姫蜘蛛ですが、なにか?   作:トンTon

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白8:史上最悪のクズがにじり寄ってきた!

今私の目の前には、ポティマスがいる。

こんなに私が弱ってる状況で出て来やがった。

なんてクソ野郎なんだ。

というかフェルミナちゃーん?

害虫が一匹残ってますけどー?

このままじゃ私死ぬんだが。

もう卵復活するしかないよ。

あれかなり弱体化するし、この状況においてはなるべく選択したくないんだけどなぁ。

まあ四の五の言ってられないな。

こいつが攻撃してきたらすぐ逃げよう。

 

「そんな姿になってまで戦う意味がわからん。貴様は何を考えている」

「……」

「ふむ、だんまりか。しかし貴様のことだ。あの赤い奴のためとか言い出すのだろう?」

「……ッ」

「私にはその感情が理解できない。どうしてそれに命を懸ける。くだらない。実にくだらない」

「……私はっ」

「奴のことを愛しているとでも言うつもりか?ふん、それが理解できんと言っているのだ。貴様は生きたくはないのか?死にたくないと思ったことがあるだろう?まさか、神として私を馬鹿にする気ではあるまいな」

「ある、けど……」

「ふむ、つくづく私を怒らせるのが得意だな、貴様は」

「いや、そういう、つもり、じゃ……」

「ん?まさか先程の問いの答えか?ならなぜ命を捨てようとするのか聞きたいな、私は」

「ケツイ……」

「ふざけたことを抜かすな。そんなもので生死が変わってたまるか」

「……」

「ああ、そうか。貴様は信じているのだな。低脳はこれだから困る」

 

ポティマスは珍しくこちらに話しかけてくる。

普通なら攻撃してもおかしくないのに。

まさか、私がボロボロだから油断してる?

ていうか、こいつはケツイの力を知らないのか。

信念も何もなく生きてるだけの害悪だもんね、仕方ないね。

 

「おい、何だその目は。その目で私を見るな。まだ貴様からは情報を引き出すのだからな、私をあまり怒らせないことだ」

「信念もない、ごみ」

「私にも信念くらいはある!バカにするな!不老不死になるために研究しているのだ!」

「その、後は?」

「……はぁ?それは不老不死になってからだ」

「そこだよ。そこ」

「……くそっ。覚えておけ。今日は帰る」

「ふん、弱虫」

 

ポティマスは捨て台詞を吐いて逃げて行った。

結局何がしたかったんだあいつ……。

まさか私から情報が取れるとも思ったのかな?

私が口下手なのを知らんのか奴は。

 

とりあえず、転移で帰らないと。

普通に傷は深いし。

 

 

 

魔族領の自室に帰ってきて、冷蔵庫を開ける。

うーん、これでいいかな。

冷蔵庫からアイスを取り出して、それを食べる。

正式名称は「ゆきだるまのかけら」

緋ちゃんが独自に製法した謎のアイス。

雪だるまに命を吹き込むのがどうとか言ってたような気もする。

 

よし、傷は治った。

それじゃあ作業に戻――

 

後ろに気配を感じた。

 

……気のせいか?

嫌な気配ではない。

どこかこちらを見守っているかのような気配だった。

緋ちゃん、は寝てる。

じゃあ誰が……?

 

「白ちゃーん!大丈夫だった!?」

「ん、問題なし」

 

魔王が来たので思考を中断する。

正体がわかんないものなんてSAN値が削れるだけだからね、放置しといたほうがいい。

 

「見て見て白ちゃん、これ蜘蛛糸でできてるんだって。こっちの人形もね」

 

ん?それは勇者ユリウスがつけてたマフラー?

で、その人形はなんだ。

……あ。

緋ちゃんの香りがする。

あの時の糸人形か。

 

「えっそんなことまでわかるの」

「緋ちゃんの体の一部だからね」

 

この人形は私がもらうよ。

やっと取り戻したんだからね。

 

「これ、どうしよっかなー」

「そのマフラーは好きに使って」

「……そうだ。勇者ユリウスの弟って山田くんだったよね」

 

魔王が悪い笑みを浮かべる。

あー、加護籠めてるね。

趣味悪ー。

勇者の弟に魔王の加護がこもったプレゼントって。

まあ、勇者の称号の廃止は失敗したけど、もうあれ以上の勇者は生まれてくるはずもない。

山田くんに少しくらい嫌がらせしても許されるでしょ。

 

それにしても、緋ちゃんまだ起きないのかなぁ。

勇者剣は処分できたし、自慢したいんだけど。

とにかく、次はエルフだね。

この世界の悪性腫瘍のポティマスを取り除く。

見ててね、緋ちゃん。

私はやりとげてみせるよ。

 

 

 

山田くんが勇者になったことを、私はこの後知ることになる。

 

 

 

報告書:ガスター

 

[No.9]

 

神、か。

これまでも見守ってきたが、随分と興味深い成体をしている。

まさかエネルギーを大量に吸収し、高次の存在へと至るとは。

実に興味深い。

それによって毒の制御を失い、蝕まれているのは不憫だが。

 

[No.10]

 

観察によって、この蜘蛛、緋色はシステムの制約から解き放たれたことがわかった。

つまりは、私が干渉できるということ。

肉体が私の世界の因子によって変貌しているあまり、毒には適応できていない。

なのに肉体は法則に縛られており、私にはどうもできない。

しかし、タマシイならどうだろう。

私の世界へ連れてきて、定着させるのもいいかもしれない。

 

[No.11]

 

今日、サンズに会った。

変わらず元気そうで何よりだ。

パピルスも大きくなっていた。

しかし、サンズに後のことを任せて発明品に身を投げたのは少々やりすぎだったか。

ふむ、まあ、無事に終わったようでなにより。

 

[No.12]

 

随分と力の使い方が上手くなってきた。

このまま行けば、サンズとも普通に戦えるだろう。

しかし、タマシイがこちらへ定着しすぎた。

あちらの世界へ戻ることが果たして上手くできるかどうか。

とはいえ、やはり、実に、実に、興味深い。

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