週間くらいかかる。
その変わり、それぞれが唯一無二の特性を持ってる。
さあそれではお見せしよう!私の軍団を!
まずは「偵察用分体」蜘蛛型。
白ちゃんの分体の背中に乗って、隠密能力アップと探知と似たような効果をつけてる。
ただ足はそんなに速くなくて、耐久力もゴミだから白ちゃんの分体に背負ってもらうことが前提。
次は「偵察用分体特注型」蜘蛛型。
これは蜘蛛型にしては珍しく特注品。
とはいっても、多少時間がかかるだけの量産品なんだけどね。
空を飛んで偵察をするタイプの分体。
要するに羽が生えた偵察用分体だね。
これも案の定小さくて雑魚だからハエと間違えられて潰されるかも。
次は「移動用分体」蜘蛛型。
普通の成体タラテクトよりちょっと小さいくらい。
上に乗るとバリアが張られて、超スピードで動くことができる。
要するにバリアのあるバイク。
隠密能力は全くないから見つかり放題なのが欠点。
次は「洗脳用分体」蜘蛛型。
相手の脳に寄生して、意思を奪う。
意思情報を把握して本人そっくりに動かすことができるから有能。
まだタマシイの侵食まではこぎつけてないけど。
あとめっちゃ小さいからちょっとの衝撃で粉々になる。
次は「戦闘用分体」蜘蛛型。
邪眼とか糸とか毒とか魔術とかブレスとか、そんな感じでプリンセスタラテクト時代の私と似たような感じの力を使える分体。
後述の殺戮用用分体に比べてコストも安いし、使いやすい。
次は「殺戮用分体」蜘蛛型。
[fight]を使える分体。
そして上下に激しく動くジェノサイドステップによりとんでもない移動速度を出すことができる。
けど、逆にそれしかできないから注意しないといけない。
次は「思考担当分体」人型。
偵察用分体、戦闘用分体とかの指揮をしたり、手に入った情報を処理したりする。
私の脳は一つしかないし、処理できる情報にも限界がある。
なら脳を複数作ればいいじゃない、という感じで作った。
ひとまとめにしてるけど、それぞれの個体でできることが違う。
欠点は、戦闘能力が低いことかな。
次は「行動担当分体」人型。
人型の戦闘用分体。
一つの能力に一転特化している私もいれば、すべての能力をバランスよく伸ばしている私もいる。
邪眼、糸、毒、魔術、[fight]、隠密、なんでもござれ。
コストはそれ相応に高いし時間もかかるけど、強い。
腹を痛めて産んだだけある。
ただ、私だから頭がそんなに良くない。
まあそのために思考担当分体がいるんだけど。
とまあ、こんな感じかな。
白ちゃんが作った分体とタッグを組ませて色々なところに偵察に行ってるから、もう情報がたくさん手に入る。
魔王に反乱を予定してる不穏分子がいること、とかも。
何なら、七大罪私と協力して私の分体や意思を色々弄った結果、システムはもう私の手の中にあるといっていい状態になった。
指示を出せば特定の人物にスキルを与えることや剥奪することも容易い。
Dは気づいてないと思うけど、もうDがシステムに干渉を加えることは不可能。
私が一時的にDに「許可」しているだけ。
私だけの力じゃ無理だったけど、管理者Gが手伝ってくれたような気がする。
いつの間にか難しい作業が進んでたり、Dの目を欺いてくれたり……。
いや管理者G何者?
今のところ印象は娘を助ける世話焼きお父さんなんだけど。
多分私は管理者Gに作られたから娘だと思う。
ほんとに何考えてるか意味不明。
システムの干渉を助けたとしても、私はもうシステムとは繋がりが切断されてるから得なんて何もないはずなんだけどなぁ。
とりあえず、魔王に向けて反乱軍がいるよっていう手紙を出そう。
ちょうどよくバルトの弟が来たから手紙を渡す。
渡すっていうか白ちゃんは放り投げた。
さーて、反乱軍が勝とうが負けようが私は絶対に白ちゃんの利益のみを優先する。
だから、結局反乱軍は勝ち目ないんだよね。
最悪システムの設定を弄って、反乱軍すべてのステータスを剥奪しちゃえばいいし。
それで魂が壊れても、まあ、必要経費ってことで。
私の意思を大量に捧げれば星なんてすぐ再生するし。
この前現在の貯めているエネルギー計算したら、MAエネルギー換算で恒星数億個分だった。
世界を一つ救っても余裕でお釣りがくる。
頑張ればDみたいなこともできるんじゃない?
まあ、だから白ちゃんがすることを見守るだけにとどめているんだけど。
Dの気持ちが若干分かった気がするよ。
その気になればなんでもできてしまうから、力を律する。
けれど、目的の為なら手段は厭わない。
それを私も白ちゃんの為にやってやろう。
邪神にでもなんでもなってやろうじゃないの。
でも、眠いから、少し、寝かせてほしい。
この眠気には、抗えないなぁ……。
毒を中和するためか、眠気がすごいんだよね。
てことでおやすみなさい。
「おやすみ、緋ちゃん」
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