第23話
思うても思うてもトレーナーに会えぬ苦しみが、ウマ娘たちを強くした…。
「きゃああああああああああああああああ!!!」
「もうやめてえええええええええええええ!!!」
「ああ…もう勝てる気しない…」
「もう引退しよ…」
一般ウマ娘たちはついていけず、力の差を思い知らされていた…。
サトノダイヤモンド「な、なんですか…この地獄絵図…」
メジロアルダン「…脱出したい」
サトノダイヤモンド「私もです! トレ兄様あああああああ!! たすけてええええええええ!!!!」
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それはさておき、トレーナーは食堂で担当ウマ娘+リリーと食事をしていた。
ハルウララ「トレーナー! あーん!」
トレーナー「あーん…」
食べさせあいっこをしていた。トレーナーは特に嫌がってはいなかった。ただ、商店街のおっさんたちの目が異様にギラついているのだけが気になっていた。
ライスシャワー「ラ、ライスもあ、あーん…」
マンハッタンカフェ「わ、私も…」
トレーナー「オレの胃袋だけ膨れ上がるから、お前らは食べさせてやるわ」
トレーナーがそう言うと、ライスとカフェは頬を赤らめた。
ナイスネイチャ「じゃ、じゃあアタシも…」
ネイチャもトレーナーに食べさせようとすると、おっさん達がガン見していた。
ナイスネイチャ「こっち見んな!!」
まあ、どうしてガン見していたのかは見当はついており…もう大人になったんだなと。
ナイスネイチャ「皆まで言わんでええわ!!」
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この後も買い物は続いた…。
トレーナー「まあ、結構買ったし、そろそろ帰るか…」
メジロラモーヌ「そういえば貴方。服とかはあるのかしら?」
トレーナー「此間ユニク〇で買い物した」
「そうなんだ…」
なんか残念そうにするライスやカフェ。
トレーナー「帰ろう」
イエローリリー「え!? 本当に帰っちゃうんですか!?」
トレーナー「うん、多分これ相当時間かかるやつだし、そもそも金ねーよ」
メジロラモーヌ「あら、じゃあお金はこちらで負担するわよ?」
トレーナー「親父に怒られる。また今度な」
そう言ってトレーナーはすたこらと帰っていった。
トレーナー「まあ、後はもう夕食だけだな…」
イエローリリー「そうですね」
トレーナー「まあ、ここからはオレ達だけでやるからお前らはもう帰っていいぞ」
トレーナーがそう言うも…。
メジロラモーヌ「あら、何を言っているのかしら貴方は」
トレーナー「オメェが何言ってんだ」
メジロラモーヌ「ここまで買い物に付き合ったのだから、最後まで付き合うわよ」
トレーナー「魂胆は分かってんだラモーヌ。家に上がりたいんだろう」
トレーナーのツッコミにリリーは驚いていた。
ハルウララ「みんなで夕食食べるの!?」
ライスシャワー「ラ、ライスも夕食…」
マンハッタンカフェ「差支えがなければ…」
トレーナー「これ許すと今ここにいない連中も絶対ごねるから無理だし、金ねーよ」
メジロラモーヌ「もう買い物してる時点で遅いし、お金ならこちらで負担するわ」
トレーナー「…そんなにか」
ラモーヌのぶれない姿勢にトレーナーは困惑していた。
メジロラモーヌ「安心して頂戴。門限までにはちゃんと帰るわよ」
トレーナー「当たり前だ。破れば出禁だぜ」
そんなこんなで夕食も一緒に食べることになった。
メジロラモーヌ「背中を洗ってあげようかしら?」
トレーナー「この家全焼しちまうよ」
ライスシャワー「そ、それはライスも流石に恥ずかしい…」
マンハッタンカフェ「……」
控え目な体をしているライスとカフェも流石にこればっかりは恥ずかしがっていた。
イエローリリー(す、すごく大胆だなあ…)
そんなこんなでテレビを見ながらすき焼きを食べていた。門限の事もあるので、いつもより早い晩御飯。
「ただいなー…って、あん?」
トレーナー父が帰ってきたが、いつもより多い靴に嫌な予感がして、リビングに行くとウマ娘たちがいて唖然としていた。
メジロラモーヌ「あら、お帰りなさい」
「おかえりなさーい」
リリーはちょっと困惑していた。
