第一話   作:宇宙とまと

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第2話合衆国崩壊

 その日は、まだB棟の掃除は出来ないので、客用寝室を使う事になった。当然アクアは一人部屋だw

 

 

 

 

電気を消して色々考えていると

 

(転生の次は、異世界転移にタイムスリップかよ。まあ僕たちの世界より、かなり平和そうな世界なのは幸いだなあ。でも日本の敗戦が無いと民主化は遅れるだろうし、デメリットも有るな。元の世界に帰れないかも知れない。その時は何とかして全員でこの世界の日本に、帰国する事を考えた方が良いな。でも、そのために何とか帰国費用も必要だし、まずパスポートを何とかしないと)

 

 

あまりにも非現実的な(お前の存在もな)、出来事や今後の事を考えていると、直ぐに眠気に襲われ眠ってしまった。

 

 

「キャアアアアア」

 

悲鳴を聞いて目が覚めたアクアは、ベッドを飛び降り寝巻のまま廊下に飛び出した。

 

(まさか強盗でも来たのか! この周囲は治安もかなり良いって聞いたが)

 

ルビー達の安否を確かめようとすると、ルビーと眠そうな有馬も部屋から出て来て、隣の部屋からはあかねと、MEMちょも出て来た。

 

「何が有ったのあー君」

「この声はアリサちゃんの声だと思う」

「まさか誘拐?」

「MEMちょ、怖い事言わないでよ」

「世界〇〇ニュース、夏のスペシャルでやってたわよ」

と有馬。

 

 

廊下を進むと廊下でアリサが泣いていて、家族が宥めていた。

 

 

「何かあったんですか?」

 

 

「2回目何だけど、お兄さん達と出会った公園に関係あるんだ」

「ええっ、公園が大爆発したの」

「ルビーの、その発想が怖い」

アクアは流石に少し呆れている。

「アクア君、千葉県で地中の天然ガスが漏れ出して、引火していわし博物館が全壊した事があるの」

まじかよ。じゃあその公園の地下で何らかの天然ガスが爆発したのだろうか?

 

「違うよ。3月になって直ぐに怖い夢を見たんだって。近くの公園目がけて大きな雷が落ちる夢だったんだってさ」

「ええ、それで数日後に低気圧が接近して、大荒れになったんです。かなり雷雨が激しくて……あれは午前4時くらいだったかしら。雷の音で皆起きてしまって」

 

 

突如すさまじい稲光が、公園の方に落ちて数秒後、まるで爆弾でも爆発したような衝撃が来て、建物が激しく揺れたらしい。

 

 

「あっ、もしかしてあの切り株!」

「あっそういえば、公園にかなり新しい大きな切り株が有ったよ」

有馬とMEMは、公園で真新しい大きな切り株を見たらしい。どうやらその雷の直撃を受け、木が倒れるか炎上して切り株だけが残ったのだろう。

(3月の上旬は荒れる事も多いみたいだし、爆弾低気圧みたいなのが大西洋岸を通過したのだろう)

 

 

 

 英国では、

『三月は、ライオンのごとくやって来て、羊の如く去る』

という諺がある、3月の上旬は春一番の強風や、雷雨で荒れ模様の天気となり、3月末になると気候も安定し、穏やかな天気になるからだ。

 

「今日はもっと怖い夢を見たの、一杯炎や黒煙が見えたの。そしてどこかの町らしいところにおっきなキノコが生えて、何も無くなったの」

 

(巨大キノコ……テレビで、怖いホラーでもみたのかも)

キノコはキノコでも本物では無いのだが……

 

 

するとあかねが目線を下げ、

 

「アリサちゃん、それは多分日本の古い言葉で、『逆夢』って言うの」

「サ・カ・ユ・メ?」

「えっと説明難しいな……つまり悪い夢の、真逆の事が起きるって事なの」

 

意味を理解した、アリサはようやく笑顔を浮かべた。

 

と同時にアリサはまた眠たくなってきたようで、母親に手を引かれ寝室に戻って行った。

 

 

少年も寝室に戻り、アクア達も戻ろうとすると父親に呼び止められ、封書を手渡された。

「これは?」

「領事館のコンドウ一等書記官への紹介状だよ。彼とは東京赴任中に出会って、その後親友になったんだ。彼なら君達の話を聞いてくれるかもしれない」

「こんなにもして頂いて、ありがとうございます」

「本当は同行してあげたいが、明日は会社で会議が有ってね」

 

