グリームアイズを倒した後、とある街のカフェに集まったアッシュ、キリト、アスナ、クラインはアッシュとキリトの持つユニークスキルについて話していた。
「二刀流か……単純な話で言うなら、攻撃の手数も火力も片手剣の2倍って訳か。まぁボスのHPの削れ方的にはそれだけってことはなさそうだが、ユニークスキルらしい特異なスキルだな」
「キリト君のユニークスキルについては今ので全部?」
「俺のは今話したので全部だ。次はアッシュが話してくれ」
キリトがそう言うと視線がアッシュに集まる。
それを確認したアッシュは自身の持つユニークスキルについて話し出す。
「俺のユニークスキルは鬼人スキルだ、キリトの二刀流みたいに専用のソードスキルとかがある訳じゃないがステータスに大幅な補正が入る…特にSTRの上昇値が高いな。んで、ソードスキルはないが、HPの減りに比例して攻撃力が飛躍的に高くなるってパッシブスキルがある。
ついでに言うと、ボス戦で使ってたデカイ武器はグレーターメイスって名前で一応カテゴリー上では片手棍だが、見た目通りの重量だから両手斧や両手剣よりも重いし、要求ステータスがイカれた数値だからおそらく鬼人のステータス補正なしだとそもそも装備できない武器だ。
こいつもユニークスキル同様、どうやって手に入れたかは不明で、いつの間にか持ってた」
「HPに比例して攻撃力が上がるのか……だからHPが減ってもスイッチしない時が合ったのか」
「いや、あれは俺の気分だ」
「気分って……」
「そ、それはそうとよ!ユニークスキルなのに専用のソードスキルがねぇなんて、なんだか不思議な話だよな」
アッシュの気分発言にキリトとアスナが微妙な顔をしたのを見て、無理矢理話題を変えようとクラインがそう言うと、アッシュはあっさりと衝撃の事実を言い放つ。
「専用のソードスキルがないと言うか、そもそも鬼人キルはソードスキル全般が使用不可なんだよ」
「はぁ!?」
「嘘でしょ!?」
「マジかよ!?」
「マジだよ」
アッシュの言葉に3人はそれぞれ驚きの声を出した。
それもそうだろう。このソードアート・オンラインというゲームの目玉とも言えるソードスキルが使えないなんて誰が予想するだろう。
「ってことは、アッシュは今までソードスキルを使わないで最前線にいたのか!?」
「俺がソードスキル使ってるの、今まで見たことあったか?」
「い、言われてみれば確かに……」
「使って……なかったな」
記憶を思い返してみれば、たしかに3人ともアッシュがソードスキルを使っているのを見たことがなかった。
一緒に攻略やモブ狩りをしていても火力に不足がなかったために見落としていたのである。
「まあ結論を言えば、鬼人スキルはソードスキルが使用不可になるデメリットの代わりに、大幅なステータス補正がかかって、ソードスキルに頼らない戦いができるようになるスキルって事だ」
そう結論づけるとアッシュは席を立つ。
「さてと、俺はそろそろ行くよ」
「もう行くのか?」
「ああ、折れた武器を修理に出さなきゃならんし、情報が出回る前に色々と見ておきたいからな、しばらくは街の外にいるだろうな。また会おうや」
アッシュはそう言うと出口へと歩き出した。
「ああ、またな」
「またねアッシュさん」
「おう!またなアッシュ!」
そう言う3人の方は振り返らず、アッシュは手を軽く上げるだけで返事を返して店を出ていった。
店を出たアッシュが向かったのは第48層にあるリズベット武具店であり、以前良い店を探していた時にキリトに紹介されて以来常連になっている。
そんなリズベット武具店にベルを鳴らして入ると
「いらっしゃいませ!リズベット武具店へようこそ!」
という明るい声を店内に響かせながらリズベットがお客さんである彼を出迎える。
「ようリズベット、儲かってるか?」
「アッシュじゃない、今日はどうしたの?」
お客さんがアッシュだとわかると、営業スマイルを崩していつもの表情になるリズベット。
「ちょいと修理を頼みたくてな、コイツなんだが」
「どれどれ……うわっ、随分派手にやったわね」
アッシュが折れた刀を取り出して、それを見たリズベットは驚いたような呆れたような声でそう言う。
「まぁ強敵だったからな」
「強敵って、アッシュの刀は頑丈さに特化してたのに、それが壊れるってどんな相手よ」
「強敵は強敵だ、詳しくはキリトかアスナにでも聞いてくれ」
リズベットが怪訝そうな顔をしながら聞いてみるが、アッシュがニヤリと笑ってそう言った。
目の前の男がこういう顔をしてる時は面白がっている時だと知っていたリズベットは、不服そうな顔をしてはいるものの話を聞くのを諦めて目の前の刀に視線を戻す。
「うーん、修理は出来るけど成功率は0.1%以下……これはちょっと厳しいわね」
「そうか、じゃあ頼んだ」
「は?あたしの話聞いてた?成功すんの超低確率よ!?」
リズベットが信じられないというような表情でアッシュの方を見ると、アッシュはニッコリとした、それでいて妙な凄みのある笑顔をしていた。
「ああ、頼んだ」
その顔と言葉でこれから何をさせられるのか理解したリズベットは顔を青ざめさせる。
「あ、あんたまさか……」
「そう言うことだ、安心しろ素材と金は幾らでもある」
「じょーだんじゃないわ!!いくら素材とお金があってもいつまでかかるか分かったもんじゃないじゃない!お断りよ!」
リズベットがそう言うとアッシュはわざとらしく頭を振りながら腕を組んだ。
「そうか、なら仕方ない」
「……?」
「お前が『はい』と言うまでお前の店の前で仁王立ちするとしよう」
「はぁ!?あんたみたいな強面がそんなことしたら誰も来なくなるじゃない!そんなの営業妨害よ!!」
「そうだが?」
「そうだが? じゃないでしょうよ!?」
「さあ選べ、俺の刀を修理するか、店に客が来なくなるか」
そう言われたリズベットは顔を伏せて肩をワナワナと震わせ、やがて諦めたような涙声で叫んだ。
「わかったわよぉ~~~!!!」
その後、約10時間に渡る挑戦の末にようやく刀を修理できたリズベットは心なしか真っ白になりながら店内の椅子に座って項垂れていた。
「ありがとうな、また来る」
「鬼!悪魔!2度と来なくていいわよ!!」
そんな罵声を背中に浴びながら、すっかり暗くなった街へと歩き出すアッシュだった。
いざ書いてみると昔過ぎてゲームのストーリー吹っ飛んでてどうしようとなってる今。
もう適当でもいいか、何番煎じの自己満足作品やし。