ようこそ、後悔残る黒幕の教室へ 作:※この世界はフィクションです
学校の謎に迫ったり、天海が料理したり、葛城と天海がラブコメ始め掛けたり、白銀がひたすら心の中で突っ込んだりします。
ネタバレたくさんなので注意!
ホームルームが終わると、スキンヘッドの男子生徒、葛城康平が教室の前までやって来て全員に聞こえるような声で話し始めた。
「皆、入学式まで1時間ほど自由時間がある。どうだろう、クラスメイト同士で自己紹介を行い、親睦を深めないか?今の状態では、それぞれについての情報がない。自己紹介をすれば、趣味や部活等共通点を見つけて友達を作りやすくなるはずだ。」
葛城の提案にAクラスの生徒たちは何も言わずに黙っていた。沈黙が続く中、懐かしい彼の声が教室内に響く。
「良い考えっスね。俺は君の提案に賛成するっスよ。」
天海がそう言うと、坂柳も机に手を着いてゆっくりと立ち上がる。
「私もお2人に賛成致します。早くお友達を沢山作りたいですからね。」
胡散臭そうな笑みを浮かべ、坂柳は2人に笑いかけるが、彼女の本性を知っている私としてはその笑みが恐ろしくて仕方ない。
「ならば、言い出しっぺの俺から出席番号順に自己紹介をしていこう。俺の名前は葛城康平だ。中学では生徒会に所属していた。我が校でも生徒会に所属したいと考えている。よろしく頼む。」
葛城はそう言い、小さくお辞儀をする。
「そういえば、先程真嶋先生は10万ポイントは我々に対する正当な評価だと話していたな。評価というものは上がったり下がったり変動するものだ。もし評価が支給されるポイントとイコールなのであれば、支給されるポイントも変動する可能性が高い。なので、これから生活するにあたって評価が下がらないように気を付けた方が良いかもしれないと思った。この考えは皆にも共有しておきたかったので、今この場で話させてもらった。」
葛城は「以上だ」と言い、出席番号順で一番目の天海の方を向いて頷いた。すると天海も葛城に頷き返し、立ち上がる。
「今の葛城君の意見には俺も賛同するっス。毎月全学年全生徒に10万ポイントを支給していたら、いつか国の国庫が尽きてしまうっスから。ちょっと大袈裟かもしれないっスけど、現実的に考えて生徒一人一人に10万ポイントを支給するってこと自体、何か裏があるんじゃないかと思っているっス。」
天海の言葉は生徒たちにすぐさま受け入れられたような気がした。葛城と違って、天海は表情豊かで抑揚とジェスチャーを混じえて説明する為、生徒たちの関心を集めるという点では彼の方が話上手だといえる。
「あ、話し過ぎちゃったっスかね。俺は天海蘭太郎っス。趣味は旅行で、失踪した妹を探して旅をしているっス。海外に興味がある人、俺で良かったら体験をお話するんで、良かったら仲良くして下さい。よろしくっス。」
(いやいや、妹が失踪してるってダンガンロンパの設定なんだけど?なんでこの世界でもダンガンロンパの設定が続いてるのよ?!)
私は驚きと困惑で情緒がぐちゃぐちゃになった。天海蘭太郎のダンガンロンパの設定が転生世界の天海蘭太郎にも付与されているのだから、驚かない訳がないし戸惑わない訳がない。
「天海君ってかっこいいね!」
「すっごく優しそう!」
「妹さん、早く見つかると良いな!」
天海の甘いマスクと落ち着いた声、チャラそうな見た目に反して妹思いという設定が多くの生徒に刺さったのか、クラスメイトたちは彼に感想や同情の感情を投げる。
「みんなありがとうございます、俺も早く妹と再会したいっス。」
天海はそう言って頭をかく。
(……そう、みんなの言う通り天海君は魅力的なキャラクター。私がそうなるように設定した、私のお気に入りのキャラクター。でも、この世界の彼は違うんだ。だって、ここはダンガンロンパの世界じゃない、んだからね。)
自己紹介はスムーズに進行していき、私の前に座る坂柳有栖の番がやって来た。
「和やかに、スムーズに自己紹介が進んで良かったですね。私は坂柳有栖と申します。見ての通り、私は杖を使って歩行しますので、皆さんに迷惑をかけてしまうことが多々あるかと思います。まずはそのことについて謝罪させて下さい。」
坂柳はそう言い深くお辞儀をする。
