メジロになれなかった男   作:ダシマ

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第30話「リリーの正体」

第30話

 

 第2回リストラ会議が決まった。

 

メジロラモーヌ「外れるのはこの12名よ」

 

・ サトノダイヤモンド

・ サイレンススズカ

・ シンボリルドルフ

・ オグリキャップ

・ ミホノブルボン

・ スーパークリーク

・ タマモクロス

・ ジャングルポケット

・ ヒシアマゾン

・ マヤノトップガン

・ ツルマルツヨシ

・ アイネスフウジン

 

サトノダイヤモンド「え~~~~~~~~~~~~~~~~!!!?」

 

 ここに来てまさかの落選にサトノダイヤモンドは涙目になっていた。

 

キタサンブラック「ダイヤちゃん…」

サトノダイヤモンド「キ、キタちゃん…」

 

 キタサンブラックは口角を上げた。

 

キタサンブラック「ダイヤちゃんの分まで…幸せになるね!」

サトノダイヤモンド「もう絶交だよぉ!!!」

 

 そして他のメンバーはショックを受けていた。

 

サイレンススズカ「うそでしょ…」

シンボリルドルフ「やだあー!!! ルナもトレーナーくんのチームに入るのぉー!!!」

 

 ここに来て落選したシンボリルドルフは血の涙を流していた。

 

タマモクロス「落選したのは勿論悔しいけど…はずかしい…」

 

 そう、前にリストラ会議をしたときに大口をたたいたのだが、まさか自分が落とされるなんて思ってもいなかったのだ。

 

「知ってたwwwww」

「ざまぁwwwwww」

タマモクロス「しばくどワレェ!!!」

 

 オグリとクリークは普通にショックを受けていた。そして他のウマ娘たちもショックを隠せなかった…。

 

キタサンブラック(でもまあ、アタシがいかんせんトップだし、このまま…行けるッ!)

サトノダイヤモンド「皆さーん!! 次はフジ先輩かターボ先輩に入れてくださーい!!!」

キタサンブラック「ちょ、やめてよキタちゃあん!!」

タマモクロス「まあ、これでなんやかんや最後まで選ばれんかったら傑作やな」

キタサンブラック「タマモクロス先輩。そんな事言うから落とされたんじゃないですかねぇ?」

 

 そんなこんなで本編行きまーす」

 

*********************

 

 9月も終わりに差し掛かり、秋の天皇賞まで1か月を過ぎたころ…。

 

「ねえ、やっぱりあいつ、怪しくない?」

 

 トレセン学園でBNWが話をしていた。

 

ウイニングチケット「あいつって誰?」

ビワハヤヒデ「…もしかして彼女か?」

ウイニングチケット「彼女って…もしかしてリリー?」

 

 そう、タイシンはリリーの事を怪しんでいたのだ…。

 

ナリタタイシン「あいつ、事あるごとに電話しにいくじゃん」

ビワハヤヒデ「…そういえばトレーナーくんからは詳しい事を聞いてないな」

ナリタタイシン「それも怪しいんだって。あの用心深いトレーナーがあっさりウマ娘を連れてくると思う?」

ウイニングチケット「言われてみれば、シチーはいつも断ってるのにね…」

 

 と、チケットもちょっと怪しいと思い始めた。

 

ビワハヤヒデ「今度聞いてみる必要があるな」

 

*****************

 

「おはようございます!」

 

 そしてすぐにその時が来た。リリーが一人でトレーナー室に来ると、BNWとブライアンが神妙な面持ちで待っていた。

 

イエローリリー「あ、あの…。皆さん…どうされたんですか…?」

ナリタタイシン「あんた。ちょっと座って」

 

 タイシンがそう言うと、リリーは困惑していた。

 

イエローリリー「え…わ、私何か粗相でも…」

ナリタタイシン「座れ」

 

 タイシンがにらみを利かせてリリーを座らせた。

 

ウイニングチケット「タイシン! やりすぎ!」

ナリタタイシン「アンタは黙ってろ」

 

