皆様からの感想や評価が私の糧です。
私に栄養をください。(強欲者)
ルシア周りは全て私の独自解釈、というか幻覚、妄言です。私の幻覚魔法を食らえ!
昨日1日を振り返ってみよう。
生活面に関しては、まだ慣れないものもあったがルシアの気遣いのおかげで心配はなかった。これから段々と慣れていくだろう。本音を言えば、もう少し質素な方が落ち着くのだが。
グリンド姉様との一幕は完全に予想外のイベントだったが、最終的には円満に解決したし今後も仲良くなれそうだ。
ルドラのことが大好き過ぎるのと、弟が奔放過ぎるせいで俺を妹にしようとしてくるのは、ちょっと問題だけど……悪い人じゃない、と思う。後者は早急にやめて欲しい。
あと、グリンドは基本的に修行にはノータッチらしい。ただ、「気が向いたら相手をしてあげてもいいわよ」と言っていたので、まともに動けるようになったら聞いてみよう。今はまだ、拳の握り方すら知らないから。
最後に修行については……これは全てヴェルダナーヴァが悪い。痛覚無効を無効にしてひたすら拷問じみた受け身練習。そして判明した俺のリジェネ体質。おかげで身体的疲労はほぼ残ってない。恨めしや。
まあ……確かに受け身は覚えられたし、闘気の扱いも少し分かった。これが実際効率的なのは俺も承知している、が……。
……が、それはそれとしてあの人の心が分からない
この怒りと苛立ちを全部纏めていつかぶつけてやるという思いがあれば、あのキツイ修行にも耐えられる。
(ぜっっったい、あのニコニコ顔をボコボコにしてやる……俺に力を与えたことを後悔するくらいボッコボコにしてやる……)
そう思いながら昨日は寝たくらいだ。心身共にコンディションは万全と行っていい。
よっしゃ今日も一日頑張るぞい! かかってこいやヴェルダナーヴァァ!
「今日は私と魔法の修練です。よろしくお願いしますね、カレン」
「よおぉし! サヨナラヴェルダナーヴァのクソ修行!」
「コラ、カレン。お口が悪いですよ」
「今はその神父様みたいな注意も甘んじて受けましょう。今の私は無敵なのでね!」
諸手を上げて喝采する俺。万歳世界。ラブアンドピース。憎悪は何も生まないのだ。
やはり愛……いや『可愛い』こそが世の真理。世界の正義なのである。つまりルシアは正義。知ってた。
「本当は私との修行は明日の予定だったのですが、私の我儘で今日にしてもらったんです。ヴェルダナーヴァ様はちょっと残念がっていましたよ」
「残念がらせとけばいいんですよあんな鬼畜ドラゴンは。弟子になって10分で殺人未遂な修行をやらせるイカれた人ですよ? いい気味ですね」
「アレは確かにヴェルダナーヴァ様が悪いですね。兄様にもあんな無謀なことはしませんでしたよ」
あの師匠的にはルドラより俺に対して無茶なことしてんじゃなかろうか。ルシアの証言によりその疑念が現実的になってきた。
マトモに動けるようになったら、ルドラの修行にも混ぜてもらおう。
「昨日、カレンと兄様が部屋で戯れ合っていたじゃないですか」
「私とルドラを仲睦まじいように言うのはよして貰えますでしょうか」
「それが大変羨ましかったのは今は置いておきまして……その時、カレンが火炎魔法を使っていたでしょう? それをもう一度見せてもらいたいんです」
「火炎魔法……あぁ、
言われた通り、俺は手のひらに
確かに、こうして見ると普通の
ルシアはそれを間近でジッと見つめていた。そして段々と表情が険しくなっていった。
「……一つの術式に二属性? ……いや、術式そのものに属性を付与して……でもスキルによるものだとしても、そんな事したら術式が破綻してしま……」
「ルシアー? どうしましたかー?」
「カレン! この炎、昨日は部屋に燃え広がっていませんでしたよね? 何故ですか!?」
「え? えぇと、
「効果対象の任意指定? いやいやそれはグリュン義姉様のような竜種だから容易にできるのであって、人間にも理論上は可能ですが一々そんな事してたら都度構成を作り直さなきゃいけなく…………カレン! 次はですね……!」
その後もルシアの怒涛の質問攻めは続いた。消費魔素はどのくらいなのか。ちょっと今から魔獣を召喚するからそれに撃ってみてくれないか、規模はどれほど大きくできるのか。
果ては自分に向けて撃ってくれないかとまで言い出した。ルシアを燃やさないように放ったら、「それじゃ意味が無いでしょう!」と怒られた。段々怖くなってきたよ俺。
