姫蜘蛛ですが、なにか?   作:トンTon

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SPIDERTALE:アリエル

感傷に浸りつつ、世界が救われたことに安堵する。

白ちゃんがいなくなってしまったことに寂しさを感じるけど、私では助けに行けない。

とにかく、緋ちゃんにどう説明するかだけど……。

 

「うぉっ!?」

 

いきなり地面が揺れる。

それになんとかバランスを取ろうとして、持ち前のステータスで持ちこたえた。

っと?システムは消えた、というか消え始めたとD様は言ってたはずだけど、違うのかな?

 

……は?

 

ふとエルロー大迷宮の方を見ると、青い、不気味な柱が立ち上っている。

その柱は段々黒くなり、最終的には収束してゆく。

エルロー大迷宮の奥へ。

嫌な予感が、今纏まった。

シュレインの念話を受けてから、私は嫌な予感が止まらなかった。

D様に世界を救ってもらって、なんだ、嫌な予感なんてあてにならないな、なんて思っていたのに。

あれだ。

嫌な予感の、正体。

闇が、泉を作っている。

 

周りを見回す。

ソフィアちゃん、メラゾフィスくん、マリィムちゃん、ラズラズくん、ユーゴーくんも驚いていたけど、なによりチェリシアちゃんでさえあれを見て絶望的な顔をしていたのが嫌な予感を増長させる。

 

《第二次ワールドクエスト発動。忌まわしき邪神に連れ去られた白き神を連れもどせ》

《連れもどせなければ、この世界は塵一つ残らず滅ぶだろう》

 

凄まじい怖気が走る。

唐突に、サリエル様じゃない声が頭に響く。

これは、これは――

 

これは……緋ちゃんの声だ。

 

《ワールドシークエンス1》

《赤き神の分体が世界に出現。さあD、対抗してみろ》

 

次にそう聞こえた瞬間、世界中におぞましい威圧感があふれる。

魔術の千里眼で見まわしてみると、そこには絶望的な光景が広がっていた。

 

 

 

まずは魔族領。

そこには、黒い緋ちゃんがいた。

背中からは四本の触手が生えており、過去の緋ちゃんのように全身が溶けていた。

魔族領に駐屯していた者達が攻撃するも、その溶けているもの、「ぶんせき」すると、ゲープ?には効かないようだ。

とりあえずは、あそこにいるダラドに任せるしかない。

ダラドはラズラズくんが作った刀を持っているからそうやすやすとは負けないだろう。

 

次は、レングザンド帝国。

普通の緋ちゃんよりも全身が赤い緋ちゃんがいた。

全体的にトゲトゲした服装をしている。

怒っているというよりは、疲れているようにも見える。

が、それでもその殺意は本物のようだ。

ティーバくんが防衛にあたっているが、はたして勝てるかどうか……。

 

次に、アナレイト王国。

というか、この近く。

いや、見るというよりは、すぐ近くにいると言ったほうが正しい。

 

「緋ちゃん……?」

「ふふっ。その言葉、今日で何回目?」

 

フードを被り、全身が塵に覆われた緋ちゃん。

どう見ても正気には見えない。

 

「この時間軸は、最早私には不要な時間軸なのかもね」

 

目を赤色と青色に光らせ、こちらを見ている。

その目には、殺意がこもっていた。

 

「ごめんね、魔王。私はLOVEを上げてDを殺すんだ」

 

そして、骨が地面から突き出される。

視認、できなかった。

なんとかチェリシアちゃんが私を掴んで逃げてくれたけど、そうじゃなかったら私は死んでいた。

ここでは、私でさえ足手まといのようだ。

 

「アリエルさん!逃げて!こいつは、システム内の力じゃとても太刀打ちできない!」

 

ソフィアちゃんがそう言い、腕に着けていた制限装置を外す。

その後に皆も制限装置を外してゆき、システムの外側へと至った。

これなら……と思ったのも束の間、メラゾフィスくんの胸が貫かれた。

あれは、龍の頭の骨?

たしか、ブラスターという武器だったような気がする。

 

「メラゾフィス!」

「お嬢様、だめです!よそ見を――」

 

「洗濯機ブラスター」

 

ただでさえ威力の高いあの武器が、複数出現する。

そして辺りを薙ぎ払い、白い閃光が私の視界を埋め尽くした。

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