黒い銃弾とは何だったのか   作:黄金馬鹿

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最近ネットサーフィンとかニコ動とかで「このアドベンチャーゲーム面白そうだな~」とか思ってググったらそれがエロゲでコンシューマ版が出てないと知りなんとも言えない気持になることが多々あります……

まぁ、そんな事はさておき、今回は謎の温泉回(挿絵なし)です。なんで書いたんだろう……?

書き忘れてましたが、蓮太郎とサイタマ先生の強さは毛根を犠牲にして毛を犠牲にしたサイタマ先生の方が強いです。ただ、速さは蓮太郎が少しだけサイタマ先生を抜いてますが、全体的なステータスを見るとサイタマ先生には一歩届かない位です


トゥエンティーツーパンチ

翌日。蓮太郎と木更は延珠、ティナ、夏世と共にあの下水道の隠れ家まで来ていた。

理由は単純。今日は授業があったからだ。

今日の授業は小学校でよくある将来についての作文だった。

この授業はさほど問題なく終わった。ただ、延珠とティナが蓮太郎の嫁になりたいと書き綴っていた。そして意外な事に夏世のテンションがこの日は何故か数ヶ月前の物に戻ったらしく、作文の内容は蓮太郎と肩を並べて戦えるようになること、という蓮太郎にとっては何とも嬉しい作文だった。

そして全員の作文を回収して一通り目を通す。

流石は女の子と言うべきか、将来の夢はケーキ屋さんとか、花屋さんとか、お嫁さんなどなど。夢と希望に溢れた作文だった。

どこかの特撮番組で子供の願い事は未来の現実という言葉を聞いたことがあった。これはまさにそれだ。

きっと、この先、聖天子様が呪われた子供たちと人との差別の無い世界を作り上げてくれる。そう信じてる蓮太郎にとって、こんな現状にも関わらず、ちゃんと夢と希望を持っているこの子達は眩しかった。

「よし、みんな上出来だ。なんつーか、眩しかった。言葉じゃ表せないくらい良かったよ。」

瞬間、子供たちから小さな歓声が上がる。

それを木更と共に微笑ましく眺める。

「なぁ、木更さん。財布の中、どんだけある?」

「3。」

「俺もそんくらいか……」

蓮太郎が急に財布を取り出し札の数を確認する。

「どうかしたの?」

「いや、どうせだし社会見学にでもってな。」

「どこによ。まさか聖居とか言わないわよね?」

木更がふざけながらもそう聞く。

「回帰の炎だよ。あそこで第二次関東大戦について教授する。」

第二次関東大戦については東京エリアに住む以上、常識とも言える事なので、なるべくこの子達には教えておきたかった。

「別にいいけど……臭うわよ?あの子達。」

下水道に一日中篭っていたのだ。確かに子供たちは結構臭う。

これが毎日風呂に入ってるなら別だが、子供たちが風呂に入ることは稀で専ら水浴び。しかもここ最近はしてなかったらしいのでどうにも臭う。

「……温泉連れてくか?」

「そんなにお金ないわよ。」

だよなぁ。と溜め息をつく蓮太郎。

だが、その時、入り口を塞いでおいた岩が音を立てて動いた。

「話は聞かせてもらったぜ、ボーイ、姐さん!」

「うわっ、ホントにいた。」

そしてそこから入ってきたのは玉樹と弓月。そしてその後ろには彰磨と翠もいた。

急に入ってきた人物に子供たちが警戒をするが、延珠、ティナ、夏世が知り合いだと説得する。

「で、何が分かったんだ?」

「だから、社会見学ついでの温泉だろ?」

「温泉がついでだ。で、それがどうかしたのか?」

「金がないんだってな。だったら俺っちと薙沢の兄貴が出してやるよ。」

「……は?何故?」

急な玉樹の提案に思わず何故と聞き返す。

「いや、こういう場なら弓月にも友達はできると思ってな。ついでに男同士の裸の付き合いといこうぜ。安くていい露天風呂のある温泉を知ってるんだ。まぁ、今回の件が終われば収入がっぽがっぽだからその程度なら構わねぇんだよ。」