(別に謝る必要はないと思うんだけどなぁ。)
「さきほど葛城君と天海君がお話していた、支給されるポイントの変動に伴って私からひとつ注意喚起をさせてください。真嶋先生はこの学校ではポイントで買えないものはない、とお話されていましたよね。この発言をした意図として、今後ポイントが必要になる時が来る可能性が高いです。ですので、皆さんにはくれぐれも無駄遣いはしないでいただきたいです。入学初日に多額のポイントを渡したのも単なる生活費にしては、とても不自然ですからね。なるべく貯めた方がよろしいかと。」
(確かに、水道光熱費は全て学校側が支払ってくれて、食堂では無料定食、スーパーでは無料商品があるんだから、10万も必要ないよね。ただ、真嶋先生の発言だけで無料定食や無料商品を見ずに10万は不自然だって結論に到れるのは坂柳さんくらいだと思うよ。ポイントを貯めろ、なんて10万貰った高校生から出る発言じゃないよ。)
「私の自己紹介、及び意見の共有は以上です。ご清聴ありがとうございました。」
坂柳は再度綺麗なお辞儀をし、ゆっくりと着席する。所作の美しさに見蕩れてしまいそうだが、次が私の番なのでそういう訳にはいかない。
「えっと、私は白銀つむぎです。趣味は読書やアニメ鑑賞です。その、地味な趣味かもしれないけど、仲良くしてくれると嬉しいな。よろしくね。」
可もなく不可もなく、地味で普通な自己紹介を終えて着席する。その後、残りのクラスメイトの自己紹介を聞きながら、何も考えずにぼーっとした。
それから数時間後、入学式が終了し帰りのホームルームを終えて解散となった。私は日用品を買って寮に戻ることにした。
「白銀さん。」
鞄を持って教室を出ようとした時、懐かしい声が後ろから聞こえた。慌てて振り返ると、天海が苦笑顔で私を見てこう言った。
「余計なお世話かもしれないっスけど、眼鏡ケース忘れてるっスよ。」
「え……」
すぐに鞄を開け、中身を確認するとどうやら本当に眼鏡ケースを忘れていくところだったみたいだ。
「あ、ありがとう、天海君。」
「もう俺の名前を覚えてくれていたんスね。記憶力が良いんスね、白銀さんは。」
(忘れる訳ないよ。だって天海君は私が考えたキャラクター、私のお気に入りのキャラクターなんだから。)
天海蘭太郎を生存者として、ダンガンロンパV3に登場させたのは私で、彼の細かな設定を作ったのも、生存者特典を持たせるという案を出したのも私、白銀つむぎなのだ。思い入れのあるお気に入りのキャラクターである天海を、製作者が忘れる訳がない。
つい本音を口に出しそうになるが、何とか堪えよう実世界のモブとして、可もなく不可もなくといった返答をする。
「あはは、それを言うなら天海だって地味な私の名前をよく覚えていたよね。」
「忘れる訳ないっスよ。」
「え」
私が驚いて目を見開くと、彼はハッとしてすぐに苦笑いをしながら頭をかき、困り顔で弁明を始めた。
「あ……えっと、ほら、さっきホームルーム中に目が合ったじゃないっスか。その時、なんだか妹に似てるなって思ったんスよ。だから、つい目で追ってしまって。」
(……びっっくりした。本当、心臓に悪いよ。突然『忘れる訳ない』なんて言われたらから、前世の記憶があるんじゃないかってビクビクしてたけど、違うみたいだし本当に良かった。前世の記憶があったら自分を殺した人と同じ学校なんて、地味に……いや、凄く気まずいよ。)
胸に手を当てほっと胸を撫で下ろす。
「大丈夫だよ、そんな気にしてないから。」
そう言って教室から出ようとすると、スキンヘッドの男、葛城が声をかけてきた。
「天海、良かったら今から一緒に帰らないか?朝のホームルームでの発言から、とても思慮深い人間だと判断した。良かったら、仲良くしたいと思っているんだが。」
「あ、葛城君。そう言って貰えると嬉しいっスね。でも、実は今から白銀さんに一緒に帰ろうって言うつもりだったんスよ。だから、白銀さんも一緒に帰って良いっスか?それで良かったらぜひ一緒に帰りましょう。」
「え?!」
(いやいやいや、ちょっと待って。私一緒に帰っても良いなんて一言も言ってないんだけど?!天海君ちょっと馴れ馴れしいし図々しいんだけど?!)
