メジロになれなかった男   作:ダシマ

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第25話「ネイチャの想い」

第25話

 

 次の投票で選ばれなかったら凪のチームでダシマカップに挑戦しなければならないメジロ家。残念ながらライアン、ブライト、パーマーは脱落です。

 

メジロライアン「まあ、それはまだいいんだけど…あたし、全然票入れて貰えなかったな…」

メジロパーマー「ああああ!! 元気出してライアン! あたしなんか1回外されたんだよ!!?」

メジロブライト「元気出してください~」

 

****************

 

 まあ、それはさておき、トレーナー達は2次予選に向けてトレーニングを続けていた。トレーナー親子がいずれ大きな戦いに参加するという事もあったが、ウララも参加するつもりでいたため、一生懸命頑張った。

 

トレーナー「ウララ。本当に行かなくていいのか? お祭り」

ハルウララ「うーん…。宿題も全部終わらせるし、行きたかったけど、今は練習したいの! それに、お祭りは1年じゅうあるし、この夏はトレーナーとトレーニングすることで、いーっぱい思い出を作るんだ!」

 

 ウララの純粋な想いがトレーナーの心を浄化した。まあ、勿論トレーナーだけではないが…。

 

トレーナー「…こういう子たちの為にも、明るい未来を残さないといけないね」

ナイスネイチャ「急にどうしました!!? まあ、分かるけど…」

メジロラモーヌ「まあ、それはそれとして…もうすぐ練習試合よ。あのナリタブライアンに勝てるんでしょうね」

 

 メジロラモーヌの言葉にナイスネイチャは固まった。そう、夏休みの初めに言われていたのだ。夏の終わりにまた同じメンバーで試合をしてもらうと…。

 

マンハッタンカフェ「…何の話ですか?」

 

 唯一その場にいなかったマンハッタンカフェが不思議そうにしていると、ライスが簡単に事情を説明した。

 

マンハッタンカフェ「…そうですね。ネイチャさんはこのメンバーの中では一番下ですし、強敵とレースをすることで経験を積ませる。良い案だと思います」

ナイスネイチャ「ううう…」

メジロラモーヌ「言ったでしょう。この先はもっと熾烈なものになるわ。そのうち3着すら取れなくなるわよ」

 

 そう言われると、ネイチャは更に渋い顔をした。本当に何も言い返せなかったからだ。

 

ハルウララ「だいじょーぶだよネイチャちゃん!」

ナイスネイチャ「ウララ…」

ハルウララ「ネイチャちゃんだって、今日までトレーニングやってこれたじゃん!」

ナイスネイチャ「まあ、そうなんだけどさ…」

メジロラモーヌ「そのメンタルが問題なのよ。人が褒めてもすぐ卑屈になる。貴女、勝ちたくはないの?」

ナイスネイチャ「!」

 

 ラモーヌの純粋な問いにネイチャははっと目を開いた。

 

マンハッタンカフェ「そうですね。私も人の事は言えませんが…。まず、勝ちたいと思わない事には…」

ライスシャワー「…ライスだって確かに怖いよ。勝っても皆喜んでくれない事もあったし。でも、それでも…」

ハルウララ「頑張れば1番になれるって信じてるから、走れるんだよ! ネイチャちゃんは違うの?」

 

 この時ネイチャは本当に自分は何をしていたんだろうと思った。ウララの言ってる通り、自分もまた1番になりたいから走ってるし、頑張れる。ラモーヌやライスやカフェも自分の信じているものの為に走っている。この時、今までラモーヌに言われた事が突き刺さってきた。

 

ナイスネイチャ(本当に何をやってたんだ…。アタシは…アタシは…)

 そしてラモーヌはそれを見ていた。

 

メジロラモーヌ「…まあいいわ。次のブライアンとの試合で無様な走りをしたら…分かるわね?」

ナイスネイチャ「!」

メジロラモーヌ「この子たちは優しいからこそ、私は厳しく接してるのよ。では、ご機嫌よう」

 

 そう言ってラモーヌは去っていった。

 

*******

 

 そして迎えた練習試合当日…。

 

トレーナー父「ウララ。お前はリリーと走ってもらう」

ハルウララ「リリーちゃんと!?」

イエローリリー「私もダート走ってるんです! お手合わせお願いします!」

ハルウララ「いいよ! で…おてあわせってなあに?」

 

 ウララの言葉に一部がずっこけた。

 

 そしてオーダーは次のとおりである。

 

第1試合:マンハッタンカフェ VS ウイニングチケット(芝・中距離)

 

第2試合:ライスシャワー VS ナリタタイシン(芝・中距離)

