第29話
トレーナーチームも凪チームもダシマカップで勝ちまくっていた。というかもうこの2チームが無双している状態だった。
「な、なんでTSに出てるウマ娘たちが…」
「まあ、元々そんな出場人数も少なかったからアレなんだけどさ…勝てんよマジで…」
『ハルウララ29勝目!!!』
トレーナー「よーし。皆、お疲れさん。しっかり休めよ」
「はいっ!」
トレーナーの元で指示を受けているウマ娘たちはものすごく生き生きしていた。
そのまた一方で…。
「お疲れ様」
「……」
凪がアルダンたちに声をかけるが、どこか嫌そうにしていた。
凪「そんな顔すんなよ。結果を出してくれれば、こっちも一先ずは何も言わねーでやるよ」
メジロドーベル「くっ…!!」
ドーベルを筆頭に大半のウマ娘たちは凪に嫌悪感を抱いていた。しかし、凪が全くの無能とは言い切れず、自分たちの欠点などもしっかり言い当てている。メジロの地位が目的とはいえ、やる事はしっかりやっていた。そして何よりもトレーナーを信頼しないまま勝てる程、トレーナーチーム…もといラモーヌは甘くない。
凪「結果を出してくれればな」
そう、この日ドーベルたちは負けが多かったのだ。ラモーヌは勿論だが、元々ライスもカフェも実力者で、トレーナーの指導によってスタミナが強化されたのだ。勝つには一筋縄ではいかない。
凪「そうやっていつまで意地が張れるかな…ククク…」
そう言って凪は去っていった。凪のチームはどうなっているかというと、原則凪の力を借りずに自分達だけでやるというスタンスだったが、どうしても煮詰まった時は凪の力に借りざるを得ないという状況だった。
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そんなある日の事…。
メジロドーベル「もう嫌!!」
凪のいない所でドーベルが不満をぶちまけていた。
メジロライアン「お、落ち着いてドーベル…」
メジロドーベル「ライアンは嫌じゃないの!?」
メジロライアン「…確かにトレーナーさんのチームが良かったけど、このまま凪を放っておくわけにもいかないよ」
メジロパーマー「確かにそれはちょっとまずいね…」
ライアンに続いてパーマーも相槌を打つと、ドーベルは納得できなさそうにしていた。ブライト、マックイーンも凪に対して不満はあったが、おばあさまの命令である以上、どうする事も出来なかった。
メジロアルダン「まあ、それはまだいいんですよ…。せめて姉様だけでもなんとかできれば…」
「……」
アルダンが一番精神を病んでいて、他の5人が困惑していた。
メジロブライト「そういえばスペシャルウィーク様が此間練習試合を申し込んでたじゃないですか~。私たちもそうすればいいのでは?」
ブライトの言葉に皆が一斉に彼女を見た。その手があったかと言わんばかりに。
メジロドーベル「そうよ! その手があったわ!」
メジロアルダン「早速頼みに行きましょう」
そんなこんなで頼みに行こうとしたが、凪が現れた。
凪「いや、ダメに決まってるだろ」
メジロドーベル「あんたの指示は従わないって言ったでしょ。どいて!」
凪「それもそうだし、あれ…」
「え」
凪が指をさすとアルダンたちもある方向を見つめていた。
「トレーナーサーン! ワタシをチームに入れてくだサーイ!!」
「そう言われてもなあ…」
メジロドーベル「タイキ!!」
メジロドーベルの同室であるタイキシャトルがトレーナーに対して直談判していた。
メジロドーベル「ちょっとタイキ! あなた何やってるの!!」
タイキシャトル「Oh! ドーベル!」
タイキがドーベルたちの方を振り向いた。
メジロアルダン「あのう…。タイキさんもトレーナーさんのチームに?」
タイキシャトル「Yes!」
メジロマックイーン「あの…すみませんが、辞退してもらっても宜しいですか?」
タイキシャトル「Why!?」
メジロアルダン「私たちが入れないからです」
凪「あ、ごめん。アルダン姉さんたちのいう事は無視していいから。おい! そいつ連れて向こう行け!」
