メジロ家のクリスマスパーティー『メジロ・イン・クリスマス』直前。凪はメジロ家の一部の人間の手によって幽閉されてしまう…。
そんな事も露知らず、マックイーン達は凪が問題を起こしたと軽く考えて、新トレーナーである小神の指導の下でトレーニングをしていた。
小神「お疲れ様! 水分補給はしっかりとってね!」
「あ、ありがとうございます…」
休憩に入り小神がドリンクを差し入れすると、マックイーン達はそれを飲んだ。
メジロパーマー「ぷはー!! なんかピリッとするね!」
メジロマックイーン「ええ…。ですが、いい刺激になりますわ」
メジロブライト「……」
ただ、ブライトだけはまだ口に手を付けておらず、じっと見つめていた。
メジロライアン「ん? どうしたのブライト」
メジロドーベル「具合でも悪いの?」
メジロブライト「いえ。何でもありませんわ…」
と、ブライトは何事もなかったかのようにふるまっていたが、
メジロパーマー「それにしても何だろう。このドリンクを飲んでると不思議な感じがするね…」
メジロアルダン「ええ…」
パーマーやアルダンだけでなく、マックイーン、ライアン、ドーベルも何やらテンションがおかしな事になっていた。
小神「さあ、ドリンクを飲んだらすぐに練習を開始するよ」
「はい!」
小神「ブライトも早く飲んで!」
するとブライトは小神を見つめた。
メジロブライト「…いいえ。私は結構です」
小神「そんな事言わずに…」
メジロブライト「このドリンクを飲まないと不都合な事があるのですか?」
小神「そんな事はないけど…」
メジロブライト「なら問題ありませんね~」
そう言ってブライトはドリンクが入った容器をベンチの上に置いてトレーニングを続けようとすると、小神は合図を送り、ライアンがブライトを取り押さえて、ドーベルが無理にでも飲ませようとしていた。
メジロブライト「……!!」
小神「……」
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「…やはりクロね」
トレーナー室にてラモーヌがそう呟くと、トレーナーチームや父親チームも聞いていた。
トレーナー父「奴らも相当焦ってるみてぇだな」
メジロラモーヌ「ええ。それもそうだけど、凪の事を気に入っていなかったのは紛れもない事実よ」
ウイニングチケット「ひ、酷い…!!」
小神達の卑怯なやり方にウマ娘達は激怒していた。
トレーナー「…にしても、ブライトの下着に盗聴器を仕掛けてるなんてたまげたなあ」
メジロラモーヌ「ええ。まさか向こうもブライトのブラジャーに盗聴器を仕込んでるなんて思わないだろうし、もし仮に仕込んでたとしても手が出せないわ。さて…データは取れた事だし、反撃開始よ」
ラモーヌがそう言い放つも、その瞳は怒りがこもっていた…。
ビワハヤヒデ「何か手は打っているのかしら?」
メジロラモーヌ「ええ。ブライトから相談を受けた時に、凪を確実に助けてくれそうな所に依頼しておいたわ」
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またしても状況は変わり、ブライトも含め、メジロ家のウマ娘6人はドリンクの影響によって完全に洗脳されてしまった。
小神「よし、今日の練習はここまで!」
「ありがとうございました」
マックイーン達の瞳はハイライトがなくなり、完全に小神の指示に従う人形となっていた。そして小神はそんな6人を見てほくそ笑んでいた。
そして練習が終わり、マックイーン達と別れた小神はある人物と電話をした。
小神「…予定通り、マックイーン達にはドリンクを飲みました」
『そうですか。ご苦労様です』
電話の相手はどこか聞き覚えのある声だった。
『これでマックイーンお嬢様達は貴方の言う事しか聞けない筈です。予定通りクリスマスまで頼みますよ』
小神「ええ。承知しました…二宮さん」
電話の相手はなんと二宮だった。
小神「二宮さん。この作戦が成功したら本当にマックイーン達のトレーナーにしてくれるんでしょうね」
二宮「ええ。勿論ですとも。寧ろそろそろ奥様にもご隠居して頂きたいですしね」
二宮は今のメジロの体制もそうだが、マックイーン達が凪やトレーナー親子と懇意にしている事を快く思っていなかったのだ。
二宮「奥様には色々お世話になりましたが、あのままではメジロは廃れてしまう。後進の為にもトップは変わった方がいい」
二宮は自分のやっている事は正しいと言わんばかりに暗く笑う。
二宮「そしてあのメジロ・イン・クリスマスは君…そして我々の力を示す為のデモンストレーションとなります。失敗は許しませんよ」
小神「それに関しては心配いりません。任せてください…」
二宮「期待していますよ」
二宮がそう言うと、電話を切った…。
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その頃、監禁されている凪は絶望していた。今迄手塩にかけてきたマックイーン達を取られただけではない。汚い大人たちが寄ってたかって自分をボコボコにしてきた事に無力感を感じていた。
凪(あの頃と変わらない…。何故だ…何故なんだ…!!)
凪が思い出すのはかつて孤児院に引き取られる前に両親と暮らしていた時の記憶。暴力だけは凄かった父。そして育児放棄をして自分第一の母。愛情なんてどこにもなかった。あの両親を見て力がなければただやられるだけだと体が覚えていき、今まで自分がのし上がるために手段を選ばなかった。
だが、結果的に自分はまた争いに敗れて一人ぼっちだ。
凪(嫌だ…誰か…誰か…)
凪の頭の中にはメジロ家のウマ娘達、そして…かつてのトレーナーや孤児院の仲間たちが思い浮かんだ。
凪「誰か助けてくれぇえええええええええええええええええええ!!!!」
つづく