メジロになれなかった男   作:ダシマ

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第28話「トレーナー親子のとある休日」

第28話

 

 それはある日の朝だった。

 

「……」

 

 インターホンを鳴らされたので外に出ると、そこにはキタサンブラックとサトノダイヤモンドがいた。だが、応対したのは息子ではなく父である。

 

キタサンブラック「あ、あのう…トレ兄いますか…なんて…」

 

 トレーナー父はすっと扉を閉めた。

 

キタサンブラック「ああああああ!! ちょ、ちょっと閉めないでよぉ!!」

サトノダイヤモンド「話だけでも聞いてください!!」

 

*********

 

トレーナー父「ここには何しに来た」

キタサンブラック「いや、長い事トレ兄と話をしてなくて…」

 

 話は簡単だ。幼馴染だというのに、トレーナーと全く接点がなくなってしまい、業を煮やした2人はトレーナーの家に突撃することにしたのだ。だが、父親がいることは計算外だった。

 

トレーナー父「まあ、それに関しちゃあいつにも聞かないといけないが…。アポを取れと言ったはずだよな?」

サトノダイヤモンド「お、仰る通りです…」

トレーナー父「もうお前らも中学生だ。幼馴染だからって昔みたいな事をされたら、トレセンの信用にも関わる上に、他の加入希望者たちに示しがつかんだろう」

キタサンブラック「ご、ごめんなさい…」

 

 まさかここまで説教されると思わなかったキタサンブラックとサトノダイヤモンド。まあ、確かにメジロの件もあったし、当然と言えば当然なのだが、家に行きたいと言っても絶対に首を縦に振る事はないと思っていたので、強硬手段に出たのだ…。

 

トレーナー父「とにかく今日は帰れ」

キタサンブラック「ええっ! そ、そんなぁ!!」

トレーナー父「当たり前だ。お前たちを許したら、他のウマ娘たちも押しかけてくるだろう」

サトノダイヤモンド「た、確かに…」

トレーナー父「あいつにはオレから言っとくから」

キタサンブラック・サトノダイヤモンド「はーい…」

 

 そう言ってキタサンブラックとサトノダイヤモンドが帰ろうとしていたが、本当に帰すのか…? と言わんばかりの目でトレーナー父を見た。

 

トレーナー父「おう分かってるぜ。このまま返したら話がすぐに終わってしまうって事だろう? 安心しろ。こっちで何とかする」

キタサンブラック「オニ~~~~~~!!!!!」

 

 健闘虚しく、帰らされましたとさ。そして入れ替わるようにトレーナーがやってきた。

 

トレーナー「…あいつら来た?」

トレーナー父「あー…。ちゃんと話はしてんのか?」

トレーナー「してる事はしてんだけど、時折ラモーヌがブロックして…」

トレーナー父「…やっぱそうか」

 

 トレーナー父も思い当たる節があったのだ。キタとダイヤは幼馴染という特権を活かしてトレーナーに近づいたりはしているのだが、そういう時に限って何故かいつもラモーヌが現れては2人をブロックしたりしているのだ。まあ、1年生という事もあって他にもやらなきゃいけない事は沢山ありますからね…。

 

トレーナー「まあ、あいつら一度ラモーヌに負けてるからな…」

トレーナー父「それでも尚、お前に関わろうとするのが許せないんだろうな…。ま、学園としてはそれが正しいよ」

 

 トレーナー父はある事を思い出した。ずっと昔に結果を出していないウマ娘がG1に勝ったウマ娘に対して文句を言っているところを見かけたのだが、周りはG1ウマ娘の味方をしていて、文句を言っていたウマ娘を一斉に攻撃していたのだ。

 

 どっちが正しいかどうかは、その時トレーナー父は分からなかったが、実力がなければ正論もただの暴言にしかならないのだと実感した。

 

トレーナー父「…結果を出してねぇ奴に合わせてたら、結果を出したやつがバカを見る。それこそあっちゃならねェ事だ」

 

 トレーナー父の言葉にトレーナーは俯いた。

 

トレーナー父「…ま、ラモーヌがあまりにも目に余るようならオレに言え。あいつもあいつで大人げない所があるからな」

トレーナー「分かった」

 

 そんな時、インターホンが鳴った。

 

トレーナー「今度は誰だろう…」

トレーナー父「オレが出る…」

 

 トレーナー父がドアを開けると、タキオンがいた。

 

トレーナー父「…何してんだ。お前」

アグネスタキオン「お、お金出すのでごはん作ってください…」

トレーナー父「…玲那。カフェ呼べるか?」

トレーナー「うん」

アグネスタキオン「いや、ちょっと待っておくれよおおおおお!!」

トレーナー父「なんでわざわざうちの息子に作らせるんだ! しかも休日に!!」

アグネスタキオン「私だって申し訳ないと思ったさ! けど、トレーナーくんの料理じゃないと満足できない体になってしまったんだよおおおおおおおおお!!」

トレーナー「オレの料理麻薬じゃないんだけど…。あ、もしもしカフェ?」

『ただちに向かいます』

『あ、私も!!』

 

 そしてカフェとダンツによってタキオンは連行されていった…。

 

トレーナー父「次から次へと…!」

トレーナー「まあ、普通に終わっても面白くないもんね…。オレ、どっか出かけようか?」

トレーナー父「やめとけ…。それを言うなら結果はもう同じだ…」

 

 トレーナー親子がドアを閉めた。

 

トレーナー父「朝っぱから疲れたぜ…」

 

****

 

 そして昼食時、ブライアンがやってきた。

 

トレーナー父「アポを取れっていう行為を教えた筈なんだがな…」

ナリタブライアン「違う。イイにおいがしたから立ち寄っただけだ」

トレーナー「茄子中心の野菜炒めだよ」

ナリタブライアン「……」

 

 野菜炒めと聞いてブライアンのテンションが下がった。

 

トレーナー父「それはそうとお前、制服を着てるという事は生徒会の仕事か」

ナリタブライアン「…その通りだ」

トレーナー「まあ、頑張ってね…」

「ブライアン!」

 

 エアグルーヴがやってきた。

 

エアグルーヴ「こんな所で何をしている! まさかとは思うが、中に入ったんじゃないだろうな!?」

トレーナー父「おう。さっさと連れて帰ってくれ」

エアグルーヴ「…わ、分かりました。ほら、さっさと行くぞ!」

ナリタブライアン「お前こそ何をしていた。ここに来る用事などなかった筈だろう」

エアグルーヴ「だ、黙れ! ほら行くぞ!」

 

 と、グルーヴはブライアンをズルズルと連れて行った。

 

トレーナー(…復帰狙いだな)

 

 とまあ、こんな1日もあるという事で、今回の話は終わりです。

 

 

トレーナー父「どういう終わり方してんだ!!!」

 

 

つづく

 

 

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