 

「領事館の辺りの治安はどうなんですか?」

 

「それほど悪くないね。日中はまあ安全じゃないかな。ああ、ナチスの手先には注意したまえよ。じゃあお休み」

 

 

「ナチスってジョークかな、あかね?」

「多分そうだね。泣いたり騒いでいる子を静かにさせる為じゃないかな。じゃあお休みあかね」

「アクア君も」

 

その時ぼけっとしているかなに気付いた。

「あれっ、かなちゃん寝れないの?」

「アクたん、あかねちゃんかなちゃんも、変な夢を見たんだって」

「どんな夢?」

「あの子とは違うわ。ふわーっと空を飛んだわ」

「臨〇体験?」

「ルビー、ハドソン川で泳ぎたいのね」

 

 

 かなは、ふわーと空を飛び夢の中でカナダ南東部まで飛んだらしい。

「すると、そこで地面に降りたんだけど、誰も私に気付かないわ」

そりゃそうだろうよ。

 

「大量の戦車?」

「大量の大砲?」

「大勢の軍人さん」

 

「今にも攻め込みそうな感じだったけど、夜明けに演習でもするのかしら」

「そんな演習迷惑だよ。あり得ないよ」

とルビー

「いや現代と違って、この時代だと誰も文句言えないんじゃ」

「そうだね。この世界でもナチスとは史実通り戦争をして勝ったんじゃないかな。軍の練度を維持するための大演習かも」

「先輩、何か気付いた事無いの?」

 

「カナダなのに、フランスの国旗が有ったわ」

有馬の発言に全員首を傾げた。フランス軍とカナダ軍の合同軍事演習なのだろうか?

「かなちゃんが見たのが、ケベック州ならフランス系移民が多いから……それ関係無いか」

 

ケベック州は、人口の大半がフランス系移民で……

「旅行したアネモネさんが、全然レストランとかでフランス語しか使えず大変だったって、聞いたよ」

(NATO(北大西洋軍事機構)って、もうあったっけ? まあ有馬の見た夢だから、日本を出る前に戦争映画でも見た可能性も)

 

 

 

「それと、あー君。カナダってオリジナルの戦車って開発してたの? 日本やアメリカみたいに」

全員の視線が集結するが判る筈が無い。

「大英連邦の一員だから、英国の戦車か、アメリカの戦車をライセンス生産しているんじゃ?」

 

「でも、今思い出したんだけど……10年ほど前、ガールズ&パンツァーって戦車アニメあったよね」

あかね以外頷く。

「あれ今映画で最終章やってるよ」

「間隔長過ぎて、内容忘れちゃうよ」

 

MEMとルビーちゃん全く同感です。後2話で完結ですが、第一期ハリス政権(仮)の間に完結したら良いね。

 

「黒森峰学園って有ったよね」

確か主人公の西住みほが、もともと所属していた学園だ。

「そこが使用していた、『パンター戦車』にそっくりな戦車だったわ」

 

 

しかしその戦車は名前からすると、ドイツ製だ。なぜそんな戦車が大量に……英国かフランスが、『パンター戦車』に偶然似たデザインの、新型戦車を設計したのだろうか。

 

「アクア君、この世界でもドイツの戦争は起きて、戦場で鹵獲したドイツ戦車を参考にして、新型戦車を設計したんじゃないかな」

多分あかねの言う通りなのかもしれない。

 

「他に旗は無かった?」

MEMに聞かれ、20秒ほど頭を捻っていた有馬は、

「周囲が赤で、真ん中が円形で白い旗……白い部分に、何か地図記号みたいなのが」

よく見ようとした瞬間、アリサの悲鳴で目が覚めたらしい。

 

「ケベック州の旗じゃ無さそうだし」

「そんなキモイデザインの旗、多分誰かの悪戯だよお兄ちゃん」

「そうかもな、じゃあまだ午前1時45分だし……お休み」

「お休みー」

 

全員部屋に引き上げて行く。電気を消す前、アクアは窓を開けて星空を見た。

(神木と対峙した、あの日もこんな風に美しい星空だったな)

