ナマコブシを投げるだけの簡単なお仕事。 作:ジョージ・マッケンジー
【$月E日】
リラさん曰く、UB02──マッシブーンを連れてる俺を要監視対象にするついでに(マッシブーンの)力を借りたいらしい。俺は求められてないっぽい。今日はひっそりと枕を濡らすこととしよう。
「イヤです」
「拒否権はありません」
人権どこ?
「いやだって……話を聞いた限りだとマッシブーンだけで良くないスか?」
心なしかスカル団の口調が移っている気がする。この容姿とこの語尾を合わせると立派な後輩キャラの出来上がりだ。ラブコメ人気一位間違い無しだな!!
「私達の手でUB02を従えられるかも不明瞭ですし──もとより、貴方は監視対象です」
「えぇ……」
あ、UBってのは変な穴──政府が『ウルトラホール』って名前を定めたらしい──から出てきた化け物の総称だ。無駄にかっけー名前しやがる。4文字だけ分けてくれないかな? 今日から俺は「ウルトラカナデ」です。
「アローラ全土が崩壊の危機に立たされている現状況、どうかカナデさんにお力添え頂けないかと」
「いや、カナデじゃなくてウルトラカナデっす」
「─────はい?」
【$月F日】
国際警察に半分誘拐される旨をリーリエに伝えると、自分も俺と一緒に付いていく等と言い始めた。流石の俺も止めようとしたのだけれど、思っていたよりリーリエは頑固な子らしい。自分の意思は簡単に曲げない所も可愛いネ。
とはいえ同行を許すのは内なる俺(20代男)が良く思ってくれない故に「危険な状況に君を晒したくない」的な発言で宥めておいた。彼女は頑固であると同時に物分かりがいい子でもあるのだ。うーん、ハイブリッド。
リーリエの説得を済ませた後、いつもの海岸へと歩みを進めた。俺にとっての
────まぁ、きっと明日には帰ってくるだろう。
「国際警察と同行する許可、貰えちゃいました!!」
「ん??」
ポケセンに入るや否や、リーリエがそんなことを言いながら飛び込んできた。はて、この子は何を言っている? そんな簡単に許しちゃダメだろ、国際警察。
無邪気に喜ぶ彼女の隣には、嬉しそうに『ほしぐもちゃん』がふわふわと浮いていた。リーリエが妙に隠している時点で何かあるんだろう、とは思っていたが……。
【$月G日】
「うん、爽やかな酸味が奥深さを際立てている……良いコーヒーだね」
「カフェオレですけどね」
ポケモンセンターのカフェテリアにて。朝には欠かせない珈琲を啜りながら、俺は舌鼓を打つ。偶然避難者の中にカフェのスタッフ経験者が居たらしく、数少ない娯楽の意味を含めて営業しているのだとか。
「……さて、ハムサンさん、でしたっけ?」
「ハンサムだ。それで、UB調査の同行に関する件───承諾頂けますかな?」
どーせアンタら承諾しなくても連行すんだろ、と言う言葉は喉元で抑える。正直なところ、俺に此処まで固執する理由がわからん。「マッシブーンを従える存在が必須」とか何とか言っているが、昨日の実験で普通に人間に害は及ぼさないことが判明している。
どちらかと言うと、俺に潜む
「リーリエも行くみたいですし、同行はしますよ」
「……! それは有難い、此方としてもちょうど戦力不足なものでして」
「ただ、条件が一つ。彼女、リーリエに危険が及ばないようにして頂きたい」
俺の言葉を受け、ハンサムが僅かに眉を顰める。
「悪いが、今回の件はイレギュラーな調査。絶対の安全は保障しかねる」
「なるべくでいいっすよ。俺もアイツらの怖さは痛いほど知ってるんで」
特に後ろでポージングしてる虫な。ロリに対して筋肉アピールって半分犯罪では?(偏見)
ついでに言うと、数日前に見た黒い化け物───ビルまで食べちゃう食いしん坊のお茶目さんも含まれる。
てか「ハンサム」って何だよ。名付け親どういう心情で付けたん??? ……いやまぁ、確かにハンサムだから結果的に合ってるけども。
【%月A日】
今日は魚釣りをした。ポケセンの廃品置き場に「ボロの釣竿」が落ちてたので、気分転換にね。
釣り糸を垂らし、ボーッと水面を眺める。あぁ^~心が安らぐんじゃぁ^~。
ワンポイントアドバイス───空は見ないようにしようね! 風情もクソもないウルトラホールに雰囲気ぶち壊されるよ!
結局、コイキングすら釣れずに終わった。
【%月B日】
明日にでも此処アーカラ島を出発するらしい。そういや、バイト辞めなきゃいけないじゃん───ってことでオーナーのオッサンに伝えに行こうとしたところで、気付く。
「そーいやあのオッサンどこ?」
ウルトラホールが大量発生してからというもの、一度も見かけていない。給料未払いなんだが??? 仕方なく、俺はバックれることにした。明日からは実質リーリエとのアローラ巡り、ぶっちゃけ楽しみである。ナマコブシ君も気分が高揚してきたのか、嬉しそうに中身を露出させていた。それちょっとグロいからやめてもろて。