メジロになれなかった男   作:ダシマ

45 / 63
第45話「前を向け」

第45話

 

 結局、メジロ・イン・クリスマスはアルダン達の体調不良と、二宮たちの不祥事により中止にすることになった。

 

メジロラモーヌ「…そして私もあの子達に付き添うわ」

トレーナー「ラモーヌ…」

 

 ラモーヌもまたアルダン達の看病のため、実家に戻る事にしたのだ。そんなラモーヌに対してトレーナー親子は神妙な顔をしていた。

 

メジロラモーヌ「いいのよ。アルダン達が入院したとはいえ、最終的にメジロの膿が取れたわ。これでメジロもまたいい方向に向くわ。それに関してはあなた達に感謝してるのよ」

 

 ラモーヌがそう言うと、他のチームメイトは困った顔をする。

 

ハルウララ「や、やっぱりわたし達も…」

メジロラモーヌ「それだとマックイーン達が気を遣って休めないわ。彼女たちの為にも遠くから見守っていて頂戴」

 

 ラモーヌ一人に苦労はかけさせまいと、ウララも看病を申し出るが、ラモーヌは自分たちでけじめをつけると言わんばかりに、申し出を断った。

 

メジロラモーヌ「…もう十分よ。ありがとう」

 

 ラモーヌがそう言うとウララは困った顔をしていたが、トレーナーがウララの肩を抱いた。

 

トレーナー「そこまで言うならラモーヌの言うとおりにしよう」

ハルウララ「…分かった」

メジロラモーヌ「それじゃ、私はもう行くわね」

トレーナー「ああ」

 

 ラモーヌがトレーナー達を見つめた。

 

メジロラモーヌ「また、冬休みが明けたら会いましょう」

 

 そう言ってラモーヌは実家に戻っていった。

 

********************************

 

 トレーナー室。

 

トレーナー「まあ、そういう訳でオレ達ももうすぐ冬休みではあるが…。皆どうするんだ?」

ハルウララ「わたしはここにいるよ!」

ナイスネイチャ「アタシもいつも通り…」

ライスシャワー「ライスも…」

マンハッタンカフェ「私も特に予定はないですね…」

キングヘイロー「私も」

ダンツフレーム「わ、私もです…」

トレーナー「実家帰ったりしないの?」

 

 思った他皆実家に帰らないので、トレーナーは困惑していた。

 

キタサンブラック「まあ、アタシはクリスマスも年末もトレ兄と一緒に…」

トレーナー「いや、お前は近いんだから年末は流石に帰れよ」

キタサンブラック「どうしてアタシだけそんなに冷たいの!!?」

 

 幼馴染であるからこそ、キタサンにはある程度ドライなトレーナーであった。

 

トレーナー「まあいいや。で、一応もうメジロのクリスマスイベントはなくなったし、クリスマスはもう各自自由に過ごせ」

ハルウララ「トレーナーはどうするの?」

トレーナー「どうもしないよ。あんな事があってもうクリスマスパーティなんて気分じゃないしな…」

 

 トレーナーがそう言うと、他のウマ娘達は困惑していたし、心配していた。

 

トレーナー「本当にやるせないなぁ…」

 

*************************

 

「そうか…。トレーナーくんはそんなに…」

 

 解散後、キタサンブラックはサトノダイヤモンドにトレーナーの状況を説明していたのだが、何故かルドルフ達も聞いていた。

 

キタサンブラック「そういう訳なんで、もうトレ兄の好きにさせてあげましょうよ」

シンボリルドルフ「そうだな。クリスマスはもう各自好きなように過ごそう」

 

 と、ルドルフ達も空気を読んでトレーナーを無理に誘う事なく、思いのままに過ごすことにした。

 

 その夜、トレーナーは自宅の部屋で休んでいると、ノックする音が聞こえた。

 

「入るぞ」

 

 トレーナー父が入ってきた。

 

トレーナー「親父…」

トレーナー父「…まだアイツの事を気にしているのか?」

 

 トレーナー父の言葉にトレーナーは一息ついた。

 

トレーナー「…前まではあんなに会いたくもなかったのになぁ」

トレーナー父「…そうだな」

 

 トレーナー父としても凪の事は快く思っていなかった。最初は権力に執着しているクソガキとしてしか思っていなかったが、大人たちの裏切りに会うと流石に哀れでしかなかった。

 

トレーナー父「まあ、お前も色々あったろう」

トレーナー「分かってるよ。ダシマカップまでには…」

トレーナー父「違う」

トレーナー「え?」

 

 父親から出た言葉にトレーナーは思わず父親の顔を見たが、父親は無表情だった。

 

トレーナー父「本当にここまでよく頑張ったな」

トレーナー「……!!?」

 

 トレーナー父の言葉にトレーナーは驚いていた。まさか褒めるとは思っていなかったからだ。

 

トレーナー「え、どうしたの急に」

トレーナー父「どうもしねぇよ。だが、もうすぐこれで終わりを迎えそうだ」

トレーナー「…だといいけどな」

トレーナー父「いいや、迎えさせるさ。もう振り回されるのはオレとしても御免だぜ。だから…もう少しだけ頑張れ」

 

 トレーナー父から告げられた言葉にトレーナーは頷いた。

 

トレーナー「分かったよ」

 

******************

 

 後日、トレーナーは普通に自分のトレーナー室で仕事をしていると、ウララがやってきた。

 

ハルウララ「トレーナー!」

トレーナー「どうしたウララ」

ハルウララ「その…元気出た?」

トレーナー「ああ。正直ラモーヌもアイツも心配だけど、ずっと考えても状況は変わらない。だからもうジタバタしない事にしたんだ」

ハルウララ「そっかー…」

トレーナー「まあ、クリスマスも適当に楽しむことにするよ」

ハルウララ「そうだ!! やっぱり皆も呼んでクリスマスパーティーしようよ!! 2次予選のお疲れ様会もまだだし!!」

トレーナー「…そうだな。そうするか!」

 

 

 こうしてトレーナーはラモーヌを除くチームメンバーに声をかけてクリスマスパーティーを行う事となった…。

 

 

 まあ、勿論クリスマス当日ははちゃめちゃになるのだが…。それはまた次回。

 

 

つづく

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。