【魔王学院×遊戯王】最強魔王VS最強社長~アノス様は海馬社長と青春を謳歌する~   作:生徒会副長

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※遊戯王の瀬人キサと魔王学院のアノス・ネクロン姉妹が出会っていい感じにホイするお話です。

※魔王学院10章まで読了することを推奨(理滅剣ヴェヌズドノアに関する重大なネタバレ有り)
まぁ遊戯王知ってて魔王学院を知らない人が魔王学院を知るきっかけになるなら本作を見てもらってもいいかなーと思いますが。

※デュエル描写がありOCG準拠ですが、架空デュエルではないです。架空デュエルであってたまるか

※「な・る・ほ・もぉ」と納得した人は全速☆前進DA!


①「魔王のデュエル」

 優しい世界が始まった後も、暴虐の魔王アノス・ヴォルディゴードは、まだまだ青き春を探し続けていた。

 

「デュエルモンスターズには青き春があるという」

 

 そう言ったアノスの眼下には、サーシャとミーシャがいる。

 

「デュエルモンスターズ……」

「……って、なに?」

 

 創造神と破壊神であるこの2人ですら知らないのは無理もない話であった。

『デュエルモンスターズ』とはこの世界の言葉ではないのだから。

 サーシャの問いに答えるように、王命の間の扉がバンッと開かれた。

 

「ふぅん……。知らぬのなら、このオレが教えてやろう! この海馬コーポレーション社長にして、最強のデュエリストたるこのオレ、海馬瀬人がな!!」

「どうも。私はこの人の妻で、キサラと申します」

 

 王命の間に入ってきた一人、海馬瀬人と名乗った方は、身長186cmの細身の男。茶色い髪を短く切り揃え、青く鋭い目つきをしている。襟が大きく白いマントのようなコートを羽織っていた。

 もう一人のキサラと名乗った方は身長165cmの女性。長いストレートの銀髪を靡かせ、前髪一房がゼシアと似たように長く垂れている。青い瞳は優しげながらも強い意志を感じさせるものだった。研究員然とした白衣をまとっている。

 

「ふーん。誰なのこの2人……。……いやマジで誰よ!!? 名前も服装も根源も、全然この世界の人間や魔族と違うんだけどっ!!?」

「異世界人だからな」

「はああああああああ!!?」

 

 ちょっとアゼシオンなり地底なりの有力者が挨拶に来た程度のノリで異世界人が出てきたことに、サーシャは驚きを隠せない。ミーシャも目を丸くしている。

 アノスが説明する。

 

「何やら、異世界海馬ランド計画? とかいうものの為に、交流できる異世界を探しているという電波を受信してな。逆探知したのち、こっちの世界に来られるように入口を開いてやったのだ」

「ふぅん。そのとおり。異世界海馬ランド計画最初の一歩として、貴様のような話が通じそうな奴と交渉できたのは僥倖だったぞ、アノス・ヴォルディゴード」

「それがデュエルモンスターズ? とどう繋がるのよ……」

 

 瀬人が答える。

 

「デュエルモンスターズは、我が社が手掛けるテーマパーク『海馬ランド』のテーマの一つにして、俺の世界で流行しているカードゲーム。いや……もはや只の流行でもカードゲームでもない!」

「どっちよ!」

 

 キサラのツッコミに対し、キサラは補足に入る。

 

「えぇっと、そちらの世界における、魔法や魔剣のようなものでしょうか。それぐらいありふれていて、ゲームで勝敗を決したり楽しんだりすること以外にも、その技術が活かされているという意味です。」

「た、例えば……?」

 

 キサラが話す。

 

「私達がこの世界に来る際も、アノス陛下の力の他に、『ブルーアイズ・ジェット・ドラゴン』というカードの力も使いましたし」

「なんで只のカードが魔王列車以上の力持ってるの!? チートなのっ!?」

「やろうと思えばカードゲームで人が死んだりカードゲームを兵器として使ったり出来ちゃいますねぇ……」

「カードゲームで人が死ぬって何よ……。トランプとかUNOみたいなものでしょ?」

 

 瀬人が口を挟む。

 

「サーシャ・ネクロン、貴様ぁ! 俺の夢と未来へのロードを支えるデュエルモンスターズを、トランプなんぞと一緒にするなぁ!」

 

