メジロになれなかった男   作:ダシマ

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第7章:10月
第31話「6人目」


第31話

 

 投票の結果…

 

トレーナー「キタサンブラックになりました」

キタサンブラック「ありがとう! みんな!!」

サトノダイヤモンド「」

 

 6人目に選ばれてキタサンブラックは喜んでいたが、サトノダイヤモンドは唖然としていた。

 

ツインターボ「ターボはいつになったらチームに入れるの~!!?」

フジキセキ「…まあ、皆入りたいからねぇ」

 

ウオッカ「なんでスカーレットに5票も入るんだよ~!!」

ダイワスカーレット「フン! これが実力の差って奴よ…。あの、マーチャン」

アストンマーチャン「マーチャンも面白そうだから参加します~」

「くるなぁああああああああああああああああああああ!!!!!」

サトノダイヤモンド「私だって諦めませんよ!!?」

「いや、諦めろよ!!」

「サトノの悲願どうするんだ!!」

サトノダイヤモンド「まだ1年生ですし、それを言うならクラちゃんが…」

「負担多いわ!!!」

「ああもう出てくるなぁああああああああああああああああああ!!」

 

******************

 

 後日、トレーナー室にて…。

 

トレーナー「まあ、リリーはあともうちょっとだけいるとして、新たにキタサンブラックが加入したわけだが、芝の中距離を走って貰う事になりました」

メジロラモーヌ「あら、丁度良かったわ」

ナイスネイチャ「……」

 

 ラモーヌとネイチャも走っているので、ネイチャとしてはこのまま気を抜いたら後輩に追い抜かれるというシャレにならない事態になっていて、ラモーヌはそんなネイチャのケツを容赦なくぶっ叩こうとしていた。

 

キタサンブラック「ラモーヌさんもネイチャ先生も宜しくお願いしますっ!」

 

 チームに加入する前はあんだけ毒を吐いてたのに、加入したとたんこれだ。

 

メジロラモーヌ「まあ、それはいいけれど、私に勝つまではトレーナーとの接触は控えて貰うわ」

キタサンブラック「…え?」

 

 なんでお前がそんな事決めるんだよ。みたいな声色で呟くキタサンブラック。

 

メジロラモーヌ「当たり前よ。そもそもずっと昔に私に負けてそれっきりだったじゃない。貴女」

トレーナー「そういやそうだったな…」

 

 トレーナーとしてもあんまベタベタされてもダイヤの事があるしな…と、思っていた。

 

メジロラモーヌ「文句があるならもう一度勝負してみる? 徹底的に叩きのめしてあげるわ」

キタサンブラック「あ、あたしだってこれまでずっとトレーニングしてたんですよ!」

 

 とまあ、そんな感じで1対1で練習試合をしたのだが、ラモーヌの圧倒的勝利だった。

 

キタサンブラック「そ、そんな…」

トレーナー(まあ、元々実力が最高峰だったのに加えて、弱点の修正とキタの弱点とか教えたからな…。相当努力しなきゃ勝てんよ)

ナイスネイチャ「……」

 

 そしてネイチャは何とも言えない顔でキタを見つめると、ラモーヌはキタの方を振り向くことなく、その場を後にしようとすると、ネイチャの所にやってきた。

 

メジロラモーヌ「教育係。よろしく」

ナイスネイチャ「えっ!!?」

メジロラモーヌ「仲良いのでしょう?」

 

 そう言ってラモーヌが去っていくと、カフェとライスは何とも言えない顔をしていた。

 

ハルウララ「キタちゃん…」

 

 ウララが慰めようとするも、キングが止めた。

 

キングヘイロー「何をしているのネイチャさん。早く行きなさい」

ナイスネイチャ「えっ…」

キングヘイロー「同じことを何度も言わせないで。貴女が行きなさい」

 

 そう言うとネイチャは頷いた。

 

ナイスネイチャ「ありがとうキング。行ってくるね」

 

 そう言ってネイチャはキタの所に駆け寄った。

 

ナイスネイチャ「キタ…」

キタサンブラック「…また、負けました」

ナイスネイチャ「うん。やっぱり強いでしょ。ラモーヌ先輩…」

キタサンブラック「あたしだってトレーニングしたのに…」

ナイスネイチャ「トレーニングしたのは先輩も同じだよ。しかも鍛えたのはトレーナーさん。おかしくないでしょ?」

 

 ネイチャも厳しい言葉をかけると、キタは涙を流した。

 

キタサンブラック「あたしはこのままじゃ…」

 

 キタがそう言いかけると、ネイチャはそっと肩を抱いた。

 

ナイスネイチャ「キタ…とにかくね。あんたに言えることは一つだけ」

キタサンブラック「……!」

ナイスネイチャ「…一旦、下心は捨てようか」

 

 ネイチャの発言に空気が止まった。ウララ以外何とも言えない顔をしていた。

 

ナイスネイチャ「ラモーヌ先輩に勝とうと思ったら、並大抵の努力と精神力じゃ勝てない。アタシが一番分かってる。そしてダシマカップでもラモーヌ先輩はずっとアタシとアンタの壁でい続ける」

キタサンブラック「ネイチャ先生…」

 

 キタがネイチャを見つめると、ネイチャは静かに目を閉じた。

 

ナイスネイチャ「アタシも何度もあの人に打ちのめされ続けてきた。けど、アタシだって諦めたくないし、あそこにいるみんながいたから今頑張れてる。あんただって、このままじゃ終われないでしょ?」

 

 ネイチャの言葉にキタは更に涙を流す。

 

キタサンブラック「…はいっ!!」

ナイスネイチャ「よし! 良く言った! まあ今日は遅いからまた明日から頑張ろう!」

 

 と、いい感じでまとまったがその様子をトレーナーとキングは見つめていた。

 

キングヘイロー「成長したわね。ネイチャさん…」

トレーナー「ああ。ラモーヌは厳しい事ばっかり言ってたけど、なんだかんだ言ってアイツの事、一目置いてるんだよ」

ハルウララ「いちもく?」

トレーナー「良いと思ってたって事さ。負け続けたり、練習が厳しかったら普通は嫌になってやめるさ。だけど、あいつはなんだかんだ言ってやめるという事をしなかったんだ。それはどうしてか分かるか?」

ハルウララ「勝ちたいから?」

トレーナー「そうさ。ネイチャだって心のどこかでは『勝ちたい』『負けたくない』って思いがあったからで、ラモーヌはその気持ちを前面に出そうとしてたんだよ。で、今ああやってキタを励ますことが出来たって訳さ」

 

 トレーナーの言葉にカフェとライスは深く感心した。

 

マンハッタンカフェ「…ネイチャさん自身も経験しているから、説得力がありますものね」

ライスシャワー「まさかラモーヌさんはそれを見越したうえで…」

トレーナー「まあ、あいつもなんだかんだ言ってメジロの後継者候補とまで言われているからな。あれくらい造作もないんだろう。お前たちも負けてられないぞ」

ライスシャワー「う、うん…!」

マンハッタンカフェ「後輩には負けられません」

 

 こうしてチームが新たに一つになり、明日からまた頑張る事を誓うのだった…。

 

つづく

 

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