姫蜘蛛ですが、なにか?   作:トンTon

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SPIDERTALE:ギュリエディストディエス

認めがたいが、ポティマスという男は天才だ。

自力で様々な魔術を再現し、不老とはいかないまでも人を超え、MAエネルギーにまで手を出した。

並の人間にできることではない。

そして、最悪の結果として奴は神になった。

そのままどこかに姿を眩ませたと聞いたが、まさかこんなところで出てくるとは。

 

「さっさとここから去れ。私の戦いの邪魔だ」

 

いつものように偉そうで、そして不愉快になる口調。

ただし、今はそれが正しいのも事実。

ロナントとサリエルを連れ、距離を取った。

 

「さて、神となったこの肉体と力を試してみることにしよう」

「ふん、お前なんかが無限にエネルギーを生み出せる私に勝てるとでも?」

「勝てるさ。私も無限にエネルギーを生み出せるからな」

「は……?」

 

私でも耳を疑う発言がポティマスから出る。

無限にエネルギーを生み出せる、だと?

だめだ、奴にそんなものを与えてしまっては……。

しかし、現実は無情で、奴はそれを持っている。

ポティマスの体が分裂する。

しかも、エネルギー量を計測するに全てが本体。

こんな悪夢が、あってたまるか。

 

「ケツイだ!そう教えてくれたのは白だった!感謝しているぞ!」

「私の技をパクリやがって……」

「強いものから盗む。至極当然のことだ」

 

全てのポティマスから魔術が放たれる。

しかもそれはただの魔術ではない。

虚空魔術。

緋の使う、全てを無に帰す最悪の魔術だ。

あれでは、私の龍の結界さえ無効化されるだろう。

 

「暗黒波動波・散!」

「ガスターブラスター」

 

暗黒波動波という、よく緋と白が口にしていた技をポティマスは放った。

あれにはいくつか種類があると白から聞いている。

普通の暗黒波動波は、ただ向いている方向にビームを発射するだけだ。

「集」になると、それを一点に集中させ、範囲を犠牲にする代わりに威力を飛躍的に向上させる。

「散」になると、それを逆に分散させ、回避が難しいが威力が控えめな弾幕を発生させる。

白の奥の手の「喰」は、触れた全ての物質をエネルギーへと変換し吸収するという技だ。

どれも凶悪極まりない。

 

ポティマスが放った暗黒波動波を舞のように緋は避け、逆にガスターブラスターと呼ばれたものと骨を青とオレンジと赤で色とりどりに展開している。

あれには避け場など無く、ポティマスも終わりかと思ったが、なんと青やオレンジに当たっても奴にはダメージが入っていなかった。

と、よく見ると、青は動きを止めることで、オレンジは動くことでダメージを無効化できるらしい。

それを一発で見抜くとは、やはり奴は怪物だ。

さらにそれを再現したのか、奴も青とオレンジの攻撃を入り混ぜながら緋に攻撃をしている。

どちらもまるで舞っているかのようだ。

 

ポティマスがニヤリと笑った。

 

紫色の糸で緋の体を拘束し、大量の暗黒波動波・集で攻撃をした。

これで決まりか、と思った直後、緋は横、縦に不自由ながらも動き、緑に発光するナイフで暗黒波動波・集をいなしてゆく。

近づいた瞬間に反転する暗黒波動波さえも見切り、全てを防いでみせた。

それを見たポティマスは若干苦い顔をしたが、すぐにいつもの不愉快な笑みに戻る。

 

「やるじゃないか。今ので仕留められたと思ったのだが」

「紫攻撃と逃げられない緑攻撃を組み合わせるのは流石だけど、よくそれを再現できたね」

「なんとなくできる気がしたのだ。なにせ私はそこの爺と違って真の天才だからな」

 

しれっと罵倒されるロナント。

しかしこの戦いに見入っているようなので気が付いていない。

まあ、本人が楽しければそれでいいか。

 

「確か、白はこうやっていたな。そう[fight]だ」

「っ!?それも再現するんだねっ!」

 

MISS

MISS

MISS

MISS

BLOCKED

 

どうやら、ポティマスが多少押している、ということが分かる。

あの連撃は緋もきつそうなものがあった。

最後は避けずにナイフで防いだのもその証拠だ。

しかし、まさかポティマスがあれを再現してしまうとは。

白の行っている姿を見てはいたが、あれを再現するのは私でも難しい。

それこそ何百年かかるか分からん。

龍にとっては短い時間かもしれんが、人間にとっては永劫にも等しいだろう。

もっとも、白のように実際にそばで教えてもらうようなことがあれば習得は簡単だろうが。

それをしていないのにポティマスはあれを再現してのけた。

 

「ははははっ!疲れが顔に出ているぞ緋!」

「お前の方が疲れてるように私は見えるけどね……」

「なぁに、白に会いにゆき、話すためだ。貴様なんぞでくたばるわけにはいかんな」

「はぁ?私も白ちゃんに会いたいんだよね。だからお前こそさっさと死んでくれないかな?」

 

「「はぁ?」」

 

何故か、いきなり二人は戦う手を止めた。

白のことを話しているように聞こえたが、まさかポティマスが敵に回ったりしないだろうな。

いや、元々敵だが。

 

「なんだ、そういうことか。無差別に暴れているのかと思ったぞ」

「何?白ちゃんは渡さないけど」

「む?ふむ、そうか、理解したぞ。これが愛か」

「はぁ?」

「無尽蔵にケツイの湧く、素晴らしい感情、これこそが愛なのだな」

「ま、そうかもね」

「よし、私も貴様を手伝うとしよう。とはいえ何も生命体を死滅させる必要はあるまい」

「それをお前が言うの?」

「白と会話するためには、普通の環境が整っていなければならんだろう。そういうものだ」

「……仕方ないなぁ、いいよ」

 

上空で二人が握手を交わすのが見える。

ん?まさか本当に敵に回ったりしないだろうな。

しかしどうやら話を聞いたところ、利害が一致したので協力することにしたそうだ。

なんとも、腑に落ちない終わり方だな。

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