遊戯王ZEXAL~俺の弟が可愛すぎてマジ超天使。弟のためなら何をしても構わない、というかむしろ俺に全部任せて「は?そんなことも出来ないの?」って蔑んだ目で見下してあんなことやそんなk(ry   作:雲珠

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どうも、雲珠(うず)です。
第八話を見て下さり、ありがとうとざいます。

サブタイはシラー先生の名言です!


第九話 有益な言葉は飾り気のない口から出ることが多い

 

太陽が完全に沈み、街灯が道を照らす頃、凍夜は険しい表情で目の前の建物を睨みつけていた。

 

「ここだな…」

 

愛憎入り乱れる目付きで呟く凍夜。

そして乱暴に扉を叩きつけると身体能力を十全に駆使して建物の内部を一直線に駆ける。

靴音が一定間隔で響き渡り、その早さを物語っている。

凍夜の体がじんわりと熱を持ち出した時、もう一つの扉に辿り着いた。

 

「遊馬!」

 

愛しい弟の名を呼び、勢いを殺さずに扉を蹴り飛ばす。

が、しかし。その先には暗闇に包まれた奈落が待っていた。

 

「あっ、ぶね…!?」

 

咄嗟に左右の壁を両手で掴み、何とか落下を回避した凍夜が下を見て冷や汗をかく。

腕と腹筋に力を入れ、ゆっくりと上半身を起こすと静かに安堵の息を吐いた。

と同時に、凍夜は僅かに首を捻った。

 

「間違えた…?いや、そんなはずは無い。場所は合ってる。けど遊馬がいない……となると、移動した?」

 

頭を回転させながら、扉の向こうの内部を観察するように視線を張り巡らせる。

よくよく見ると、どこか記憶に引っ掛かる構造をしている。

まだ未完成のようだが、これは……

 

「エレベーターか!」

 

再び身を乗り出し、顔を上げる。

暗くてよく見えないが、遊馬が上にいるような気がした。

 

「今行くからな、遊馬…!」

 

周りを見渡し上に行く方法を探す凍夜の目に、非常階段と書かれたランプが目に映る。

流石に同じ轍を踏みたくないのか、ゆっくりと扉を開けて中を確認すると上へと続く階段が存在していた。

 

「ふ、犯人め……目にもの見せてくれる!遊馬に手を出した罪は重い…!」

 

背後に黒いオーラを纏わせながら、鋭い眼光で階段の先を睨みつける。

無駄に長い凍夜の髪が暗闇に溶けて消えた。

 

 

 

◇ ◆ ◇

 

 

 

一方その頃、事件の真犯人は遊馬とデュエルをし、敗北していた。

真犯人の正体は遊馬の担任である右京先生だった。

目的は電子情報をバラ撒き、暴走させること………ではなく、ただ単にある電子回路を完成させることであった。

現在はそれが成功し、空中にD・ゲイザーを通して見ることの出来る巨大バクマンが浮かんでいる。

これで事件も解決し一件落着!さて帰ろうか、と全員が思った時、突然ドアが破壊されるのではないかという音を立てて開かれた。

 

「きゃっ!」

「なんだ!?」

「トドのつまり、何事ですか!?」

 

驚きの視線の先には、その場にいる全員が見慣れた人物。

特に等々力はある種のトラウマがあるのか、その人物を認識した瞬間に顔が青褪めた。

 

「ゆ、遊馬君のお兄さん…!」

「兄ちゃん!?」

「え?凍夜さん?」

「おや、確か高等部の…」

 

三者三様ならぬ四者四様の反応をされた凍夜はゆっくりと顔を上げた。

髪が汗で顔にへばり付き、服は肌蹴け放題。おまけに相当息が上がっている。

まさに疲労困憊という様子であったが、遊馬を視界に入れた瞬間に花が咲いた。

 

「遊馬!無事か!?身体的及び精神的に大丈夫か!?何かされたなら兄ちゃんに遠慮無く言ってくれ。草の根かき分け地の果てまで追い詰めて社会的に抹殺してから地獄のドン底に突き落としてくれる…!!」

「え、えっと…」

 

完全に目が血走っている凍夜を前に、遊馬は無意識の内に右京先生の方をチラリと見た。

勿論それは右京先生を心配しているからこその行動だったが、いかんせん目の前にいる人物が悪かった。

遊馬の一挙一動を見逃すまいと普段からストーカー行為を働いている凍夜の洞察力はもはや並程度では測れない。

 

「そうかそうか。その眼鏡優男野郎が犯人だな?大丈夫だ、後は兄ちゃんに任せておけ。明日になれば全部終わってる」

 

いやいやいや!全然大丈夫じゃないし!というか全部終わるって、右京先生の命も終わるよね!?