 リリーが思った以上に怯えていて、チケットが慌てて止めようとするとタイシンは止まらない。

 

イエローリリー「ほ、本当に何かあったんでしょうか…」

ナリタタイシン「アンタさ。たまに電話に出るために席外してるじゃん。誰と電話してるの?」

イエローリリー「……!」

 

 タイシンの質問にリリーの顔色が変わった。やっぱりそれを聞かれたか…と言わんばかりに。

 

ナリタタイシン「まさかとは思うけど、別チームにアタシ達の情報とか流してないよね!」

イエローリリー「してませんよ! え!? もしかして私の事スパイか何かだと思ってます!?」

ナリタタイシン「あんだけこそこそやられたら普通思うだろ!」

ウイニングチケット「タイシン!」

ビワハヤヒデ「もうちょっと言い方をだな…」

 

 するとトレーナー父が現れた。

 

トレーナー父「…何騒いでんだ」

ウイニングチケット「トレーナー!」

 

 皆がトレーナー父を見ると、リリーだけばつが悪そうにうつむいている。

 

ナリタタイシン「こいついつも陰でコソコソ電話してるんだよ。あんた何か知ってるでしょ」

トレーナー父「知ってるよ」

「!?」

 

 トレーナー父の言葉に皆が驚いた。

 

ナリタタイシン「もしかして誰と電話をしてるのかも知ってるの?」

トレーナー父「知ってるよ」

ビワハヤヒデ「誰と電話をしているんだ?」

トレーナー父「それは言えない」

 

 トレーナー父の言葉にBNWが驚いた。

 

ウイニングチケット「ど、どういう事なの…?」

トレーナー父「察せ。誰にも知られたくない事の一つや二つはあるだろう。安心しろ。スパイなんかじゃねぇよ」

イエローリリー「トレーナーさん…」

「!」

 

 リリーが口を開いた。

 

イエローリリー「…先輩たちには正直に話します。本当にすみませんでした」

トレーナー父「…そうか」

ナリタタイシン「じゃあ改めて聞くけど、電話の相手は誰?」

イエローリリー「病院です」

「病院?」

 

 イエローリリーは正面を向いた。

 

イエローリリー「私の父…数か月前に事故に遭って、まだ意識が戻ってないんです」

 

 リリーから告げられた言葉にBNWはショックを受けていたが、ブライアンは無言で見つめていた。

 

トレーナー父「まあ、簡単に言えばだな。こいつは元々オレのダチの娘で、地方のトレセン学園で通ってたんだ。中央に行くだけの実力もあったんだが、父親の仕事の関係でな。で、ある時事故に遭って意識不明になったんだ。いまだに戻っちゃいねぇ」

ビワハヤヒデ「そうだったのか…」

 

 するとトレーナー父は腕を組み始めた。

 

トレーナー父「…で、身寄りもいないもんでな。オレがしばらくの間面倒を見ることにしたんだ。こっちで推薦状書いてな」

ナリタタイシン「そんな事出来るの!?」

トレーナー父「ああ。お前たちのお陰でな」

 

 トレーナー父がそう言って見せると、BNWはぽかんとしていた。

 

トレーナー父「まあ、確かに黙ってたことは謝るが、事情が事情だ。お前たちも気を遣うだろう。電話もそうだ。こいつの親父がいつどうなるか分からねぇし、収容されている病院もここから遠い。だから唯一の肉親であるこいつにちょくちょく連絡が行っていたという訳だ」

ウイニングチケット「そ、そうだったんだ…」

 

 リリーの事情が分かってチケットは納得した。するとハヤヒデはばつが悪そうにタイシンを見た。

 

ビワハヤヒデ「…タイシン」

ナリタタイシン「分かってるよ。その…悪かった…つらい事思い出させて…」

ウイニングチケット「ごめんね」

イエローリリー「い、いえ! 気にしないでください! 先輩たちのいう事は当然のことですから!」

 

