第32話
加入したはいいものの、ラモーヌがいる限りトレーナーに近づけないキタサンブラック。そこでネイチャは真面目に練習するように提案する。
それはさておき、メジロ家にとって運命の『秋の天皇賞』と、キングヘイローの『菊花賞』が近づいていた…。
秋の天皇賞当日。
「いや、いきなり当日!!?」
「いきなり展開が早すぎるだろ!!!」
場所は東京競バ場で行われる。ちなみに東京23区よりも西で、西国分寺よりも南にあるらしい…。
トレーナー「ダシマが西日本在住だから、東京あんま詳しくないんよね…」
八王子が思った以上に23区から離れてて驚きました。
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まあ、そんな事はさておき、メジロ家のウマ娘たちは優秀な成績が認められて、全員出走権を獲得していました。
公式ではトレーナーがいないと出走は出来ないのだが、今作では自己責任で良いならトレーナーなしでも出走可能です。
トレーナー「まあ、正規のトレーナーが色々手配とかしてるらしいんだけど、それを全部自分で何とかしないといけないし、ケガをしても誰も責任を取らないって事だね。あと、もう早く始めよう」
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東京競バ場前、メジロ家が全員でそろっていた。ちなみに秋の天皇賞に出走できるのは3年生からであり、2年生であるマックイーンのみ欠場である。
メジロラモーヌ「さて、誰が勝っても恨みっこなしよ」
メジロアルダン「…ええ。分かっていますわ。姉様」
そしてトレーナーと凪が見つめていた。
凪「ラモーヌはお前に譲ってしまったが…。メジロの悲願を叶える為に勝たせてもらうぞ」
トレーナー「まあ、正直オレにとっちゃそんなもんどうでいいが、分かってるな。凪」
凪「…なんだよ」
トレーナー「レースは正々堂々とやれよ」
凪「分かったよ。行くぞ」
そう言って凪はアルダンたちを連れて行った。
トレーナー「さて、お前たちもさっさと行ってこい…って、どうしたライス」
ライスシャワー「えっ…!?」
トレーナーがラモーヌたちを行かせようとしていたのだが、ライスは緊張していた。というのも、ライスは春と秋の連覇がかかっていて、ネイチャがそれに気づいた。
ナイスネイチャ「
トレーナー「ああ。タマモクロスさん以来の2人目の春秋連続制覇になる」
ライスシャワー「……」
ライスがとてつもないプレッシャーを感じていた。
トレーナー「…とはいってもだライス」
ライスシャワー「!」
トレーナーがライスの目の前に立って、しゃがんでライスに目線を合わせる。
トレーナー「勝つことも記録を残すことも大事だが、まずお前自身が後悔しねェようにしな。あと、お前は独りぼっちで戦ってんじゃねェって事も忘れるな」
ライスシャワー「お兄様…」
トレーナー「他の皆だってそうだ。まあ、オレは正規のトレーナーじゃないから、あんまりでかい事は言えないけど、今までの成果をぶつけてこい! 以上だ!」
「はいっ!」
こうしてラモーヌ、カフェ、ライスを送り出した…。
キタサンブラック「トレ兄…」
トレーナー「まあ…あとはライスたちを信じるしかない。オレ達も客席に行こう」
そう言ってトレーナー達がその場を後にすると、未加入組が陰から見ていた。
フジキセキ「…まあ、今はやめた方がよさそうだね」
ツインターボ「トレーナーが凄く怒るってネイチャが言ってた…」
サトノダイヤモンド「それにしたってキタちゃんくっつきすぎ!!」
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観客たちが見守る中、遂に秋の天皇賞が始まろうとしてた。メジロ家やライス、カフェがゲートの前に立ち、今か今かと出走の時を待っていた。
メジロマックイーン「……」
今回唯一出場しないマックイーンは凪の横で見守っていた。
凪「良く見ておくんだぞマックイーン。ラモーヌたちの姿を…」
メジロマックイーン「ええ…」
なんでこいつにそんな事言われないといけないんだと、マックイーンは憤慨していた。
トレーナー「……」
それとは対照的にウララ、ネイチャ、キタはトレーナーの事を信頼していて、落ち着いて見れていた。
暫く、ファンファーレが鳴り、皆が今か今かとゲートが開くのを待っていた。
そして運命の瞬間が訪れた。ゲートが開いて一斉にウマ娘たちが走り出した。G1という事もあり、応援にも熱が入る。
ハルウララ「がんばれー!!!」
キタサンブラック「いっけー!!!」
特にメジロは悲願という事もあり、負けられない戦いとなっていた。
凪「よし! いいぞ!!」
トレーナー「……」
凪がリードを取っていて喜んでいたが、トレーナーは冷静にライスとカフェを見つめていた。そして試合前の事を思い出していた。
トレーナー「…あいつらにとって天皇賞はとても大事だ。だからそれ故に力も入りやすくなる」
ライス・ラモーヌ・カフェ「……!」
トレーナー「ライスとカフェは長距離をやっている分スタミナがある筈だ。後半戦ペースを大幅に上げて、アイツらを狂わせるんだ。ラモーヌはいつも通りに走れ」
メジロラモーヌ「…分かったわ」
マンハッタンカフェ「分かりました」
ライスシャワー「うん…!」
トレーナー「まあ、あくまでトレーナーとしての作戦は伝えたが、最終的な判断はお前達自身に任せる!」
トレーナー(やはりアルダンたちは力が入ってるみたいだな…。天皇賞の事もあるが、ラモーヌの事もある)
メジロラモーヌ「……」
ラモーヌも冷静に走っていて、他のメジロのウマ娘と並んでいた。先頭を走るのは『逃げ』を得意とするメジロパーマーだった。
そして終盤に差し掛かり、全員がペースを上げ始めていたが、ここで仕掛けてきたのがカフェとライスだった。
凪「なんだと!?」
メジロマックイーン「!!」
マンハッタンカフェ(…メジロの方々には悪いですが、勝たせてもらいます!!)
ライスシャワー(ライスは一人じゃない…ライスは…独りじゃない!!)
体力を大幅に温存してどんどん追い抜いていくカフェとライス。するとラモーヌも『絶対的なオーラ』を放って、先頭のパーマーに迫る。
メジロアルダン「くっ…!!!」
メジロライアン「やはり強い…ッ!!」
メジロドーベル・メジロブライト「……!!」
メジロマックイーン「!!」
凪「何やってるんだ!! 気をしっかり持て!!!」
ハルウララ・キタサンブラック・ナイスネイチャ「いっけー!!!!」
そしてこの男も叫んだ。
トレーナー「ラモーヌ! カフェ!! ライス!!! いまだーっ!!!!」
トレーナーも大声で叫ぶと、ライスが一番反応していた。
ライスシャワー(お兄様やみんなが見てる…。ライスだって…ライスだって!!!)
この時、ライスの目が大きく開いて、瞳に大きな闘志を宿したその瞬間、先頭にいたパーマーをラモーヌと共に追い抜いた。アルダンも最後の悪あがきと言わんばかりにラモーヌと並んだが、もうその時点でゴールはライスに割られていた。
『決まったーっ!!!!! 秋の天皇賞の勝者はライスシャワー!! 天皇賞の春と秋制覇だーっ!!!!!!』
アナウンサーの声に会場は大歓声にあふれていた。
つづく