16名中12名が勝ち上がれるダシマカップ本選1回戦。メジロ4人の戦いが繰り広げられていた。
メジロアルダン「姉様…」
メジロラモーヌ「遠慮はいらなくてよ。今はもうトレーナーも凪もない。一人のウマ娘として全力を尽くし、勝利をつかむ。それだけよ」
ラモーヌの言葉にドーベルやマックイーンにも緊張感が走っていたが、ネイチャは困惑していた。
ナイスネイチャ(な…なんかアタシ、場違い?)
ネイチャがそう思っていたその時、
メジロラモーヌ「…とはいえ、こういう時こそ思いがけない展開が待っているものね。そうでしょう? 貴女」
ラモーヌがネイチャの方を見つめると、ネイチャは青ざめて傍にいたキタサンとダンツが苦笑いしていた。
メジロラモーヌ「もうここまで来たからには退路は断たれているわ。全力を出しなさいな」
ナイスネイチャ「わ、分かりました…」
こうして7人がゲートの前に立ち、トレーナー達は静かに見守っていた。
そして運命の時が来た。ゲートが開いてレースが始まる。観客は今までと同様に選手にエールを送っていた。勿論トレーナー達もライアン達もそうである。
そして走っているネイチャ達はその声援を受けて走っていたが、ネイチャはその声援から来るプレッシャーに襲われていた。
ナイスネイチャ(ああ…遂に始まった! けど、1回戦脱落だけは絶対に避けたい!!)
キタサンブラック(ダイヤちゃんの分まで…トレ兄と勝つんだ!!)
ダンツフレーム(私だって負けられません!!!!)
皆それぞれ秘めた思いを胸に走る。だが、そんな中でラモーヌは圧倒的な走りを見せていた。
メジロパーマー「ラモーヌさん…!」
トレーナーの指導だけではない。メジロのウマ娘としての誇りと意地が彼女を強くさせていた。それは同じメジロのアルダン達も、同じチームのネイチャ達も、敵味方問わず蹴散らす勢いで力強く、そして美しい走りを見せる。
メジロアルダン(…やはり姉様は遠い。でも!!)
アルダンもこの1年間、凪の元でトレーニングを積んできた。自分もまたトレーナーに好意を寄せてはチームに入れて欲しかったものの、最終的には選ばれず、そればかりか最終的には姉が選ばれた。こんなに悔しい事はなかった。
メジロアルダン(私だって!!!)
アルダンがラモーヌに追随すると、他のウマ娘達が驚いていた。
メジロライアン「ラモーヌさん!!」
凪「……!」
アルダンの気迫にライアンやパーマー達は勿論、凪も反応した。
メジロマックイーン(私達だって!!)
メジロドーベル(負けられない!!)
マックイーンとドーベルもアルダンに続こうとしていた。
キタサンブラック(やっぱり先輩たちは強い…。でもあたしだって!!)
ダンツフレーム(私だって!!)
そしてネイチャもまた周りのオーラに気圧された。
ナイスネイチャ(…そうだ! アタシだって負ける為にここに来たんじゃない!! 勝つ為に来たんだ!!)
7人が他の選手を圧倒する力強い走りを見せた。
(勝つのは私だ!!!!!)
そしてすぐさま決着はついた。
「ゴール!!! 1着は…メジロラモーヌ!!!」
1着はメジロラモーヌ、2着はメジロアルダン、3着はナイスネイチャ、4着はメジロマックイーンとなった。
メジロラモーヌ「…ふぅ」
他のウマ娘が息を切らす中、ラモーヌは一息ついた。
ハルウララ「ラモーヌさんが1着だよ! ネイチャちゃんも3着で…」
トレーナー「ああ。皆勝ち上がったな」
ウララが身振り手振りで自分の言いたい事を表現しようとすると、トレーナーは理解したと言わんばかりに、簡単にまとめた。
マンハッタンカフェ「…長距離もそうでしたが、やはり油断はできませんね」
トレーナー「ああ。アルダンさん達はそうだけど、少なくともアイツはこのダシマカップに全てをかけている」
そう言ってトレーナーは凪を見つめると、凪は口角を下げた。
メジロライアン「…凪」
凪「まだ終わりじゃない。次の準備を知ろ」
そう言って凪は去っていくと、ライアン達が心配そうに凪の背中を見つめた。
そして準決勝も同じように行われた。12名から8名に減らされたが、トレーナーチームと凪チームは全員進出した。
ちなみに勝者は全ての部において1回戦と同じである。
メジロアルダン・ナイスネイチャ「……」
ラモーヌに勝てず、アルダンとネイチャは落ち込んでいた。決勝戦ですべてが終わるのだが、ラモーヌの力は衰える様子はない。寧ろどんどん磨きがかかっていて、勝てる見込みがない。
そしてラモーヌはそんなアルダンとネイチャを見たが、特に言葉をかける様子はなかった。
ウイニングチケット「やっぱりラモーヌ先輩は強いね」
ナリタタイシン「それはそうと、あのメジロ相手に全勝なんて…」
ビワハヤヒデ「ああ。だが、次勝てなければどんでん返しになる」
BNWが観客席から雑談をしていたが、トレーナー父は考え事をしていた。
ビワハヤヒデ「東トレーナー…」
ナリタタイシン「何かずっと考え事をしてるけど…」
トレーナー父「…いいや。ここまで本当に長かったと思ってな」
トレーナー父が一息つくと、ハヤヒデとタイシンは理解出来なさそうにしていて、チケットに至っては…。
ウイニングチケット「東トレーナー。まだ大会は終わってないよ?」
トレーナー父「分かってる。だが、泣いても笑っても次で最後だ」
ナリタタイシン「それは分かるけど…」
結局BNWはトレーナー父の意図が分からない状態だったが、トレーナー父はそんな3人に構わず、凪を見つめた。
そして決勝直前。トレーナーは8人の担当ウマ娘を集める。
トレーナー「皆。今まで本当によく頑張った」
キングヘイロー「な、何よいきなり…」
ダンツフレーム「本当にここまで来たんですね…」
TSといった大きな舞台ではないものの、役者は大物ばかりでもはやTSに引けを取らなくなっていた。そしてその舞台で戦うのも次で最後だった。
トレーナー「もう皆分かってるとは思うけど、次で最後だ。決して悔いのないように戦って欲しい。凪やメジロ家の事もあるけど、それ以上お前たち自身が1人のアスリートとして、全力を出しきってくれ!」
トレーナーがそう言うと、ウマ娘達は静かにうなずいた。
そんな中、凪がやってくると皆が驚いたが、ラモーヌのみ意図に気づいて何も言わないでいた。
トレーナー「…分かってる。凪」
凪「ああ。オレとお前、どっちがメジロに相応しいか…次で決着をつける!」
凪の言葉にトレーナーは静かに目を閉じると、そのまま凪を見つめた。
トレーナー「もうお前との喧嘩もこれで最後だ! かかってこい!!」
つづく