聖書に書いてある男達は一部を除いて素晴らしい自己紹介するのだが・・・俺は何も考えてなかった。
腕を組み考えてると、痺れを切らしたのか襲ってきた。
気当たりの残像を使っている・・・器用な人だ。
紙一重で投げの攻撃を躱しながら問う。
「初めましてじゃないでしょ、何度もここに下見に来てますよね?」
この老人は、去年から何度か野生の武術家から逃げている俺を遠目で見ているのだ。
気でバレバレですよ・・・。
「ほぉ、気づいておったか。流石は気の運用の天才じゃな」
「ところで、拳魔邪神に連れ去られた美羽の居場所って知ってる?」
「もちろん知っているが、死ぬお主に教える意味はないのぉ」
返答と同時に美雲が8体の影分身を出した・・・
刹那の中、俺は聖書(ジャンプ)の名シーンを思い出す。
(どんな術にも弱点となる穴がある・・・)
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あれは3年前に長老と二人で一緒に釣りをしてる時だ。
「悟ちゃんや、お主の影分身じゃが致命的な弱点があるのだが、分かるかのぉ?」
なんでも特A級でも上澄みしか分からない弱点があるのだとか。
「んー、影分身するときに術者本人の気が微かに濃くなることですね?」
「やはり気づいておったか、なら何故直さぬのじゃ?お主の才なら完璧な影分身が行えるはずじゃが・・・」
「長老、これは意図しているから弱点にはならないんですよ」
俺は笑顔で返答する。
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美雲は8体の分身を出し思考する。
(このガキの分身には致命的な弱点がある。分身の量が多くなるほど、本人の気が濃くなっていくじゃ。並みの達人なら分身の量で圧倒されて気づくことが無いだろうが。さぁ分身を出せその時が最期貴様の死じゃ)
「界王拳2倍!」
周辺に気の衝撃波が吹き荒れる・・・。
「影分身の術(ガチ)!」
(やはりガキじゃのぉ、わしの挑発に乗り分身を出しおった。そして本体は貴様じゃ!)
三雲は残身を使いながら、悟に肉迫する。
「櫛灘流 地中投げ!!」
悟は、地中深くへと押し倒される。
押し倒された悟の身体が青く光り輝く。
(気が膨れ上がってる、しまった・・・)
美雲が分身だと気づいたのと同時に、悟は爆発する。
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聖書(ジャンプ)の王子の自爆技である。
これは気弾を出すよりもずっと楽だ・・・制御する必要が一切ないから。
影分身を爆発させるとなると難易度は桁違いだが・・・これも聖書の教え。
味方サイドが使う技じゃない気がしたんだけど、聖書で使ってたから問題ない。
投げ技が想像より遥かに高威力で、自爆技の威力が低くなったこともあるが・・・
恐らく美雲本人の武術の一種なのだろう、上手く爆発の衝撃を受け流している。
影分身を大量に作成した瞬間に俺は気の消失を使用し、上空へ跳んでいた(月歩)。
緒方直伝の音を殺して動くのが癖になってる俺は、無音で美雲の上から急襲をかける。
「30連釘パンチ!」
美雲はパンチの衝撃で地面に減り込み、地震のような衝撃が海辺に広がる。
俺は大穴を覗き込む・・・辛うじて生きている。
顔面に当てたのに、原型がある・・・やはり衝撃吸収は伊達じゃないな。
多分、身体能力の低さを技術で補ってるような感じだ。
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(このクソガキが!!・・・ここは撤退するしかないのぉ)
美雲に釘パンチの衝撃が押し寄せる中、撤退の選択をする。
釘パンチの衝撃が終わるのと同時に、美雲が気の炸裂をするのと同時に悟も気の炸裂を発動させる・・・精度は圧倒的に悟が上。
気の炸裂で押し負けた美雲の動きが止まる。
美雲に追撃を与えるため悟が迫るのと同時に武器組が動き出す。
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武器組の二人が動きだしたのを気で感じる・・・もちろん常に警戒してたよ。
流石に特A級の武器組2人を抑えて、美雲の逃亡を阻止は出来ないな・・・仕方ない。
美雲の腹に手を当て体内の気を操作する・・・お土産だよ。
武術家なら見た目より肉体が強化された方が嬉しいよね?
俺は武器組の攻撃を紙一重で回避し、界王拳2倍の走力で逃げるのだった・・・。
基本的に気の運用メインの美雲さんは、相性悪いです。