メジロになれなかった男   作:ダシマ

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第32話「天皇賞(秋)」

第32話

 

 加入したはいいものの、ラモーヌがいる限りトレーナーに近づけないキタサンブラック。そこでネイチャは真面目に練習するように提案する。

 

 それはさておき、メジロ家にとって運命の『秋の天皇賞』と、キングヘイローの『菊花賞』が近づいていた…。

 

 秋の天皇賞当日。

 

「いや、いきなり当日!!?」

「いきなり展開が早すぎるだろ!!!」

 

 場所は東京競バ場で行われる。ちなみに東京23区よりも西で、西国分寺よりも南にあるらしい…。

 

トレーナー「ダシマが西日本在住だから、東京あんま詳しくないんよね…」

 

 八王子が思った以上に23区から離れてて驚きました。

 

******

 

 まあ、そんな事はさておき、メジロ家のウマ娘たちは優秀な成績が認められて、全員出走権を獲得していました。

 

 公式ではトレーナーがいないと出走は出来ないのだが、今作では自己責任で良いならトレーナーなしでも出走可能です。

 

トレーナー「まあ、正規のトレーナーが色々手配とかしてるらしいんだけど、それを全部自分で何とかしないといけないし、ケガをしても誰も責任を取らないって事だね。あと、もう早く始めよう」

 

******

 

 東京競バ場前、メジロ家が全員でそろっていた。ちなみに秋の天皇賞に出走できるのは3年生からであり、2年生であるマックイーンのみ欠場である。

 

メジロラモーヌ「さて、誰が勝っても恨みっこなしよ」

メジロアルダン「…ええ。分かっていますわ。姉様」

 

 そしてトレーナーと凪が見つめていた。

 

凪「ラモーヌはお前に譲ってしまったが…。メジロの悲願を叶える為に勝たせてもらうぞ」

トレーナー「まあ、正直オレにとっちゃそんなもんどうでいいが、分かってるな。凪」

凪「…なんだよ」

トレーナー「レースは正々堂々とやれよ」

凪「分かったよ。行くぞ」

 

 そう言って凪はアルダンたちを連れて行った。

 

トレーナー「さて、お前たちもさっさと行ってこい…って、どうしたライス」

ライスシャワー「えっ…!?」

 

 トレーナーがラモーヌたちを行かせようとしていたのだが、ライスは緊張していた。というのも、ライスは春と秋の連覇がかかっていて、ネイチャがそれに気づいた。

 

ナイスネイチャ「

トレーナー「ああ。タマモクロスさん以来の2人目の春秋連続制覇になる」

ライスシャワー「……」

 

 ライスがとてつもないプレッシャーを感じていた。

 

トレーナー「…とはいってもだライス」

ライスシャワー「!」

 

 トレーナーがライスの目の前に立って、しゃがんでライスに目線を合わせる。

 

トレーナー「勝つことも記録を残すことも大事だが、まずお前自身が後悔しねェようにしな。あと、お前は独りぼっちで戦ってんじゃねェって事も忘れるな」

ライスシャワー「お兄様…」

トレーナー「他の皆だってそうだ。まあ、オレは正規のトレーナーじゃないから、あんまりでかい事は言えないけど、今までの成果をぶつけてこい! 以上だ!」

「はいっ!」

 

 こうしてラモーヌ、カフェ、ライスを送り出した…。

 

キタサンブラック「トレ兄…」

トレーナー「まあ…あとはライスたちを信じるしかない。オレ達も客席に行こう」

 

 そう言ってトレーナー達がその場を後にすると、未加入組が陰から見ていた。

 

フジキセキ「…まあ、今はやめた方がよさそうだね」

ツインターボ「トレーナーが凄く怒るってネイチャが言ってた…」

サトノダイヤモンド「それにしたってキタちゃんくっつきすぎ!!」

 

*************

 

 観客たちが見守る中、遂に秋の天皇賞が始まろうとしてた。メジロ家やライス、カフェがゲートの前に立ち、今か今かと出走の時を待っていた。

 

