姫蜘蛛ですが、なにか?   作:トンTon

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33 SPIDERTALE~begin~

「ふむ じつにきょうみぶかい だいじょうぶかい?」

 

声が聞こえる。

これは夢?それとも現実?

 

「あのこうげきで どくがまわってしまったようだ」

 

変な空間。その中心に、誰かがいる。

その誰かが、私に語りかけている。

ひび割れた顔。手と思わしきものには、甲の部分に穴があいている。

黒いスーツのようなものを来た、コシヒカリ?

 

「わたしは コシヒカリなどでは ない」

 

じゃあ誰?どう見ても米粒なんだけど。

それで私は何故ここにいるの。

こんな、貴方以外誰もいなくて、なーんにもない空間に。

 

「こうまじゅつけっかい だったかな? あれをやぶった しょうげきで きみはいしきを うしなったようだ」

 

あー、やっぱり?

白ちゃんを助けようと思って眠りを寸断して、夢喰結界を再現して抗魔術結界の中に突撃してみたけど、毒をまだ完全に分解できてなかったからなぁ。

そりゃ激しく動いたら毒も回るはずだね。

それで意識を失って夢を見てると。

でもなんで夢なのにこんなにはっきりしてるの?

 

「それは これが はんぶん ゆめではないからだ」

 

ふぅん。

別世界に来たみたいな感じか。

それじゃあさっさと帰りたいんだけど。

白ちゃんに会いに行きたい。

 

「もうすこし まってくれないか きみに ようがある」

 

はぁ?

それに何のメリットがあるのさ。

悪いけど私は帰らせてもらうよ。

転移の魔術を準備する。

が、その魔術は途中で離散した。

私の魔術を分解するなんて、いったい何者?

まさか、D?

 

「かんりしゃG といえば わかるかな それは わたしだ」

 

Dという予想は外れた。

けれど、管理者という予想は当たってしまった。

管理者G、私の生みの親。

そんな奴が、私に何をさせようと?

 

「ついてきてほしい」

 

とりあえず、すぐに殺されるってことはないっぽい。

ついてこいって言われたからついていく。

 

この謎の部屋を出ると、狭い一本道に出た。

ちょっとじめっとしてる。

この一本道に白い扉があるって異様な光景でしょ。

この通路を左側に進むと、天体望遠鏡がある所に出た。

すると、そこにいた一匹のモンスターが話しかけてくる。

 

「*「ほし」って なあに? さわれるの? おいしいの? ころせるの?」

「触れるよ。多分美味しい。殺すのは、爆発オチくらいしか無理だと思う」

「*あなたは ほし なの?」

「……どうだろねぇ」

 

星、か。

別の私は破壊したことありそうだけど。

ま、今はそんなことどうでもいいか。

管理者Gの後ろについていく。

じめじめした湿地帯を進んでいく。

そして船がとまっているところに来た。

 

「やあ ひさしぶり のせてくれるかい?」

「タリラリラ~ おや? これは めずらしい おきゃくさんだ」

「ホットランドまで」

「おふたりさま ですか? よこじまの シャツのこは いないので?」

「ふたりでも きみなら できるだろう?」

「あたりまえです しゅみは ボートに のることですから」

 

何故私は怪しい二人に挟まれなければならないのか。

米粒頭の管理者Gと、胡散臭い渡し守。

あと横縞のシャツの子って誰?

 

「タリラリラ~ おやおや とつぜん なんごく きぶん」

「わたしもり アスタリスクは どうしたんだい?」

「それは ふつうに すてました」

「そうか……」

「管理者Gはいいとして、渡し守、貴方なんか呼び名ないの?」

「おやおや ちいさな クモの ひと わたしは なもなき わたし……もり」

「寒っ」

「わたしもりの ことは シノノメ とでもよべば いい」

「わかった、Gとシノノメだね」

「それにしても G このこは?」

「わたしの むすめ さ」

「きみのこは sansと papyrusだけでは? また じっけん かい?」

「そうだとも ……ふむ わたしもり……ちょっと まちたまえ」

 

ん?さっきまでワイワイ話してたのに、いきなりGが黙りこくった。

行使してる感じからして、翻訳魔術?

 

「これで聞き取りやすいだろうか」

「G、それは古代語かい?なら私も使わせてもらおう」

 

さっきまでなんか聞き取りづらかった声が、はっきり聞こえるようになった。

ていうかG、私のことを娘って言ってるあたり、やっぱりただの親ばかなのでは?

あ、ボートが止まったってことは、ホットランドってやつに着いたみたいだね。

って、暑い……。火山……?

っえ?あのくそデカい機械なに?

 

「あれはコア。私が作った」

「そう……」

 

そのままコアまで進んでいく。

そして研究所と思わしきところに着いた。

その中に入る。

そのあとも管理者Gの後ろについていったけど、私は今何故かいかにも怪しい部屋にいる。

 

「ここはしんじつのラボと呼ばれている場所だ。ここに私の研究物がまだ残されているはず」

 

そう言って、怪しいラボを進んでいく。

薄暗い。汚い。なにここ。

っていうか、あの大きい機械はなに?

