メジロになれなかった男   作:ダシマ

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第52話「ダシマカップ・4」

第52話

 

 遂に始まったダシマカップ決勝戦。種目もルーレットで決められていたのだが…。

 

『芝・長距離』

 

 いきなり芝の長距離が選出された。

 

トレーナー「いきなりか…」

 

 トレーナーがそう呟くと、ライスシャワーとマンハッタンカフェはもう準備は出来ていた。

 

トレーナー「行けるか。ライス、カフェ」

ライスシャワー「…うん」

マンハッタンカフェ「ここまで来たからには勝ちます」

トレーナー「ああ。行ってこい」

 

 そう言ってライスとカフェはゲートに向かった。そしてライアン、ブライト、パーマーもまたゲートに。そして5人が向かい合う。

 

メジロライアン「ライス、そしてカフェ。決勝戦はアタシが勝たせて貰うよ」

ライスシャワー「ラ、ライスだって負けないよ!」

マンハッタンカフェ「私もここまで来たからには後には引けません」

 

 と、5人がそれぞれ勝つのは自分だと意気込んでいたが、残りの3人も同じだった。

 

(戦力的に大きな差はある。でも!!)

(ここまで来て逃げるわけには行かない!!)

(たとえ勝てなかったとしても、今の私を皆に見て貰うんだ!!)

 

 そして全選手がゲートに立ち、レースを今か今かと待ちわびていた。選手たちに取っては泣いても笑ってもこれで最後。そして最後に勝利すればそれで良し。この1試合に全てがかかっていると言っても過言ではなかった。

 

 そしてゲートが開かれて、8人のファイナリストたちが一斉に走り出した。トレーナーと凪はもう無言で選手たちを見つめていた。

 

 トレーナー・凪チームの2チームと5名とそれ以外の3名には大きな力の差があり、中盤ごろになるとその力の差が出始めて突き放されていくが、最後まで諦める様子はない。

 

 そして終盤、5人が一斉に仕掛けてきた。パーマーは全速力で逃げ切り、先行のライスがそれを追いかけて、差しのライアン、カフェが追い抜こうとしている。そして追込のブライトが怒涛の勢いで一気に追い抜こうとしていた。気迫はすさまじく誰が勝つかおかしくない状態だった。

 

ハルウララ「ライスちゃーん!!! カフェさーん!!!!」

メジロドーベル「ライアーン!! ブライトー!! パーマー!!!!」

 

 またしても声援に熱が入り、トレーナーと凪も歯を食いしばりながら勝負の行く末を見守っていた。

 

メジロライアン(メジロの将来の為にも…!!)

メジロブライト(この試合…!)

メジロパーマー(負けられない!!)

 

 この試合、絶対に勝つ!!! その思いで5人は全力を出し切った。

 

 

 しかし、その中でライスがパーマーに迫っていた。

 

メジロパーマー「!!」

マンハッタンカフェ「ライスさん!!!」

ライスシャワー「……!!」

 

 パーマーに迫るライスの瞳に今までにない闘志が宿っていた。

 

ライスシャワー(…ライスだって、今までずっとお兄様たちと一緒に頑張ってきた。最初はウララちゃんがいたからチームに入れたかもしれない。けど! ライスだってそういわれない為にも一生懸命やってきた! この試合に勝って、優勝して…改めてお兄様にライスがチームに来てくれて良かったって言って貰うんだ!!)

 

 次の瞬間、ライスは全ての力を出し切り…パーマーを追い抜いてそのままゴールを割った。丁度ギリギリの瞬間で順位が入れ替わり、観客は大いに沸いた。

 

「ゴ、ゴール!!! 芝・長距離の部優勝は…ライスシャワー!!!!」

「ワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」

 

 最後の最後の大逆転劇に観客は大いに沸いた。

 

ハルウララ・キタサンブラック・ダンツフレーム「やったやったぁー!!!」

キングヘイロー「よくやったわ!! ライスさん!!」

ナイスネイチャ「す、すごい…」

トレーナー「……」

 

 ライスが勝利してウララ達は喜んでいたが、トレーナーは口角を上げた。

 

トレーナー「…優勝もだけど3連勝か。本当に大したもんだなぁ」

 

 そしてライスも電光掲示板を確認して、自分が優勝した事を自覚した。

 

ライスシャワー「え…」

 

 ライスが目を大きく開いていると、カフェが寄り添った。

 

マンハッタンカフェ「おめでとうございます。優勝ですよ。ライスさん」

ライスシャワー「カフェ…さん…」

 

 ライスがカフェを見つめると、

 

「ライス」

 

 ライアン、ブライト、パーマーもやってきた。

 

メジロライアン「優勝おめでとう」

メジロパーマー「いやー。最後の最後で抜かれるとはね…完敗だ」

メジロブライト「おめでとうございます~」

ライスシャワー「うん…うん…」

 

 皆に祝福されて、ライスは目に涙を浮かべた。

 

凪「……」

 

 ライアン達が敗れて凪は無表情になった。

 

メジロドーベル「ま、まだアタシ達がいるわよ!」

メジロマックイーン「その通りです。諦めるのはまだ早いですわよ」

凪「ラモーヌ姉さんばかりに気を取られるな」

「え?」

 

 凪の言葉にドーベル達は驚くも、アルダンは真剣な顔をしていた。

 

メジロアルダン「…ええ。ネイチャさんですね」

凪「ああ」

メジロアルダン「勿論です」

 

*************

 

ハルウララ「ライスちゃーん!! おめでとー!!」

ライスシャワー「わっ!! ウララちゃん!!」

 

 ウララとカフェが戻ってくるとウララがライスに抱き着いた。

 

トレーナー「おめでとうライス」

ライスシャワー「…うん。お兄様やみんなのお陰。ありがとう!」

 

 ライスの言葉に皆が口角を上げる。

 

キングヘイロー「さて、ライスさんも勝った事だし、キングも続くわよ!」

ハルウララ「わたしもわたしも!!」

 

 と、キングとウララがも意気込んだ。

 

キタサンブラック「アタシだって負けるつもりありませんよ!」

ダンツフレーム「わ、私だって!」

ナイスネイチャ「…ア、アタシも」

メジロラモーヌ「当たり前よ」

 

 ラモーヌの言葉にネイチャは思わず彼女を見つめた…。

 

 

 

 そしてライアン達は凪を見つめた。

 

メジロライアン「…ゴメン。勝てなかった」

凪「まだアルダン達がいる」

 

 凪の言葉にライアン達は驚いた。

 

凪「アルダン姉さん、ドーベル、マックイーン」

メジロドーベル「な、何よ…」

凪「必ず勝て」

 

 凪がそう言うと、マックイーン達は複雑そうにしながらも、凪の心境に何かしら変化があった事に変わりはないと確信したので、素直に従う事にした…。

 

 

つづく

 

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