メジロになれなかった男   作:ダシマ

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これで最終話です。
最後まで読んでくださった方、
アンケートに答えてくださった方、本当にありがとうございました。
感謝しております。



最終話「メジロになれなかったけど、幸せになれた男」

 

 

 バスは1時間以上移動したのち、ホテルにたどり着いた。

 

「ようこそお越し頂きました」

 

 ホテルに入ると従業員たちが総出で出迎えた。

 

ナイスネイチャ「いやー…。凄いなぁ…」

メジロラモーヌ「これからこういう所に泊る機会が増えるから、今のうちに慣れておきなさい」

ナイスネイチャ「…うっす」

 

 ラモーヌの言葉にネイチャがうなだれると、ダンツが苦笑いしてカフェは困惑していた。

 

トレーナー父「…さて、部屋割りはそれぞれ教えた通りだ。荷物を置いたらまたここに集合だ」

「はーい」

 

 トレーナー父の号令で解散すると、トレーナー親子は一緒に移動していた。

 

トレーナー「何もなくてよかったね」

トレーナー父「あってたまるか」

 

 トレーナーのジョークにトレーナー父は悪態をつきながら突っ込んだ。というのも、大体こういうのは従業員のミスだったり、ヒロインたちが裏工作したりで男女混合になる事があるのだが、今回はそんな事はなかった。

 

 トレーナー父としてはルドルフやメジロ家が企んでいるのではないかと危惧したが、学園が御用達にしているだけあって、そんな事はなかった。

 

 ちなみに…

 

メジロマックイーン「ト、トレーナーさんはお部屋が一緒じゃなくて構いませんの…?」

トレーナー「うん」

 

 再集合した後にちょろっとその話題が出たくらいである…。

 

メジロドーベル「アタシ達が酷い目にあってもいいって言うの!?」

トレーナー「何か大丈夫そうだけどなぁ…」

トレーナー父「ウマ娘にその手が通用すると思うなよ」

メジロパーマー「ちょ、ウマ娘でも女の子だよ!?」

 

 パーマーがそう言うとトレーナー父は何か言いたそうにしていた。

 

ゴールドシチー「ていうか、アタシ一応親戚なんだけど…」

トレーナー父「性別が違うだろう」

メジロマックイーン「ラモーヌさんがチームにいるという事はつまりメジロとも一心同体ですわ!」

トレーナー父「お前屁理屈多すぎるんだよ」

 

 トレーナー父の言葉にマックイーンはショックを受けると、ライアン達は困惑していた。

 

グラスワンダー「…あの、本当にダメですか?」

トレーナー父「不躾な義娘はいらん」

 

 とまあ、父親のガードが固すぎてウマ娘達はどうすれば良いか考えていた…。

 

セイウンスカイ(…普通に信頼関係を築いた方が良さそう)

 

****

 

 とまあ、そんなこんなで観光する事となったのだが、いかんせん人数も多い上に…。

 

メジロドーベル「トレーナー! 一緒に回りましょう!!」

シンボリルドルフ「トレーナーくん。私と回ろう!」

 

 早速トレーナーを取り合う始末。加入組の大半とBNWとブライアンはそんな醜い争いを見て呆れていた。

 

ハルウララ「トレーナー! どうするの!?」

トレーナー「まあ、まずは簡単に行きたい場所をまとめよう。じゃあ、まずはオレの事は抜きにしていきたい場所を教えてください」

 

 とまあ、トレーナーが主導になって観光のスケジュールを即座に立てる事にした。ちなみにウマ娘達が妙な真似をしないようにトレーナー父が見張っている。

 

 で、まあそんなこんなでめっちゃ細かくなったが、トレーナーはウマ娘達と観光をして回った…。まあ、最終的には雪だるま方式で観光したのだが。

 

*************************

 

 そんなこんなで夕方になった。

 

ハルウララ「楽しかったね!」

トレーナー「そうだな。というか普通に人数が多すぎる…」

 

