メジロになれなかった男   作:ダシマ

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第10話「巡り合わせ」

 

 父親になるなんて思いもしなかった。周りもそう言っていたが、何よりオレ自身も思っていた。

 

 父親がどうしようもない奴で、都合の悪いことがあるとすぐに母親やオレを殴るようなまさにクズみたいな男だった。母親も母親で…まあ、今でいう鬼嫁みたいな感じだったが、それでも男の腕力にはかなわなかったのだ。

 

 最終的に父親は逮捕されて母子家庭となったが、今度は母親が父親みたいなことをし始めた。結局クズはクズ同士惹かれるものだと、オレは絶望した。まあ、そんな母親だった女もオレが成人する前に、不摂生がただってこの世を去った。顔も見たくなかったし、親せきからも嫌われてたし、墓の面倒も見たくなかったから、無縁仏にしてやったよ。

 

 父親もいつのまにか死んでいたが、もう知らん。

 

 生活の為に受けたトレーナー試験がたまたま受かって、トレーナーをずっと続けているわけだが、とある孤児院にでふとあいつの姿が目に付いたとき、どこか他人のようには思えなかった。まあ、本当にガキを引き取るわけじゃないからと放置していたが、暫くしてメジロがあいつを引き取ったのだが、勘違いだったという事で送り返したらしい。

 

 それでオレはあいつを引き取ることにしたのだが、それと同時にメジロを憎んだ。

 

***************

 

「分かんねーもんだなぁ…」

「……」

 

 …ここからはトレーナー父にかわってナレーションがお送りする。旅館の近くのグラウンドでトレーナー達は練習をしていたが、トレーナーとラモーヌが一緒にいるところを見て、トレーナー父は複雑そうにしていて、隣にいてキャプテンのビワハヤヒデが困惑していた。ハヤヒデやBNWもトレーナー親子の事情はある程度知っていて、特に一番寄り添っていたのがハヤヒデだった。

 

ビワハヤヒデ「…トレーナーくんの才能は私の予想を遥かに超えていた」

トレーナー父「そういやお前らはかかってねーな」

ビワハヤヒデ「いや、まあ…それはだな…」

 

 トレーナー父の言葉にハヤヒデは頬を赤らめて困惑していた。

 

トレーナー父「1個上の母親なんて、あいつ腰抜かすぞ」

ビワハヤヒデ「み、皆まで言うなっ!!」

 

 そういってビワハヤヒデは顔を赤くした。まあ、元々トレーナー父は結婚の経験もなく、独身まっしぐらだった。年は取っているものの、年収は良いし荒っぽいところを除けば優良物件なのだ。まあ、そんな奴に近づく女はたいてい変な奴ばっかりである。

 

トレーナー父「まあ、それでも金目当てでくる奴よりかはマシだが、年齢だな…」

 

 トレーナー父が欠伸をしながらそういった。

 

******

 

 夕方

 

トレーナー父「よーし。今日の練習はここまでだ」

「ありがとうございました!」

 

 トレーナー父が号令をかけると、ウマ娘たちが一礼した。

 

ナリタタイシン「はー…あっつ」

ウイニングチケット「早くお風呂入ろうよ!」

ビワハヤヒデ「そうだな…」

メジロラモーヌ「男風呂と女風呂と混浴風呂があるから好きなの入りなさい」

BNW「は!!?」

 

 ラモーヌの発言にBNWが頬を赤らめて反応した。

 

ハルウララ「こんよくぶろ?」

メジロラモーヌ「男と女が一緒に入れるお風呂よ」

ハルウララ「ほんと!? それじゃトレーナーも一緒に入ろうよ!」

トレーナー「お前中学生だよな…?」

ハルウララ「うん、そうだけど皆と一緒に入った方が楽しいよ!」

トレーナー父「おいおい…。親は一体何してやがったんだ…」

 

 純粋無垢も一歩間違えると、ただの頭おかしい奴だとトレーナー父は思った。

 

トレーナー父「あー…トレーナー。お前、付き合ってやれ」

トレーナー「いや、いいのそれで」

トレーナー父「少なくともオレは大人だ。色々面倒なことになる」

トレーナー「まあ、メジロに秘密をバラされたくなかったら、言うとおりにしろみたいな」

トレーナー父「もしそうなったらお前もオレもトレセンを去る」

メジロラモーヌ「安心して頂戴。それをやると大抵ろくなことがないわ」

 

 メジロラモーヌが腕を組んでそう言うと、トレーナーのスマホが鳴った。

 

トレーナー「あー。これはフラグが立ったな…」

 

 そんな事言いながらもトレーナーは電話に出る。

 

トレーナー「もっしー?」

『もしもしトレーナー!? アタシよアタシ!』

 

 電話の相手はダイワスカーレットだった。

 

トレーナー「おうどうした」

ダイワスカーレット「あんた今何してんの?」

トレーナー「トレーニングが終わったところ」

ダイワスカーレット「…まさかとは思うけどあんた、混浴風呂に入るつもりじゃないでしょうね?」

トレーナー「やっぱこうなったか」

 

 電話をかけるタイミングがあまりにも絶妙すぎるだろとトレーナーは思った。

 

ダイワスカーレット「いい!? 絶対入っちゃだめよ! いいわね!?」

トレーナー「オレに拒否権あると思ってんのか!!」

メジロラモーヌ「貸しなさい」

 

 ラモーヌがスマホを強奪した。

 

メジロラモーヌ「そういえばあのナイスネイチャはどうなったのかしら?」

ダイワスカーレット「…ネイチャ先輩? 確かずっと練習してますけど」

メジロラモーヌ「そう…」

ダイワスカーレット「…いや、ちょっと待ってください! ネイチャ先輩を呼ぶつもりですか!? アタシにしてくださいよ!!」

『ふざけんな!! どうしてお前が2位なんだよ!!』

 

 ウオッカの声が聞こえたが、多分隣でダイワスカーレットがわなわな震えているんだろうなとトレーナー達は思った。ウオッカではなく、2位という単語に。

 

ダイワスカーレット「あんた…よくもアタシの前で地雷を踏んでくれたわね…!」

ウオッカ「いいじゃねーか! オレなんて2票しか入れてもらってねーんだぞ!」

メジロラモーヌ「ああ。そういえばあなたは今回アンケートの対象外よ」

ウオッカ「くそー!! なんでだよー!!」

 

 アンケートの対象に選ばれていないことで、チームに入れずウオッカは絶望した。ちなみに他にもツヨシ・ブライト・マックイーン・マヤノ・ポッケ・ライアン・ヒシアマ・エルがいる。

 

メジロライアン「そ、そんなぁ…」

エルコンドルパサー「エル結局1票も入ってないデース!!!」

 

 するとラモーヌは考えた。

 

メジロラモーヌ「あら、もうこんな時間ね」

トレーナー父「…おい、何をする気だ」

メジロラモーヌ「もうこの話も早くて10回目。2人目を呼ぶ必要があるわね」

ナリタタイシン「そんな感じで呼ぶの!?」

ハルウララ「だれがくるのかなー」

 

 ラモーヌのマイペースぶりに驚くタイシンとは対照的に、ウララはワクワクしていた。

 

メジロラモーヌ「それじゃ上位20名のうち、投票の合計数が高かったウマ娘が2人目よ。宜しくね」

 

 

つづく

 

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