 さらにキサラが合いの手を入れる。

 

「そうですよサーシャさん! そしてこの御方こそ! 軍事企業・海馬重工をエンターテイメント会社・海馬コーポレーションに転生させ! 兵器にしようと思えば出来たはずのデュエルモンスターズを、子ども達の夢と未来の為の『遊戯』の『王』として普及させ! デュエルディスクやソリッドヴィジョンシステムなどの画期的な発明で世界の常識を覆した! 私の最愛の人、『海馬瀬人』様なのです!」

 

 ミーシャが、アノスを見て呟く。

 

「…………似た者同士?」

「ふむ。まぁそれなりに良い付き合いが出来そうではあるな」

 

 運命の歯車が悲劇を強いる世界を、優しい世界へ生まれ変わらせた最強の魔王。

 軍事企業と兵器になり得る強大な神秘の力を、夢と平和の為の会社とカードゲームに生まれ変わらせた最強の社長。

 気が合うところはあるのかしれない。

 瀬人が言う。

 

「そしてサーシャ、ミーシャ、アノス! 貴様らに見せてやる! デュエルモンスターズの頂点に君臨し、俺のプライド……俺の魂を受け継ぎし、強靭!無敵!最強ォ!たる、我が最愛にして忠実なるしもべ!! トランプごときではおよびもつかぬ、強く美しき伝説の始原を、その眼に焼き付けるがいい……!!」

 

 瀬人はデュエルディスクに装着されているデッキからカードを1枚引き抜き、それをディスクに叩きつける!

 

「青眼の白龍(ブルーアイズ・ホワイト・ドラゴン)!! ワハハハハハハ!!」

 

 その名に恥じぬ、澄んだ青い眼と白く輝く鱗を持つドラゴンを召喚し、瀬人は上機嫌になる。

 その横で、キサラは顔を少し赤らめていた。

 

「嫌ですねぇ瀬人様ったら。相変わらず情熱的なんですから……」

 

 そんなキサラと青眼の白龍を交互に見て、ミーシャが気づく。

 

「キサラと青眼の白龍が根源がそっくり。同一人物?」

「えっと、まぁ、元は1つだったものが4つに分かれたと言いますか。分体と言いますか。同一視して貰っていいですよ」

 

 キサラはそう返事した。

 続いてサーシャが瀬人に問う。

 

「海馬社長は……。その……。龍とか、カードに、恋できるワケ?」

「恋などという安い言葉で片付けるな! 俺とブルーアイズ、俺とキサラは一心同体だ!」

「ふ、ふーん……」

 

 サーシャがチラリとアノスを見たのを、アノス本人とミーシャは見逃さなかった。

 

「なんだ、サーシャ。言いたいことがあるなら遠慮なく言ってみよ」

「…………羨ましい?」

「ち、違う! 全然! 何もないからっ!」

 

 ムキになって否定するサーシャを見て、何かを察した瀬人が宣告した。

 

「ふぅん……。なるほどな。アノス・ヴォルディゴード、俺とデュエルしろ」

「自然な流れでデュエルに突入ですね! 瀬人様!」

「強引すぎるでしょ! 話が見えないんだけどっ!?」

 

 納得したキサラと、納得していないサーシャに続いて、瀬人が言う。

 

「大方、サーシャ・ネクロンは、アノス・ヴォルディゴードの力の象徴か、その源泉なのだろう。にもかかわらず、それと十分の向き合えていないか、それを態度と言葉で示せていないのだ」

「さて。己の力や愛しき配下と向き合えていないほど、愚かという自覚はないが?」

 

 後者をアノスは否定したが、前者はおおよそ当たっている。

 暴虐の魔王アノス・ヴォルディゴードの象徴たる、『破滅の魔眼』、『魔王城デルゾゲード』、『理滅剣ヴェヌズドノア』。それらは破壊神アベルニユー由来のものだ。

 

「ふぅん。貴様が何をほざこうが、貴様が仮に己の力の象徴と向き合えていないというのなら、その愚かさを、敗北で以て、俺のデッキが、貴様の脳髄に叩きつけてやる!」

 

 そこまで力強く言ったところで、瀬人は表情を緩めて軽く笑った。

 