 

第3試合:ハルウララ VS イエローリリー(ダート・短距離)

 

第4試合:メジロラモーヌ VS ビワハヤヒデ(芝・中距離)

 

第5試合:ナイスネイチャ VS ナリタブライアン(芝・中距離)

 

ナイスネイチャ(…やっぱり最後か)

 

 最後だろうなと思っていたら、本当に最後でネイチャは静かに目を閉じると、トレーナーがやってきた。

 

ナイスネイチャ「トレーナーさん…」

トレーナー「…皆の走ってる姿をちゃんとよく見ておけ」

 

 そう言ってトレーナーはその場を後にした。

 

 そして練習試合は始まった。親子対決を見に来た者、ハイレベルな試合を見に来た者、様々な理由でレース場に人が集まっていた。出走しているウマ娘たちは全身全霊で走っている。あのウララも例外ではない。必ず勝つ、負けたくないという思いがひしひしと伝わっていた。

 

ナイスネイチャ(もう今ならわかる。アタシ…もう逃げたりしない!!)

 

 ネイチャの顔つきが変わると、トレーナーやラモーヌが笑みを浮かべる。

 

 そして運命の第5試合。昨年のクラシック三冠であるナリタブライアンとの一騎打ちが行われた。

 

トレーナー「ネイチャ。もう大丈夫だな?」

ナイスネイチャ「…うん!」

 

 ネイチャがそう言うと、トレーナー達は笑みを浮かべた。

 

トレーナー「それじゃ最後に一言だけ」

ナイスネイチャ「?」

トレーナー「ネイチャ。色々言ったけど、無理にオレ達や誰かの『想い』を背負ったりする必要はない。けどな…自分への『想い』だけはちゃんと向き合え」

ナイスネイチャ「…はい!」

 

 トレーナーの言葉にネイチャが力強く返事すると、トレーナーはそのままネイチャを見つめた。そしてその先にはブライアンが待ち構えていた。

 

ナリタブライアン「…準備は出来たか?」

ナイスネイチャ「…勿論!」

 

 そして最後のレースが始まった…。

 

********************

 

メジロラモーヌ「惨敗だったけれど、悪くはなかったわ」

ナイスネイチャ「…相変わらずテキビシイ」

メジロラモーヌ「当たり前よ」

 

 結果はネイチャの惨敗…と、ラモーヌは言っていたが、ブライアンが一瞬だけネイチャの気迫に押されそうになっていたのは内緒だ。

 

トレーナー父「どうだった…」

ナリタブライアン「…正直まだまだだが、なくはない」

トレーナー父「だろうな…」

 

 トレーナー父もまた、ネイチャの可能性を見出していた。

 

トレーナー父「結果は3対2でオレ達の勝ちだ」

トレーナー「まだ超えられないか…」

トレーナー父「走ってるのはこいつらだがな。親を超えるのはまだ早いぜ」

 

ナイスネイチャ「ホントにごめんね…トレーナーさん…」

トレーナー「まあ、またブライアンとレースするのは決まってるから」

ナイスネイチャ「…そうですよね」

トレーナー「それこそ、3度目の正直。なんてこともあるだろう?」

 

 「3」という数字にやたら縁のあるネイチャに対して、トレーナーが上手い事を言ってみせた。

 

ナリタブライアン「2度ある事は3度あるの間違いだろ」

トレーナー「そうともいうね」

 

 と、和気あいあいとしていると、

 

「素晴らしい試合だったよ。トレーナーくん」

トレーナー「……」

 

 ルドルフを筆頭に合宿に行っていたメンバーがやってきた。

 

トレーナー「多すぎる」

キタサンブラック「トレ兄! 今度こそあたしをチームに入れてくれるんだよね!?」

サトノダイヤモンド「キタちゃん!」

 

キングヘイロー「前回はカフェさんに取られてしまったけれど…今度はキング」

セイウンスカイ「みんなー。キングには入れないでねー」

キングヘイロー「やめなさい!!」

 

メジロアルダン「……」

メジロドーベル「アルダンさん。こっちこよ…」

メジロアルダン「いやですぅううううう!!!」

 

 とまあ、色々カオスだったが、

 

エルコンドルパサー「ちょっと待ってくだサーイ!」

トレーナー「なに?」

エルコンドルパサー「エルとトップのキタちゃんとで、30ポイントも差がありマース!!」

トレーナー「あ、そう言うだろうと思って、今回は2倍だから」

「えっ!!?」

メジロラモーヌ「これなら文句ないでしょう。それじゃ、5人目にふさわしいウマ娘を選んで頂戴」

 

 

つづく

 

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