エルフをポティマスと先生以外全て駆逐し、逃走されたとはいえ平和が戻った。
後はシステムを壊すだけになった時、突如としてワールドクエスト発動という文言が出た。
ふーん、へー、ほー。
やっぱり俺は邪神Dのこと嫌いだわ。
健とおじいさまと折角お茶してた所だってのに。
「おいおい、マジかよ……」
「これは……」
「Dが私達のことを妨害してきたとしか思えないわね」
席を立つ。
そして、籠手を手にはめた。
これは俺の髪の毛と白の糸でできている。
大体どんな道具でも俺は力が強すぎて壊すから、結局は籠手という形に落ち着いた。
「ユーゴーくん、チェリシアを見守っていてくれよ」
「へっ、祖父さん。俺は言われなくてもやる気だったさ」
「そうか、そりゃあ頼もしいな」
今の俺は若干ながら体調が悪いが、まあ、なんとでもなるだろう。
少し膨らんできたような気がするお腹に手を当てる。
俺の子。名前はまだ決めてない。
「無理しなくても座ってりゃいいんだぜ?俺が全部解決してきてやるよ」
「いや、緋を除けば私が一番強いから」
「そりゃあ、そうだが……」
《ワールドクエストシークエンス1。全人類への禁忌インストールを開始します》
む?
そんな声が頭に響いたと同時に、周囲にいた魔族軍の奴らが倒れ伏す。
あー、禁忌インストールされてるからな、当たり前か。
空間魔術でスパイダーラへ転移する。
そこで聞き込みを始めたはいいけど、どうやらあのアナウンスはここでは聞こえないみたいだな。
まあ、エルフの里の結界を改良したような結界で外界と遮断してるから当たり前だが。
恐らくこの大陸は霧に覆われてるように見えるはずだ。
最近は陰神法によって高度な阻害をしているから、霧を視認することすら難しい。
誰も聞いていないということを確認し、エルフの里に戻ると、そこには誰もいなかった。
おいおいおい。
空間魔術でアリエルさんの反応を探す。
あぁ、エルロー大迷宮にいるのか。
なんか水浸しだし大変そうだ。
助けよう。
エルロー大迷宮上層に転移。
そしてそこをただ歩く。
すると、水が穴の方へ逆流してゆき、穴もふさがった。
これは俺が時を操る過程で習得した技だ。
その名も、「時間逆行」
そのまま?……まあ、いいじゃないか。
まるで何事もなかったかのように穴がふさがり、溺死していたモンスターが蘇る。
そこそこ集中力を使うから、これをしてると俺は戦えない。
ま、そのために健がいるんだけど。
「よっ……と」
健が襲い掛かってきた水龍を両断する。
いかに神話級であろうと、健のステータスはシステム内でも99999だ。
並の生命体には負けない。
しかも、成長速度も俺が速すぎるだけで群を抜いてるからな。
俺が直々に見てるのもあって、特に格上との戦いが得意だ。
まあ、その技術をやるまでもないほどの格下との戦いだが。
さて、歩いていくとソフィア姉が水龍の長を氷漬けにして情報を吐かせてるのが見える。
流石にステータス25000とはいっても、同じく99999のソフィア姉には敵わないか。
エルロー大迷宮に侵入した水龍は、もう全て死滅している。
健が殺したものと、笹島が殺したものでな。
空いた穴や入ってきた水は、俺が全て時を戻して直した。
つまり、敵は詰んでるんだ。
それが分からないとも思えないんだが……。
何か、隠し玉でも残してるのか?
そう思案していると、アリエルさんからの念話が届いた。
は?グループ通話?
どうやら邪神Dが人類の半数を消滅させるとか言ってるようで、それを阻止するために黒陣営がこちらに念話を入れてきたようだ。
アリエルさんはDに会いたくなったので招き入れると言っていた。
ま、裏切ったなら俺が全てを破壊するだけだ。
実際に俺にはそれができる力がある。
ギュリエさんと戦っても負けないだろう。
まあ、黒陣営の中に黒陣営というよりシュレイン陣営とも言うべき知り合いもいるけど。
「チェリー、久しぶり」
「久しぶりね、スー。元気だった?」
「ん。兄様との既成事実は途中で阻止されたけど」
「あぁ、やっぱり麻痺薬じゃなくて睡眠薬を盛った方がよかったかしら?そうすれば天の加護も発動しないでしょ」
「チェリーの方は?」
「ばっちり陽性よ」
「ふっ、やるな」
……なんかこの会話をドン引きして聞いてるやつがいる。
えーっと、カティア、そう、カティアだ。
カルマティック・セロリ・穴場あるお(^ω^)みたいな名前だったような気がする。
前世は大島叶太。
なんでか知らないけど俺と同じように性転換して生まれてきたやつだ。
時間があれば仲良くなることも可能だったかもしれないが、生憎俺はそんなに暇じゃない。
タニトリプルっていうエルロータニシムシクイーンに健と一緒に乗り、エルロー大迷宮最下層を目指す。
ダスティンやバルト、ハイリンス、シュレイン陣営はグレータータラテクトだ。
贅沢な乗り物はないからな、我慢しろ。
特に苦難もなく最下層に到着。
ロナントが空間魔術を発動させ、俺たちはDの場所へ転移した。
なんかくっろい空間だな。
とりあえず侵食して俺と健の周りだけ明るくする。
「ようこそ。私が邪神Dです」
やはり、まあ気がついてはいたけど、若葉さんだったか。
中々に楽しめたからボーナスステージとして倒せば世界を救ってくれる、か。
うーん、随分とまあ偉そうな。
まあ、俺でも勝てないのは分かりきってるけど。
さて、じゃあ本気出しますか――
攻撃をしようとした直後、すさまじい衝撃が辺りに広がった。