ナマコブシを投げるだけの簡単なお仕事。   作:ジョージ・マッケンジー

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10評価を貰えた喜びとランキングに乗っていた驚きで筆が止まらない


よく会う、おっさん。

 

 

 

 

 【&月D日】

 

 今日はリラさん復活!って事で、数週間振りの探索だ。

 アセロラちゃんとは此処でさよならバイバイらしい。

 エーテルハウスの管理やらで同行は出来ないだろうし、しょうがねーな。

 悲しいけど!!

 

 さて、先ずは例の湖をどう渡るかが肝であった(はず)なのだが、ハンサムの呼び出したライドポケモン・ラプラスによっていとも容易く渡れてしまった。俺とツヨシの血の滲む努力が……。

 

 テンションが下がりつつも17番道路に到着。

 殆どは崖崩れで跡形もなくなっていたが、唯一の施設である交番のみが無傷のまま姿を保っていた。恐らく特性:がんじょう なのだろう。最近のポケモンはプレイしてないが、ワンチャン建物に特性が付与されている可能性も否めないからな。

 

 「んじゃ、入りましょ」

 「待て、UBは知能を持っている。この交番自体が罠の可能性だって無いわけじゃない」

 

 神妙な顔で告げるハンサム。確かに交番だけが土砂崩れの被害を受けていないのは不自然だ。なるほど、一理ある。

 俺はウンウンと頷きながら交番の扉を開けた。

 

 「ちょ、カナデさん!?──────」

 

 ──────ガタッ、

 

 「お、クチナシさんじゃん」

 「…やけに外が騒がしいと思ったらアンタらか。嬢ちゃん、少しは警戒した方がいいぜ?」

 

 正直、慢心してるのは多少の自覚があるのだけれど、マッシブーンを連れてるだけでUB側から避けられるから緊張感無いんだよな。何気に手持ちの中でも一番有能な気がする。

 

 「クチナシさん、こんなとこで何してんの?」

 「……仕事だ」

 「仕事?こんな世紀末のアローラで?」

 「()()()()()、だろ」

 

 何そのプロ意識。ナマコブシ投げのバイトをバックれた俺が惨めに見えてきた……。

 そもそもナマコブシ投げって何だよ。アレで日給が高いのはアローラ七不思議の一つに数えていいと思う。

 クチナシさんは視線を俺の後ろに向け、僅かに頬を緩ませる。

 

 「おぉハンサム、久しいじゃねぇか」

 「…君か、クチナシ。その様子だと調()()は順調に進んでいるらしいな」

 「そりゃ勿論」

 

 何やらUBの調査報告に話題が移ったので、しれっと逃げた俺はリーリエとほしぐもちゃんを愛でることにする。

 合法的にリーリエの手に触れる神イベントだ、ヒャッハー!!

 

 あと、これは後でリラさんから聞いた事なのだが、クチナシさんはハンサムの同僚──つまり、国際警察らしい。

 あのオッサンが国を跨ぐ警察……世界ってのは案外分からないものだ。

 

 ハンサムとクチナシさんの長い長い会話が終止符を打ち、気付けば夜。

 崩壊した土地の移動に多大な時間を費やしたのはあるが、にしても話長すぎんだろ。途中から酒の話になってたの聞こえてたぞ。

 

 結局、今日は女性陣(もちろん俺含む)は交番内、男性陣は野宿をする事に。

 この状況で野宿は危険では? と思う方もいるかもしれないが、安心して欲しい。

 

 「マッシブーン、今夜はあのオッサン二人組の護衛を頼む」

 『ぶーん』

 

 もう便利屋じゃん。今の俺にとっては、正直ドラ〇もんよりも頼もしい。

 マッシもん!悪魔のパスポート出して!

 

 

 

 

 

 【&月E日】

 

 クチナシさんに色々と聞いた。

 アローラの状況を把握しておくのも有能ロリの嗜みである。

 

 曰く、アローラほぼ全壊。

 曰く、UBは全種類確認済。

 曰く、他地方まで影響が出ている。

 

 「それって外国からの救援も期待出来ないんじゃ……」

 「どの国も自国を防衛するのに手一杯ってワケだ。おじさんにはドロドロな社会情勢なんて脳が受け付けねぇけどな」

 

 そう言って言葉を切る。

 俺が言うのも何だが、クチナシさんは少し変わっている気がする。

 ……いや、変人とかそういう意味ではなくて、異質、ってカンジ。

 

 あと、そんなクチナシさんから『Zワザ』発動に必要な『ゼンリョクポーズ』とやらを教えて貰った。無論、全てを込めた一撃必殺なんて、割と男のロマンも理解してますよ系ロリの俺にとっては目がないワケで。

 

 「じゃあ、よーく見てろよ。一回しかやらねぇからな」

 「はい!師匠!!」

 

 そして、クチナシさんは『ゼンリョクポーズ』を────!

 

 「だっせぇ笑」

 

 この後リーリエにめちゃくちゃ叱られた。

 心做しか、僅かにしょんぼりしていたクチナシさんが記憶に新しい。ごめんよ……。

 

 

 

 

 

 【&月F日】

 

 次の出発は何時いつなのか聞いてみたところ「今は準備中だからもう少し待ってろ」との事。

 はて、準備とは? 初耳なんだが。

 やはりというべきか、この人ら俺を年端も行かない少女だからと侮っている可能性がある。

 計画くらい教えてくれてもいいじゃんか!!

 

 「ん?」

 『ミキュッ』

 

 今日も今日とてナマコブシ君の特訓をしていた時に、此方へ寄ってくる気配を感じる。

 頭に疑問符のアンノーンを浮かべながら振り返るも、茂みが僅かに揺れただけで何も居なかった。

 

 「疲れてんのかな、俺」

 『ぶっし』

 

 幻聴まで聞こえてしまうとは、俺も案外この世界でストレスが溜まっているのかもしれない。……まぁ、リーリエやリラさんのお陰で十分の一くらいに軽減されているのだけれど。

 

 

 

 

 【&月G日】

 

 俺とリーリエが呑気に駄弁っていると、改まってシャキッと姿勢を正したリラさんが交番から出てくる。何事かと思っていると、ボールを右手に携えたまま口を開く。

 

 「本日はポータウン───()()()()の根城へ侵入します!」

 

 

 

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