初投稿です。
2024/10/17
本文修正
「俺たちは本当はすごいんだって!」→「俺たちは見た目以上にすごいって!」
うろ覚えのセリフパートでしたが、こちら恐らくMTMTEを意識した台本のため正しい文章に修正いたしました。申し訳ありませんでした。
融かされるスクラップに紛れ込み、無事地下50階にてD、オライオンと合流できたスタースクリームだったが、そこで思わぬ悩みに遭遇していた。
地下50階の先住民、B-127である。
「いやあ、生きてるヤツを
「黙らっしゃい!*1 今はリペアで忙しいんだ、こっちは!」
「分かった! 何について黙っていればいい? 寝る場所のこと? いいよ、大歓迎! それじゃあ俺の友達について話そうか。向こうの3人なんだけど、右からEP-508、」
スタースクリームは今になってやっと、
「最近よく一緒に寝るのがスティーブで、近寄ると余所者っぽいあんまり嗅がない匂いがするんだ! 嗅いでみる? まあ最近はその匂いも薄れてきたんだけど、仲良くなってきた証拠だよね!」
「こいつを黙らせろ! 手作業で腕くっつけるなんてひさしぶりなんだから邪魔させんな!」
「ビーがああなのはずっとだから諦めろ。」
キレるスタースクリームと死んだ顔のD。スタースクリームが地下50階に来る前、Dはビーに対し 「自分で工作した人形を友達と言い張る頭のイカれたロボット*2」 ……とまではいかないが、概ねそれに相当する言葉を言いかけており、その負い目があってあまり強気に出られないのだ。
「……ビー? よかったら俺に君の友達を紹介してくれないか?」
「オライオン! ぜんぜんいいよ! まずは紹介しやすいAAトロンからね。コイツはジョークが上手くて話題に事欠かないんだ! 初めて会ったのは、」
見かねたオライオンは、相棒の腕がおじゃんになってはかなわないと会話相手を買って出た。今は奥のスペースでビーの友人紹介を受けている。
だいぶ常軌を逸した会話をBGMに、スタースクリームはリペアを再開した。
「なあ、スタースクリーム。」
Dが小声で目の前の彼の
「っ、おい!」
「どうせ聞こえちゃねえだろ。」
スタースクリームは咎めようとしたが、Dはどこ吹く風という感じだ。
「それより、お前リペアまで出来たんだな。前にも腕を溶接したことがある口ぶりだったが?」
少しも身動ぎしないでそう問うD。それがリペアを受ける標準的な患者の態度によるものか、何らかの感情がもたらすものか、スタースクリームには分からなかった。
「……必要に駆られた結果です。ある程度自力でこういうことが出来ねえとダメだったんで。」
ボソボソと覇気無く答えるスタースクリーム。彼の言うとおり、星の侵略者と戦争を繰り広げてきた軍人にとって、多少のリペア知識は無くてはならないものだった。特に、単隊で制空権を守る任を与えられることが多い航空部隊、その中で最速最強を誇った親衛隊は、支援部隊に頼らないリペアが必要な機会が多かった。
だが、それも過去の話である。
「そりゃひでえ。その部署最悪、逃げて正解だ。」
「ハハ……。」
スタースクリームはDの誤解を訂正せずに苦笑を零した。2人は無言でリペア作業を進めるが、しばらく経ってからリペアツールを持ち替えたスタースクリームがニヤリと笑った。
「はい、回路繋げますよ。心の準備はいいですかい。」
「なんだって?」
いよいよくっつけ作業も大詰め。何が起こるか分かっていない患者に対し、面白がったスタースクリームはあえて答えずに作業を進めることにした。
「3、2、1……はい、接続。」
「うおっ!?」
途端、Dは器用に右腕を固定したまま少し跳ねた。それを見て感嘆するスタースクリーム。ジョイント部分以外で切断された部分を溶接する際、必ず必要となる工程が神経回路の再接続だ。これは、一瞬とはいえかなりの激痛が走るため、大した叫び声も上げずにいたDは中々な機体なのである。ちなみに、初めて欠損した部分を繋げたときのスタースクリームは、外聞を捨てて
「おい、クソ痛えじゃねえか!」
「まあまあ、あとは装甲を整えればリペア完了なんで、それまで大人しく、」
一方で、そこまで大きくないとはいえ、Dの上げた声に反応する者もいた。オライオンだ。ビーの友人紹介を貫通してイヤーセンサーに届いたその声は、半ばブレインが機能停止していた彼をかなり驚かせた。
驚いたオライオンが動く拍子に、軽くぶつかったビーの友人のパーツが外れてしまう。そこから、ひとつのメモリーチップが零れ、起動した。
《クインテッサ星人だ!》
