第19話
夏合宿は参加しない方向になったトレーナー組と父組。他のウマ娘たちはそれを知って残念がっていたが…。
スペシャルウィーク・セイウンスカイ・グラスワンダー「……」
キングヘイロー「…な、何よ」
ラモーヌが『キングが恐らく次のメンバーになるだろう』と言われていた。
グラスワンダー「ラモーヌ先輩の言う通りではあるけれど…」
セイウンスカイ「なーんかダシに使われた感じがするんだよね~」
キングヘイロー「そういう所よ! もうこの話は終わり!!」
エルコンドルパサー「エル…やっと1票入れて貰えたデス…」
ツルマルツヨシ「よ、良かったね…」
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夏合宿直前。トレーナー室にて…。
トレーナー「ダシマカップ1次予選の結果が出たよ。全員通過おめでとう!」
ハルウララ「やったー!!」
そう、結果が帰って来たのだ…。
ハルウララ:ダート・短距離 予選1位
ラモーヌ:芝・中距離 予選1位
ネイチャ:芝・中距離 予選2位
ウララはトレーナーが直接鍛え、ラモーヌは元々実力があり、ネイチャはラモーヌのスパルタメニューに何だかんだ耐え抜いたのだ…。ちなみにラモーヌに勝ったのは1度だけである。
トレーナー「ライスも秋から2次予選あるけど、どれに参加する?」
ライスシャワー「え? えっと…」
メジロラモーヌ「長距離がいいんじゃないかしら」
ライスシャワー「え?」
ライスがそう言うと、ラモーヌが見つめる。
メジロラモーヌ「春の天皇賞。あなたが勝ったのよね?」
ライスシャワー「……」
そう、先日の春の天皇賞を勝ったのはライスシャワーだったのだ。ちなみにだがマックイーンはまだ中等部の2年生という事なので参戦資格がない。まあ、史実じゃないんかいという声もあるでしょうが、そこはご愛敬でお願い致します。
メジロラモーヌ「うちとしても、長距離に勝ったあなたが出てくれた方が助かるわ。やりたい距離がないなら…お願いしてもらってもいいかしら?」
ライスシャワー「ひゃ、ひゃい! 分かりましたぁ!!」
ラモーヌとしては普通に喋っていたつもりなのだが、どこか恐怖を感じたのでライスは引き受けざるを得なかった。ちなみにネイチャはそんなライスに心底同情した…。
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そんなこんなで解散となり、皆で帰ろうとしたが…。
「あ! いたいた! トレーナーくーん!!」
「!?」
学園のアイドル…ならぬウマドルである『スマートファルコン』がやってきた。彼女だけではなくサイレンススズカ、アイネスフウジン、ミホノブルボン、マルゼンスキーもいた。彼女たち5人は『逃げ切りシスターズ』というウマドルユニットを組んでいる。
スマートファルコン「ファル子って呼んでね☆」
トレーナー「誰と喋ってんの?」
カメラに向かって喋るファル子にトレーナーはツッコミを入れた。
トレーナー「で、何か用です?」
スマートファルコン「夏合宿の前にまたライブをやるんだけど、見に来てほしいの!」
メジロラモーヌ「そんな暇ないわよ」
ラモーヌが堂々と言い放つと、ネイチャが困惑していた。すると一番端っこにいたラモーヌの同級生であるマルゼンスキーが苦笑いした。
ミホノブルボン「理由を求めます」
マルゼンスキー「ライブ当日がダメなら、トレーナーくんの空いてる時間に…」
メジロラモーヌ「それをやると、諦めて貰った後輩たちやパーマー達に示しがつかないのよ」
「いや、諦めてませんけど!!?」
脱落者組をはじめ、一斉にやってきたがキングだけいなかった。
エルコンドルパサー「い、いないデース!!」
ジャングルポケット「ヘッ! こっちにはカフェがいるんだ!!」
ダンツフレーム「…カフェちゃんもいないよ?」
ジャングルポケット「はァ!!?」
なぜこの2人がいないか…皆さんならもうお分かりですよね?
アイネスフウジン「それはそうとトレーナーくん! 合宿行かないって本当なの!?」
トレーナー「うん。今みたいなことがずっと起きるから」
「た、確かに…」
トレーナーの言葉に一部のウマ娘は納得せざるを得なかった。
シンボリルドルフ「…まあ、お義父様である東トレーナーは元々参加していなかったからな。学校でずっとトレーニングをするのか?」
メジロラモーヌ「そんな所かしら」
メジロアルダン「……」
アルダンが困惑しながらラモーヌを見つめると、
メジロラモーヌ「アルダン。あなたなら出来るわ。がんばって」
メジロアルダン「せめてそれだけはやめて貰えませんかね!!?」
凪「そうだよアルダン姉さん。僕がついてるよ?」
メジロアルダン「あなたも出てこないで!!」
凪もすかさず現れてアルダンがツッコミを入れると、凪は去っていった。
メジロアルダン「…うう。体が弱いのにどうしてこんな」
メジロラモーヌ「すごく元気じゃない」
メジロアルダン「……!!」
ラモーヌの嫌味にアルダンは涙目でにらみつけると、ライアンが苦笑いしてアルダンを宥めた。アルダンは元々病弱体質で『ガラスの脚』とまで言われていたのだがトレーナーに出会ってから…まあ…この世界戦ではメンタルの問題だったんでしょうね。快調しました。
「なんじゃそりゃ!!」
ですが、元気なのに越したことはありません!!!
「…確かにそうだけどさ」
「ある意味ダシマが一番自由だよ…」
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スマートファルコン「って! 今はそんな話はいいんだよ! そもそも諦めて貰ったとかファル子達には関係ないし、ファル子達まだ何もできてないんだよ!?」
メジロラモーヌ「特定のファンにだけそういう事をするのは、ウマドルとしてどうなの?」
「で、ですよね…」
ラモーヌの正論にサイレンススズカは困惑していた。ちなみに彼女は元々ウマドル活動に対してそこまで乗り気ではないのだが、ファル子の強引な押しに断り切れなかったのと、レースに専念しすぎていて他人と壁を作り過ぎたことに『不良』と思われていた事を問題視していたエアグルーヴによって、ウマドル活動をしている。ちなみに前者は公式、後者はダシマ式である。
メジロラモーヌ「とにかくライブは行かないし、きちんとファンと向き合いなさい。皆あなた達の為に時間とお金を割いて来てくれるのに無礼よ。行くわよ」
そう言ってラモーヌはまたトレーナーを強引に連れて行くと、ネイチャもそそくさとウララとライスを連れて行った。
ツインターボ「あー! ネイチャー!!!」
ナイスネイチャ「ごめんターボ! また今度ね!!」
ネイチャは思った。これはもう今までみたいに弱音を吐いてる場合じゃないと…。
そしてカフェとキングはというと、お互いを見つめあっていた。
キングヘイロー「どちらかが勝っても恨みっこなしですわ」
マンハッタンカフェ「ええ…」
つづく