黒い銃弾とは何だったのか   作:黄金馬鹿

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欝は砕くもの。

大体これで一巻の半分か三分の一程度終了。


スリーパンチ

タイムセールから余裕の生還を果たした蓮太郎はホクホク顔で帰宅し、その日は特に何もなく終わった。そして翌日。

「で、なんだ。お前ら全員俺に弟子入りしたいとか言ってんのか?」

『そうで~す!』

早朝の公園。延珠に叩き起され連れてこられたかと思ったら延珠のクラスメイト男女合わせ八人に弟子入りしたいと言われた。

「なぁ延珠?このガキ共にお帰り願いたいんだが?俺は寝たい。」

「よいではないか。」

実際、蓮太郎は本当に眠たい……と、言うかふて寝したかった。

丁度昨日、帰宅した時に延珠がこっそり買ってつい数分前に届いた最新型のノートパソコン(18万円)をこっそり使ってるのを見た蓮太郎が自分の通帳を見て涙してふて寝したからだ。夕食はちゃんと作ったが。

ちなみに、延珠の通帳には子供の小遣いにしては多すぎる位の額が入っている。どれくらいかというと最新型のノートパソコン(18万)を安かったと言えるくらいに。

「はいはい、分かったよ。この俺が噂に聞きし里見蓮太郎だ。」

もう観念して技……と、言うかなにか適当に見せてお帰り願おうと考えた。

「ししょー、ガストレアをいつもワンパンで倒してるって本当ですか!?」

「本当だ。」

「ししょー、この公園をパンチだけでクレーターに作り替えれるって本当ですか!?」

「本当だ。」

「ししょー、マシンガンの弾を髪の毛で弾けるって本当ですか!?」

「本当だ。」

「ししょー、このボールを受け止めてみろぉ!」

「そのまま蹴り返す。」

門答の途中で蹴られたサッカーボールを蹴り返して割れない程度の力で近くの木にぶち当てる。

ちなみに、予備動作はパスのそれであった。

『おぉ~!』

「まぁ、ざっと説明すると俺の流派……と、言うか戦い方は、」

軽く目の前に向かってジャブを放つ。その瞬間、突風が吹き荒れた。

「とにかく殴る。それだけだ。」

「必殺技はないんですか?」

「ない!」

あるといえばあるのだが、必殺『マジシリーズ』はただ全力でパンチを放ったりするだけの技だ。正直必殺技とは言えない。

「んじゃ、試しにそこの木から落ちてる葉っぱを全て粉々にしてやろう。」

と、蓮太郎はすぐそばの葉っぱが落ちてきている木の前に立った。楽に構え、拳に力を込め、

「連続普通のパンチ。」

開放した。

パァンッ!!と破裂音にも等しい音が響き、瞬きの瞬間で落ちてきていた葉っぱは消え去っていた。

遅れて衝撃波が背後にいた子供達に襲いかかる。

「ま、こんなもんだ。」

「……なんか思ってたのと違う。」

「もっとこう……ドパーンッ!って感じの期待してたのに何も見えなかった……」

「技名もかっこ悪い……」

「せうかいせうかい。」

技名がかっこ悪い?当たり前だ。そのままの事なんだから。と蓮太郎は内心で言う。

それとドパーンッ!って感じの事は蓮太郎なら軽くできるのだが、そんな事したら目の前十メートルにある物が全て跡形もなく消え去るだろう。

「家帰ってプレステやろうぜ。」

「そうしとけ。」

ぞろぞろと帰っていく子供達。それを引き留めようとする延珠だが、スルー。

「なんでだ!蓮太郎はあんなにも凄かったではないか!」

「子供ってのはもっとキラキラしたものとかドカーンってしたもんが好きなんだよ。別にお望みとありゃマジシリーズをもっと使ってやっても良かったんだぜ?」

「それは地図が書き換わるから止めろ。」

実は数年前、モノリス外の地図が書き換わったことがあるそうな無いそうな……

「で、これからどうする?行きたいとこあったら行くぞ?」

今の時間はちょうど10時辺りになったところ。出かけるには丁度いい。

「なら買い物だ!」

「自分のもんは自分で買えよ?」

と、そんな感じで二人が出かけて電車に乗ってやっと到着し入店したのは電気屋。その中の丸々一フロア使ったアニメグッズ発売所が目的地だった。

店内の大型モニターでは最近女の子と大きなお友達の中で流行りの天誅ガールズのPVらしきものが流れていた。

