遊戯王ZEXAL~俺の弟が可愛すぎてマジ超天使。弟のためなら何をしても構わない、というかむしろ俺に全部任せて「は?そんなことも出来ないの?」って蔑んだ目で見下してあんなことやそんなk(ry   作:雲珠

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どうも、雲珠(うず)です。
第十八話を読んで下さり、ありがとうございます。

サブタイはルソー先生の名言です!


長らく更新が遅くなってしまい、申し訳ありませんでした!(ジャンピング土下座)
そして久々の更新にも関わらず文字数が短いです…。うわああああごめんなさい!ごめんなさい!


第十九話 最大の災害は自ら招くものである

 

場所はハートランドシティの隣町に出来た、新設のデュエルコート。

晴天の下、多くのデュエリスト達がデュエルをしていた。

その中には遊馬、鉄男、小鳥、等々力、凍夜の姿もある。

 

「よっしゃー!俺のターン、ドロー!」

「(地上に舞い降りた天使がここにいるんですけどぉおおおぉおお!!!)」

 

心を狂喜乱舞させた凍夜はそれに比例するように無表情でカメラのシャッターを連打し、デュエルをしている弟の姿を写真に収めていく。

周りの人達は鼻からボタボタと血を流し続ける凍夜にドン引き、あるいは見て見ぬ振りをしている。

中にはその変態行動を見かけて

 

「おい、デュエルしろよ」

 

と言ってくる親切なデュエリストもいたが、その人物はデュエルコートの隅っこで「ブラコン恐い」と嘆いている。

それからは誰も凍夜にデュエルを挑まなくなり、挑もうとするデュエリストを全力で止める謎の団結力が発揮されていた。

 

そして周りの反応や視線に耐性のない等々力が精神的な理由でリタイアを余儀なくされ、アフターケアのため鉄男が付き添うはめに。

2人が離脱したことでデュエルの相手が激減した遊馬は、既に時間が遅いこともあり小鳥とホクホク顔の凍夜と一緒に帰る事になった。

 

「いやぁ、惜しかったぜ!あそこで攻撃が決まってたら勝ってたのに!」

「もー!遊馬ったらさっきからそればっかりなんだから!」

「帰ったら特訓に付き合ってやろうか?勿論それ以外の特訓でもお兄ちゃんは大歓迎というかむしろそっちの方が俺的には大事というかオススメなんだが!」

「うん、ありがとう兄ちゃん。でも遠慮しとく」

「えっ」

 

ガーンという効果音でも付きそうな表情で固まった凍夜は、落ち込んでいますというオーラを隠しもせずに醸し出し、遊馬と小鳥の後ろをトボトボと歩いた。

凍夜の態度に慣れている遊馬と小鳥はスルースキルを全開で発動し、そのまま会話を続ける。

その直後、空からポツリと雨が降り出した。

 

「やべっ!」

「あ、ちょ、遊馬!置いて行かないでよ!」

 

急いで家に帰ろうと、遊馬が走りだす。

後を追うように小鳥が横断歩道を渡ろうとしたその瞬間、鋭い光と共にクラクションが響き渡る。

 

『小鳥!』

 

遊馬と凍夜が同じタイミングで叫ぶ。

一番距離の近かった凍夜が咄嗟に地面を蹴り、小鳥の体をトラックの直線上から突き飛ばす。

代わりに、凍夜がトラックの前へと身を投げ出した。

 

「凍夜さ…っ!?」

「兄ちゃん!!」

 

トラックは目前。もう間に合わないと、その場にいる誰もが思う。

凍夜は自分の死を自覚し、ふと笑った。

 

「(死ぬ前に、遊馬の全身舐め回したかったなぁ)」

 

最後に考えることがそれかと総ツッコミされそうなことを心の中で呟きながら、凍夜は笑う。

一切ブレることのない思考は、ある意味愛の塊だと言えるだろう。

枕詞に“変態”という言葉は付くが。

 

「遊馬、ばいば……ぐべら!?」

 