「……とはいえ、貴様はデュエルモンスターズを知ってからまだ1日足らず。昨日、最新のデュエルディスクとルールブックを与えてやったとはいえ、まだまともなデッキも組めてはいまい。ちびっ子相手に使う接待用の手加減したデッキでデュエルする程度のハンデはくれてやるか……」

「最強のデッキで来い」

 

 アノスが自信たっぷりにそう言うと、瀬人は驚きを隠せなかった。

 

「…………いま、なんと言った?」

「お前が持ちうる最強のデッキと戦略で挑んでこいと言ったのだ。たかたが1万種類あまりのカードプールとそれに付随するルール。22時間37分もの猶予を与えられて、網羅出来ぬオレではないぞ。オレに迫る敗北も、お前の手にある勝利も、オレのデッキがたった今から滅ぼし尽くすっ!」

 

 アノスはそう言って、瀬人の向かいに飛び立ち、デュエルディスクを見せつけた。

 瀬人が友好交流の証として贈答した、最新のプレミア厶仕様のデュエルディスクだ。海馬コーポレーションのデュエル・リング・サーバーと接続し、現存する全てのカードを仮想現実上で再現し、デッキを構築し、デュエルをすることが出来る。

 

「ふぅん……。面白い!」

 

 瀬人が改めてデュエルディスクと左腕を掲げる。

 

「貴様の挑発に乗ってやる! 俺の最強デッキを以て、貴様を叩き潰してやる!」

 

 まさにデュエルを開始しようという、その前に、ミーシャがアノスの傍へトコトコ歩いてきた。

 

「アノス」

「なんだ、ミーシャ」

「応援はする。でも、理滅剣を棒きれ呼ばわりしたことは謝ったほうが良い」

 

 文脈の流れからか、瀬人とキサラも興味を持つ。

 

「りめつ剣? 棒きれ?」

「分かるように説明しろ……」

 

 ミーシャが話す。

 

「理滅剣という、サーシャの力を利用してアノスが創った、最強の魔法の剣がある」

「ふぅん」

「ある戦いで、それが敵に奪われたことがあった」

「ほう」

「カードゲームではよくあることですねぇ」

「理滅剣を奪って、勝利を確信した敵に対して、アノスがこう言った。『棒きれ一本手中に収めた程度で、大層な自信だな』」

「ふぅん……。なるほどなぁ……」

「へぇ~~~~~~??」

 

 瀬人とアノスに似たところがあったように、キサラとサーシャにも似たところがあったようだ。

 望まざる滅びの力を生まれ持ったこと。

 それを平和の為に使おうとする、運命の人と出会ったこと。

 数千年の時を隔て、記憶を失っても、二人がまた巡り合ったこと。

 だからキサラには許しがたかった。

 『棒きれ』が。

 

「瀬人様。コテンパンに粉砕・玉砕・大喝采しちゃってください。サーシャさんの為にも!」

「えっ、ちょっ、待っ、別に私もミーシャもアノスに負けて欲しいとはこれっぽっちも」

「言われるまでもないわ! デュエル開始の宣言をしろ! キサラァ!」

「デュエル開始ぃぃいいいいーーーーっ!!」

「人の話聞きなさいよ!!」

 

 こうして、最強の社長・海馬瀬人と、最強の魔王・アノスデュエルが始まった。

 

海馬瀬人/LP8000

《VS》

アノス・ヴォルディゴード/LP8000

 

 

 

 

 デュエルディスクの自動決定により、先行は瀬人からだった。

 

「俺のターン! フフフ……。フハハハハハハ! わーっはははははは!!」

 

 デュエル開始時の初手5枚を見て、瀬人が大笑いする。

 

 初手は『青き眼の賢士』『墓穴の指名者』『灰流うらら』『白き乙女』『青眼龍轟臨』。

 

 この手札から導かれる、相手スタンバイフェイズで完成する最終盤面は――。

 

青眼の究極霊竜/守4000

聖珖神竜 スターダスト・シフル/攻4000

青眼の白龍/攻3000

白き乙女/守0

破戒蛮竜-バスター・ドラゴン/守2800

竜破壊の剣士-バスター・ブレイダー/攻2800

魔法族の里

真の光

 

(ふぅん……。バスター・ドラゴンの特殊能力がバラ撒く竜化ウイルスにより、相手モンスターは全てドラゴン族となる! 強制的にドラゴン族となった相手モンスターは、竜破壊の剣士により守備表示を強要された上で効果を封じられる……。)

 

(魔法によって状況を打破しようにも、竜化ウイルスによって魔法使い族モンスターを用意できない相手プレイヤーは、魔法族の里の効果で魔法が使えん!)