その中でヒロインである天誅レッドが「死ねェェェ!!」と悪役にもなれるのではないかと思える程凶悪な顔で敵に斬りかかってるシーンが写されていた。

「どういうアニメなんだよあれ……」

そして延珠は絶賛その天誅ガールズのグッズが並んでいる場所で商品を見ている。

スマホで調べると、魔法少女物なのに復讐譚が描かれたりとかしてるらしい。どの層を狙ってるのか本気で分からなくなった蓮太郎だった。

はぐれると見つけるのが大変なので近くの商品を見ながら延珠に近付く。

コスプレ衣装等の値段を見てギョッとしながらも延珠に近付くと、延珠は既に手に商品を持っていた。

「なんだそりゃ」

「これか?これは……」

延珠の説明によると、天誅ガールズ本編で出てくる物で、仲間が嘘をついたり裏切ってたりすると割れる物らしい。

なんという嘘発見機……と思ってたら延珠はとっとと購入。レジで表示された値段を蓮太郎の人外並の視力が捉え、食費二ヵ月分……とさらに蓮太郎にダメージを与える。

ダメージで動けない間に延珠にそのブレスレットをまんまと着けられた。外したら延珠が泣くから外さないでおくか。と取り敢えずは袖で隠しておくことにした。が、店を出てから自分の腕と蓮太郎の腕を見て嬉しそうに笑っていたので、隠すのは止めた。

その瞬間、地に響くような怒声が聞こえてきた。

「……面倒な事になるから回り込んで……」

「そいつを捕まえろォォォォ!」

響いて聞こえた声。走ってくるのは目が真っ赤な少女。

「また厄介な……」

手には大量の食料。おそらく、盗品だろう。

こっちまで逃げてきたら首根っこ捕まえて民警という立場を使ってとっとと警察に突き出すと言ってそのまま外周区に蹴り出してやろうと考えたが、その前に捕まってしまった。

「放せェ!」

手から食料がボロボロと落ちる。そして罵倒の声。

蓮太郎がお前らが赤目の子を呪われた子供たちと差別して外周区に食料もなしに追いやった結果がこういう事案だろうが……と思いながらもこっちで引き取って外周区に蹴り出そう。と考え、民警のライセンスを取り出そうとしたが、先に何をしたか聞く事にした。

やった事次第では少年院に送り込まなければならない。

「なぁ、この子は何をやったんだ?」

「あぁ?盗みをやったあとに取り押さえに来た警備員を半殺しにしたんだよ。」

こりゃあ少年院送りか。と考え、民警ライセンスを取り出そうとした時、赤目の少女は延珠へと手を伸ばした。それを掴もうとする延珠。だが、蓮太郎はその手を遮って延珠を遠ざけた。

「れ、れんた……」

「このままだとお前までバレる。それにあの子のやった事は犯罪だ。少年院で反省させなきゃ駄目だ。」

延珠の耳元でそれだけ言い、民警ライセンスを取り出そうとする。が、

「おいお前ら!何をやっている!」

騒ぎを聞きつけた警察がやってきた。警察が来たのなら民警がこういう事案には関われないと、舌打ちをする。民警はガストレアが専門だ。こういう事案では警察の方が立場は上だ。

警察は少女を見るとああ。と頷き、何も聞かずに手錠を嵌めた。

「なっ!?お、おい!」

堪らず蓮太郎が警察に呼びかける。

「あ?何だ?」

「その子が何したか分かってんのかお前ら。特に罪状の確認もせずに捕まえるなんざおかしいだろうが。」

警察は蓮太郎の言葉を聞いて周りを見渡す。

「窃盗だろう。」

「本当にそれだけか?」

「チッ……うるさい。それ以上は公務執行妨害とするぞ。」

「…………くそが、なんつー職権乱用だ。」

この時点で蓮太郎は察しがついた。この子がこの後どうなるかを。

罪状が分からなければ罰のつけようがない。そして相手は人権のない呪われた子供たち。ならこの子がこの後どうなるか。

警察は謝礼だけするとパトカーに少女を押し込め、去っていった。

「蓮太郎……なぜ……なぜ!」

「延珠、一人で帰れるな?」

「……え?」

「こっからの俺は『民警』じゃない。」

蓮太郎は目が薄赤く染まった延珠の頭に手を乗せて、ワシャワシャと撫でると、

「今からの俺は趣味でヒーローをやってる男だ。」

蓮太郎は、人気のない路地裏へと消えていった。

延珠はその場で立ち尽くすしかなかった。

 

