姫蜘蛛ですが、なにか?   作:トンTon

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M2 社畜がここにまた一人

ケモナーで魔力がいい感じに操れるようになってきた。

その結果、私は転移を習得。

行きたいところにある魔力と現在地の魔力を繋げてゲートを作る感じ。

流石に戦闘中に咄嗟にやるのは無理だけど、移動手段として使う分には申し分ない。

ということで、また私は働いている。

いやなんで休まないの?

転移できるようになったから、移動時間が削減されて休む時間が増えると思ったのに。

睡眠無効なんてスキルがあるせいで、寝ることもできない。

どうしてアナレイト王国の陥落なんてものをやってるんだろうか。

これも山田くんが持ってる天の加護のせいだよ。

ポティマスの洗脳が王国上層部にも浸透してるから、一度リセットして新しい舞台を作らなきゃいけない。

だからその協力者、というか内通者候補を探しに来た。

私の目の前には一人の青年。

サイリス・ザガン・アナレイト。

アナレイト王国の第一王子で、正妃の息子。

このままいけば王位継承は確実。

だけど、優秀な弟たちに嫉妬しているような小さな奴。

扱いやすくて助かるわー。

 

「誰だ?」

「私はマリィム、んー、そうね。貴方を助けようと思ってここに来たわ」

「信用できないな。さっさと失せろ」

「ちっ。……それにしても、貴方そんなに働いて辛くないの?」

「は?国の為だ。辛いわけがないだろう」

 

あ、つい心の中がそのまま出ちゃった。

社畜みたいだったからつい。

国の為、か。ばっかみたい。

そんなものの為に自分を犠牲にするなんて。

こいつ、本当に休んでるのかしら。

まるで自分を見てるみたいで不快だわ。

そうだ!こいつを誘拐してゲームでもやらせたらあっさり堕ちるんじゃない?

ふふふ、いい考えね。

それじゃあさっそく連れ去るわよ。

 

「おい、何をする!」

「うるさいわね。死にはしないわよ」

 

 

 

ということで私はこいつとトランプをやっている。

簡単なババ抜き。

勿論私は勝っている。

掛け金はすべていただくわ。

 

「……!?」

「ふふふっ、顔に出てるわよ、お馬鹿さん」

「ちっ、調子に乗るなよ……」

「あらー?もう終わりそうよ?どうする?」

 

今回の勝負も私が勝った。

で、どうする?このまま掛け金を追加して続ける?

しないのならすべて私のものになるけどー?

 

「くそ、私の、負けだ……」

「あははっ、ざーこざーこ!」

 

よく考えたら日頃のストレスをこいつにぶつけている私って最低じゃない?

ふと冷水を浴びせられたように冷静になる。

あちゃー、やっちまった。

高々10歳程度のお子様になんてことを……。

はぁ、仕方ないから掛け金の三分の一はやるわ。

え?まだ十分鬼畜?

知ったことか。

 

「次は絶対に勝ってやるぞ。年下に負け続けるわけにはいかん」

「あ、そう。私、最強だから無理だと思う」

「くそ、いちいちむかつくやつめ……」

「そんじゃあまた会いましょ、サイリス」

「ああ、次は負かしてやるぞ、マリィム」

 

あれ?私は何をしにこいつを誘拐したんだっけ?

まあいいや、どうせレッド州(ここ)は過ぎ去る時が遅いし、さっさと連れもどすわ。

転移でこいつがいた部屋に行き、そこで別れた。

また明日にでも会いに行ってやろう。

 

 

 

「来てやったわよ」

「窓から来るな。お転婆にもほどがあるだろ」

「だって、玄関からだと追い返されるもの」

「お前は転移ができるだろ」

「今日は飛びたい日だったの」

 

それから数日、私はこいつを連れ出してトランプで遊んでいた。

なんかたまに勝つことがあってムカつくわ。

だから最近将棋をやりはじめている。

 

「準備はできているな?」

「聞かなくちゃわからないの?馬鹿ね」

「ふん、お前のことだから何も考えていないものだと思ったぞ低脳め」

「あらー?また金を搾り取られたいのかしら?」

「ふ、私がただ負けてばかりだと思うなよ」

「雑魚が粋がるんじゃないわよ」

「ふっ」

 

今日もまた将棋をする。

手始めに雑魚と煽って冷静さを失わせる。

卑怯だろうがこれが私の戦法よ。

……あれ?なんか今日は妙に冷静ね。

トイレでも我慢してるのかしら。

 

「な……!?この私が負けた!?嘘……貴方イカサマしたのね!」

「将棋でイカサマも何もないぞ。さて、散々私を煽ってくれたな。その借りを返してやる」

 

こいつ……いつの間にこんなに強くなってたの?

この前まで私が優勢だったのに……。

絶対にタネがあるはずだわ!

 

「大したことではない。私も転移を習得したのだ」

「それは……世間一般では大したことって言うのよ……」

「何!?そうなのか!?」

「やっぱり馬鹿ね」

「いいのか?お前は私に負けたのだぞ?」

「ぐっ……」

「私は転移でこのレッド州に来て、将棋の練習をしていた。何年間もな」

「ズルよ!」

「お前に言われたくはないな」

 

ぐぬぬ……。ガキの癖に知恵をつけて……。

やっぱり超ムカつくわ。

私にどんなことを要求するつもりなのかしら。

ハッ……まさかえっちなこと?

こいつロリコンだったのね……。

 

「なんか今失礼なこと考えてないか?」

「このロリコンどもめ!」

「は?私は断じてロリコンなどではない!」

「じゃあ何なのよ」

「これだ」

「チケット……?」

「怪盗千本ナイフという演劇を見に行くぞ」

「デートのお誘い?やっぱり変態じゃないの!」

「黙れ!」

 

まあ、タダで演劇が見れるなら行ってやらんこともない。

仕方ないわねー。

公演は一週間後。

私はちょっとだけウキウキしながら公爵邸へ転移した。

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