メジロマックイーン「……」

 

 今回唯一出場しないマックイーンは凪の横で見守っていた。

 

凪「良く見ておくんだぞマックイーン。ラモーヌたちの姿を…」

メジロマックイーン「ええ…」

 

 なんでこいつにそんな事言われないといけないんだと、マックイーンは憤慨していた。

 

トレーナー「……」

 

 それとは対照的にウララ、ネイチャ、キタはトレーナーの事を信頼していて、落ち着いて見れていた。

 

 暫く、ファンファーレが鳴り、皆が今か今かとゲートが開くのを待っていた。

 

 そして運命の瞬間が訪れた。ゲートが開いて一斉にウマ娘たちが走り出した。G1という事もあり、応援にも熱が入る。

 

ハルウララ「がんばれー!!!」

キタサンブラック「いっけー!!!」

 

 特にメジロは悲願という事もあり、負けられない戦いとなっていた。

 

凪「よし! いいぞ!!」

トレーナー「……」

 

 凪がリードを取っていて喜んでいたが、トレーナーは冷静にライスとカフェを見つめていた。そして試合前の事を思い出していた。

 

 

 

トレーナー「…あいつらにとって天皇賞はとても大事だ。だからそれ故に力も入りやすくなる」

ライス・ラモーヌ・カフェ「……!」

トレーナー「ライスとカフェは長距離をやっている分スタミナがある筈だ。後半戦ペースを大幅に上げて、アイツらを狂わせるんだ。ラモーヌはいつも通りに走れ」

メジロラモーヌ「…分かったわ」

マンハッタンカフェ「分かりました」

ライスシャワー「うん…!」

トレーナー「まあ、あくまでトレーナーとしての作戦は伝えたが、最終的な判断はお前達自身に任せる!」

 

 

トレーナー(やはりアルダンたちは力が入ってるみたいだな…。天皇賞の事もあるが、ラモーヌの事もある)

メジロラモーヌ「……」

 

 ラモーヌも冷静に走っていて、他のメジロのウマ娘と並んでいた。先頭を走るのは『逃げ』を得意とするメジロパーマーだった。

 

 そして終盤に差し掛かり、全員がペースを上げ始めていたが、ここで仕掛けてきたのがカフェとライスだった。

 

凪「なんだと!?」

メジロマックイーン「!!」

 

マンハッタンカフェ(…メジロの方々には悪いですが、勝たせてもらいます!!)

ライスシャワー(ライスは一人じゃない…ライスは…独りじゃない!!)

 

 体力を大幅に温存してどんどん追い抜いていくカフェとライス。するとラモーヌも『絶対的なオーラ』を放って、先頭のパーマーに迫る。

 

メジロアルダン「くっ…!!!」

メジロライアン「やはり強い…ッ!!」

メジロドーベル・メジロブライト「……!!」

 

メジロマックイーン「!!」

凪「何やってるんだ!! 気をしっかり持て!!!」

 

ハルウララ・キタサンブラック・ナイスネイチャ「いっけー!!!!」

 

 そしてこの男も叫んだ。

 

トレーナー「ラモーヌ! カフェ!! ライス!!! いまだーっ!!!!」

 

 トレーナーも大声で叫ぶと、ライスが一番反応していた。

 

ライスシャワー(お兄様やみんなが見てる…。ライスだって…ライスだって!!!)

 

 この時、ライスの目が大きく開いて、瞳に大きな闘志を宿したその瞬間、先頭にいたパーマーをラモーヌと共に追い抜いた。アルダンも最後の悪あがきと言わんばかりにラモーヌと並んだが、もうその時点でゴールはライスに割られていた。

 

 

『決まったーっ!!!!! 秋の天皇賞の勝者はライスシャワー!! 天皇賞の春と秋制覇だーっ!!!!!!』

 

 

 アナウンサーの声に会場は大歓声にあふれていた。

 

 

 

つづく

 

 

 

 

 

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