黒い銃弾とは何だったのか   作:黄金馬鹿

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安定の二時間クオリティ

今回は途中で夏世の一人称視点、それと話の都合により、かなりの場面転換を使用しています。ご注意ください


番外編其の二パンチ

「蓮太郎さん」

「んー、なんだ?」

 

 とある日。夏世はゴロゴロと暇を持て余している蓮太郎に声をかけた。

 

「一ヶ月ほど木更さんの家に泊まりに行ってきます」

「おー、行ってら」

 

 一ヶ月という、かなり長い時間泊まりに行くというのに、蓮太郎は特に何のアクションも起こさなかった。普段ならかなりイラつく事だが、今回ばかりはそれで都合が良かった。

 

「では、荷物もまとめてあるんで行ってきます」

「気ぃつけろよ~」

 

 そして、夏世は蓮太郎の部屋を出ていった。かなり悪い笑みを浮かべながら……

 

 

****

 

 

 はい、ここからは(夏世)からの一人称視点です。え?メタい?大丈夫、次の文からはちゃんとしますから。

 さて、私は蓮太郎さんに木更さんの部屋に泊まりに行くと言いましたが、そんなのは嘘。全ては延珠さんとティナさんにも協力を要請したこの計画のため……そう、蓮太郎さん観察期間のため!

 この期間の間に蓮太郎さんの弱みやら何やらを握って性癖か何かを握れたらそれに漬け込んであわよくば……とか考えている延珠さんとティナさんからお金を貰ったから実行に移しました。えぇ、お金こそが正義です。お金は裏切らない。

 それに、ティナさんはIP序列二桁だった大物……そりゃあもう沢山のマニーをくれましたよ。最近は司馬重工の株を買って儲けてるおかげで一財産築けそうですよ……うへへへ……

 で、私が行くのは元々は火垂さんの使っていたらしい隠れ家。一時的に追い出されたけれど、再び借りたらしいこの部屋で私は蓮太郎さんの観察を行う。ちなみに、火垂さんはプロモーターの水原さんから定期的に振り込まれる謎の大金で最近は潤沢に……とはいかないけど、それなりに贅沢して暮らしています。隠れ家は武器とかを貯蔵するのに使っているのだとか。

 使うのはシェンフィールドみたいな物を脳みそに機械を埋め込まなくてもヘッドマウントディスプレイを装着する事で思考を読み取り、動かせるようにした物。で、シェンフィールドもどきにはビデオカメラを取り付ける。これは司馬重工が後々発売する予定の物らしく、その試作品を美織さんがタダでくれた物です。

 家の中は延珠さんやティナさんが見ているので、私が見るのは学校にいる蓮太郎さんや深夜の蓮太郎さんといった、主に一人でいる蓮太郎さん。

 蓮太郎さんだって男。いつかは溜まった性欲を発散する筈……それを弱みとして延珠さんとティナさんに渡す……それが私のミッション!

 あ、あと監視ミッション(?)にはあんぱんと牛乳が鉄板だって聞いたので朝昼晩全部あんぱんと牛乳で過ごします。さぁてっと……

 

「ドルフィン号(シェンフィールドもどき)、発進!!」

 

 既に練習は済ませてあります。そして、中身を改造して音も最小限まで抑えるようにしてあるし、カメラだって魔改造した物を採用しました。見つかる可能性はゼロ!

 むふふ……完璧!これが完璧な作戦です!

 さぁ、早く弱みを見せてください……来週、欲しいゲームの発売日なので早く帰りたいのが本音なんですから……

 

 

****

 

 

 監視一日目。蓮太郎さんにこれと言った動きはありませんでした。ですが、まだ一日目。まだまだこれからです。あと、あんぱん美味しいです。

 あれ?翠さんが深夜に起きて……パソコン?それにゲーム……?ノベルゲーみたいですね。とりあえず、深夜に寝てる蓮太郎さん見てるだけなのはつまらないので翠さんのノベルゲーも観察することにします。あ、ちょうど二週目に入るみたいなので丁度いいですね。

 

 

****

 

 

 三日飛んで四日目。蓮太郎さんに動きはありません。夜中にトイレで何かしてる様子もありませんし……あ、お風呂はノーマークでしたね。後でティナさんに言って隠しカメラを設置してもらいましょう。プライベート?知ったこっちゃありませんよ。

 で、翠さんのノベルゲーですが、なかなか面白いですね。音を拾えないのが残念ですけど……読唇術が使えるので音は心配ないと思ってたのが仇になりましたね……あと、あんぱん飽きてきました。

 

 

****

 

 

 一週間経ちました。何もありません。何かしろよこの人外。いい加減あんぱん飽きてきたんですよ、キツイんですよこれ。オレンジジュースと焼きそばパン食べたいんですよ、はよ何か晒せや。

 あ、翠さんのノベルゲー……あ、告白した!告白しましたよ!き、キス!キスまでしました!って、そこで止めるんですか!焦らしプレイですかそうですか!