温泉はちょっとした仕事で外周区に行った時に見つけたんだ。と軽く自慢する玉樹。

「里見。彼女達は女の子なんだ。服やアクセサリーは仕方ないにしろ、せめて風呂くらい入らせてやってもバチは当たらないだろう。」

「あ、その温泉を管理してる女将は決して差別はしないいい人だ。」

蓮太郎と木更が目を合わせる。

そして、

「なら行くか!ここから近いんだよな?」

「歩いて数十分の森の中だ。ちゃっちゃと移動したら面倒な事にはなんねぇよ。」

「よし、じゃあ今から温泉に行ってから社会見学に行く!それぞれ着替えのある子は着替えを持って地上の青空教室に集合!」

やったー!!と蓮太郎の指示が終わり次第はしゃいで外に飛び出す子供たち。

よっぽど温泉が嬉しかったのだろう。いや、もしかしたら温泉自体初めてな子も居たかもしれない。

「んじゃ、俺っち達は先に待ってるぜ。」

「着替えはどうすんだ?」

「すでに持ってきている。」

と、玉樹が手に持っていた手提げカバンを見せてくる。

彰磨も着替えが入ってるであろうカバンを持っていた。

もしかして、何もしなくてもこの二人が強引に話をすすめて無理矢理温泉に連れていかれたんじゃ……と思ったが、こっちは奢ってもらう身。敢えて何も聞かずにティナ、夏世を両手で一人ずつ抱えて延珠が前側に抱き着き、木更が後ろから抱き着く。

「着替えとってくる。」

「お、おう……」

そして数分後。

『おろろろろろろろ……』

音速を超えたためか、四人とも仲良く酔って青空教室の片隅で今朝食べた物をリバースしていた。

何故こうなる事を予期して自分の足で走らなかったのか。全くの謎である。特に一度経験している延珠は。

 

 

****

 

 