 

****

 

 

延珠と別れた蓮太郎は少女を乗せたパトカーを追い、建物の上をフリーランで駆けていた。

最早この時点でパトカーは警察署へ向かっていない。鍛え抜いた蓮太郎の体は足場の悪い建物の上でもパトカーに負けない程速く動いていた。

「んな胸糞悪い事させるかよ。」

蓮太郎は駆ける。今の蓮太郎はガストレア専門のプロフェッショナル、民警ではない。悪から呪われた子供たちでも、市民でも、動物でもなんだろうと守り抜く『ヒーロー』だ。

咄嗟に延珠にはヒーローだと言ったが、案外民警を止めてフリーターをしながら自称ヒーローをするのもいいかもしれないと思ってしまったりもした。

そしてパトカーは人気のない廃墟へとたどり着いた。途中からパトカーのミラーに写らないように陸路を走っていたため、警察官には気付かれていない。

二人の警察官は少女を乱暴にパトカーから出すと拳銃を押し付けて廃墟へと誘導する。それを見て蓮太郎も中へと入る。

壁へと押し付けられた少女は拳銃を突きつけられ、恐怖によって動けない。警察官はゲスい笑みを浮かべている。

撃たれてからでは間に合わないかもしれない。そう思った蓮太郎は声を上げた。

「おいおい、今時の警察様は女の子を廃墟に追いやって拳銃突きつけんのか?」

突然の声に驚き蓮太郎の方に振り向く警察官。そして、まだ絶望に染まった顔色をしている少女。

「き、貴様……さっきの……」

「覚えていたのか。頭悪そうなのにな。」

どうやってつけてきた。と聞きそうになったが、その前に拳銃を少女に突き付けるのを忘れない。逃げられてはこちらが殺されるかもしれないからだ。

「なんだ?お前もこいつを撃ちたいのか?なら別に一発くらいなら……」

「んな事頼みに来たんじゃねぇよゲス野郎共が。」

瞬間、蓮太郎から放たれたのは圧倒的怒気。

「大の大人がそんな子供に拳銃突き付けて恥ずかしくねぇのか?」

「こ、こいつは呪われた子供たちだぞ!殺して何が悪い!」

「例えその子の目が赤かろうがその子は人間だ!殺していい理由にはならねぇだろうが!」

「人間?何言ってんだ。こいつはガストレアだ!人類の敵だ!」

「俺の知ってるガストレアはそんなに可愛くないね。伊達にいつもガストレアの専門家名乗ってねぇんだよ。」

そう言って蓮太郎が取り出し見せたのは民警ライセンス。

だが、それがどうしたと言わんばかりの警察官二人。

「……どうせこの際だ。全部このガキのせいにしてテメェも殺してやるよ。」

「そ、その人は関係ない!」

少女が叫ぶが、拳銃を突きつけられ、短な悲鳴と共に黙ってしまう。

「……そうか。なら、テメェら……地に伏せる覚悟は出来てんだろうな!」

「死ね!!」

ガウン!!と発砲音と共に放たれる弾丸。蓮太郎はその音を聞いた瞬間、地面に手を置き、指をめり込ませる。

「必殺『マジシリーズ』、マジちゃぶ台がえし!!」

そして蓮太郎が手を上に持ち上げた瞬間、コンクリートの床が持ち上がり、弾丸を弾いた。

驚きの声を上げる間もなく蓮太郎は拳でそのコンクリートを砕き、ソニックブームを巻き起こしながら一瞬で肉薄した。

「フンッ!」

アッパー一閃。クレーターを作りながら放たれたそれは警察官の顎を打ち抜き、真上へと吹っ飛ばす。

ドガッ!!と音を立てて首から上が天井にめり込む。

「こ、この化け物めェェェ!!」

ガウン!!と再び放たれる弾丸。だが、蓮太郎はそれを避けた。

「弾丸見てから回避余裕でした。」

「ひ、ヒィィィィ!!」

さらに三発弾丸が放たれた。だが、蓮太郎はそれをすべて手のひらで握りこんだ。

そしてグシャッと音がして次に蓮太郎の手が開かれると、そこからはぐしゃぐしゃになった弾丸が転がり落ちてきた。

