遊戯王ZEXAL~俺の弟が可愛すぎてマジ超天使。弟のためなら何をしても構わない、というかむしろ俺に全部任せて「は?そんなことも出来ないの?」って蔑んだ目で見下してあんなことやそんなk(ry 作:雲珠
第九話を見て下さり、ありがとうございます。
更新が鈍亀並に遅いにも関わらず、毎度の如く感想を書いて下さっている方、本当にありがとうございます!
感謝し切れないくらい嬉しいです。いつも行き詰まると感想を見直してやる気を貰っています!(*´ω`*)
最近は雪も降って寒くなって来ましたので、どうぞ読者の皆様も体調には十分お気を付け下さい。
サブタイはパスカル先生の名言です!
「ああもう!オマエしつこいぞ!」
「ゆ、遊馬…?」
突然叫び出した遊馬に、小鳥が驚いたように声を掛けた。
遊馬、小鳥、鉄男、そして凍夜の四人は揃って学校へ登校していた。
普段は拓真と一緒に登校する凍夜だったが、今日は時間が合わなかったのか置いてけぼりを食らった。
アイツ最近俺に対して態度冷たくね?という疑問が凍夜の頭に浮かぶも、目の前に遊馬がいることでその思考は隅に追いやられた。
「こいつホント昨夜から“私の名前はオマエではない。アストラル世界から来たアストラルだ”ってうるさいんだぜ!」
どうやら昨日からそのアストラルとやらが自身の名前に固執しているらしく、睡眠時間を削られた遊馬は若干イライラしている。
凍夜は険しそうな表情をしている遊馬を見ながら実に恍惚そうな笑みを浮かべていた。
そんな寝不足な遊馬も可愛い!
眠いなら一緒に保健室で行こうか。大丈夫、お兄ちゃん保健体育の成績はあんまりよくないけど実技なら満点取れる自信があるから!いつも夢の中でもしてるし!
「兄ちゃん、寝言は寝てから言って」
「凍夜さん、教室は向こうですよ」
「遊馬、早くしないと授業遅れるぞー」
「あぁああぁあ!冗談!冗談だって!だからもうちょっと遊馬と居させてぇええぇえ!!」
どうやら思いのたけが言葉に出ていたらしい。
遊馬を遠ざける
何とも酷い絵面である。
「うっ…うっ……遊馬と会えない時間なんて死んでいるも同然だ…」
「そこまで!?」
「先生の話を聞くぐらいなら遊馬の写真を眺めてたい」
「貴方はいつも盗撮した写真を眺めているし、盗聴したボイスレコーダーも聞いているでしょう」
聞き慣れた声に思わず凍夜が顔を上げる。が、すぐに地面とコンニチハした。
痛む後頭部に自身が殴られたのだと理解した。
「あ!えっと、この間の……」
「はい、相沢拓真です」
言い淀む遊馬の言葉をフォローするように会話を続ける拓真。
出会いが出会いだっただけに覚えていないのも仕方が無い。
そもそも拓真としては覚えられていない方が都合が良い。あの時は取り乱し過ぎていた。
「兄ちゃんの友達?」
「いいえ、全く、断じて、神に誓って違います」
「おまっ…!酷くね!?」
仮にも友達だと(勝手に)思っていた拓真から全力で全否定された凍夜は打ちひしがれた。
そんな凍夜に追い打ちの言葉が掛けられる。
「出来れば今すぐ一生涯終えた後、輪廻転生して性格が変わったとしても私と出会わないで下さい。本気と書いてマジと読むくらいに切実かつ真剣にお願いします」
「悪口がグレードアップしてんじゃねェか!いつにも増して辛辣だなオイ!?」
普段は振り回す側の凍夜が振り回されている。
遊馬の目の前の光景に驚きながらも拓真兄ちゃんスゲーと目をキラキラさせていた。
そんな視線に目敏く気付いたのは凍夜だ。
「(ゆ、遊馬が拓真を熱い眼差しで見てる!?そんな!俺より拓真の方が良いって言うのか!?)」
変態の凍夜と見た目真面目そうな拓真のどちらを兄にしたいかと言われれば、そんなもの聞かなくとも分かるだろう。まあ拓真を選んだ場合、変態の代わりに毒舌が付いてくるが。
絶望した顔で落ち込む凍夜に、そんなことは知らないと言わんばかりの拓真が髪を鷲掴んだ。
「さっさと教室行きますよ」
「痛ッ!いだだだだッ!抜ける!髪抜ける!」
「貴方、今日が日直だってこと忘れてたでしょう。仕事サボった報いです」
引きずられて行く凍夜の姿を見送った3人は「何が何だかよく分からないけど、危機は去った」という顔をして自分達の教室に向かった。
……だから気付けなかった。自分達から少し離れた場所で、不穏な影がコチラを見ていたことに。
◇ ◆ ◇
放課後、遊馬より一足先に家に帰った凍夜は自室のパソコンを開いていた。
「これは…」
そこに映し出されている人物を見ながら、凍夜は眉間にシワを寄せる。