 

 

****

 

 

 一週間と一日経ちました。変化ありません。クソが。

 で、翠さんのノベルゲーはっと………………え、ちょっ、あ、その、これ……うそ、ちょっ、そんなところに?え、あ、うわっ……ここにあんなのが……

 

 

****

 

 

 一週間と二日目。蓮太郎さんの変化はありませんが、凄いもの見ました。っていうな、エロゲーって始めてみましたけど、あんな感じなんですね……エクスタシーでした。色んな意味で。

 あと、あんぱん飽きました。ほんとどうにかしてくださいマジで。あ、今日から翠さんのノベルゲーは違うのになるみたいですね。えっと……ロボットが出てくるエロゲーみたいですね。

 

 

****

 

 

 流石に生活リズムが崩れ去ってきた二週間目。マジではよ終われ。キツい、ひたすらにキツいです。娯楽が深夜のエロゲーだけって辛すぎます。あんぱんも段々と口にするのが苦痛になってきました。

 あと、翠さんのエロゲーは段々と熱い展開になってきました。カッコイイですね、戦術機。プラモデル買ってみようかな……

 

 

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 二週間と五日目…………純夏をあんな事にしたBETA絶対許さない!!まりもちゃんの件もあるけど絶滅してしまえあんなクソ生物!!

 

 

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 三週間目…………ぐすっ、みんな死んじゃうなんて……でも、元の世界だと皆生きててよかった……それにしても、あの世界はあの後どうなったんでしょうか……?きっと、きっと救われたんですよね。だって、武ちゃん達があんなに頑張ったんですから……

 あんぱんもうやだ。食べたくない。牛乳もいらない。

 

 

****

 

 

 え?今日はやらないの?最近は夜更かししすぎたからしばらく止めるって……じゃあ私の娯楽は一体……

 

 

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 三週間と一日目。つらい、やめたい。

 

 

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 三週間と二日目。あんぱんがせまってくるゆめをみた。きもちわるかった。

 

 

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 さんしゅうかんとみっかめ。ぎゅうにゅうにおぼれるゆめをみた。しにたい。

 

 

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 あんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱんあんぱん

 

 

****

 

 

 気がついたら一ヶ月と三日経っていました。一週間前から記憶がありません。

 あと、あんぱんと牛乳が喉を通りません。髪もボサボサに伸びきってます。シャワーも浴びるの忘れて臭いそうです……そうだ、あんぱん買いに行かなきゃ……

 

 

****

 

 

 一ヶ月と四日目。スーパーの店員にスパーキンッ!!

 

 

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 一ヶ月と五日目。コンビニの店員にスパーキンッ!!

 

 

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 一ヶ月と六日目。大家さんに向かってスパーキンッ!!

 

 

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 一ヶ月と七日目。木更さんと延珠さんとティナさんと火垂さんとリカさんに向けてスパァァァァキンッッッッッッッッ!!

 

 

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 気が付いたら監視を始めてから一ヶ月と三週間経っていました。あと、右手と左足骨折して首を脱臼して肋数本が折れてました。それと、全身に切り傷があります。銃痕もありました。テロにでもあいましたっけ……?

 あと、部屋に書き置きがありました。部屋を掃除したらもう帰ってきていいとの事です。確かに、壁や床にこびり付いた餡とか、零れた牛乳とか、あんぱんと牛乳のゴミが詰められたゴミ袋とか……うわ、ハエまで集ってますよ……

 早いとこ掃除して帰りましょうか。蓮太郎さんのご飯が食べたいです。

 

 

****

 

 

 蓮太郎は心配していた。一ヶ月どころか二ヶ月近く家を開ける夏世に。

 木更は何も問題ないと言っているが、事務所にも姿を見せなければ電話にすら出ない。何かあったのではと心配していたが、木更の言葉を信じて東京エリアを走り回るのだけは止めた。

 

「ただいま戻りました~」

 

 その時、玄関のドアを開け、夏世が帰ってきた。

 

「夏世!無事だったか!?」

「無事って……そりゃあ、何もありませんでしたよ」

 

 あながち間違いではない。

 

「何も無かったって……髪の毛ボッサボサだぞ!?しかも右手と左足折ってるようにも見えるぞ!?松葉杖もついてるし……」

「あはは……まぁ、色々あったんですよ」

 

 あながち間違いではない。

 

「そうか……なら、早く入れよ。今日はパン屋で安く売ってたパンを沢山買ってきたんだ」

「あ、楽しみですね」

 

 蓮太郎の手料理ではないのが残念だったが、あんぱん以外の物を食べれるのなら何だっていい。

 ちゃぶ台の前に座って待っていると、蓮太郎が皿に盛り付けたパンを持ってきた。

 

「ほら、あんぱんだ。何でか大量に安売りされてたから買ってきたんだ。沢山食えよ」

「えっ……?あんぱ……ん?」

 

 目の前の皿に盛り付けられているのは、見間違う訳がない。あのあんぱんだ。

 

「あ、あんぱ……あんぱん……あんぱ……」

 

 夏世が震え出す。何かに怯えるように震え出す。

 

「ど、どうした?」

「あ、あんぱん……イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

「えっ、ちょっ、夏世ぉ!!?」

 

 夏世が足が折れているのにも関わらず立ち上がり、杖すらつかずに玄関から飛び出し、そのまま走り去っていった。何かに怯え、追われるかのように走り去っていった。

 

「……なんだよ、こんなに美味いのに」

 

 が、蓮太郎はその内帰ってくるだろうと思ってあんぱんに齧り付いた。

 夏世が帰ってきたのは、三日後だった。しかも、ドロッドロに汚れた状態で。

 そして、夏世はずっと呟いていた。

 

「あんぱんこわい……」

 

 と。




時系列とか気にするな!そんな訳で元ネタは銀魂の山崎春のパン祭りです。最後は流石に蓮太郎にあんぱんをスパーキングまではさせませんでしたが、代わりに心配で見に来た木更達がスパーキングされました。

いやー、それにしても…………ブラックブレット八巻とモバゲーはまだですかねぇ……?

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