「……」
葛城はじっと私の方を見つめている。どうやらこの場での決定権は私に委ねられたようだ。
(私はAクラスのモブとして原作を特等席で眺めたかっただけなのに、積極的に主要キャラと関わりたくなかったのに……ああ、これが絶望なんだね。最悪で最低な気分だよ。)
「白銀さん?おーい、大丈夫っスか?」
「あ、あはは……うん、大丈夫。分かった。3人で一緒に帰ろうか。は、はは……」
(原作通り進んで欲しいのに、なんで原作キャラと関わっちゃうかなぁ。というか、天海君目立ち過ぎ。これじゃあ君が主要キャラみたいだよ。)
そんなことを考えていると、天海が苦笑しながら私を見つめて真剣な眼差しで意味深なセリフを吐いた。
「それにしても天海と白銀が一緒にいるとは、随分珍しい組み合わせだな。」
(あはは、そうだよね。地味な私と派手な天海君、普通なら関わりはまずないよね。)
そんなことを考えていると、天海が苦笑しながら私を見つめて真剣な眼差しで意味深なセリフを吐いた。
「そうっスね、確かに珍しい組み合わせかもしれないっス。でも、何かの縁があると思うんで、仲良くしていきたいと思ってるっスよ。」
(い、いやいや、勝手に縁を結ばないでくれない?!私は関わりたくないんだってば!私は地味に目立たない道端の雑草みたいなポジションでよう実を堪能したいんだけど?!)
心の中でいくら叫んでもその言葉が口から出ることはない。そうやって数秒何も言えずにいると、葛城がフッと笑を零し、なぜかやら誇らしそうな態度で話し始める。
「そうか、俺も天海とついでに白銀とも、友人になりたいと思っていたところだ。これからよろしく頼む。」
「こちらこそよろしくお願いするっス!」
(いやぁ、もうやめてー!私を巻き込まないでよ!ってツッコミたいけど我慢しよう。これ以上目立ちたくはないしね。)
「う、うん、よろしくね。」
私は引き攣った笑顔でそう答えたのだった。
「とりあえずお昼はどうするっスか?」
天海が今日の昼食について問い掛けると、葛城が腕を組み考え始める。
「ふむ、この学校は和洋折衷ありとあらゆる料理を取り扱った店があるからな。迷ってしまうな。」
「じゃあ、無難にオムライスとかどう?確か、学校近くのコンビニの裏に洋食屋さんがあったはずだよ。さっき地図で確認したから、間違いないと思う。」
私がそう言うと天海君は「オムライスっスか」と言い、目を伏せる。そして数秒後、驚きの発言が飛び出した。
「良かったら俺が作りましょうか?オムライス。」
「「は?/え?」」
私と葛城の戸惑いの声が一緒にハモる。
「妹が大好きだったから、よく作ってあげてたんスよね。結構自信あるんで、良かったら俺が作ったオムライス食べてみないっスか?」
「「……」」
こうして、私と葛城は天海の作る手作りオムライスを食べることになったのだった。
オムライスを作るには材料が必要だ。私たちは材料を買う為に寮の近くにあるスーパーへ向かう。
「へぇ、結構広いんだね。」
「品揃えも悪くないっスね。これなら色々な料理が作れそうっス。」
「食材の品質も悪くないな。価格も安価で、生徒にも手を出しやすい商品が多いな。」
店内は広々としており、世界各国の食材や調味料が並んでいる。また、レジの近くにはフライパンや鍋等調理器具も置かれており、入学したての新入生も簡単に料理が行えるようだ。
「今回のオムライスはスタンダードなケチャップオムライスにする予定っス。食べられない物とかあるっスか?」
「いや、特にはないな。」
「私も大丈夫だよ。」
私たちの言葉を聞いて天海君は安心したように頷き、買い物カートをガラガラと押しながら野菜売り場の方へ向かった。そして、マッシュルームと玉ねぎを手に取りカゴの中に入れる。その後、卵を31パックカゴの中に入れると彼は私の方を向いた。
「次は鶏肉っスね……って、あれなんスか?」
鶏肉を求めて進んで行くと、天海が突然立ちどまり訝しげな表情で一点を見つめる。彼に釣られて私と葛城も同じ方へ視線をやると、そこには『無料コーナー』と書かれたPOPが貼られており、棚には洗剤や調味料、野菜等の商品が置かれており、値札には0と書かれていた。