頬杖をしながら、まるで見定めるように画像を隅から隅まで見配った。
「ハァハァ、今日も遊馬は可愛いなぁvV」
画面に大きく映し出されている遊馬の姿を見ながら、凍夜は存分に鼻の下を伸ばしていた。
かたわらには鼻血用か、それとも使用用なのかは知らないがティッシュが3箱用意されている。
まさにブラコンの鑑、変態の中の変態である。
「ただいまー」
そんな凍夜の耳に優先順位不動の一位の愛らしい弟の声が聞こえてくる。
その後の凍夜の行動は早い。開いていたパソコンの画面を閉じ、ティッシュ箱を部屋の隅に放り投げ、階段を一気に飛び降りる。
「遊馬!あんたまさか学校でデュエルモンスターやってるんじゃ「遊馬!お帰り!俺とご飯にする?俺とお風呂にする?それとも俺とベッドで……運動、する?(*´Д`)ハァハァ」
「部屋で休んでる!」
遊馬の帰りを何故か険しい顔で待ち構えていた明里の言葉を遮った凍夜は「そんな遊馬も可愛いvV」と自室に走り去る遊馬の後ろ姿を堪能する。
その瞬間、足払いを掛けられて床にすっ転んだ。
「グヘッ!?」
「アンタ、今のわざと?」
「いや明らかに姉貴が足払い掛けたせいだろ!」
「そっちじゃない!」
「あで!」
最近はよく頭を殴られるな、と思いながら患部を擦る。
先程の遮りがわざとか、わざとじゃないかと聞かれれば、それは勿論わざとであった。
凍夜は明里が遊馬にデュエル禁止令を言い渡していることは知っているし、父親と最後に会った日に「遊馬のデュエルには気をつけろ」と言われたことも覚えている。
―――だが、それが何だというのだろうか
「俺は遊馬の味方だ。誰が何を言おうと、絶対に」
「凍夜、あんた父さんが言ったこと忘れてるんじゃないでしょうね?」
「忘れてなんかないさ。けど、何も無かった俺に遊馬だけが光をくれたんだ」
どこか遠くを見ている朧げな眼差しを前に、明里は開いていた口を閉じた。
そして複雑に絡み合った不安を掻き消すように大きく頭を振る。
「……まあいいわ。これ、遊馬に渡しておいて」
「ん?なんだそれ?」
明里から渡されたのは、淡いピンク色の電子手紙。
封をするのに小さな赤いハートが貼られており、それを見た凍夜は手紙を思いっ切り床に叩きつけ、それでは飽き足らないとばかりに力の限り踏みつけた。
足の下から何かが割れたような音が聞こえたが、そんなものは気のせいだ。
「ちょっ!何すんの!?」
「何者かの多大なる悪意を感じた。具体的には小さい頃に誰かに裏切られて世の中全てに裏があると思い、それを暴くためなら多少のプライドも捨てるような奴」
「具体的過ぎて気持ち悪いけど、後半はアンタのことじゃないの?」
「は?何言ってんだ姉貴。俺にプライドなんか無い」
「それはそれで問題よ!!」
真面目な顔で言い返してきた凍夜に明里がツッコミを入れる。
凍夜は自身が踏み潰した壊れかけの手紙を拾い上げ、今更になって内容を確認した。
映像も一緒に送られていたのだろうが、今は不快なノイズを放つ機能しか残されていなかった。
手紙の内容を要約すると、遊馬のデュエルファンとのこと。
しかし、凍夜の持つ遊馬情報にラブレターらしき物を送るファンはいない。
「(ふ、俺の遊馬に何する気だったのかは知らんが……いい度胸してんじゃねェか)」
凍夜の手の中にあった手紙は盛大な音を立てて形を失っていく。
唯一無傷で残ったのは黒い枠のカード。
「凍夜、あんた顔ヤバイわよ。というかそれ、遊馬の手紙…」
「大丈夫だ、問題ない。遊馬には後で裸の付き合いがてら土下座する」
「問題あるから言ってるんでしょうが!ついでに教育に悪い!」
どこぞのフラグを立てるも、ものの数秒で圧し折られた。
後味の悪そうな表情を浮かべた凍夜は明里から逃げるように自室に向かう階段を駆け上がる。
「ちょっと凍夜!」
「土下座は冗談だ!」
「教育に悪いのはそっちじゃないわよ!この馬鹿!」
明里の怒鳴り声を背に受け、逃げ込むように自室に滑りこむ。
そして持っていたカードを探るように見ると静かに机の上に置いた。
黒い枠のカード、ベビー・トラゴンと表記されたエクシーズモンスターだ。
「……特に細工も無し、か」
安心したように呟くと凍夜は残骸に成り果てた手紙をゴミ箱に投げ捨てた。
凍夜は再びベビー・トラゴンに視線を向けると、器用に口元だけを獰猛に笑わせる。
その無機質な目に、虎柄の小さなドラゴンが怯えたように身を縮こまらせた。
最近アストラルさんが安定の不在。
作者も若干存在忘れてました。