最愛の弟に別れを告げようとした凍夜だったが、それは顔面を地面に強打したことで強制キャンセルされた。

擦りむいた鼻を抑えながら、凍夜は何が起こったのかと立ち上がった。

 

「………は?」

 

トラックは凍夜の1cm前で停止していた。

それだけなら良かったが、周囲の光景は凍夜の頭を混乱させるには十分過ぎる程であった。

雨粒が地面に落ちることなく、空中で止まっている。

 

「兄ちゃん!大丈夫か!?」

「あ、ああ。大丈夫だ」

 

駆け寄ってくる遊馬を抱き締めたい衝動に襲われながら、凍夜は返事をした。

そして、つい先日も似たような経験をしたことを思い出す。

 

「(前は確か、ショッピングモールで似たようなことが…)」

 

あの時も割れたガラス片が空中で止まっていた。

その後に悪徳な警官達の陰謀によって遊馬にドン引きされた記憶しか残っていない凍夜だったが、何か嫌な予感がすると珍しく打算のない行動で遊馬の手を握った。

 

「やばい、遊馬の手めっちゃ柔らかいし温かいしキュンキュンするんですけど…!これ以上俺の心を惑わせてどうする気なんだ!!俺は一秒一秒、遊馬に惚れ直しているというのに!!!!(遊馬、俺から離れるなよ)」

「………兄ちゃん…」

「え、待って。なんで俺から離れようとするんだ、遊馬。やめて!指一本ずつ離そうとしないで!地味に傷つくから!!」

 

打算は無かったが本能は全開だったらしく、本音と建て前を逆に言ったことに気付かない凍夜は遊馬が物理的な距離を開けようとする行動に心臓にダメージを負った。

ライフがゼロどころかマイナスに突入しそうな凍夜だったが、どこからか聞こえてきた口笛にハッと顔を上げる。

そこには、黒いコートを着た特徴的な髪の青年いた。その後ろには、見たことのない形のロボット。

青年は大声を発し、空中で停止していた周囲の雨粒を弾き飛ばした。

 

「誰だお前!これはお前の仕業か!」

 

周囲の全てが停止した原因であろう青年を見ながら、遊馬は叫ぶ。

凍夜もまた、言葉にはしなかったが遊馬と同じことを思いながら青年を見る。

 

「今このエリアは特殊フィールドを展開し、時間の進みを一万分の一にしてある」

「ワタクシ、オービタル7ノチカラデス!」

 

しかし青年は質問には答えず、遊馬と凍夜を睨むように見つめる。

 

「この空間の中で動けるのは、ナンバーズを持っている者のみ。やはり貴様等、ナンバーズを持っているな!」

《ナンバーズ…!まさか!?》

「ナンバーズハンター!?」

 

遊馬の脳裏に、この間の強盗犯の言葉が浮かび上がる。

それと同時に青年の言葉に疑問を覚えた。青年は今「貴様等」と言ったのだ。

アストラルは普通の人間には見えない。となると、その対象になるのは自分の他に動いている人物、つまりは自分の兄だ。

 

《遊馬!この男は危険だ!逃げろ!》

「に、逃げろったって…!」

 

アストラルも遊馬と同じ疑問を浮かべるが、それよりも今は逃げることを優先させた。

凍夜とは同じ家に住んでいる。質問する機会などいくらでも作れると咄嗟に判断した故の言葉だった。

遊馬は突然の出来事に狼狽える。そしてその隙を見逃すほど、青年は優しくも間抜けでもなかった。

 

「ふっ!」

「うわっ!?」

「ッ遊馬!」

 

遊馬に向かって伸ばされた赤い鞭のような光線。

それから庇うように、凍夜は繋いでいない左手を差し出す。

痛みは無かったが、青年が腕を引くと、それに引っ張られるように凍夜の体が動いた。

 

「うおっ!?」

「兄ちゃん!大丈夫か!?」

「このデュエルアンカーにより、デュエルのケリが着くまで俺とお前は離れることは出来ない!」

「何!?そ、それじゃあ兄ちゃんは…!」

「つまり貴様等がデュエルから逃げ出すことは不可能。狩らせてもらおう……ナンバーズを!」

 