 ちなみにだが、BNWとブライアンは別行動をとっていたので不在である。ホテルに戻ってくるとトレーナー父が全員いるのを確認した。

 

トレーナー「よし。それじゃ7時まで自由時間にする。だが、くれぐれも騒ぎを起こすなよ」

「は、はい…」

 

 そんな訳で各自自由行動となった。この時ばかりはウマ娘達もトレーナーから離れて思い思いに行動していた。

 

トレーナー「風呂入ってくるか…」

メジロドーベル「背中洗うわよ」

トレーナー父「よし、メジロは全員強制送還だ」

メジロパーマー「やめて!!?」

メジロライアン「すんません!! マジすんません!! 行くよドーベル!!」

メジロドーベル「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」

 

 トレーナー父の物騒な言葉にパーマーとライアンが青ざめて、ドーベルを強制的に連れて行った…。

 

トレーナー父「クソガキめ…!!」

ウイニングチケット「あ、あははは…」

ビワハヤヒデ「これでは癒されるどころではないな…」

トレーナー父「全くだ…」

 

 トレーナー父が眉間にしわを寄せた…。

 

トレーナー「親父。先に風呂入ってきたら?」

トレーナー父「いや、お前と同じタイミングで入る」

トレーナー「あ、そっか…」

 

 そう、どちらかだけにすると、トレーナー父がいないと見計らって入ってくる奴が出てくるからだ…。

 

 とまあ、そんなこんなで入浴を済ませて夕食へ。ちなみに入浴は特に何も起こらなかった。ちなみにのぞきをしようとするバカはいませんでした。

 

 

 夕食。元々トレーナーチームと父親チームで予約していたものが急遽、人数が増えてしまったので、大広間に通された。まるで修学旅行である。

 

 で、トレーナーに関してはトレーナー父の隣に座らされた。

 

メジロドーベル「ちょっとガード固すぎませんかお義父さん!!」

トレーナー父「誰のせいだと思ってんだ。とにかく座れ」

 

 とまあ、一応全員座らされる。

 

トレーナー父「えー。まあ、ダシマカップに出場してた連中は1年間ご苦労だった。次年度も今以上に励んでくれ。あと、それ以外の奴も同様だ。羽目を外しすぎないように楽しんでくれ。それじゃ乾杯の音頭は玲那。お前が取れ」

トレーナー「あ、はーい。それじゃ皆さんグラスを持ってください」

 

 トレーナーがそう言うと、ウマ娘達がグラスを持った。

 

トレーナー「それじゃ1年間本当にお疲れ様でした。乾杯!!」

「カンパーイ!!!」

 

 こうして、楽しい宴が始まった訳だが、早速トレーナーにお酌やら、ご飯をよそうと狙う連中が現れた。

 

キタサンブラック(し、しつこすぎる…)

 

 あまりの執念にキタサンはドン引きしていたが、トレーナーはそんなに嫌そうにはしていなかった。

 

 

 

 食事が終わった後は、カラオケにいったり、卓球したりする生徒もいて、思い思いに楽しんでいた。勿論消灯時間は守らなければならなかったが、一秒でも多く楽しもうとしていた。

 

 

 そんな中、トレーナーは1人バルコニーで風に吹かれていた。

 

 

トレーナー「ふぅ…」

 

 トレーナーが一息をついたその時だった。

 

「トレーナー!」

トレーナー「おうウララ」

 

 ウララが声をかけてきて、トレーナーが彼女の方を振り向いた。

 

ハルウララ「一人で何してたの?」

トレーナー「星を見てた」

ハルウララ「お星さま!? うわー!! きれーい!!」

 

 トレーナーの言葉にウララが空を見上げると、綺麗な星空が広がっていた。

 

ハルウララ「きれいだね! トレーナー!」

トレーナー「そうだな」

 

 するとウララはトレーナーの隣に座った。

 

トレーナー「あっという間だったな」

ハルウララ「うん。明日帰るのなんか寂しいね」

トレーナー「旅行もそうだけど、お前と出会ってもうすぐ1年経とうとしてるって話だ」

 

