姫蜘蛛ですが、なにか?   作:トンTon

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白9 遊びもほどほどに

山田くんが、勇者になった。

それを知った時の私の気持ちが、分かるだろうか。

んー!あー!もー!

なんなん!?

今までさ、順調に下準備を重ねてるつもりなのにさ、なんなんこの惨状は。

……やっぱり、緋ちゃんがいないと上手くいかないなぁ。

いや!私はやるって決めたんだ。

だったらやり遂げるしかない。

山田くんを、舞台から退場させる。

あ、勿論命を絶つってわけじゃない。

表舞台から去ってもらわないと。

なんてったって、天の加護っていうスキルを持ってるからね。

自身の望む結果を得られやすくするスキル、らしい。

効果のほどはわからない。

けど、私はこれをケツイのなりそこないだと思ってる。

なりそこないだとしても、勇者ユリウスが私を追い詰めた感じからするに、危険だ。

だから、山田くんのいる王国を陥落させることにした。

人材はそろってるし。

 

まずは、レングザンド帝国の王子、ユーゴー。

前世の名前は夏目くん。

山田くんと同じ学園に通い、山田くんと対立するような演技をしてもらった。

そこで天の加護の効果をある程度図ったけれど、山田くんが竜を殺したのには驚いた。

ギリギリ倒せないくらいの状態に改造してあったんだけど……。

まあ、そんな感じでうちの陣営にめっちゃ貢献してくれてるわけ。

あと、チェリシアちゃんの彼氏。

私はこれに一番驚いた。

チェリシアちゃんが、顔を赤くしながら、あの衝撃の言葉を言った時。

私はね、なんかもう……。

うん、もういいや。

 

「ユーゴーとの、赤ちゃん、できちゃった」

 

って言われた時、私固まったよ。

たしかに朝帰りが多かったけどさぁ!

もー!なんなん!?

 

ふぅ、まあとりあえずそれはいいや。

……よくはないけど。

もう一人は、この国の王子サイリス。

……マリィムちゃんの夫。

だー!

君らイチャイチャしすぎなんじゃー!

どっちも意識してないとかいうけど、はたから見たら夫婦漫才してるようにしか見えない。

昔はマリィムちゃんがからかうことが多かったみたいだけど、最近は演技力によってサイリスがからかうことが多いらしい。

うん……こいつな、王子の癖に俳優になりたいって言ってんだ。

もう王位を継ぐとかどうでもいいらしい。

けど、もうアナレイト王国にはポティマスの毒牙が広がってるからね。

大粛清の準備はできてるって言ってた。

マリィムちゃんと同じで、こいつも容赦がないんだよね。

私の陣営は人の心が無いやつが多い。

その中で一番人の心がなさそうな魔王が一番優しいってどういうこっちゃ。

まあそれは今はいいか。

それじゃあ王国陥落、行ってみよう!

 

 

 

監視をしている限り、かなり順調そうだったので最終討伐目標へ私は向かう。

王城の中を歩き、私は一つの部屋の前で止まった。

扉を開ける。ノックはしない。

 

「やはり貴様か」

「……」

 

そこに座っている男、ポティマス・ハァイフェナス。

こいつが王国の人間を洗脳しまくってるから、今大粛清が起きている。

いつまで経っても余計なことしかしないやつだ。

 

「私は決めたぞ。不老不死になった後、何をするのか」

「は?」

「まず貴様らを殺し、私は農業でもして過ごす。どうだ、よかろう」

「え?え?え?」

 

こいつ、なんかやべーこと言い始めやがった。

そんなことのために星滅ぼす?

いやふざけんじゃないよ。

聞いてあきれる。

 

「なんだ。何か不満でもありそうだな」

「大あり」

「ふぅー、しかたない。アリエルに伝えておけ。エルフの里で待つ。貴様らを絶対に殺す、とな」

「そう」

 

ポティマスの首を折る。

そしてそれとほぼ同時に、チェリシアちゃんからの通信が届いた。

 

『王国上層部の洗脳の上書きは上手くいったわ。一度殺してやらないとだめなのが憎らしいけどね。とりあえず、リザレクション一回でどうにかなりそう。エルフは知らないけど』

 

そうか、リザレクション一回なら僥倖。

リザレクションとは、緋ちゃんが開発した蘇生技。

輪廻の法則を容易く捻じ曲げる緋ちゃんに痺れる憧れる。

エネルギー消費が大きいのがたまにきずだけど、ね。

大体MP換算で1500万くらい。

気軽に使えるのは私やチェリシアちゃんくらいだね。

これがあるから、たとえ誰が死んでも取り返しはつく。

あっ、大島くんが自爆した。

まあこういう場面でもどうとでもなるわけだよ。

エネルギーはもったいないけど。

……よく考えたら人を数字で判断してる私最低だな!

ん?え?

待て待て待て待て。

生き返ってる!?

まさか、山田くん……。

七美徳スキル、「慈悲」を持ってたのか……。

これは……エネルギーの節約にもなるし、禁忌を取らせることもできるぞ。

誤算は誤算でも、嬉しい誤算だ。

後は、山田くんたちには隠居してもらうだけでいい。

いや、もういっそのことチェリシアちゃんに洗脳させちゃうか?

でもスーちゃんに怒られるな。

 

協力者その三、スーちゃん。

内通者。

チェリシアちゃんと友達で、時折聞こえてくる会話はなんかすごいのが多い。

既成事実を作るとか、外堀を埋めるとか。

現にチェリシアちゃんは既成事実作ったしね!

そのスーちゃんは、とんでもないヤンデレでブラコンなのだ。

山田くんにどうアタックするか、チェリシアちゃんと相談してるらしい。

なんかやばい感じの睡眠薬とか痺れ薬とか取引してるけど、大丈夫かな。

悪い顔した少女が話してる光景。

うーん地獄。

ほとんどの人には心を開いてないみたいだけど、やっぱりチェリシアちゃんはコミュ力あるね。

私とは大違いだ。

貞操観念はちょっとゆるゆるだけどね。

はぁー、育て方間違ったかな。

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