トレーナー父「てめえ…!」
メジロラモーヌ「ちゃんと門限前には帰りますし、アルダンたちがバカやったらこっちできちんと躾けるわよ」
トレーナー父「一番躾けなきゃいけねぇのはてめえだよ…!」
トレーナー「まあ、もう飯出来てるから、座りなよ」
トレーナー父「まさかラモーヌに金を出して貰ってないだろうな!」
メジロラモーヌ「此間迷惑かけたお詫びよ」
トレーナー父「あー…もう面倒なことになってきた…。金ださせたら、向こうも色々言ってくるぞ…」
メジロ家に金を出させたことを知ったトレーナー父がげんなりしていた。
メジロラモーヌ「そうね。あなたの事を嫌っていたようですし」
「え!?」
これには他のメンバーも驚いていた。
メジロラモーヌ「まあ、それに関してはちょっと真面目に話があるの。座ってくださる」
トレーナー父「……」
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メジロラモーヌ「先ほども言ったけど、メジロにはあなたと息子さんであるトレーナーの事を快く思っていない人間もいるわ」
ラモーヌの言葉に皆が驚いた。
ハルウララ「どうして!?」
メジロラモーヌ「簡単に言えば、お金持ちはお金持ちとだけ仲良くすればいいと考えている。これで分かるかしら?」
ハルウララ「えー! どうしてー!?」
ウララが信じられなさそうにしていると、ネイチャやカフェ、ライスが困惑していた。
メジロラモーヌ「そして自分よりも能力が上の人間がメジロとかかわるようになると、自分たちが楽できなくなる。だから嫌なのよ」
ハルウララ「そ、そうなんだ…」
トレーナー父「それが分かっててなぜ…!」
メジロラモーヌ「まあ、私自身が本当にあなたの息子に気がある事もそうだけど、メジロの現当主である私のおばあ様も、ずっと前から問題視しているの。凪の事もあるから猶更」
ラモーヌの言葉にトレーナーとトレーナー父が真面目な顔をしていた。
メジロラモーヌ「…権力を手に入れると、欲しいものも簡単に手に入るし、やりたい事も簡単に出来る。そして何よりも…自分は選ばれた人間だ。普通の人間が出来ない事を自分は簡単にできるという『優越感』を手放したくないのよ。貴方なら分かるはずよ」
トレーナー父「…あァ。嫌でも分かるさ。そんな奴、腐るほど見てきた」
トレーナー父が一瞬だけリリーを見た。
メジロラモーヌ「東トレーナー。そしてトレーナー。もうこの際だから単刀直入に言うわ。あなた達親子はいずれ、メジロが起こす大きな争いに巻き込まれることになるわ。そして、ここにいる貴女達も可能性はゼロじゃない」
ライス・カフェ・ネイチャ「!?」
ハルウララ「?」
そしてラモーヌは特にライスとネイチャを見つめた。
メジロラモーヌ「もしそうなれば、もう弱音を吐いて貰われると困るの。脱退することも視野に入れておきなさい」
ナイスネイチャ「そ、そうですよね…」
と、ネイチャは自分なんかがそんな大きな戦いにいても足手まといになるだけだと考えていたが、
ハルウララ「トレーナー達は戦うんだよね!?」
メジロラモーヌ「そうね」
ハルウララ「じゃあわたしも戦う!」
「!?」
ウララの言葉に皆が驚いた。
トレーナー「ウララ!」
トレーナー父「遊びじゃねぇんだぞ」
ハルウララ「分かってる! でも、トレーナーとラモーヌさんは戦うんでしょ!? あと、東トレーナー!」
メジロラモーヌ「…ええ、そうよ」
ハルウララ「だから…」
トレーナー父「まあ落ち着け。まだそうなると決まった訳じゃねぇし、いきなり決められねぇだろ」
ハルウララ「う、うん…」
トレーナー父「まあ、これだけ言っとくぜ。ラモーヌの話はほぼ間違いないだろうし、もしそうなればお前らの家族の事もある。自分の頭で考えて判断しろ。いいな」
「は、はい…」
こうして沈んだ空気のまま、食事が続くことになった。
ハルウララ「よーし! 明日のトレーニングの為に、沢山食べるぞー!!」
と、ウララががむしゃらに白米を食べると、皆が不思議そうに見つめる。
メジロラモーヌ「…私もまた、大事な事を忘れかけていたようね」
トレーナー「……」
ラモーヌとトレーナーがウララを見つめていた次の瞬間、のどを詰まらせた。
つづく