メジロになれなかった男   作:ダシマ

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第50話「ダシマカップ・2」

 

 

 そして運命の第1戦目が始まった。トレーナーチームからはマンハッタンカフェ、ライスシャワー。凪チームからはメジロライアン、メジロブライト、メジロパーマーの3人が出走する。勝ち上がった16名の中でもこの5人がひと際目立っていた。

 

 両チームのトレーナーやメンバーだけではなく、周りも見守る中、全選手がゴールを、そして勝利を目指して走っていく。

 

 もう言葉はない。ただ勝つことだけを考えていた。

 

 そしてあっという間に試合も終わる。

 

『ゴール!! 1着はライスシャワー!! 2着はマンハッタンカフェ、3着は…』

 

 1回戦はライスシャワーとマンハッタンカフェのツートップでトレーナーチームに軍配が上がる。

 

ハルウララ「やったやったーっ!!!」

メジロラモーヌ「当然の結果ね」

 

 ラモーヌとしては同じメジロのウマ娘が負けたというのに、ライスやカフェといった同じチームのメンバーに肩を持っていた。それもそうだ。このダシマカップでメジロ家の未来が良くも悪くも変わるのだ。

 

ウイニングチケット「ライアン達は残念だったけど…」

ビワハヤヒデ「…ライスくんの気迫が依然よりも増している」

ナリタタイシン「…そうだね」

 

 BNWも試合が終わってそれぞれ感想を述べると、トレーナー父は何も言わずにライス達を見つめる。

 

イエローリリー「…東トレーナー?」

 

 そしてまた凪チームはというと、

 

メジロマックイーン「やはり一筋縄ではいきませんわね」

メジロドーベル「うん…」

凪「……」

 

 マックイーンとドーベルがライアン達の敗北とライス達の成長を見て、焦りを隠せずにいたが、凪は表情を変えることがなかった。

 

凪「マックイーン、ドーベル、アルダン姉さん」

メジロマックイーン「!?」

メジロドーベル「な、何よ…」

 

 ドーベルは警戒しつつも、マックイーンと同様。明らかに様子が変わった凪に戸惑いを隠せずにいた。アルダンはただ困惑していた。しかし、凪はお構いなしに3人に対してこう指示を告げる。

 

凪「準備をしておけ」

 

 帰ってきた言葉は単純かつ意外な言葉だった。いつもの凪なら感情を昂らせてライアン達を責めるか、自分達に圧をかけてくるかしてくる筈だ。だが、今の彼はまさにウマ娘を受け持つトレーナーそのものだった。そしてその言葉を聞いたマックイーンとドーベル、アルダンは呆気に取られてお互いを見合わせた。

 

***************

 

 そしてダシマカップの1回戦が続いた。ダート・中距離に続いてキングが出走する芝の短距離。

 

キングヘイロー「ライスさんやウララさんだけではないという事を教えてあげるわ!」

トレーナー「おう。教えてくれ」

 

 そして見事に1着を取った。

 

キングヘイロー「オーッホッホッホッホ!! これがキングの実力よ!!」

トレーナー「これで最後は勝てなかったってオチはやめろよ」

キングヘイロー「分かってるわよ!!」

 

 トレーナーの冷静なボケにキングがツッコミを入れると、ライスやダンツは苦笑いしていた。

 

 そして芝・マイル、ダート・長距離に続いていよいよ芝の中距離となった。

 

 出走するウマ娘は下記のとおりである。

<トレーナーチーム>

・ メジロラモーヌ

・ ナイスネイチャ

・ キタサンブラック

・ ダンツフレーム

 

<凪チーム>

・ メジロマックイーン

・ メジロドーベル

・ メジロアルダン

 

トレーナー「さて、これで1回戦最後になる訳だ。マックイーンやドーベル、そして他のウマ娘達も強敵ぞろいだが、お前たちなら全員必ず次に進めると信じている!」

ナイスネイチャ「トレーナーさん…」

キタサンブラック「勿論だよトレ兄!」

 

 トレーナーの言葉にネイチャが呟くと、キタサンが自信満々に返事した。そしてそんな後輩を見てネイチャはこんな事ではいけないと気合を入れ直した。ダンツも正直ラモーヌやキタサンに気圧される所はあるが、選ばれなかったタキオンたちの分まで頑張ると決意した以上、逃げるという選択肢はなかった。

 

 そしてラモーヌは言うまでもなかった。

 

トレーナー「…よし、それじゃ行ってこい」

 

 そう言ってトレーナーは4人のウマ娘を送った。

 

 そしてまた一方で、凪はマックイーンとドーベルに対して言葉をかけることになったのだが、

 

メジロドーベル「特に言葉はいらないから」

メジロマックイーン「ド、ドーベル…」

メジロアルダン「……」

 

 ドーベルがそう言って先に行こうとしたが、

 

「待って。ドーベル」

 

 そう呼び止めたのはライアンだった。

 

メジロライアン「凪。マックイーンとドーベルに何か一言言って」

「!?」

 

 ライアンがそう言うとドーベルとマックイーンが驚いたが、アルダンやブライト、パーマーは特に反対する様子はなかった。

 

メジロマックイーン「ライアン…」

メジロアルダン「…そうですね。色々ありましたが、このダシマカップは私達が力を併せなければ勝てません。一言お願いします」

 

 アルダンの言葉に皆が凪を見つめると、凪は特にリアクションをしないままマックイーンとドーベルを見つめる。

 

凪「…ああ。マックイーン、ドーベル、アルダン姉さん。勝て」

 

 凪の言葉にマックイーンとドーベルが仕方ないと言わんばかりに、頷いた。

 

 そして1回戦最後の試合が始まる。果たして、誰が勝利するのか…?

 

 

つづく

 

 

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