「オラァ!!」

そしてお返しに放たれた蓮太郎の拳はもう一人の警察官の顔面を打ち抜き、吹っ飛ばした。

「ゲス共に負ける俺じゃねぇんだよ。」

再び出来たクレーターの中心で蓮太郎は残心を解いた。そして、少女の元へと歩んでいく。

「ひっ……」

弾丸すら避けて呪われた子供たちでも出来るかどうか分からない芸当をさらりとした蓮太郎が歩いてくるのを見て後ろに下がる。が、壁に背中が触って後退出来ないのを悟らせる。

そして、目の前で手を伸ばしてきた蓮太郎を見て殺される。と目を固く瞑る。だが、待っていたのは衝撃でも痛みでも無く、人肌の暖かさだった。

「え?」

「間に合った……マジで危なかった……」

蓮太郎は少女を抱きしめていた。

「な、なんで……」

「困っているやつを見つけた助ける……それが、ヒーローだろ?」

少女を抱きしめながら蓮太郎はそう言った。

「ここから離れよう。見られたらお前に罪が擦り付けられるかもしれない。」

蓮太郎はそう言うと、少女をそのままお姫様だっこし、その廃墟から去っていった。残ったのは天井にめり込んだ警察官と顔面が物凄い腫れた警察官だけだった。

そして廃墟から少し離れたところで蓮太郎は少女を下ろした。

「なぁ、お前、本当は何をしたんだ?」

さっきの商店街での事だ。少女はゆっくりと話した。

「もう食べ物がなかったから盗んで……そしたら勝手に後ろで人が転けて……そしたら半殺しにしたとか冤罪擦り付けられて……」

やっぱそんな感じか……と溜め息をつく蓮太郎。

「まぁ、事情は分かった。」

「そ、その……出来たらあなたに恩返しさせてほしい。何でもするから……」

変態が聞いたらん?今何でもするって言ったよね?とか言ってエロ同人的な展開になるのだろうが、蓮太郎はそんな男ではない。

「そうだな……なら、俺の知り合いに信用できる警察官がいる。その人にお前を引き渡すから少年院行きか厳重注意か……それは分からんがちゃんと罰を受けろ。そんでもってもう人様に迷惑のかかる事だけはするんじゃないぞ?」

蓮太郎はそれだけ言うと、携帯を取り出して先日知り合った多田島刑事へと連絡し、少女を引き取ってもらう事にした。

暫くしてやってきた多田島刑事に少女を引き渡した蓮太郎は帰路についた。

 

 

****

 

 

さてさて、そんな訳で人助けしてスカッとした蓮太郎は鼻歌を歌いながら歩いて帰路についていた。案外遠くに行ってたようで夕飯は遅くなりそうだった。

延珠にはちゃんとあの子は助けた。と帰ったら言わないとな。と考えていると、横の路地から嫌な気配を感じた。

「……なんだ、男相手にストーカーか?蛭子影胤。お前ホモかよ。」

「残念ながら私は同性愛者ではないよ。至ってノーマルさ。」

「お前がノーマルだったらこの世の人間の殆どがノーマルになっちまうだろうが。」

「ヒヒヒ、違いない。」

出てきたのは蛭子影胤。そして、その娘の蛭子小比奈。

蓮太郎は鬱陶しげに影胤を睨みつける。

「何のようだ?」

「君はイラついているようだね。ならば単刀直入に言おう。我々と組む気はないか?里見蓮太郎君。」

「は?」

「我々と組んでこの世界を破滅と混沌と絶望に染め上げる気はないかい?」

「何言ってんだ。ぶん殴るぞ。」

「……やれやれ。小比奈。ちょっとあの邪魔な腕を斬ってきなさい。」

「うん!」

瞬間、小太刀を抜いて恐るべき速さで突っ込んでくる小比奈。

やれやれ、どうもモデルはマンティスらしいな。と溜め息をついた蓮太郎。それと同時に蓮太郎の背後から何者かが跳躍。突っ込んできていた小比奈へと突っ込んだ。刹那の間交わる赤と黒。