 

(まぁ俺様のフィールドの魔法使い族である白き乙女を除去できれば魔法カードは使えるようになるが……。竜破壊の剣士とスターダスト・シフルによる二重三重の守りを突破して、白き乙女を除去するのはほぼ不可能!)

 

(そもそも、究極霊竜とスターダスト・シフルの2大モンスターによる制圧だけでも、凡骨デュエリストなら、サレンダーする他ないほどのプレッシャー!)

 

(この盤面の構築を防ぐための手札誘発を無効化するカードも、貫通できる為の展開札もある!)

 

(この手札が導く結果は――。アノス・ヴォルディゴード! 貴様の敗北!)

 

(そして、強靭の3乗! 無敵の3乗!! 最強の3乗!!!)

 

 以上のことを5秒以内に思考し終えた瀬人は、アノスに告げる。

 

「アノス・ヴォルディゴード。貴様が史上最強の魔王の始祖であり、不可能も後悔も敗北も知らぬというのなら、このデュエルの勝者も貴様であるはず。しかし! 既に勝利は俺の手中に収まった! 貴様がどれほどの魔王なのかは知らん。だが大事なことを1つ忘れているぞ……」

 

 マントのような服までもが瀬人の昂りに呼応し、芸術的なポーズのシルエットを形作る。そして断言した。

 

「俺という、地上で最強のデュエリストを敵にしているということだ!! 行くぞ、俺のメインフェイズ――」

「ふむ。その前に、少し良いか?」

 

 アノスが言う。

 

「ふぅん……。なんだ? 手札から使いたいカードがあるなら、好きに使うがいい。ルールの範囲でなぁ……」

「エクゾディアのパーツカードが揃ったのだが」

 

封印されしエクゾディア

星3/闇属性/魔法使い族/攻1000/守1000

このカードと

「封印されし者の右腕」「封印されし者の左腕」

「封印されし者の右足」「封印されし者の左足」が

手札に全て揃った時、自分はデュエルに勝利する。

 

「…………いま、なんと言った??」

「…………えっ? えぇっ??」

 

 瀬人もキサラも、目を丸くした。

 アノスは手札に揃ったエクゾディアパーツを、デュエルディスクに並べる。

 

「暴虐の魔王の名の下に、エクゾディアの封印を解放する」

 

 ソリッド・ヴィジョン・システムにより、アノスの背後から、茶色い肌の筋骨隆々とした巨大な魔神が姿を現す。

 瀬人のターンであるにもかかわらず。

 

「ばっ、馬鹿なぁ!? 初手エクゾだとぉぉおおおおおおーーーーっ!!? 奇跡を起こしたというのか!!?」

「ろ、ろ、ろ……65万8008分の1の確率ですよ!!?」

 

 65万8008分の1とは、40枚のデッキから初手となる5枚を引いたとき、全てエクゾディア・パーツである確率のことだ。海馬コーポレーションの社員なら誰でも暗記している。

 しかし。

 

「惜しいな」

 

 涼しい顔でアノスは言う。

 

「俺のデッキは60枚構築だから、初手でエクゾディアが揃う確率は546万1512分の1だ」

 

 546万1512分の1という確率の理を滅ぼして生まれた魔法が、瀬人に襲いかかる。

 

「滅びの業火――。極獄界滅灰燼魔砲(エギル・グローネ・アングドロア)!!」

「ぐぁぁぁぁああああああーーーーっ!!?」

 

 名前こそ物騒で、放たれた滅びの炎は瀬人を呑み込んだが、あくまでそれはソリッド・ヴィジョンである。

 滅ぼしたのは瀬人のライフと勝利だけであった。

 

「これが魔王の0ターンキルだ」

 

瀬人/LP8000→0

 

 

 