生徒達を引き連れて数十分。森の中を歩き続けると、一軒の木造建築の建物を見つけた。そして、その奥からは湯気が立っている。

「ほら、あそこだ。」

「ホントにあったよ……」

まさかこんな森の中にあるとは想像もつかなかった蓮太郎は思わず声を漏らした。

チラッと後ろを見ると子供たちはウキウキとして目をキラキラ輝かせている。

松崎も一緒に来ないかと誘ったのだが、都合が合わないとの事で断られてしまった。

他に面倒を見てる子達がやはり東京エリア壊滅の危機という事で軽いパニックを起こしているらしい。

蓮太郎の生徒は蓮太郎、木更が人外でたかがガストレア二千体に負ける訳が無いと知っているので至って冷静、どころかこの大戦は勝ち確だと思っている。

もしこれで賭けがあったのなら、人間側の勝利に全財産賭けてさらに倍プッシュしてるだろう。

そんな事はさておき、建物はどうやら温泉旅館らしく、常連の客もいるそうで、その客は大抵ガストレア因子を宿したこを我が子に持つ家族連れだと言う。

受け付けで先に金だけを払い、生徒達と木更、イニシエーターズを先に行かせた。

「さて……女将さん、熱燗を俺とこの兄貴に。」

女性陣が風呂に行ったのを確認してから玉樹が受け付けで酒を頼んだ。

「あいよ。」

「おい、飲むのかよ。」

「平日のこんな時間から飲めるんなら飲むしかないだろ。」

くいっとお猪口を傾ける動作をする玉樹。

「……玉樹、彰磨兄ぃ……アンタ等まさか……」

「そんなカリカリすんなって。勝ち戦なんだし気楽に行こうぜ、気楽によ!」

「まぁ、折角の温泉だ。こういうのも乙なもんだろ、里見?」

「……はいはい。」

蓮太郎が呆れつつも返事だけはする。

そして玉樹が熱燗を受け取ると、そのまま男湯へと向かう。

「里見は牛乳で我慢しとけよ?」

「はいよ。」

そのまま脱衣所で服を脱いで先に体を洗ってから風呂に入る。

「ふぃ~」

「ひっさびさに温泉に入ったぜ。」

「俺もだ。何時もは適当に済ませてるからな。」

「まぁ、俺っちの家はよく風呂が故障するからたまに来るぜ。」

「それ大丈夫かよ。」

「動けこのポンコツが、動けってんだよ!と言いながら蹴ると次の日には直ってる。」

「なんだよそれ。」

薙沢の兄貴、とっとと飲もうぜ。と玉樹が先に露天風呂に浸けておいた熱燗を彰磨の持つ小さなコップに注ぎ、彰磨もお返しにと玉樹のコップに注ぐ。

「くぅ~っ!この一杯がまさに生きてるって証だな!」

「露天風呂で飲むのもなかなかいいものだ。」

「だろ!?こういう場所で知り合いと飲み合うってのがほんと最高だぜ!」

そんな感じで盛り上がっている玉樹と彰磨。置いてけぼりの蓮太郎。

浴槽の淵に手を乗っけて背中に軽く体重をかけてリラックスする。

と、その時、男湯と女湯を隔てている壁の向こうからガラガラッと音が聞こえた。

「里見く~ん、いる~?」

と、壁の向こうからいきなり木更に声をかけられた。ちなみに、男湯は貸切状態だ。

「いるぜ~」

「ちょっとシャンプー貸してくれない?何日もお風呂入ってなかったせいであの子達の髪の毛なかなか泡立たなくって。」

「分かった。ちょっと待ってろ。」

蓮太郎は立ち上がって一度室内の風呂に戻って自分で持ってきたシャンプーを取ってすぐに露天風呂に戻る。

「ほら投げるぞ~」

「は~い。」

ひゅっと軽く女湯の方に向けてシャンプーを投げる。

「ナイスコントロール!」

「おっ、ピッタリか。」

偶然にも木更の手の中に収まったらしく、木更は礼だけ言うと室内の風呂に戻っていった。

ちょっと耳を澄ますと小さくだが子供たちがはしゃいでいる声が聞こえる。

「そういやここ、あんまり客来ないから男湯も女湯もシャンプーとボディーソープはあんまり量がないらしいな。」

「そんなに来ないのか?」

「外周区だしな。来るとしたらたまたまお金の手に入った子供たちと呪われた子供たちを連れた両親くらいだ……ってのは言ったか。まぁ、子供連れの親は大抵シャンプーとボディーソープは持参してくるらしいから段々と置く量が減っていったらしい。」