 トレーナーの言葉にウララはそっちか! と言わんばかりに驚いた。

 

ハルウララ「もうそんなに経つんだね!」

トレーナー「ああ」

 

 するとトレーナーがどこか申し訳なさそうにして、ウララがそれに気づいた。

 

ハルウララ「…どうしたの? トレーナー」

トレーナー「ライス達にも言おうと思ってたんだけど、色々迷惑かけてすまなかった。特に凪の事で…」

ハルウララ「ううん。そんな事ないよ! あ、それはそうと凪トレーナーはげんきにしてる?」

トレーナー「ああ。ラモーヌを介してだけど、海外で元気にやってるみたいだぜ。もう前みたいに悪い事はしないで、本当の意味でメジロの後継者になれるように頑張ってるそうだ」

ハルウララ「そっかー。良かった!」

 

 と、ウララは自分の事のように喜ぶと、トレーナーは一息ついた。

 

トレーナー「そういう意味じゃウララ。ありがとう」

ハルウララ「え?」

 

 トレーナーがウララを見つめると、ウララも驚いたようにトレーナーを見た。

 

トレーナー「お前達のお陰で凪も本当に大事にしなければならないものに気づいたし、和解も出来た。本当に感謝してる」

ハルウララ「トレーナー…」

 

 トレーナーの言葉にウララは口角を上げる。

 

ハルウララ「どういたしまして!」

 

 と、いつものように元気よく返事すると、トレーナーは口角を上げた。するとトレーナー父がやってきた。

 

トレーナー「親父」

ハルウララ「東トレーナー!」

トレーナー父「…話は聞かせて貰った。オレからも礼を言わせて貰う。ありがとよ、ウララ」

 

 トレーナー父が礼を言うとウララは驚いた。

 

トレーナー父「それから玲那」

トレーナー「なんだ?」

トレーナー父「…いや、何でもねぇ」

 

 トレーナー父がそう言うと、トレーナーは何が言いたいか分かった。

 

トレーナー「メジロになれなかった事に関しては、何の後悔もしてないよ。親父」

トレーナー父「!」

 

 トレーナーに考えていたことを読まれてトレーナー父は驚いた。

 

トレーナー「親父に引き取られて良かったと思ってる」

トレーナー父「玲那…」

ハルウララ「そうだよ! マックイーンちゃん達と家族になれなかったのは残念だけど、東トレーナーの子供で良かったって思ってるよ!」

トレーナー「そうそう。じゃなきゃ、ウララ達と出会えなかったし、今がなかったろう? だからそんな事気にしなくていいんだよ」

 

 トレーナーの言葉にトレーナー父は驚きを隠せなかった。

 

トレーナー「だから礼を言わないとな。オレの父親になってくれてありがとう。感謝してるぜ」

 

 トレーナーの言葉にトレーナー父の目からは涙がこぼれた。他人とは思えないという理由で養子にした少年に自分の想いが届いていた事と、育ててきた子供が立派に成長した事を親として心から喜んでいたからだった。

 

トレーナー「ありがとう。本当にありがとう…」

 

 そう言ってトレーナーは父親にずっと感謝の気持ちを伝えていた。

 

 そしてその近くでウマ娘達が号泣していたが、声を上げると盗み聞きがバレるので何とかこらえていたが、チケットが我慢できずに叫んでしまった。

 

 後はお察しください…。

 

 

 

 

 

 それから時は流れ4月。新たな季節がやってきた。新入生が入学してきて在校生たちも新たに気持ちを引き締めるのだった。

 

 そしてトレーナーはというと…。

 

「お願いします! トレーナーさんのチームに入れてください!」

 

 新入生からいきなり逆スカウトされていた。

 

トレーナー「って言ってもねー。ダシマカップが今年あるかどうか分かんないし…」

「そこを何とか!」

 

 と、新入生たちがぐいぐい来ていた。

 