「こんなの青き春じゃないわっ! ていうか多分デュエルですら無いわっ!」

 

 事の発端が『デュエルモンスターズには青き春がある』という話だったのを踏まえて、サーシャがそう突っ込んだ。

 対して、ミーシャが言う。

 

「アノスにしては危うい勝負だった。デュエルモンスターズに青き春はあると思う」

「どこがよっ! ルールは知らないけど流石に0ターンキルはおかしいでしょっ!」

「相手もエクゾディアと呼ばれるカードを揃えていた場合、アノスが敗北していた可能性がある」

「……計算する気にもならない確率でしょ、それ……」

 

 一方、負けた瀬人の方にも、青き春の気配はない。

 

「馬鹿な! ボクが負けるなんて……!」

「瀬人様……。大丈夫ですか?」

 

 膝をついた瀬人に、キサラが駆け寄る。

 

「大丈夫だ、キサラ。れれれ冷静になレレレレレレレ」

「瀬人様??」

「グレムリンを、コーゲキ表示でショー喚!!」

「ちょーーっと おねんね しましょうね?」

 

 ソリッド・ヴィジョンの炎が滅ぼしたのは瀬人のライフと勝利だけ――のはずが、そうでもなかったようだ。

 謎のポーズを取りながら意味不明な台詞を喋る瀬人を、キサラは魔法で眠らせた。

 

「アノス陛下。瀬人様のマインドが若干クラッシュしてしまったので、直すのに30分ほどお時間を頂きたいです」

「手伝う」

 

 そう声を上げたのは、ミーシャだった。

 

「うーん……。まぁ、30分で済む確証はないので、手伝っていただけたら助かるんですけど……。うーん」

「信じて」

 

 ミーシャは優しさと自信に満ちた眼で続けて言う。

 

「アノスやサーシャのマインドがクラッシュしたときに、私が直した経験もある」

「クラッシュしておらぬぞ」

「クラッシュしてないわよ」

 

 アノスが極獄界滅灰燼魔砲を喰らった後のことや、サーシャが酔っ払ったときのことを、本人たちは『マインドがクラッシュした』とは思っていない。

 

「うーん……。まぁ、そういうことなら……。お手伝いお願いします」

 

 キサラはミーシャのほうを信じた。キサラとミーシャは寝ている(気絶している)瀬人のマインド(根源)の深淵を覗き始めた。

 

「根源にヒビが入ってる」

「エクゾディアとアノス陛下の魔力のせいで、前にマインドクラッシュされたときのトラウマがフラッシュバックした感じだと思うんですよねー」

「落ちた小さい破片をここに入れて……」

「えぇ……? そんな小さいのよく見つけられましたね。私は全部魔力でクラックの埋め立てするつもりだったんですけど、凄いですねミーシャさん」

「埋め立てはあなたの魔力でするといい。《魔王軍(ガイズ)》で魔眼と魔力を補助する」

「おっ……? おぉっ……? 視界がこんなにくっきり……!」

 

 そんなこんなで、アノスとサーシャが治療完了を待っていたときだった。

 

「そういえばサーシャ。お前に言っておかねばならぬことがある」

「うん? 何よ?」

「……理滅剣を棒きれ呼ばわりしてすまなかったな」

「なっ……!」

 

 続けてアノスが言う。

 

「破壊神アベルニユーのことを何も知らぬ者が、理滅剣を手にしていい気になっているのが滑稽で、つい棒きれ呼ばわりしてしまったのだ。理滅剣がなければ、ミリティアもミーシャもお前自身も、エレオノールもゼシア達もイガレスも、救えはしなかっただろう。魔王城デルゾゲードがなければ、《四界牆壁》による平和も、魔王学院での青き春もなかっただろう」

「えぇっ……? な、何を改まって……!」

 

 サーシャの顔が赤くなる。

 

「海馬瀬人は、なかなかキサラと仲睦まじく、青眼の白龍を愛し、信頼しているようだ。俺も見習わねばならぬところがあるようだな」

「いやっ、でも、デュエルはアノスが勝って――」

「勝者だからといって、敗者から見習わぬとでも思ったか」

 

 アノスがサーシャと目を合わせる。対となる破滅の魔眼同士が重なりあった。

 

