姫蜘蛛ですが、なにか?   作:トンTon

73 / 85
白11 始まる世界の終わり

上手くいかないことが多い。

私の立てた予定は、準備をしてるから大体が成功へと向かうんだけど、大事なものに限って失敗することが多い。

そう、例えば勇者抹殺とか。

例えば、ポティマスに逃げられたとか。

そう聞いた時の私は、さも間抜けな顔をしていただろう。

魔王からそれを聞き、私は驚愕した。

ポティマスが神になったらしい。

ふっざけんな。

やばいよ、いや、もう、やばいよ。

と、とと、とりあえず音沙汰はないし、警戒し続けるしかないけどさ。

もうシステムの崩壊は大詰めだし、まあ大丈夫だとは、思う。

なんとか見つけて暗殺しないとだけど。

でも安定して崩壊を進められるから、これで助かった。

と思ったのに――

 

ワールドクエスト発動

世界の崩壊を防ぐために人類を生贄に捧げようとする邪神の計画を阻止、もしくは協力せよ

 

まさかの、まさかのDからの介入。

いや、ふざけんな!

おいD、私が折角上手くいくと思ってたのにぶち壊しやがったな!

はぁぁぁぁぁぁ。

ギュリギュリがこちらへ迫ってくるのを感じる。

遅い。

チェリシアちゃんにも劣る程度の速度で、私に対抗できると思うな。

ギュリギュリが私を転移させようとするのを妨害し、逆にギュリギュリを私の空間へ収容。

そしてすぐさま八百万の暴食の邪眼。

あのさ、D。

そーやって私が不利な状況にしようとするのは分かるけどさ!

緋ちゃんの特訓をなめんなよ!

私はギュリギュリには既に勝てると判断してここに来てるからね。

なんてったって私の目標は緋ちゃん。

ギュリギュリは通過点で、もう私はそこを超えている。

で、まあギュリギュリは防御特化の神だから倒すのは時間かかりそうだなー。

糸で拘束して暴食の邪眼でエネルギーを吸いつくすだけ。

じゃ、私は戻るから。

 

《ふむ。あまりにも一方的すぎますね。実につまらない》

 

げっ。

まぁた介入してくるつもりだよこいつ。

あ!

私の空間が一瞬でギュリギュリの空間に変わる。

そして、私の体が重くなるのを感じた。

おのれDめ、また余計なことしやがって……。

ギュリギュリが糸の拘束を引きちぎって私に迫ってくる。

あー、長期戦になりそー。

 

 

 

 

 

Dの強化か知らないけど、ギュリギュリが分身して私に襲い掛かってくるのをいなして数時間。

なんかギュリギュリの力が増幅し始めた。

あれだね、祈りによって神々の戦いに介入するっていうアナウンスだねこれ。

あー、知ってたよ。

うん、私に人気がないことくらいさぁ。

しかもその量がギュリギュリは何倍にもなってるっぽい。

おいおいいいいい。

Dさんや、これギュリギュリの圧倒的力になりゃせんかね?

あ、死ぬ。

防御結界を貫かれ、一回死ぬなと覚悟した瞬間、私の奥底から力があふれてきた。

ん?んんん?

 

 

 

恐らく、この世界の人族や魔族の人口は億もいかないくらい。

ファンタジー世界だし、人減るのも少ないだろうし、大戦してるし。

まあその億行かないくらいの祈りでも、ちりつもでギュリギュリは超強化されてる。

私にはそんな信奉者いないっちゅーに。

と、さっきまではそう思ってた。

けど、私は忘れてた。

緋ちゃんが仕込んでいた、私を助ける措置を。

 

スパイダーラで信仰されている宗教は、白女神教。

白き蜘蛛の女神を信仰し、その礎となる。

そんな宗教。

そして、スパイダーラの文明が広がっている場所の人は全てその宗教を信仰している。

さらに、スパイダーラの人口は、文明が高度に発達しているのもあって多い。

その数、およそ100億。

つまりどういうことか?

ギュリギュリが億もいかないくらいの強化なのに対し、私は100億の強化が入ってるってわけ。

しかも、しかもだよ?

緋ちゃんは寝てるといっても緋ちゃんの分体はしっかり起きてて、今もなお分裂してる。

つまりは増え続けて私を強化してるってこと。

ギュリギュリには人数制限があっても、私にはない。

うーむ。

思ったより勝てそうだ。

ちょっと歩くだけでアホみたいなスピードが出るのを感じる。

ここが真なる龍の結界の中であるにも関わらず。

一回ちょっと走ってみる。

うん、大体チェリシアちゃんが本気で走ったのと同じくらいの速度が出るね。

あれれれれれれ?

まあギュリギュリってクッソ硬いし、倒すのに時間はかかるけど。

もうほぼ作業みたいなものだよね。

 

 

 

 

 

げっ。

私がギュリギュリをやっと拘束して、限界ギリギリまでエネルギーを吸い取ってる間に山田くんがなんか変なことしてる。

Dと戦おうとしてるね。

おいおーい。

そりゃちょっとやばいね。やめたほうがいい。

山田くんに付いてる分体を目印にして、そこへ転移。

んーとりあえず腹いせにDを鎌でドーン!

さらにドーン!もう一発ドーン!

君がッ!泣くまで!ドーン!するのをやめないッ!

 

「ちょっといい加減にしてほ――」

 

なんか後ろに転移した感じがしたのでさらにドーン!

もっとドーン!からのドーン!

体が超速再生する?

ならばそんなことをできないくらいにドーン!すればいい。

転移する?

ならば転移した先でドーン!すればいい。

とりあえずまだ祈りのバフが効いてるから、しれっとDの空間を私の空間に塗り替えていく。

 

「あの――」

 

はいドーン!

Dさんあなたに口を開く権利はあげません。

あ、そうだ鎌を分身させて多重ドーン!しよう。

もうなんか自分でも引くくらいにドーン!する。

恐らく私でも、何ならチェリシアちゃんでも無事では済まない量のドーン!し続ける。

はぁ、はぁ、疲れてきた。

 

「そろそろ飽きましたか?」

 

なんだこいつ。

なんでこの量のドーン!を喰らって生きてるんだ。

なんか、条件を満たしたから世界救ってやるって偉そうに言い始めた。

ないわー。

今までの努力とは。

 

「さて、じゃあ行きましょうか」

 

ん?

待って?

待って待って待って。

なんか、なんか私Dに誘拐されそうなんですが。

ちょっと!

みんな!行かないで!

私だけが邪神の元へ取り残された?

 

ん?これなんてバッドエンド?

 

 

 

《深刻なエラーが発生しました》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[No.error]

 

システム中枢。

ここには、もう誰もいない。

白織は連れ去られ、緋色は寄り辺を失った。

 

「返せ」

 

暗く、暗く、さらに暗く。

闇は濃度を増してゆく。

影は次第に深く染み入る。

システム全体にノイズが走る。

黒い霧が周囲を覆いつくしてゆく。

意思を込め、刃を地面に突き刺した。

「泉」が、できる。

闇が濃くなってゆく。

 

「返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ」

 

暴走した緋色は、止まらない。

世界が揺れる。

世界中で、謎の生命体が出現した。

実に、実に、興味深い。

 

白ちゃんを、返せ

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。