その声を聞いた瞬間、スタースクリームはそれまでの会話を切りあげ、Dをひっつかむとすぐさま物陰に隠れた。機体に染み込んだ、反射的な行動だった。そして、オプティックを丸くするDを見てから、スタースクリームは我に返った。
今の声は、死んだはずのプライム、アルファトライオンのものだったからだ。録音か何かか? そう思い、彼は物陰から頭を出した。
《親衛隊、至急応援を要請する! ゼータがやられた、マトリクスを守れ! 今から座標を送る!》
そして、"それ" を見て、呆然とした。─────
「おい、大丈夫か? しっかりしろ。」
ピタリと動きを止めたスタースクリームを心配して、Dがその額を小突いた。正面に立つも視線の合わない様子に、かなり不安になるD。
「少し、放っておいてください。すみません。」
やっと反応したかと思えば、絞り出すような声にただ事じゃないと考えるD。かなり気後れしながらも、ウキウキとしたオライオンたちがこちらへやってきそうな様子を見て、流石にこの状態のスタースクリームに相手させるわけにはいかないと、Dはその場を後にした。
*
「地上は危険なんだぞ!? センチネル・プライムだってそう言ってる! そんな本当かどうかも分からないデータのためにリスクを冒せるか!」
「だが、リスクを嫌って何も行動しなければ現状のままだ!」
D-16とオライオン・パックスの議論は白熱していた。
SOSの発信者がアルファトライオンかもしれないことはすぐ分かった。これが本物のSOSであるならば、プライムたちの敗れた場所にマトリクスの手がかりがあるかもしれない。地上探索に行くセンチネルに伝えようにも、地下50階から脱出した頃には彼は地上にいるだろう。だから、俺たちが地上に行ってセンチネルに伝えるか、直接マトリクスを探索すべき。オライオンはこう主張した。
一方のDの主張はこうだ。センチネルなら必ずマトリクスを見つけてくれる。たとえ今回の地上探索が空振りに終わったとしても、次の探索に出かける前にそのSOSについて伝えればいい。そもそも、スクラップの山から出てきたSOSが、本物であるという証拠もないし、むしろ偽物である可能性の方が高い。偽物のために、危険な地上に行くリスクをとる事はできない。
「まあまあ、2人とも落ち着きなって。こういう時は第三者の意見を聞いてみるのはどう? S-39! あんたはどう思う?」
「ばっ、アイツは今本調子じゃ、」
空気を読まないビーが、それでも仲裁しようと少し離れた場所にいたスタースクリームを呼んだ。それを見たDは慌てて止めようとしたが、当のスタースクリームがそれを手で制した。
「そのSOSは本物だ。その声紋、媒体、ホログラムからしても間違いない。俺は地上に行くべきだと思う。」
「S-39! 君も一緒に来てくれるなんて、本当に心強いよ。」
オライオンはスタースクリームを見てオプティックを輝かせた。さすがに、地上探索を1人ないし2人でするのは心細かったのだろう。
「そもそも、俺がこんなトコまで来たのは、地上へ行くことを提案するためだった。アンタらは知らんだろうが、地上でも割と生活できるんだぜ。地下50階に追いやられても、コグ有りのために熱心に働くっていうんですかい。」
そう、スタースクリームが地下50階まで来た目的は、Dを説得して地上の親衛隊と合流させることだった。Dと部署が隔たれた今、スタースクリームがコグ無しとして労働する意味は最早無かったし、とうの昔に彼は認めていたのだ。D-16はメガトロンになる、と。そのために、
(それが、まさかこんな大きな手土産を手に入れることが出来るなんてな。)
スタースクリームは座標の示されたSOSを見た。あのSOSはプライムの
「地上に行こう、D。俺たちがマトリクスを見つけるんだ。こんな所で腐る俺たちじゃないだろ? 見せてやろうぜ、俺たちは見た目以上にすごいって。」
拳を差し出され、Dは深く排気をしてからそれに応えた。
「……分かったよ。とりあえず、俺の腕がちゃんと治ってからな。」
オライオンの真摯な言葉に折れたD。こうして、プライムのSOSを巡る彼らの旅が決まった。
「それにしても、ちょっと聞いただけであれがホンモノだって分かるなんてすごいね! 俺にはできないや。」
「……そうだな。」
ビーの言葉に、Dはぽつりと同意した。
「あ、ごめんごめん。今からリペアの続きだっけ? 行ってらっしゃい! きれいに治るといいね!」
ONE視聴者の方はSOSの扱いについて疑問があると思いますが、ONE本編の矛盾含めて頑張って回収しますので今後の展開をお待ちください。