遊戯王ZEXAL~俺の弟が可愛すぎてマジ超天使。弟のためなら何をしても構わない、というかむしろ俺に全部任せて「は?そんなことも出来ないの?」って蔑んだ目で見下してあんなことやそんなk(ry 作:雲珠
第十七話を読んで下さり、ありがとうございます。
サブタイはツルゲーネフ先生の名言です!
「(ハァハァ遊馬が可愛いすぎて辛いよぉ(*´Д`)ハァハァハァハァ)」
凍夜は現在、帰宅途中の遊馬を尾行もといストーカーしていた。
そしてショッピングモール内にも関わらず鼻息を荒くさせて遊馬を激写し、周りの人たちをドン引きさせていた。
一部の人達は通信機を片手に警察に連絡しようか迷っている。
「お掃除~!」
「な、何だ一体!?」
そんなこんなをしている内に、何故か上からお掃除ロボットが降ってきた。
次いで、その原因と思われる犯人の怒声が聞こえて来る。
「うるっせぇんだよ!この駄目ロボットが!金はどうした!?それにヘリもだ!」
「(こんな場所で強盗かよ。いい迷惑だ)」
全員に総スカンを受けるであろう発言を心の中でしつつ、緊急事態だと判断した凍夜は盗撮とストーカーを一時中断して遊馬達に近付いた。
「遊馬、小鳥ちゃん、大丈夫か?」
「兄ちゃん!」
「あ、凍夜さん…」
一応知り合いで年上な凍夜が現れたからか、2人の顔から不安そうな表情が消える。
そして周りの人たちに「え、この子たち知り合いだったの?可哀想に…」という驚愕と憐憫の視線を浴びている。
「ショッピングモールに立てこもり、ねぇ」
その視線に気付いていない凍夜は中央のテレビに映しだされているアナウンサーの放送を聞きながら意味深に呟く。
直後、遊馬と凍夜のD・ゲイザーに通信を知らせる音が鳴った。相手は姉の明里だ。
“遊馬!凍夜!アンタたち今、ショッピングモールにいるでしょ”
「え、その、俺は…学校……そう!学校にいるんだ!」
「俺も学校だ!遊馬のストーカーなんてしてない!してないからな!」
“アンタたちがそこにいるのは分かってるのよ。ちゃんとテレビに映ってるんだからね”
明里の発言を聞いた遊馬と凍夜は思わずテレビを見た。
そこには確かに、2人の姿が中継で映しだされていた。
「うわっ!映ってるじゃん!」
“いい!?何かスクープ映像撮ってきて!あと凍夜は帰ってきたら説教!!”
「げっ」
凍夜が嫌そうな顔をするも何かを言う前に通信は切れた。
遊馬と凍夜、そして通信を聞いていた小鳥の間に沈黙が流れる。
「……兄ちゃん、どうする?」
「遊馬はここにいろ。俺が行ってくる」
遊馬を危険な所に行かせる気はさらさら無いが、もし何もせずに帰ったら姉の説教時間が長くなるのは確実。
逃げ道を塞がれた凍夜は姉の説教が少しでも軽くなるように祈る。選択肢など最初から無かった。
《見ろ、遊馬。ナンバーズだ》
「え?ってことは、犯人はナンバーズ!?」
「遊馬?どうした?」
アストラルの言葉に、遊馬はテレビに映し出された犯人の肩に紫色の文字が浮かび上がっていることに気付く。
そして、聞き覚えのある単語に凍夜は思わず遊馬を見た。
「兄ちゃん、俺も行く!」
「なっ、危ないから小鳥ちゃんと待って…」
「先に行ってる!」
「遊馬!?」
凍夜は遊馬の行動に驚きながらも、後を追うように走り出す。
しかし、頭の中では遊馬が先程言った「ナンバーズ」という単語が引っ掛かっていた。
「(何で遊馬の口からナンバーズなんて言葉が?まさか、あのモヤ……もとい、アストラルが原因か?)」
デッキケースに仕舞っている現在白紙のカードを思い浮かべながら、凍夜をアストラルに向かって殺気を放つ。
このカードがロクでもないカードだと確信している凍夜は、遊馬が危険な目に遭う原因を作った存在を許せる筈がなかった。
何が何でも遊馬から事実を聞かなくてはと心に決め、走るペースを早くした。
その瞬間、頭上からガラスが割れる音が響く。
「遊馬!」
ガラスの破片から遊馬を守るように抱きしめるが、いつまで経っても痛みも何も感じない。
いや、それどころかテレビの音や人の騒音まで、あらゆる音が消え去っていた。
そして、手から滑り落ちた物が床に落ちず、何故か空中で止まっている。
「何だ!?」
「まさかとは思うが……時が止まっている、のか?スーハースーハー」
異常事態に気付いた遊馬が周りを見渡し、凍夜は己が導き出した推測を呟く。
馬鹿馬鹿しいと一笑出来ないのが辛い。
不意に、どこからか口笛が聞こえてきた。
「え?」