「そんなんで儲かってんのか?」

「趣味でここら辺で何故か湧いた温泉を買い取って温泉旅館を始めたらしい。」

何故かってなんだよ、何故かってとツッコミを入れたくなったがここであれ?と考える。

昔、力の制御のために外周区でたまに地面に拳を打ち込んでてその内の一回で温泉が湧いたような……そこで蓮太郎は考えるのをやめた。

空からの太陽の光と温泉のせいで地味に暑かった。

一方数分前の女湯はと言うと。

「はいまだ飛び込まない!先に体洗って髪の毛をちゃんと洗いなさい!自分で洗えない子は私が洗ってあげるから!」

と、木更が子供たちに指示して先に体を洗わせていた。

ちなみに、翠は耳栓のような何かを猫耳に詰め込んでお湯が耳に入らないようにしている。けどたまに入るのでトントン。と頭を叩いて猫耳から水を出している。

そして猫耳を他の子供たちに興味本位で泡まみれにされるのも最早お約束。翠の顔は終始真っ赤だ。

延珠、ティナ、夏世、弓月は先にちゃちゃっと体を洗って比較的髪の長い延珠は髪の毛がお湯につかないようにして一足先にお湯に浸かって垂れている。

一方木更はなかなか泡立たない子供たちの髪の毛に悪戦苦闘。

手入れをしてないためガッシガシの髪の毛を意地で洗う。よく見れば枝毛もある子が多数居たが、それはまた今度にする。

たまにシャンプーハットを使いつつ洗い続けているととうとう木更の持ってきた元々少なかったシャンプー(詰め替え式特売セール品108円)が底をつきた。

「げっ、シャンプーきれた……えっと、元々おいてあるのは……すくなっ!?」

木更はしばらく黙ったあと、ちょっと待っててね。と言って露天風呂へ。そしてすぐにシャンプー片手に戻ってきた。

「あっ、蓮太郎のだ。」

「お兄さんに貰ってきたみたいですね。」

「えっ、もしかして混浴?」

「ここ、露天風呂を仕切ってるのって薄壁一枚だから物の受け渡しはひょいひょい投げればいいのよ。」

「なるほど。」

蓮太郎のシャンプー(延珠達の事も考えて少し高めでいいやつ)で泡まみれになっている子供たちを見ながら延珠達はそんな事を話していた。ついでに翠も洗われてた。主に猫耳を触るという目的で。

ちなみに延珠達は小さなボトルで持参したシャンプーを使った。

「露天風呂行かない?」

「そうだな。行こう。」

暫く泡まみれな同級生と知り合いを見届けてから露天風呂に四人で向かう。

流石に外は寒かったが、室内の風呂で大分あったまってたためか、露天風呂に浸かるまで特に寒い思いはしなかった。

「う~ん、やっぱここの露天風呂はいいわね~」

「妾もたまにお風呂が故障した時は銭湯に行ったが、あそこよりもここがいいな。」

「私のは行ったことがありませんでしたが、これはなかなかいいものですね。」

「まぁ、裸のつきあいってこういう場から生まれたらしいでぶくぶく……」

と、言おうとしたところで横から弓月が夏世の頭を押さえつけて口元をお湯につける。

「違うから。裸のつきあいの裸の意味は精神的な意味での裸だからね。ティナやん、間違って覚えちゃダメだよ。で、夏世ちん、続きは?」

「まぁ、そんな言葉もできた場所だからそりゃ良いところですよって言おうとしたんです。」

ぶくぶくぶくと拗ねたように口元までお湯につかる。エラ呼吸は出来ないため一応息をするために鼻だけはお湯の外に出しておく。

「そういえば夏世ちん、今日は性格可笑しくない?」

「いつも蓮太郎さんのストレスを受けないためにわざとテンション高めで過ごしてたんです。わざと蓮太郎さんのやってる事を容認できるくらいおかしなテンションでいけばストレスをなんとかできますから。」

