次から次へと……。
我が娘が生み出した、悪夢の産物を始末しながら、その元凶へと攻撃を加える。
が、それも何かノイズのようなものや糸で防がれた。
まさかこんなことになるとは、おもってもみなかったわ。
こんなことなら白い方の娘に愛を吹き込んでいればよかった。
想いというのは、言葉にしないと伝わらないということを。
「あはははHAHAハハハHAはは!」
それを成した、我が娘、赤い娘。
その子は、狂ったように笑っている。
青い糸が私の周囲に舞い、拘束しようとしてくる。
それを私の糸で相殺し、さらに毒弾を放つ。
しかし、またそれは容易くノイズのようなものに防がれてしまった。
放っておくと全身がノイズに覆われたモンスターが発生するから常に攻撃を加えないといけないわけだけど、それが難しい。
「ぐぅおっ!?」
またレッドが吹き飛ばされていった。
とはいえ死んではいないでしょう。
あの子、それにその兄弟は赤い娘に散々鍛えられたようだから、耐久力は高い。
「素晴らしい、素晴らしいよ!こんな世界は破壊!なんて忌まわしい!あはHAハハHA!」
そう言ってまた悪夢の産物を生み出す赤い娘。
情緒不安定ね。
お母様はちゃんと教育したのかしら?
いや、あの人は抜けてるとこがあるからしてない可能性が高い。
ふぅ、やっぱり我が子の失敗は母親である私がなんとかしてあげるしかないのね。
レーヌの眷属の蜂が、レッドの眷属の龍やエルローフロギットなどの新種魔物が、タニシングルの眷属のタニシムシが……。
皆が、死兵として悪夢の産物へ特攻し、命を散らす。
しかしそれはただ肉体の生命活動が停止しただけ。
すぐに肉体を再構築して再び特攻しているわ。
そのため、そこら中に塵が舞う。
それをかき分け、私はノイズだらけの赤い娘に攻撃を加えた。
多分どうやってもこの子は死なないから全力で殴る。
ERROR
む、やっぱり効かないわね。
お母様からの連絡も途切れたし、いつまで戦い続ければいいのやら。
チェリーほどじゃないしろ、最高戦力が揃ってるから負けはしないけど。
あぁー、誰か助けに来てくれないかしらー。
……ま、特に当てがあるわけでもないんだけど。
私の知る限り、もう全員が戦っている。
レッド、ブルー、グリーンはボロボロになって攻撃を受け……まあそんなに深くはなさそうね。
レーヌ、タニシングルは軍勢を指揮し雑魚を処理……まあ精神的に疲れてるとはいえあの子の特訓よりはマシだと思ってるっぽいけど。
あの子の姉達は私と同じくあの子に殴りにかかっている。
……けど、どうにも勝ち目がないのよねー。
こちらの攻撃はことごとく無効化されるけど、あちらの攻撃も大事には至ってない。
正直言って、チェリーより若干劣るくらいの戦力が数人いるこの空間でも互角なのがおかしいのよ。
普通の神ならこれだけで死んでいるわ。
あのギュリエでも普通に死ぬ。
それを涼しい顔で受け流すこの子は本当に……。
「最後の一息も刈り取って――あれ?なんか見た目違いますね」
そんなことを考えていると、目の前に誰かが出現したことに遅れて気が付いた。
メイド、みたいな感じの人ね。
すごい大きい包丁を持っている。
「ま、いいでしょう。決着をつけに来ましたよ。D様から命じられたので」
「あの……貴女は?」
「私は地獄の管理者です。D様からこの事態を止めてこいと言われて出勤してきました」
そう言って、地獄の管理者はすさまじいスピードで赤い娘に突進していった。
待っ、て?
今の、チェリーの何倍の速度があった?
この私が目で追えなかった。
ギュリエやサリエル様とは格が違う。
これこそが神。
そして、それを先程とは変わって真剣な顔で弾くあの子もバケモノだわ。
今のあの子からは先程のようなおちゃらけた雰囲気は感じられない。
あれは、獲物を見る目ではなく、敵対者を見る目をしているわ。
そして、その目で追うことなどできそうもない糸とブラスター、骨の連続攻撃。
それを破壊しつつ直進する地獄の管理者。
まさに暴虐。私のような半端な神が立ち入れるような場所ではないのは確かだわ。
「強くなっていますね。龍神なんかとは比べ物になりません」
「冥土さんは相変わらず強いね」
とりあえず闘いに夢中な二人から視線を逸らし、先程まで戦っていた眷属たちを下がらせる。
観戦するのは安全な場所へ逃げた後でいいわ。