トレーナー「分かったよ…。あっちで話そ」
そう言ってトレーナーがタイキを連れて行こうとすると、
メジロドーベル「待ちなさいよ!」
メジロブライト「お話しましょうよ~」
メジロライアン「コ、コラ! ドーベル! ブライト! やめなさい!!」
ドーベルとブライトが引き留めようとするので、ライアンが止めた。
タイキシャトル「…トレーナーさん。モテモテですネ」
トレーナー「希望者がいっぱいいるんだ…20人くらい」
メジロアルダン「そうなんですよ。私たちは項目から外されてまして…。すみませんが、諦めて貰えませんかね?」
メジロライアン「その前にこの2人を止めてー!!!」
ライアンが必死にドーベルとブライトを引きはがそうとしていたその時、
「トレーナー!」
「え?」
すると金髪の美しいウマ娘が現れた。
トレーナー「あ、シチー…」
タイキシャトル「Oh! シチー!」
ゴールドシチー「アタシも入れてよ!!」
シチーの発言にメジロ家のウマ娘たちの目玉が飛び出した。
メジロアルダン「え、トレーナーさん…シチーさんとお知り合いですか?」
トレーナー「親父が遠い親戚なんだ…」
ゴールドシチー「おじさんもチームに入れてくれなくて…。あのリリーって奴は入れたのに」
トレーナー「あー…」
シチーの言葉にトレーナーは相槌を打つ。
ゴールドシチー「6人もいるんでしょ!? じゃあもう1人増えても大丈夫だよね!?」
タイキシャトル「シチー! ワタシが先デース!!」
メジロアルダン「いや、もうこれ以上新しい人は…」
その時だった。
ダイワスカーレット「ちょっと! それならあたしだって!!」
トウカイテイオー「僕だって諦めたわけじゃないもんに!!」
スカーレットとテイオーも現れて…。
「コラ~!!」
「割り込むな~!!!」
と、一斉に今までのウマ娘たちが現れて、一気にカオス状態になっていた。
トレーナー「…こんなに」
凪「こ、こんなにいるんならもう入らなくていいだろ! 帰るぞ!」
メジロドーベル「あんたの指図は受けないって言ってるでしょうが!」
メジロブライト「いーやーでーすーわー!!」
その時だった。
メジロライアン「いい加減にしなさい!!」
ライアンが怒鳴ると、皆が驚いた。ドーベルとブライトも驚いてライアンを見ていた。
メジロライアン「これ以上トレーナーさんを困らせたら、おばあさまに言いつけるよ! 手を離しなさい!!」
ライアンにそう言われると、ドーベルとブライトも手を離すことにした。
メジロライアン「…ごめんなさい。トレーナーさん」
トレーナー「アンタも大変だね」
メジロライアン「ううん…」
その時だった。
「全く、本当にあなたは罪深い人ね」
「!?」
ラモーヌを筆頭にトレーナーチームと、父組が現れた。
トレーナー「みんな…」
トレーナー父「…希望者がまたこんなに」
トレーナー父は困惑していた。
メジロラモーヌ「仕方ないわよ。ドーベル、ブライト。いくら凪がどうしようもない男でも、あなた達には他にすべき事があるでしょう」
メジロドーベル・メジロブライト「……」
ラモーヌがアルダンを見つめた。
メジロラモーヌ「アルダン。あなたも最年長なんだからしっかり止めなさい」
メジロアルダン「…ごめんなさい」
メジロラモーヌ「さて、また希望者がこんなに…諦めが悪いのね」
「あんたに言われたくねーよ!!!」
ラモーヌの発言に皆がツッコミを入れた。
メジロラモーヌ「まあいいわ。でも、人数があまりにも多すぎるわ」
ナイスネイチャ「ま、まさか…」
メジロラモーヌ「ええ。第2回リストラ会議よ。1票も入らなかった子はクビ」
「えええええええええ~~~~~~~~~~!!!!?」
と、叫んだその時、リリーのスマホが鳴った。
イエローリリー「ご、ごめんなさい。ちょっと…」
ナリタタイシン「また?」
イエローリリー「本当にすいません!」
そう言ってリリーはそそくさと出ていくと、トレーナーはリリーを見つめた…。
つづく