「無料コーナー?」
「ポイントの足らない生徒に対する救済措置、だろうか。」
「その言葉に賛成っスよ。」
(……うわぁ、なんか今の天海君のセリフダンガンロンパの主人公っぽすぎるよ。まあ、一応ダンガンロンパV2の主人公だったし、主人公らしくても別におかしくはない、のかな。)
「とりあえず、この棚は調査してみるかしかないな。」
葛城はそう言いながら棚の商品を物色し始める。その様子を見ていた私も、少し気になっていたので、3人揃って無料コーナーの棚を見ることになった。
「並べられている商品は賞味期限や消費期限が近いものが多いみたいっスね。この洗剤はラベルが少し禿げていますし、使えるけど訳あり商品が並べられている感じっスかね。」
「なるほど。この値札が0なのは無料って意味なのかな。」
「多分そうだと思っス。それにしても、無料商品があるとなると、葛城君が朝話していた『支給されるポイント額が変動する』って考えが正しそうっスね。まあ、まだ断言はできないっスけど。」
「うん、私もそう思うよ。」
(さすがダンガンロンパ主人公。よう実世界でも主人公力を発揮しちゃうなんて、嬉しいような、作品破壊されてるような、複雑な気分だよ。でも、やっぱり転生世界がクロスオーバーしてるなんて、ちょっと受け入れられないかも。)
一通り天海君と商品を見て回った後、私たちは商品を入れたカートを押してレジに向かう。
レジで会計を済ませるとスーパーを出て、その足で天海の住む寮の部屋へ向かう。中に入ると、山積みのダンボールが隅に置かれており、生活感のない部屋が私たちを出迎えた。
「これから出来上がるまで、30分くらい時間貰っても良いっスか?今から作ればちょうど13時半時間には完成すると思うんで。あ、ちなみにオムライスはケチャップ派っスか?それともデミグラスソース派っスか?」
「あ、私はケチャップ派だよ。」
「俺もケチャップ派だな。」
私と葛城の返答に天海君は笑顔で頷き、キッチンで調理を始める。
「……」
「……」
葛城と2人、オムライスを待つ間沈黙が続く。
(……この空気、地味に、辛いんだけどぉ。)
重々しい空気に耐えられなくなり、天海の元へ向かう。
「天海君、良かったら何か手伝おうか?」
「気持ちだけ受け取っておくっスよ。今日は俺の最高に美味しいオムライスを食べて貰いたい気分なんで、ゆっくりしていて下さいっス。」
「そ、そっか。分かったよ。」
こうして、私はまた無言地獄へと連れ戻されたのだった。
30分後、彼は出来上がったオムライス3人前をテーブルに並べる。そして、スプーンと飲み物を取りにキッチンへ向かう。
「わあっ、凄い美味しそうだね。」
「お待たせっス!じゃあ、早速食べましょう!」
「ああ。」
「うん、そうだね!」
私たち3人は席に着き、手を合わせてからいただきますと言い、スプーンを手に取る。私はフワトロなオムライスを端の方からスプーンで掬い口に運ぶ。
「!」
オムライスを口の中へ運ぶと、卵の優しい甘みがふわりと口の中で広がり、中に入ったチキンライスと絡み合って美しいハーモニーを奏でている。チキンライスの味付けも完璧で、まるで高級ホテルで食べるオムライスのようだ。
「とても、美味いな。」
葛城は目を丸くし、天海の方を見つめながらそう呟く。
「あははっ、そう言って貰えて嬉しいっスよ!あ、ケチャップついてるっスよ?」
「え?ああ、すまない。」
天海君はそう言いながらティッシュを取りだし、葛城の口元を拭う。
「あ、ありがとう天海。後は自分で拭くよ。」
葛城は顔を赤らめながら天海に礼を述べた。
(いやいや、視聴者へのサービスだとしてもスキンヘッドの葛城君とV2主人公のイチャイチャなんて、誰も求めてないんだよ!ダンガンロンパは大多数の一般的なファンへ向けたサービスはしても、マイナー派に向けたサービスは基本的にしないんだからね?!葛城君も顔を赤らめないでよ!照れないでよ!)