「美しい眼だ。お前は最も愛しきの配下であり、理滅剣は最高の魔剣であり、魔王城は最強の城だ。俺の配下だというのなら、この言葉、頭蓋に刻むがよい」

「い、今更長々言わなくったって分かってるから大丈夫よっ!」

 

 美しい破滅の魔眼を輝かせながら、サーシャが言う。

 

「アノスは、私が欲しかったんでしょ! そして、もう手に入れたんでしょ! だったら、堂々と使いこなしていればそれでいいのよっ!」

「くはは。ならば、そうさせてもらうとしよう」

 

 アノスがそう笑ってすぐ、ミーシャが瀬人とキサラを連れてトコトコ歩いてきた。

 

「直った」

「ミーシャさんのおかげで、3分で終わっちゃいました」

 

 ミーシャとキサラに続き、瀬人が言う。

 

「ふぅん……。俺を相手に初手エクゾを決めたアノス・ヴォルディゴードのタクティクス……。そして『重症』と化したこの俺を、たちまちに治療したミーシャ・ネクロンの魔術……。流石だと言いたいが、流石だ」

「あんたまだちょっと壊れてんじゃないの?」

「そう言うサーシャ・ネクロン。貴様のツッコミスキルも大したものだ。この俺にこれほど鋭いツッコミを入れられる者は、海馬コーポレーションはおろか童実野町にもいなかった」

「えぇ……?」

 

 サーシャ以外の4人全員が頷く。

 

「瀬人様の『強引ぐ☆マイ・ロード』を前にすれば、磯野さんや遊戯さんでは到底ツッコミは追いつかず、城之内さんは呆れるばかりで、杏子さんはもはや諦めて瀬人様を只の同級生扱いする始末……。サーシャさんのような優れたツッコミ役あってこそ、ディルへイド海馬ランド計画と海馬コーポレーションの未来は輝かしいものとなるでしょう」

「当然だ。俺の自慢の配下にして破壊神だぞ」

 

 キサラとアノスがそう言うと、続くように瀬人が言った。

 

「ふぅん……。決めたぞサーシャ・ネクロン。俺は社長権限を以て、貴様をディルヘイド海馬ランド計画・PR大使に任命する! 存分に励むがいい!!」

「は? え? ぴー……なんて??」

 

 パチパチパチと、キサラ・アノス・ミーシャが拍手した。

 

「凄いじゃないですかサーシャさん! おめでとうございます!」

「存分に励むがいいぞ、サーシャ」

「おめでとう、サーシャ」

 

 パチパチパチと拍手を受けながら、サーシャは渾身のツッコミを放つ。

 

「わ……私はいったい、何のナニに任命されたのよっっ!!?」

 

 かくしてサーシャは、『ディルヘイド海馬ランド計画・PR大使』として、青き眼と共に青き春を探すことになったのだった。

 

続く……?




※死ぬほど雑な登場人物紹介

●アノス・ヴォルディゴード(魔王学院)
史上最強の魔王の始祖。強引ぐ☆マイ・ロードで悲劇と理不尽は滅ぼし尽くす主義の平和主義な我らが魔王様。

●サーシャ・ネクロン(魔王学院)
ネクロン姉妹の時々だらしない姉の方。ツッコミとツンデレ担当。破滅の魔眼を持っている。

●ミーシャ・ネクロン(魔王学院)
ネクロン・姉妹のしっかり者の妹の方。一見クーデレだが別にクールではない。創造の魔眼を持っている。

●キサラ(遊戯王)
本作でのキサラは、海馬瀬人が最も信頼するカード『青眼の白龍』の擬人化ぐらいの認識を持ってくれればそれでOK。
ちゃんとした(?)設定は拙作のSinキサラシリーズからの流用。
3000年前の記憶もあるし現代の海馬コーポレーションやデュエルの知識もばっちり。

●海馬瀬人(遊戯王)
自称最強のデュエリストにして海馬コーポレーション社長。闘いの儀から数年経っているのでもう高校生ではない。
キサラとの再会を通じてセトの記憶を取り戻しているし、アニメ寄りなのでアテムに対する病んだ執着も無いが、強引ぐ☆マイ・ロードは全く治っていない。
むしろキサラと出会ってデュエル脳はひどくなった。

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