「誰だ!お前は!」
「どうやら、上で何か起きているらしいな。スーハースーハー」
静かな空間で、上にいる男の声はよく聞こえた。
その言葉からするに、上には犯人の他に誰かがいるらしい。
凍夜は誰かがガラス窓を割ってショッピングモール内に入ってきたのだと察し、この不可思議な現状もそいつが原因だろうと当たりとつけた。
「……ところで兄ちゃん」
「ん?何だ?スーハースーハー」
「もう離れても大丈夫だぜ」
「え…っ。そ、そんな殺生な!まだ遊馬の匂いを思う存分嗅いでないのに…!!」
今までの会話中、凍夜は遊馬を抱きしめたまま鼻息を荒くして匂いを堪能していた。
だが、遊馬の「離れて」発言に興奮で赤くなっていた顔が一気に青白くなっていく。
まさに天国から地獄に突き落されたかのような絶望顔だ。
「に い ち ゃ ん ?」
「さあ早く上に行こうか!!」
一瞬肩をビクつかせた凍夜は遊馬から渋々離れる。
そして、さり気なさを装いつつ遊馬の手を引いて上へと向かった。
時々聞こえる破壊音や大声に2人の足は自然と早くなっていく。
ようやく人の壁を抜けて最上階まで来ると、犯人と思しき人物が床に倒れていた。
しかし、何故か犯人の髪は白髪のようになり、顔も老人のように痩せこけている。
「何で犯人が!?」
「これは…」
「な、ナンバーズ、ハンター……」
「ナンバーズハンター?な、何言ってんだ!?」
犯人の様子に驚く遊馬だったが、不意に割られた天井のガラス窓を見上げた。
その動作に釣られるように凍夜も外を注意深く観察しようとしたが、空中で停止していたガラスの破片が動き出したのを見て遊馬を庇うのを優先させた。
「うわっ!」
「遊馬!」
上から抱きこむようにガラスから遊馬を庇った凍夜は、全てのガラスの破片が床に落ちたことを確認すると遊馬に怪我がないことに安堵した。
「な、何だ!あの2人は!」
「どうやって入ったんだ!?捕まえろ!」
ガラスだけではなく、停止していた周りの時間も動き出す。
どうやら停止していた時のことは見えていないようで、警察官は突然現れた凍夜と遊馬を拘束しようと近付いてくる。
「ま、待て!そいつに近付くな!」
しかし、警察官の動きは同じ警察官の声によって止められる。
周りの仲間に怪訝そうに見られているその警察官の男性は、そんな視線に晒されても気にすることなく2人を見ていた。いや、正確には遊馬ではなく、凍夜を凝視していた。
「おい、一体どうした」
「そいつは……そいつは、例のアイツだ!」
警察官は一度言い淀む様子を見せるも、意を決したように言葉を発した。
その目には怒りと驚き、そして怯えが混ざっている。
「な、何!?じゃあまさかコイツが…」
「ブラックリスト、超要注意人物…」
「あの、九十九凍夜なのか!?」
2人に近付いていた警察官が、恐ろしいモノを見たようにジリジリと離れていく。
警察官の反応を見ていた遊馬も一般客に紛れるように凍夜から離れる。
凍夜は遊馬の反応に思わず両膝をついた。
「兄ちゃん、何したんだ…」
「お、俺は何もしてない!無実だ!お前ら変な濡れ衣被せるな!それでも法の番人か!お陰でマイハニーに引かれただろ!」
「この反応、間違いない!本人だ!」
「人違いだ!早く訂正しろ!俺は愛しのマイエンジェルにドン引かれるなら全身に頬擦りして匂いを嗅ぎまくって体の細部まで舐め回した後に平手打ちされて蔑んだ目で見下されて顔を踏みつけられながらって決めてるんだ!!」
一般客は全力で最上階から脱兎のごとく逃げ出した。
遊馬とTVリポーターとカメラマンも逃げ出した。
その場に残されたのは警察官と凍夜だけだ。
凍夜は遊馬が逃げたのは警察官が濡れ衣を着せたせいだと決めつけ、憎悪に満ちた目で警察官を睨みつけている。
「でゅ、デュエルだ!デュエルで奴を拘束しろ!」
「上等だ!テメェ等全員、返り討ちにしてやる!」
警察官数名VS凍夜の前代未聞なデュエルが開始され、凍夜が家に帰れたのはそれから数時間後のことだ。
遊馬がこの場にいたことも、犯人がショッピングモールに立て籠もった事件も、全てが有耶無耶になったのであった。
帰宅後
明里「……で?」(仁王立ち)
凍夜「いや、あの、その…」(正座)
明里「放送が途中で終わったから良かったものの、アンタがスクープになってどうすんのよ!この馬鹿!!」(キャラメルクラッチ)
凍夜「ごめんなさ痛い痛い痛い!!」(悶絶)
凍夜は関節技を受けながら数時間の説教された後、気絶