最終的にルシアは、
「……か、カレンの魔法が凄いということは分かりきっていましたが、まさかこれ程とは……」
「スキルありきの魔法ですからね、コレは」
「そんなことは分かっています。ユニークスキル『
「究極? というか私、ルシアにスキルのこと言いましたっけ?」
「あ、すみません、不躾に……。私のスキルは解析系に特化しているので、つい悪い癖が出てしまいました」
炎の中で頭を下げるルシア。頭に入ってこないので炎は消しておいた。
ルシアの持つ『
「そんな凄いものだったんですか、私のスキル」
「そうですよ全く……カレンに魔法を教えた方も、驚いていたんじゃないですか?」
「神父様は特には……あー、私が最初に魔法をスキルと併用した時は、三度見していましたね。その後すぐに褒められましたが」
「親バカ……」
「褒めて伸ばすタイプの人でしたからねえ」
俺の魔法が割と凄いものであることが判明すると同時に、神父様が親バカであることも判明した。
そうかー、俺がここまで自重せずにやってこれたのは神父様のおかげだったかー。感謝しなくちゃな。
「コホン……申し訳ありません、取り乱しました。カレンが凄いのは散々分かっていた筈なのに、まさか魔法でここまで驚かされるとは……」
「あ、
「そういうことは! 早めに! 言って欲しかったです!!」
またルシアが取り乱してしまった。
曰く、剣などの武器に属性を付与することは割と一般的なのだが─── それでも付与するのは基本となる四属性くらい ─── 同じ属性を付与して違う効果が出るとなると、スキルの権能と言えどおかしいらしい。
ここまでで十二分に分かったことだが、ルシアは魔法やスキルの事となるといつもの清楚なお姫様なキャラが崩れるようだ。
これはこれで見た目通り年相応で可愛らしいのだが、少し剣幕が怖い。目がギラついてるというか、キマッている。
「フゥ……フフフフフ……」
「とうとう壊れました?」
「分かりましたカレン! 今から私と魔法戦をしましょう! そこで色んな魔法を見せてください!」
「何が分かったんです? ……まぁ、やりますけど」
─── この時の俺は見誤っていた。
自分の魔法に驕っていた、強いと分かっているルシアにもギリギリ食らいつけるだろうと……勘違いをしていた。
目の前にいる少女の実力を……いや、この少女の姿をとった
名実共に、
その一端を、俺は知ることになる。
ルドラとルシアの兄妹がヴェルダナーヴァに師事するようになったのは、今から500年も前の話だ。
どういう経緯でそうなったのかは今は置いておくとして……二人はヴェルダナーヴァに修行をつけてもらう前から強かった。人間の中でも最上位と呼べるほどに。
様々な国が乱立し、興っては滅んでいく時代。王族にも武が求められるこの時勢においても、この兄妹の力は飛び抜けていた。
兄たるルドラは剣に、そして何より民を、人を率い惹き付けるカリスマに優れており、剣士としても勇者としても、王としても才能に溢れていた。
対して妹のルシアには、魔法の才能や恵まれたスキルはあれど、ルドラのようなカリスマは無く、勇者の資格も無かった。
しかし、ルシアにはそれで十分だった。王の資質は同じ時代に二人は不要。自分は自分の力で兄を支えれば良いと。そう割り切っていた。
勇者の資質にしてもそうだ。兄には光の精霊王が宿ったが、自分には光と闇以外の五大属性の大精霊が
そう言ったら精霊女王は、『はぁ!? 勇者になるよりも難易度高いことやっちゃってんのに、何言ってんのよさアンタ!?』と目を飛び出させていたそうな。
魔法やスキルにも、同じく修行していたルドラが軽く引くレベルで理を追い求めた修行を行っていた。もはやルシアが開発した魔法は三桁を優に超えている。
その結果、実は兄よりも早く“聖人”に進化し、先に“究極能力”に開花した豪傑であり賢人。
─── “星を識る賢者”とさえ呼ばれる最強の魔法使い。
それが、“始まりの勇者”ルドラの妹、ルシア・ナスカなのである。
……嫌な予感はあったんだ。
俺が了承するや否や、王都郊外の荒野に転移するとか。
始まる前に、「私は神聖魔法も使えるので、怪我や
何処からともなく、とんでもなくヤベエ感じのする杖を取り出したりとか……。
いやでもルシアに限ってそんな事は無いだろうって……
(いやお前、勇者様の妹君だぞ? 甘く見すぎじゃって)
(あっ、神父様見えたっ! これヤバイわ!)