すごい不気味なんだけど。

と聞いたら、ケツイ抽出マシンだよと返ってきた。

ケツイって抽出できるものだったんだ。

そのまま隠し通路と思わしき場所へと進んでいくG。

そこには、さっきのケツイ抽出マシンと似た形の機械が置いてあった。

他にも、色々な薬品がいっぱい。

 

「このブラスターを君にあげよう。これは持ち主によって見た目を変えるから、君の好みの見た目にするといい」

 

あ、この機械、ブラスターだったんだ。

ちょっとかわいいね。

とりあえず力を注いでみる。

すると、目が赤色と青色と水色に輝く。そして混ざって紫色になった。

水色にも輝いてるから青紫かなと思ったけど、赤の光が強すぎて普通の紫どころか赤紫だね。

 

「君は決意と誠実と忍耐と不屈か。まさか四要素も持つとは」

「この光、他の人も持ってるの?」

「君の兄弟、長男のサンズは正義と忍耐、次男のパピルスは勇気の光を宿している。また今度会ってみるといい」

「ふーん」

 

このブラスターは意志一つで分身させたり伸縮させたりできるみたい。

しかも威力は結構高そう。

うん、いいもの貰った。

 

「それじゃあ次はこれを。ちかみち薬だ」

「なにそれ。これ飲むの?」

「これは、転移のようなものが使えるようになると思えばいい。魔術ではないからあの結界の中でも問題なく発動するだろう。ただ、私のようにかなり熟達していなければ空間を封鎖された時に困るよ」

「そりゃ便利だね。いただきます」

 

ちかみち薬を飲む。

うん、特に何か変わった気はしないけど。

まあ使えるはずだし、魔力を使わずに転移を使おうとした。

すると、コンマ一秒もしないうちに行こうと思った場所に私は立っていた。

これはすごい。

しかも、使ってみた感じ結構遠くまでできそうだし。

 

「酔いとかはないかい?」

「無いよ」

「そうか、ならば解除薬は必要ないな。パピルスは酔いがひどいみたいでこれを使えないのだけれど、君はそんなことはないようだ」

 

ふぅん。これって使う時に個人差があるんだ。

私は全く酔わないね。

というか空間魔術には元々才能があったし。

 

「あとは、重力操作薬もいるかい?そこそこ疲れるが、自由自在に重力の向きと力を操作することができるよ」

「飲む」

「次元検知薬は……必要ないだろう」

「なにそれ」

「時間の流れ、空間の歪みなどを検知できるようになる薬さ。これを飲ませたからサンズには随分苦労をかけてしまった」

「えー、でも飲んでみたい」

「今の自分が、いきなりリセットされてもいいという覚悟はあるかい?」

「うん、ある。私は白ちゃんさえ守れればそれでいい」

「……そうか」

 

次に私は二つの薬を飲んだ。

かなり便利そうな効果の詰め合わせだね。

重力操作をすれば空だって楽々飛べそう。

時間とか空間とかは、そもそもDの時間停止を感知できてたんだし今更な感じ。

 

「それでは私の手を取って。「ちかみち」をするよ」

「わかった」

 

そして景色が変わる。

そこは南国みたいな感じの場所だった。

目の前には小さな家。

赤い車と小さな自転車がある。

そこをGはノックした。

 

「サンズ、私だよ」

「んー?オイラを呼ぶ奴なんて珍し――」

「やあ」

「ガス……ター?」

 

ガスター?

それがGの本名かな?

たしかにGだしガスターでもおかしくはない。

あ、ていうかサンズっていう人の言語も古代語に聞こえるようになってるね。

うん、人っていうより骸骨だけど。

 

「まさかアンタが生きてたとはな。で、そこの子供は?」

「君の妹だよ」

「はぁ?冗談きついぜ。アンタが星になってから何があったんだ?ガ(スター)だけに」

 

ツクテーン

 

寒っ。ここ南国なのに。

ていうか何の音?

まあいいや。とりあえず自己紹介しとこ。

 

「私は緋色。よろしくね、お兄ちゃん」

「お兄ちゃんて……。よく順応できるな、アンタ。オイラは骨だぜ?」

「大丈夫。私の恋人は蜘蛛だから」

「へぇ、マフェット以外にも蜘蛛型のモンスターっていたんだな」

「いや、元蜘蛛。今は神」

「もっとびっくりだぜ。アンタの恋人はすごい経歴を持ってるみたいだな」

「ちなみに私も元蜘蛛」

「おっとー?雲行き怪しくなってきたなガスターさんよ。蜘蛛だけに」

「私がケツイを注入して作ったんだから、君たちと同じさ」

「遺伝子情報が違いすぎるだろ……」

「大丈夫さ。君たちの遺伝子情報はとっくに組み込んである」

 

うん、なんかよく分からないけど兄弟が増えた。

で、もう一人のパピルス兄ちゃんはどこ?。

 

「兄ちゃん!アンダインと魚釣ってきたよ!ってその子は誰?」

「おう、おかえりパピルス。コイツはヒイロ。オイラ達の妹だって」

「ウヒョウ!俺様にもついに妹ができたのか!」

「こんにちは、パピルス兄ちゃん」

「パピルス、私もいるよ」

「……誰?」

「おや、そういえばあの頃はまだパピルスは小さかったね。私は、君たちの父みたいなものさ」

「じゃあ父ちゃんだな!よろしく!」

 

楽しく三人と会話していた私だけど、なぜかいきなり体が薄くなってきた。

んー、なんか幽霊みたい。

これはどういう状態?

 

「そろそろ時間のようだね。君はあの世界に戻るようだ。またおいで」

「一旦お別れか。またな、ヒイロ」

「いつでも歓迎するよ!ニャハハハハ!」

「そっか。じゃ、またね」

 

そして目の前が暗転し――

 

 

 

私は目を覚ました。

ここは……いつもの公爵邸の部屋だね。

白ちゃんは……いる。

 

「あ、緋ちゃん!おはよう!心配したよ!」

「うん、おはよう。白ちゃん」

 

また今度、白ちゃんもあの世界に連れていきたいな。

*ケツイが みなぎった




緋色のイメージ画です(リメイクしました)

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