心の中でひたすら突っ込みを入れるが、勿論誰にも届かない。数分後冷静さを取り戻して、私は思い出した。
(……ここ、ダンガンロンパの世界じゃないんだった。)
この世界は確かに自分が大好きなラノベの世界だ。しかし、いくら好きでも自分が愛したダンガンロンパの世界ではないのだ。ダンガンロンパの主人公と黒幕がいても、この世界は『ようこそ実力至上主義の教室へ』の世界であり、その事実は覆らない。
コロシアイ学園生活も、絶望も希望も、自身の想像を超えるエンディングを迎えた最原も存在しない。超高校級の絶望であった初代江ノ島盾子も、超高校級の希望と呼ばれた苗木誠も存在しない。
よう実の舞台は異常だが、ダンガンロンパほどグロくて恐ろしい世界ではない。前世に比べれば生ぬるい世界なのである。
私はそんなぬるい世界に転生してしまった。もう二度と戻らない、コロシアイ学園生活をいくら望んでも、私にはどうすることもできない。
(……ダンガンロンパの世界じゃないんだから、天海君と葛城君がイチャイチャしてても問題ない、のか。)
そう思った時、私の脳内に誰かの声が聞こえた。
『それは違うぞ!』
(そうだよ!いくらダンガンロンパじゃないからって、ここは私の大好きなラノベの世界なんだから、その世界を荒らすのならお気に入りキャラクターの)
「天海君だって許さない!」
「……え?」
「……一体どうしたんだ、白銀。」
唖然とする天海と葛城の姿を見て、私は我に返った。頭で考えていたことが口に出てしまったらしい。
「あ、あはは、な、なんでもないよ。」
「……白銀さんって、何だか変わってるっスよね。」
「あ、あはは……」
天海君はそう言って笑い、私と葛城は気まずそうに笑うのだった。
「ご馳走様、美味しかったぞ天海。これは店で出せるレベルだと思うぞ。」
「天海君、美味しいオムライスをありがとう。とっても美味しかったよ。これは美味しすぎて、二度と忘れられない味だと思うなぁ。」
私と葛城が感想を述べると、天海は照れ臭そうに笑った。
「そう言って貰えると作り甲斐があるっスよ。二度と忘れられない味、っスか。俺の大切な人と同じことを言うんスね、白銀さんは。」
「……え?天海君って恋人でも「そうだ、良かったら3人で連絡先を交換しないか?」……」
「良い考えっスね!その言葉に賛成っスよ。」
私の疑問は葛城の『連絡先を交換しないか?』という発言に掻き消され、私自身もこの疑問を脳内から削除した。その後、私たちは連絡先を交換し合い、その場で解散となった。
「じゃあ、お邪魔しました。また明日ね、天海君、葛城君。」
「また明日会おう、白銀、天海。」
「そうっスね、気を付けて帰って下さいっス。」
私は寮の階段で2人と別れ、帰路に着く。
(……天海君の大切な人って、一体誰なんだろう。少なくとも、ダンガンロンパV2の主人公である天海君に恋人設定なんて無かったし、V2のヒロインがこの世界にいて、恋に落ちていたり……なんて、そんな訳ないよね。)
そんなことを考えていると、自分がこれから生活する寮が見えてきた。
私は、これからの学校生活に一抹の不安を覚えながらも、よう実ファンとして地味に目立たずよう実を堪能したいと神に願った。
「……って、スーパーで夕飯用の材料買ってない!急いで買いに行かないと!ここの敷地内にあるスーパーってタイムセールって概念あるのかな?分からないけど、安く買えるならそれに越したことはないし、とりあえず行ってみよう!」
こうして、私は来た道を戻りまたスーパーに戻るのだった。
氏名 天海 蘭太郎
所属 1年Aクラス
誕生日 10月3日
【学力】 A-
【知力】 B-
【判断能力】 A
【身体能力】 B+
【協調性】 C+
【面接官からのコメント】
幼少期から現在まで海外渡航の経験があり、失踪した12人の妹を探して、父親の船を使って世界各地を旅している。
中学二年の冬まで、オーストリアのウェストン学院に留学しており、複数の言語を話すことができる。
留学中、国内での教育機関での成績も良好、コミュニケーション能力にも長けている為、Aクラス配属とする。
【担任からのコメント】
語学が堪能で、コミュニケーション能力に長けた生徒です。
旅行中に得た知識や経験を駆使して、Aクラスでの卒業に貢献して欲しいです。
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白銀はよう実ファンとして、原作を愛しています。その原作を、自分が作った天海蘭太郎という全く別の世界に存在していた人物に壊され掛けたりして、若干尊厳破壊が入ってるかもしれません。
葛城と天海のイチャイチャはただのギャグです。
色々ダンガンロンパっぽい要素を詰めてみたんですがどうでしょうか?
今回のお話では、天海はV2生き残りの生存者で主人公だったという設定なので、ダンガンロンパ主人公っぽい言動をイメージしてるつもりです。
それが伝わっていたらとっても嬉しいです!