 

1分程並行世界の星空を堪能すると、アクアは窓を閉め鍵をかけた。

 

 

再びベッドに入ると、アクアは程なく眠気に襲われた。

 

(この世界の第三帝国はどうなったんだろう。ま、朝になってから聞け……ば……)

 

 

かなの部屋

 

(あっ、そういえばもっと大きな戦車もいたっけ。パンター戦車の車体に、もっと大きな大砲搭載……してた)

 

 

2時間後

 

 

 

アメリカ東部標準時

午前3時45分

 

カナダケベック州南部 米加国境付近

 

 

 確かにそこには、多数の戦車が勢揃いしている。かなの夢の光景そっくりで、確かに『パンター戦車』に酷似した戦車も多数並んでいる。

 

 

いや戦車だけではない、野戦重砲、高射砲、対空機関銃を搭載した戦車や、装甲車。歩兵を搭載した戦闘装甲車。

某秋山殿が見たら、歓喜の余り昇天するであろう光景だ。

 

陣地の隅には、確かにかなが見たフランス国旗も有った。

 

が、しかしかなはある勘違いをしていた。確かにその国旗は『フランス』の国旗だが、『フランス』の前に『ヴィシー』の四文字が付いているのだ。

 

 

およそ8年前

 

1940年6月22日

 

 

 

 

 フランスは侵略者との間で、パリ郊外のコンピエーニュの森の森に置かれた食堂車で、屈辱的な休戦協定に調印させられた。

その食堂車は、30年前の第一次世界大戦の終結に際し、降伏文章への調印が行われた。ただし、その時は勝敗は逆だった。

 

 

 

第一次世界大戦の際は、フランスは膨大な犠牲者を出しながらも、一度もパリを敵手に委ねる事は無かった。

 

しかし今度は、フランス側が『戦車の運用は不可能』と考え、警備が甘かったアルデンヌの森から、敵戦車部隊は大挙して侵入英仏軍は各所で分断され、大打撃を受けた。イギリス軍は5月末にダンケルクから撤退。

 

 

侵攻開始からわずか30日で、フランス政府はパリを放棄し、6月15日に無血で占領された。

 

 その後フランス北部(パリ含む)と、大西洋沿岸部は割譲され、残りのフランス南部と植民地は、老齢の先の世界大戦で、英雄とされたフィリップ・ペタン陸軍元帥を首班にして、『ヴィシー政権』が成立した。

 

(ヴィシー=首都が置かれた、フランス中部の都市名)

 

が、一応名目上の独立権と内政自治権が得られたが、実質的には侵略者の傀儡政権でしか無かった。

 

 

 

真の支配者は、ルビーがダサそうな旗とこき下ろした、周囲が赤で中心に白い円があり、中心部には『寺』の地図記号によく似た十字が描かれている。

 

もし、その旗を貴方がイスラエルのテルアビブや、ドイツのベルリンで振り回したら、即座に逮捕され禁固刑に処されるだろう。

 

 

その旗……すなわちハーケンクロイツ……ナチス第三帝国改め、大ドイツ帝国軍こそがこの場の主役だ。

 

鍵十字は、西部シベリアから、一部の中立国を除く欧州全てを飲み込み、今やカナダ東部までを占領していた。

 

 

 

 

 装甲車の後部キャビンを改造した、会議室で最終的な対米侵攻作戦『ヴァレンシュタイン作戦』の確認が行われていた。

 

 

「ファルケンホルスト上級大将の、東方軍はノバスコシア半島に侵攻し、二週間以内に主要都市、ハリファックス・ダートマスを陥落させ同地の英国軍を撃滅せよ。その後最低限の警備部隊を残し、主力は合衆国北東部メーン州に侵攻。港湾都市バンゴールを目指す」

 

「ヘルマン・ホト上級大将の西部軍は、リデュー川沿いに、オタワ方面に展開する日英軍を48時間以内に撃破。その後残存兵力を殲滅しつつ、3日以内に大都市トロントを包囲。部隊を二つに分け、一方は南下してデトロイトを占領し、五大湖工業地帯を制圧」

 

「フリードリヒ・パウルス上級大将の中央軍は、ニューヨーク州、バーモント州、ニューハンプシャー州の主要都市を占領し、ニューヨーク市を目指せ」

 