遊馬は自分の代わりにデュエルアンカーに縛られることになった凍夜を見る。

視線を地面に向けていた凍夜が顔を上げる。

その表情に、遊馬はある種の後悔を覚えた。

 

「……ふ、ふふっ、あはっ、アハハハハハハハ!!!!!」

 

笑い声を上げる凍夜だが、その瞳は全くと言っていいほど笑ってなどいなかった。

ギラギラと、あるいはドロドロとした感情の渦が浮かび上がり、凍夜の体を黒いオーラが纏った。

遊馬にも、青年にも視認出来ない黒い塊。それを見ることが出来るのは、アストラルのみだ。

 

《(何なのだ、彼のこの異様なオーラは…!)》

「に、兄ちゃん…?」

「貴様、何が可笑しい」

 

しかし、そんな事を露ほども知らない遊馬と青年は突然笑い出した凍夜に疑念の眼差しを向ける。

 

「いやいやいや、これはもう、笑うしかないじゃん?だってさあ、デュエルアンカーだっけ?これ最初、遊馬に飛ばしたじゃん?それってつまり、俺が庇わなかったらテメェと俺の遊馬がデュエル中ずっと繋がってたって事だろ?ハハッ。………殺すぞテメェ」

 

笑い声を引っ込め、凍夜は明確な殺意を言葉に乗せて青年にぶつける。

変態行為なら何度も目の前にやられてきた遊馬だったが、凍夜がこんなにもハッキリとした殺意を、しかも自分の前で見せるのは初めてだった。

不愉快な表情を全く隠さず、凍夜は半ば力任せにデュエルディスクにデッキを差し込んだ。

 

「逃げる?馬鹿なことほざいてんじゃねーよ。俺の愛しい遊馬に手ェ出しといて、そっちこそ逃げられると思うなよ」

 

凍夜は左手に繋がれたデュエルアンカーを引っ張り返す。

ピタリと青年に向けられた目は、どんなことをしてでも逃がしはしないと言葉以上に物を語っている。

 

「ふ、面白い。俺を狩ろうという訳か」

 

鋭い殺意を全身に浴びる青年だが、まるで意に介していないように笑みを返す。

この程度の殺意で身を引くほど、青年の覚悟もまた生半可なモノではないのだ。

 

「っ、兄ちゃんばっかりにやらせるかよ!」

「遊馬…?」

 

訳の分からない状況に困惑していた遊馬だったが、自ら危険なことに首を突っ込む兄の姿を見て、決意を固める。

そしてD-ゲイザーとデュエルディスクをセットし、凍夜の隣に並び立つ。

そんな遊馬の行動に動揺したのは、今まで殺気立っていた凍夜だった。

 

「遊馬、お前は早くどこか安全な場所に…」

「兄ちゃんを置いて、そんなこと出来るかよ!」

「俺の弟マジ地上に舞い降りた天使。むしろ天使すら霞むほどというか天使を超越した存在だわ。ということはつまり人間すら超えていると同義だから人間社会の法律なんて塵屑で俺と遊馬が結ばれる可能性というか未来が訪れ、」

「良いだろう、纏めて相手をしてやる!」

「テメェふざけんな!空気読め!」

 

凍夜は自身の言葉を遮った青年に怒りの感情をぶつけるが、遊馬としてはこの時ばかりは青年に感謝した。

 

「デュエルモード、フォトンチェンジ!」

 

しかし青年は2人の感情に全く興味を示さず、デュエルの準備をする。

黒を基準としたコートは青年の言葉に反応するように純白に染まり、左目は青い模様が浮かび上がったかと思うと赤色に変わった。

 

「さあ、狩らせてもらおう。貴様等の魂ごと!」

 

それぞれの感情と思考が渦巻く中、デュエルが始まる。

 




カイト登場。
久々の投稿でスランプ状態が否めないです…。

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