 

グッと親指を立てて良い笑顔をしている凍夜に向かって全員が心の中でツッコミを入れた。

普段のほほんとしている右京先生も流石に不穏な空気を感じ取ったのか、足が一歩後ろに下がった。

 

「ゆ、遊馬!早く何とかしないと…!」

「何とかって何だ!?」

「トドのつまり、アナタのお兄さんでしょう!?」

《遊馬。キミの兄がカードを取り出したぞ》

「うわああぁあぁ!兄ちゃん待った待った!それは本当にマズイから!……うう、兄ちゃんゴメン!」

 

カードを片手にじりじりと相手を追い詰める凍夜。

仕方ない、こうなれば一か八かだと遊馬は覚悟を決めて全力で凍夜にタックルをした。

 

「が…ッ!?」

 

体格差はあれど流石に全力のタックルには耐え切れず、凍夜はその場に仰向けになって倒れた。

元から痛む後頭部をぶつけ、生理的な涙が目尻に溜まった。

一体何なんだと苛立ちながら視線を上げると、赤い瞳とぶつかった。

 

「え、あ……え?」

「ごめん兄ちゃん!でもこうでもしないと止まらな……兄ちゃん?」

 

慌てて言い訳をしようとしていた遊馬の言葉が不自然に途切れた。

目の前の兄が近年稀に見る早さで顔を逸し――というか初めてかもしれない――その上、耳を赤くして何かをブツブツと呟いている。

 

「遊馬が俺に馬乗り…!これは襲い受けですか、それとも本当に襲ってるんですか!ヤバイどうしよう、いや遊馬になら全然襲われても構わないけど、というかむしろバッチコイだけど…!」

「に、兄ちゃん…?」

「っ!あ、あのな、遊馬…」

 

遊馬の声にはっとしように顔を上げる凍夜。

男子高校生が顔赤くしてモジモジする姿は視覚的に微妙だ。

 

「俺、頑張るから!だからその……優しく、な?」

「全然意味分かんねーけど、兄ちゃんキモイ」

「Σ(゚д゚lll)ガーン」

 

前に気持ち悪いと言われた時は完全に本能が暴走していたが故に欲望に忠実だったが、今回は理性がハッキリしており、それに加え冷静でまるで容赦のないド直球で言われたためか、遊馬のためならドMになることすら厭わない凍夜にしては珍しくガチで落ち込んだ。

 

「…そっかぁ……うん、わかってた。……うん」

 

亀のような遅さで遊馬から離れ、体育座りする背中には哀愁が漂いまくっている。

 

《言い過ぎたのではないか、遊馬》

「う、うるさい!分かってるよ!」

 

背後に佇む“靄”の指摘に思うところがあったのか、僅かに反省の姿勢を見せる遊馬。

未だに乱れたままの凍夜の服を掴み、気まずげに口を開いた。

 

「兄ちゃん、その……ごめ「良いんだ。俺の方こそゴメンな、遊馬」

 

振り返り、遊馬の頭に優しく手を置く凍夜。

しかし、次の瞬間……

 

「だが遊馬、1つだけ許せないことがある」

 

遊馬の両肩を力強く掴み、怒っていそうな、それでいて悲しそうな表情を浮かべる凍夜。

あまり見たことのない兄の表情に、さしもの遊馬も体を硬くした。

やはり許してくれていないのだと思った遊馬の耳に、予想外の言葉が届く。

 

「どうして俺を頼らなかったんだ」

「へ?」

「遊馬も小鳥も、等々力君も、中学生とはいえまだ子供だ。事件の犯人は大人だったんだろう?今回は無事だったから良かったものの、もし逆上して襲い掛かって来たらどうするつもりだったんだ」

「そ、れは……その、」

 

そこまで考えて行動していなかった遊馬は言葉に詰まる。

 

「犯人を捕まえようとする勇気は兄ちゃんも誇りに思う。実質捕まえたんだから凄い。けど、俺も姉ちゃんも心配した。気が気じゃなかった。……なあ、俺って遊馬にとって頼りないか?頼りたくもない兄か?」

「ちが…っ、そんなことない!」

「なら、次からは兄ちゃんを頼ってくれ。俺の知らない所で遊馬が傷つくのは嫌だ、考えたくもない。……もうこれ以上、俺の大切なモノを奪われたくないんだ…」

 

切ない凍夜の声に、遊馬は胸の奥が痛くなったような気がした。

凍夜は確かにどうしようもないブラコンで、既に手をつけられないレベルの変態で、隠す気も無い末期のストーカーだが、それでも遊馬より年上で……唯一無二の兄なのだ。

久し振りに見た“兄”の顔に遊馬は不思議と笑みが零れた。

 

「ごめん、兄ちゃん。……ありがと」

「あぁ。……ハハッ、帰ったら姉ちゃんから説教だな」

「うげっ」

「兄ちゃんも一緒に謝ってやるから。な?」

「……うん」

 

凍夜の言葉に渋々頷く遊馬。

場が落ち着いた所で、凍夜は右京先生を真正面から見据えた。

 

「次は無い」

 

それだけ言うと、小鳥と等々力の方に歩み寄った。

等々力は先程の遊馬とのやり取りで凍夜のことをある程度信用したのか、その目に怯えは無い。

 

「2人共、夜も遅いし送ってくぜ」

「い、いいですよ!1人で帰れますし…」

「僕も大丈夫です」

「分かった、言い方を変える。俺が心配だから黙って送られろ」

 

半ば強制的な言い方ではあったが、小鳥も等々力も嫌な気分ではなかった。

それどころかちゃんと心配されていることが分かり、お互いに顔を見合わせて笑った。

心はどこか暖かく、むず痒かった。

 

 




「……あれ?私は?」
「お年寄りと家族以外の大人に優しくする義務も理由も無いんで」
「(´・ω・`)ショボーン」

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