「……大変だったんだね、夏世ちん。」

「じゃなければ今頃延珠さんの仲間入りです。」

それどういう事?と延珠が聞くが、夏世はスルー。

「そういえば、なんで夏世ちんはプロモーターがいないのにIISOに引き取られてないの?もしかしてプロモーターは引きこもり?」

「……いえ、故人です。ちょっと聖天使様と交渉して蓮太郎さんと一緒に居れるようにしてもらったんです。」

聖天使様と交渉!?と弓月が驚くが、夏世はそんな弓月を見て小さく笑った。

「夏世は蓮太郎に弟子入りという形で家に来た変わり者なんだぞ。」

「まぁ、建前は、ですけどね。」

「え?」

ぱしゃぱしゃと顔を洗いながら言う夏世。そして呆気にとられた感じで夏世に聞き返す延珠。

「好きでもない異性の部屋に居候なんてすると思いますか?ね、ティナさん。」

「え、えぇ、まぁ。」

「えっ、それって……えぇ!?」

「ふふふ。延珠さん、そこはご想像にお任せしますよ。」

き、聞いてないぞそんなこと!!と騒ぐ延珠を夏世が無理矢理お湯に沈めて黙らせる。

と、その時。

『お~い、弓月~』

男湯から玉樹の声が聞こえた。

『酒持って来~い』

『いい加減飲みすぎだ馬鹿野郎!!追加注文しまくって熱燗何本あけやがったお前!』

『あ~?別に何本飲もうと俺の勝手だろ?』

『飲み過ぎなんだよお前は!!彰磨兄ぃもなんとか言ってくれ!』

『そうだ。熱燗はそう何本もあけるもんじゃないぞ。』

『……あれ?彰磨兄ぃ、その一升瓶はなんだ?なんでラッパ飲みしてんの?酔ってる?まさか酔ってる?』

『ははは……そんなわけ無いだろ?』

『いや、顔真っ赤だぞおい!!説得力ねぇぞ!!』

男湯からの騒ぎ立てる声。殆どの事が玉樹がトリガーになってるようだ。

「……なんか、ごめん。」

弓月はそんな兄のかけた迷惑を考えて両手で顔を覆った。

そして、綺麗に洗われた子供たちと顔が真っ赤な翠、やけにスッキリした顔の木更が露天風呂に来たのはその数分後だった。

何が起こったかはご想像にお任せします。

 

 

****

 

 

「ここが回帰の炎だ。」

数時間後。やっとの思いで酔っ払い二人を風呂から上げてテントに蓮太郎が蹴り届け、社会見学を続行した。

一応弓月と翠も一緒に来ている。流石に酔っ払いに子供を絡ませるのは可哀想だろうという木更の言葉で連れてくることにした。

「今日ここに来たのは授業のためだ。ってな訳で授業すんぞ~。」

蓮太郎は周りに人がいないのを確認して綺麗になった子供たちを集める。

「じゃあまず、第二次関東大戦について知ってるやつはいるか?」

翠が手を挙げたが、他は手を挙げなかった。

「翠は知ってるのか?」

「た、旅の途中で知ってた方がいいだろうって彰磨さんが……」

「うん、いい事だ。なら翠には復習程度だが、ここからは第二次関東大戦について教える。」

蓮太郎は一つ咳払いをして授業をはじめる。

「まず、第二次関東大戦の事を話すには第一次関東大戦の事についても知ってもらうことになる。まず、第一次関東大戦は丁度ガストレアが現れた頃に始まったんだ。その時はまだガストレアに対して有効な戦術が定まってなかったから、自衛隊は完敗。戦線は旧埼玉県まで押された。」

「バラニウムを使っても勝てなかったんですか?」

と、一人の生徒が手を挙げて蓮太郎に質問をする。

「バラニウムは当時まだ発掘されてなかった。だから、自衛隊は心臓か脳を潰さないと延々と再生するガストレアに負けてしまったんだ。」

もう質問はないかと見渡すが、特に質問はないように見えたため、話を進める。

「で、その後暫くしてから第二次関東大戦が始まったんだ。だが、第二次関東大戦ではバラニウムの有効性、ガストレアの生態等がだいぶ分かっていたから自衛隊は完勝。ガストレアに対しての空中からの攻撃、沖からのミサイル、戦車の砲撃のおかげで人類は戦線を東京まで押し戻してモノリスを建造し、この回帰の炎を建てたんだ。だが、当時はキツかった。何時ガストレアが襲ってきて食われるか分からなかったから皆が皆いつも神頼みをしていた。」

「里見くんや私のようなのを除いてね。」

「でも先生ならガストレアなんてワンパンで倒せたんじゃないんですか?」

「当時の俺はまだ弱かった。力がついたのも第二次関東大戦から数年経ったあとだし、その力が制御できたのも俺が民警ライセンスを取る数ヶ月前の話だ。」

「今思えば懐かしいわね~。」

延珠、ティナ、夏世の顔色が真っ青になっている。

まさか数年もあの人外が力を抑えれずにこの東京エリアで暴れていたのかと。

だが、延珠と夏世には今思うと軽くだが心当たりがあった。

空から落ちてくる炎の塊とか超スピードでモノリスの外へと突っ込んでいく物体とか地震とか吹っ飛んでくる彰磨に似た少年とか刀を全力で振るって災害から身を守る木更を小さくしたような少女とか。