 

「ベルリンから、元帥閣下にお電話です」

「そうか」

 

 

 

 元帥は、装甲車を出て近くに停車している、通信室に移動した。

 

 

 

「ハ(書いたらアカウントが爆散する挨拶)

「元帥、攻撃準備は滞りなく進んでいるかね?」

「既に遺漏なく完了しております。マイン・フューラー」

「一つ聞きたいのだが、君は今でも本心では侵攻作戦に反対かね?」

「……」

「君の立場からは、はっきりと反対は出来んか。では君に問う。大ドイツ帝国軍の最高総司令官は誰か?」

「無論総統閣下であります」

「うむ、では大ドイツ帝国軍最高司令官として、ヴァレンシュタイン作戦の遂行を命じる」

「了解しました」

「案ずるな勝算は十分以上にある。合衆国は一月以内に崩壊するだろう。君が対仏戦や、対ソ戦で見せた手腕に期待する」

 

この会話をあかねとアクアが聞いていたら、失笑しただろう。史実では、真珠湾奇襲の数日後には各地の徴兵事務所は、志願者で溢れかえった。アメリカ人は、侵略者に対しては一致団結して対抗する。

 

 

 

(私がプロイセン軍人である以上、たとえそれが国家を危うくしかねない命令であっても、従わぬ訳にもいくまい)

 

 

 

元帥は諦め交じりの溜息をついた。

 

 

「元帥閣下! 間もなく攻撃予定時刻です」

「判った」

 

 

フランス侵攻作戦を立案し、その後も対ソ戦で大いに活躍した、大ドイツ帝国軍随一の知将である、北米総軍総司令官エーリッヒ・フォン・マンシュタイン元帥は戦闘指揮車に戻り、通信マイクのスイッチを入れた。

 

 

 

「全軍攻撃開始!」

 

 

 

次の瞬間、170ミリ重榴弾砲や、対ソ戦で活躍した28cm列車砲K5列車砲などが、一斉に火を噴き国境向こうの米軍陣地に攻撃を開始。

 

 

 

 

 程なく無数の爆炎が上がり、まるで昼のように周囲を赤く照らした。既に離陸した、ドイツ空軍の夜間爆撃も開始されて、米側の航空基地からは無数のサーチライトの光が見えた。

 

 

これでも、アメリカ人は通常なら多少は混乱しても、やがて一致団結して戦い、失地を回復して、ドイツ軍を押し戻しただろう。

 

が、それも「頭」が存在すればの話だ。

 

 

 7時間15分後、ケベック州の自然公園から発射された、A10型反応弾頭ミサイルが、ホワイトハウスと連邦議会の中間点……上空600メートルで炸裂し、ホワイトハウス内の全員と、連邦議会議場の全議員が死亡した。30分後2発目が、バージニア州ノーフォーク軍港内で炸裂し、米大西洋艦隊主力は壊滅した。

 

 

 

 アメリカ合衆国は指揮統制を失い、アメリカ北東部に薄く布陣していた、アメリカ軍4個師団は、各所で包囲殲滅され、

 

アメリカ中部や南東部、東部の10以上の州が相次いで、『アメリカ合衆国からの離脱』を表明し、州知事が勝手にドイツ軍と休戦交渉を始めてしまい、合衆国は総統の予想の半分の期間、僅か半月で崩壊状態に陥る事を……

 

 

 

アクア達はまだ……知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アリサが見たキノコ=キノコ雲

 

かなが見たでかい『パンター戦車』=パンター戦車の車体に、128ミリ高射砲を搭載した、『ヤークトパンター」

 

 

何故カナダに大ドイツ帝国軍が=ケベック州に多いフランス系移民が反乱を起こし、同地のフランス系移民を守ると言う名目で、ヴィシーフランス軍が第一陣として上陸。続いて第二陣として、同盟軍の大ドイツ帝国軍が上陸(無論こっちが本体)。

 

このクーデターを計画した、ナチの某高官は、今後アクア達を狙うかも。(史実ではプラハで暗殺)

 

 

 

 

 

 

 

予告通り、本誌でアクア君の死亡が確認されるか、生死不明で死亡の可能性が大きいと判断したら、作品は削除します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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