姫蜘蛛ですが、なにか?   作:トンTon

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ポティマス・ハァイフェナス

何故、人は死ぬ?

何故、人には寿命があるのだ?

何故、私は死ななければならない?

私は生き続けたい。

私は終わりたくない。

だからこそ、そのためにはどんなことでもやってみせる。

長年の時をかけて、研究を繰り返してきた。

なのに、まだ死の恐怖に怯える日々。

私は、まだ死ぬ訳にはいかないのだ。

 

 

 

グローリアタイプΩ、私の最高傑作。

かなりのコストがかかったが、私はそれを量産した。

地上のエルフは全て見殺しにし、量産型アンドロイドΑを放ったが、それは駆逐された。

ならば、出し惜しみはしていられない。

故に、これを地上へ多重起動。

さあ、精々もがき苦しむがいい。

そして、空中にはΩソーンが展開されている。

いくつもの砲台からの絨毯攻撃によって、広範囲殲滅を得意とする機械だ。

さらに、Ωソーンが集まるいくつかの小隊にはΩトライを配置。

三角錐型の形状をしており、いくつかの砲台から凄まじい威力のレーザーを出せるものになっている。

そして、最近開発したΩフリートによって指揮を執り、侵入者を全て撃退できるようにした。

これを使えば、ギュリエディストディエスを退けることも不可能ではないだろう。

そう考えていたのだが……。

 

「ば、かな」

 

何なのだあれは。

理解の範疇を越えている。

理屈に合わない。

どこで計算が狂った。

そうだ、おかしくなったのは全てあいつが現れた時からだ。

愛するもののために命を投げ出すという理解のできない感情を私に押し付け、そして私を超えた。

手から放たれる波動は抗魔術結界を貫通し、エネルギーを全て吸いつくす。

結界も動かすためのエネルギーも全て回収され、私の最高傑作は儚く堕ちるのみ。

暗黒波動波・喰、とあいつが呟くのを拾う。

そんなふざけた名前の技で、私の最高傑作が全てゴミの山と化してゆく。

認めることなどできない。

認めてたまるか。

あのアリエルすらも私を超え、私の首に王手をかけようとしている。

何故だ。

何故私は死ぬ。

逃亡すら許されず、私は、死ぬのか?

何も打つ手がない。

深淵魔法の準備をアリエルがしているのを見て、ただ怯えることしかできない。

何故だ。

何故だ。

何故だ何故だ何故だ。

私は、愛とやらに負けるのか?

嫌だ。

私は……。

 

私は!

 

 

 

死んでたまるものか!

 

 

 

 

もう手段は選ばない。

どうなってもいい。

どうせ私は死ぬのだ。

ならば、最後くらいは私は自分を犠牲にしよう。

いや、違うな。

周りを犠牲にして、私はそれで死ぬのだ。

眷属や分体の魂を回収する。

無論、こんなことをすれば容量を超えた魂が破裂するだろう。

しかし、私はまだ諦めない。

今まで封印してきた、並列意思を発動させる。

ここに魂を分散させ、二倍にし、さらに魂の容量を増やす。

それができるかは分からない。

だが、やるしかない。

並列意思をさらに発動する。

 

《熟練度が一定に達しました。スキル「並列意思LV1」が「並列意思LV2」になりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル「並列意思LV2」が「並列意思LV3」になりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル「並列意思――》

《ザザザ……ザザ……キル「多重意思LV1」……ザ……ザザザ……した……ザザザ》

 

 

 

 

 

《条件を満たしました》

 

 

 

 

 

《スキル「多重魂魄」獲得しました》

 

 

ははははは!

魂が増えていくのを感じる。

同じ容量の魂が。

いや、これは魂ではないな。

私のタマシイは一つだけ。

これは、意思だ。

意思がエネルギーを伴い、分裂している。

これはケツイ。

そうとも。

私は死にたくない。

 

*危機的状況に陥り、ケツイがみなぎった

 

《熟練度が一定に達しました。スキル「神性領域拡張LV9」が「神性領域拡張LV10」になりました》

《条件を満たしました。神化を開始します》

 

直後、私の体を凄まじい痛みが襲う。

しかし、それと同時に歓喜も。

ついにだ。

ついに私はその境地へと至った。

体が軽くなるのを感じる。

肉体が若返っていく。

アリエルも、深淵魔法の手を止め、私を凝視している。

ふ、ふ、ふ。

何も、貴様らだけが神になれると思うなよ。

気を抜くと死ぬであろう痛み。

だが、それがどうした?

私はまだ死にたくない。

私はまだ生きていたい。

そんなケツイ。

だから、こんな痛みに負けてやるものか。

私のそんなケツイは、痛みを溶かし、意識を保つ。

 

《スキルを還元します》

《ステータスを還元します》

《称号を還元します》

《スキルポイントを還元します》

《経験値を還元します》

《神化を終了します。これ以降システムサポートを一切受けられません。ご利用ありがとうございました》

 

そしてすぐさま、私は空間魔術でここから逃げ出した。

何もあのまま深淵魔法を喰らえば、神になったとはいえ死んでしまう。

 

「はははははは!」

 

感じる。

自分の手の感覚が。

足の感覚が。

心臓の鼓動が。

私は生きている。

私は今、生きているのだ。

 

さて、このままでは私でも死ぬな。

少し身を隠し、また来たるべき時に姿を現すとしよう。

そして、愛について奴にまた聞いてみるのもいいかもしれんな。

理解できないだろうが。

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