 タイシンとチケットが謝罪するとリリーも慌てて許した。

 

ナリタブライアン「ところで…トレーナーも知っているのか?」

トレーナー父「ああ。流石にあいつには教えとかないといけないからな…」

ナリタタイシン「だからあいつあんなに優しかったんだな…」

イエローリリー「はい…。トレーナーさんや東トレーナーにも本当に優しくしていただきました。本当の家族のように接してくれて…」

 

 するとリリーの目から涙が浮かんできた。

 

トレーナー父「まあ、そう言う事だ。悪いが協力してくれ」

ウイニングチケット「勿論だよ!!」

ビワハヤヒデ「分かった。喜んで協力させてもらおう」

ナリタブライアン「…ああ」

ナリタタイシン「分かった…」

 

 と、承諾するとトレーナー父はリリーを見た。

 

トレーナー父「まあ、そう言う事だ。一旦学園生活は心配しなくていい」

イエローリリー「はい…! ありがとうございます…!!」

トレーナー父「…さて、あいつにもこのことを報告してやらねぇとな。お前ら今晩うちに来れるか」

ナリタタイシン「まあ、いいけど…」

ウイニングチケット「みんなでご飯食べたらおいしいもんね!」

 

 こうしてこの日の夜はトレーナーチームと一緒にご飯を食べることになった。

 

トレーナー「すごい大所帯になったな…」

 

 子組7人、父組6人の合計13名。まるで親戚の集まりだった。料理はトレーナー、ネイチャ、リリーがしていた。

 

 いつもより賑やかな食卓にリリーが笑っていると、リリーのスマホがまたなった。

 

イエローリリー「あ、ご、ごめんなさい。また病院から…」

トレーナー父「ああ。こっちの事は気にするな」

 

 そう言ってリリーが席を外して、電話に出た。

 

イエローリリー「こんばんは。どうしましたか…はい…はい…え!?」

 

 イエローリリーが驚いたような声を出すと、トレーナー達も反応してリリーが出て行った廊下の方を見た。

 

イエローリリー「はい…はい…分かりました…はい…ありがとうございました…!」

 

 何やら感情を押し殺している様子だったので、皆が不穏に思っていた。そして電話を終えてリリーが戻ってきた。

 

トレーナー「何か動きがあったのか?」

トレーナー父「…どうなったんだ」

 

 するとリリーがトレーナー親子を見て涙を流した。

 

イエローリリー「先ほど父が…父が…」

「……!!」

 

 次の瞬間、リリーは嬉しそうな顔をしていた。

 

イエローリリー「意識を取り戻しました!!」

ウイニングチケット「…いやったあああああああああああああああああああああ!!!!」

 

 リリーの言葉にチケットは歓喜していたが、事情を知らないウララ達はぽかんとしていた。

 

ハルウララ「え? ど、どういう事?」

トレーナー「…実はな」

 

 トレーナーが簡単に事情を説明すると、

 

ハルウララ「えーっ!!!!」

ナイスネイチャ「凄くおめでたいじゃん!!」

イエローリリー「はいっ! ちゃんと会話が出来るようになるのは明日からなんですけど、もう大丈夫だって言われました!」

マンハッタンカフェ「おめでとうございます…」

ライスシャワー「良かったねぇ…!」

 

 カフェやライスにも祝福されて、リリーは目に涙を浮かべた。

 

メジロラモーヌ「それじゃ今日の食事会は、快気祝いでいいのかしら?」

トレーナー父「ああ。勿論だ」

「わぁあああああああああああああああああ!!!!」

 

 この日、トレーナー家では歓喜に満ち溢れていた…。

 

トレーナー「…まあ、それは良かったけど、何か忘れてるような」

メジロラモーヌ「もういいじゃない」

「いや、全然良くないよ!!?」

 

 コマの外からキタサンブラック達が突っ込んできた。

 

「あ、リリーちゃん! おめでとう!!」

イエローリリー「あ、ありがとうございます…」

 

 

つづく

 

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