「蹴れなかった!」

「斬れなかった?」

そして着地。軽い音と共に二人は着地する。

「なんで帰んなかった、延珠。」

「蓮太郎が心配だったのだ。」

「お前に心配されるほど弱い男かよ。俺は。」

「そんな事はないが、もしもと言うものがあるだろう。で、蓮太郎。あれはなんだ?」

「敵だ。」

やっぱり。と延珠は呟くと、いつでも飛び出せるよう構える。蓮太郎はその延珠の前に手をやり、自分の後ろに下がらせる。自分一人で十分だと言わんばかりに。

延珠もそれに気付き、そっと構えを解いて、だけど何時でも手助け出来るように力だけは開放しておく。

「パパ……あのイニシエーター強い。名前は?」

「藍原延珠だ。モデル・ラビットのイニシエーターだ。」

「延珠、延珠、延珠……うん、覚えた。私は蛭子小比奈。モデル・マンティス。接近戦は無敵。」

(……目の前に本当の無敵がいるけど黙っておこう……)

空気を読める女、延珠。

「さて里見君。私の提案、受け入れてもらえるかな?勿論、報酬なら……これだけ出そう。」

影胤はアタッシュケースを取り出し、蓮太郎の目の前にロックを解除して投げる。

接地と共に開かれたアタッシュケースの中には大量の札束。思わず唾を飲んでしまう。

「……幾ら金を積まれても俺はお前の提案には乗らねぇぞ。」

「目が金に行ってるようだが?」

「貧乏人が札束見りゃあそりゃ受け取る気はなくとも目は惹かれるさ。」

もちろん受け取る気はない。だが、札束に目が行ってしまうのは最早仕方が無いことだ。

蓮太郎はもう目が惹かれないようにアタッシュケースを閉じて影胤へと蹴り返す。

「……君は大きな過ちを犯したよ。」

「俺に過ちがあるんなら髪型変えられなくなったことだけだ。」

「…………そ、そうかい。だが、一つ言っておこう。君がどれだけ奴らに奉仕したところで奴らは何度でも君を裏切る。」

蓮太郎と影胤は睨み合う。だが、そこに響くパトカーのサイレンの音。

「……水入りだ、里見君。」

影胤は踵を返す。それに小比奈がトテトテとついていく。

「……こういうやり方は趣味ではないが、明日学校に行ってみるといい。君もいい加減現実を見るんだ。」

そして影胤と小比奈は闇へと消えた。

残ったのは蓮太郎と延珠の二人。

「……あやつら、強いぞ。」

「だけど、俺達が勝てない相手なんかじゃない。だろ?延珠。」

「うむ!」

だが、蓮太郎の心には何かが突っかかっていた。だが、それは気のせいだと振り切ってとっとと帰った。

タイムセール逃したのを気付いたのは帰宅してからだった。

「うわぁぁぁぁぁぁ!!今日ももやし一袋六円で肉まで半額だったのにぃぃぃぃぃぃ!!」

なんとも締まらない蓮太郎であった。

(……余りにも遅かったからそこら辺でホットドック買って食べてきたなんて言えない。)




流石にこれ以上書くと一万文字を軽く超えそうなので止めておきました。

ここの蓮太郎は正義感がかなり強いです。だって強いもの。そして頑なに拳銃は使いません。バラニウム弾なんてなかったんや。

次回は延珠の学校でのイベントです。一体蓮太郎はどうやって切り抜けるのか……それでは、また次回お会いしましょう。

P.S
お気に入りとか感想とかがなんか凄い増えて本当に嬉しいです。ワンパンマン特有のギャグとかは話の都合上盛り込めない所もありますが、どうぞよろしくお願いします。

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