アッシュ達がボス部屋にたどり着いた時、既に惨劇は起きており、つい先程キリトからマッピングデータを受け取った男がアッシュ達の目の前でポリゴン片になってしまった。
「ッ!バカ野郎が……!!」
消えていったポリゴン片を見ながらアッシュは苦虫を噛み潰したような顔でそう言うと、刀を抜き放ってボスへと、ザ・グリーム・アイズへと突貫していく。
「俺がタンクをやる!風林火山はALF共をセーフエリアまで連れてけ!キリトとアスナとクラインは遊撃だ!」
アッシュの指示に各々即座に返事をして行動しだす。
正面から突っ込むアッシュの、少し後ろの左右から挟むような形でキリトとアスナが続く。
グリームアイズは突貫してくるアッシュに向かって持っている大剣を振り下ろし、アッシュはそれを受け流すように刀を構える。
「ぐっ……チィッ!見た目どおりの馬鹿力だな」
しかしグリームアイズの攻撃力の高さに受け流し切れずに僅かにダメージを受けてしまう。
「大丈夫かアッシュ!」
「こっちは気にすんな!」
そう短く答えながら、グリームアイズの攻撃を受け流しやパリィで凌ぎ、返す刃でダメージを稼いでいく。
「チッ、流石に堅いか」
アッシュがタンクの役割をすることによって、キリトとアスナとクラインの3人が攻撃に専念できているのだが、74層のボスだけあってグリームアイズのHPは多く、1ゲージ目の2割も削れておらず、それを見たアッシュは苦虫を噛み潰したような顔をする。
しばらくそういった攻防を繰り返していたが、突如キリトが時間を稼いで欲しいと言い出した。
このままではジリ貧になると考えていたキリト以外の3人はその提案を受け入れた。
しかし、あと少しでキリトが戦線に復帰するというところで、グリームアイズの攻撃を受け続けていたアッシュの刀が、幾度目かの打ち合いでグリームアイズの大剣と触れあった瞬間に折れてしまった。
「なっ!?ぐぉっ!!!」
刀が折れた事でパリィができず、アッシュはグリームアイズの攻撃で後ろへと吹っ飛ばされ、それと同時にアッシュと入れ替わるようにキリトが左手に2本目の剣を握りしめて戦線に復帰する。
「二刀流だと?」
キリトの二刀流により戦況は僅かにこちらに優勢だが、キリトのHPも減っている。
それを見たアッシュはあることを決意し、メニューを操作して壊れた刀を外してある武器を装備し、感触を確かめるように片手で左右に振るう。
「なんだよそのバカデカイ武器は!?メイスか!?」
クラインがアッシュの武器を見て思わず声を出す。
その武器は異常な大きさのメイスだった。
柄は片手剣の全長程の長さで、メイスの頭部は長さだけで両手剣の刀身程長く、人よりも厚みがあった。
「ああ、メイスだよ」
アッシュはクラインに短く答えるとグリームアイズとキリトの方へと駆け出す。
「キリトォ!スイッチ!」
アッシュの声に反応したキリトが、グリームアイズの攻撃を両手の剣で弾き上げると同時に後ろに跳び、アッシュはキリトのいた位置へと滑るような素早さで入り込んで、姿勢を立て直せていないグリームアイズに規格外のサイズのメイスを叩き付ける。
「キリトォ!2人で潰すぞ!」
「ああ!」
そこからはまさに規格外の戦いだった。
キリトの二刀流の圧倒的手数を誇る連撃と、グリームアイズの攻撃を超大型のメイスで軽々と弾き、重撃を文字通り叩き込んでいくアッシュ。
2人の猛攻によりグリームアイズのHPはどんどんと減っていき、ついにキリトのソードスキルである『スターバーストストリーム』でグリームアイズのHPは0になり、グリームアイズは一瞬の硬直ののちにポリゴン片へと代わっていった。
しばらくその場で佇んでいたキリトだが、息を切らしてその場に座り込んだ。
そんなキリトに、武器を肩に担ぎ上げながらアッシュが歩みよる。
「おいキリト、いつから使えたんだ?」
「アッシュこそ、そんな武器見たことないぞ」
先程まで死闘を繰り広げていた筈なのだが、2人はなんとも軽い口調で話す。
この後、2人は有名になった。
ユニークスキル持ちが2人も同時に見つかったとして。
ちなみにアッシュの武器のイメージはバルバトスルプスレクスの持っている超大型メイスです。