「まっ、簡単な説明だがこんなもんか。そんでもって、近々起こる戦いは第三次関東大戦って呼ばれている。」

その瞬間、表情が暗くなる少女達。

「どうかしたか?」

「……私たち、第三次関東大戦の後も生きているのかなって……もしも先生たちが負けたら……」

蓮太郎と木更は顔を合わせる。

これから起こる戦いは子供たちが経験したことの無い、人とガストレアの生死を賭けた戦争だ。

不安になるのも仕方が無い。

「……なんだ、そんな事か。決まっている。人類が勝つ。」

「……なんで断言できるんですか?」

「そりゃあ勿論……」

「妾たちがいるからだ!」

俺達がいるからだ。と言おうとした矢先、延珠が飛び跳ねて蓮太郎の首に手を掛けるとそのままぐるんと回って蓮太郎の背中にへばりつく。

「……そうですね。私達が居る限り、知人は目の前で死なせません。」

「その為の切り札(人外)あり()ます。」

夏世とティナも出てきて蓮太郎の横に並ぶ。

「そうそう。だから皆心配しないで待ってればいいのよ。」

「えぇ。今回の戦いは私だって全力を出すわ。ね~、翠ちゃん。」

「ひゃわっ!?」

弓月も立ち上がってティナの横に立ち、木更が翠を抱き上げてそのままぬいぐるみを抱きしめるかのように抱きしめる。

「その根拠は?」

一人が声を上げる。そして、イニシエーターズと木更の視線が蓮太郎に行く。

「はぁ……それは俺がいるからだ!俺はゾディアックの一体、スコーピオンをワンパンで倒した男だ!そんな男がいるんだ、お前達は大舟に乗ったつもりで待ってればいい!アルデバランがなんだ、ガストレア二千体がどうした!そんなん、この俺が全部ワンパンで葬ってやる!」

蓮太郎が拳を空へ向かって突き出す。その瞬間、下から上へと台風並みの突風が一瞬吹き荒れる。

「そんじゃあ今日の締めに一つ教えておく。第三次関東大戦は人類の勝利で終わる!アルデバランは消滅しガストレア二千体は全て討伐!人類の圧勝で幕を閉じる!覚えておけよ!!」

はい今日の授業終わりィ!!と蓮太郎が追加で叫ぶ。

あー喉いてぇ。と呟く蓮太郎。そんな蓮太郎の背中をよじ登って蓮太郎の肩に跨って肩車をする延珠。

「そんじゃ、前祝いでもするか?ここの全員で。」

「いやいやいや、お金ないじゃない。」

「……彰磨兄ぃがな、ブラックカード持っててな……幾らでも好きに使えって……」

蓮太郎が懐からあの幻とも言えるブラックカードを取り出す。その瞬間、延珠、夏世、ティナ、弓月の目が飛び出んばかりに見開き、翠のトンガリ帽子が何故か飛ぶ。そして木更が目の色を変える。

翠の様子を見るに翠すら知らなかったようだ。だが、そういえばいつも結構豪華なご飯とか豪華なホテルに泊まらせてくれてたのってもしかして……とブツブツ言ってるのを見るに結構使ってたらしい。

「よ~し、みんなお肉食べに行くわよ!!今日は人類勝利の前祝いよ!!食って食って食いまくるわよ!!」

何とも現金な。木更がヒャッホー!!と言いながら走り出す。生徒達が興奮しまくって蓮太郎に抱き着く。延珠が慌てる。もうめちゃくちゃだった。

そして、蓮太郎と木更、さらに延珠、夏世、ティナ、弓月の心は一つだった。

(久々の肉!!)

(な、なんか皆さんの目がギラギラしてます……)

そんな現金な奴らを見て翠がドン引いたのは言うまでもない。

この後滅茶苦茶焼肉食べた。




彰磨さん、まさかのブラックカード持ち。原作?そんなの知らん!!

次回はモノリス崩壊の話と盲目幼女との最後の関わりですかね

あと、誰かガンダムブレイカー2のBBRを効率良く上げるやりかた教えてくださいお願いします。友達に手伝ってもらおうとしても一番進んでるのが自分だけという……ぐぬぬ……
オンラインで通信して一緒にやろうぜ!!とか言ってくれると多分嬉しさで発狂します。ちなみにvita版です

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