「トレーナー!」

 

 ウララ達が現れて、ウララがトレーナーの所にやってきた。

 

トレーナー「おうウララ」

ハルウララ「この子達、新入生?」

トレーナー「そうだよ。チームに入れろって言うんだ」

ハルウララ「そうなんだ! 凄いね!」

 

 ウララが暢気にトレーナーを褒めると、新入生たちはウララを見つめた。

 

「お願いしますウララ先輩! 私達もチームに入れてください!」

「私達も強くなりたいんです!」

「というか…ウララ先輩たちってもうチームじゃないんですよね?」

 

 新入生の言葉にウララが気付いた。

 

トレーナー「まあ、そうね…」

ハルウララ「トレーナー! また契約できないのかな!?」

トレーナー「まあ、ダシマカップがまたない事には…」

「私達もいるぞ!!」

 

 と、一斉にルドルフ達が現れると、ウララや新入生たちが驚いた。

 

シンボリルドルフ「新入生諸君。悪いが彼の事は諦めて貰おうか」

メジロドーベル「そうよ! アタシ達もチームに入りたいのよ!」

 

 大人げなく新入生をけん制するも…。

 

「いや、先輩たちはTSがあるじゃないですか!!」

「正規のトレーナーさんの所に行ってくださいよ!!」

 

 と、お互い譲る様子はなく、これにはトレーナーも呆れていた。

 

トレーナー「やれやれ…結局こうなるのか…」

ハルウララ「トレーナー。どうするの?」

トレーナー「理事長に聞いてみるか…」

「トレーナーくん!!」

 

 理事長である秋川やよいが現れた。

 

トレーナー「理事長」

やよい「話は聞かせて貰った! まあ、TSに出ることは出来ないが、特例として君にチームを作る権利を与えよう!」

 

 やよいの言葉に皆が驚いた。

 

トレーナー「…ちなみに人数は何人までですか?」

やよい「そうだな。まずは1人だ!」

トレーナー「1人か…。じゃあウララ宜しく」

ハルウララ「いいの!!?」

トレーナー「うん」

 

 トレーナーがあっさりパートナーを決めたので、皆が驚いた。

 

メジロドーベル「ど、どうしてウララなのよ!!」

トレーナー「まあ、そういう意味じゃ初心に帰るって事で」

ハルウララ「がんばったら、人数増やせるんだよね!?」

トレーナー「まあね」

 

 トレーナーがそう言うと、残りの7人は納得した様子だった。

 

メジロラモーヌ「まあ、チームに入れようがなかろうが、もうやる事は変わらないわ。そうでしょう?」

ナイスネイチャ「うう…。あの、3人目で構わないので何とか…」

ツインターボ「ターボも入れてよ!!」

シンボリルドルフ「私が先だ!!」

「いや、上級生はもうええやろ!!」

 

 とまあ、相変わらずトレーナーはウマ娘に囲まれて、父親とその担当ウマ娘達は呆れるしかなかった。

 

トレーナー父「…結局こうなるのか」

ビワハヤヒデ「まあ、これもひとえにトレーナーくんの人望だな」

ウイニングチケット「アタシ達も負けてられないね!」

トレーナー父「…そうだな」

 

 そう言うと、トレーナー父はウマ娘に囲まれている息子の姿を見てどこか嬉しそうにしていた。

 

ハルウララ「じゃあトレーナー! また今日から一緒に頑張ろうね!」

トレーナー「ああ」

シンボリルドルフ「よし、それじゃ早速人数増やせるようにこちらで…」

トレーナー父「玲那。こいつとドーベルは断固反対だ」

メジロドーベル「そ、そんな! お義父様!!」

キタサンブラック「もうメジロは強制送還」

「やめてええええええええええええええええええええええええ!!!」

 

 

 ライアン達の悲鳴を皮切りに、トレーナー達の愉快で慌ただしい喜劇はまた新たな幕を開けるのであった…。

 

 

 

 

おしまい

 

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