急ぎ俺は意識を現実に持ってきた。
ええと確か……挨拶代わりにルシアが放った
「いやいやいやいや! あんな
今もルシアの方を見れば、直径5mはくだらない巨大な燃え盛る火球が五つ、彼女の周りを渦巻いている。
一発目を放った場所は、地面が溶けてガラス化したクレーターとなっていた。
(いやチョー怖い! 魔王かなんかしかやらない構図してる! 本人はいつもと変わらないのが尚更怖い!!)
「さ、見本は見せたので次は相殺してみましょう。では行きますよー!」
「マジですか!? あぁもうなるようになりなさい!
ゆっくりと落ちてきた巨大火球を、風の刃で迎え撃つ。火球一つにつき風の刃を三つ放ってやっと相殺できた。
バケモンか。“聖人”とはいえ、あんなものを顔色一つ変えずにポンポン作るなって!
「おぉ! 今のは
「うぇっ!? ちょっ、一旦休憩を……」
「
「こ、
間髪入れずに放たれた巨大な氷の槍を、手から放つ雷光により仕留める。
よし、氷の槍はバラバラになった。次は何だ? 風か? 地面か? 星くらい墜としてきても滅茶苦茶ビビるくらいしかしないぞ!
と思っていたが、砕け散ったと思っていた氷は空中でまた静止し、俺へ向かってきた。
「
「何でもありですか!
驚きはしたが、一つ一つが小さいおかげで迎撃と一緒に攻撃ができる。
怪我でもしないか不安だったが、閃光群はルシアにたどり着く前に弾かれた。杞憂だったようだ。
「今のは
「待ってそんな目で見ないでください! 私だって今ルシアがヤバ過ぎて困惑してるんです! というか脳裏に黒い変態が浮かぶので、あんまり魔法に対して興奮しないでください!」
「……聖属性付与………試してみますか。精霊召喚:
ルシアの短い詠唱により召喚されたのは、二対の蝶のような羽を持った乙女。詠唱を聞く感じ風の精霊っぽいな。
「この世界の法則として、天使と悪魔、精霊の三竦みの関係があります。その中で、精霊に有利を取れるのは天使です。……ちょっと試してみたいことがあるので、カレンの魔法をお願いします」
「? 分かりました。では……
「こちらもいきますよ。
炎が集束した蒼い光芒と、嵐を限界まで圧縮した砲撃。
前者は、天使が持つとされる聖属性が付与された元素魔法。後者は、精霊の力により物理法則を捻じ曲げる精霊魔法。
三竦みの法則によれば、たとえ天使ではなくとも聖属性が付与されたカレンの魔法が多少有利にはたらくと考えられる。
しかし結果は…………
「うわ、ぶち抜かれた! このっ、
「精霊魔法が勝ったということは、やはりカレンのスキルは……」
「ルシア! ヤバイですルシア! これ私だけじゃ防げな……アァーッ!!」
障壁により威力の減衰には成功したものの、嵐の爆発の余波により、俺はまた走馬灯を見ることになるのであった。
(……ヤバイのお、あの妹君)
「─── …………はっ!?」
「あ、おはようございますカレン! そしてごめんなさい! 私、威力の調整を間違えてしまって……」
「あぁいえ……ちょっとビックリして気絶していただけで、ダメージはそんなにありませんよ。気にしないでください」
実際はリジェネのおかげで無傷なだけなんだけどね。痛みは無かったけど、全然衝撃は感じたけどね。
「で、満足して頂けました?……うっ、また黒い悪魔の影が……っ!」
「正直なことを言うと、まだまだカレンの魔法に興味は尽きませんが、今日は少々暴走が過ぎましたからね。少しの間は自重します」
「あ、そですか……」
流石に黒い変態よりかは自制が効くようでよかったが、また今日のような事が起きると暗に申告されたようで、一思いに安心できない。
どうすんだ。これであの王城にいる俺の関係者で、一番マトモなのがルドラになってしまったぞ。何なら最大値の振れ幅が一番大きいのがルシアだ。
人間とは善にも悪にも両極端と言った俺だが、マトモにもイカレにも両極端になれると今日知った。
「それで今日分かったことですが、カレンの『
「……うん?」
「そもそも聖属性と魔属性は五大属性に光、闇、時を合わせた八属性に分類されない特殊な属性でして、その特性は神聖力や魔力による霊子の乱数位相による揺らぎを発生源として世界の法則に例外的な影響を……」
「ルシア、ルシア。落ち着いて。また暴走してます。簡潔に、結論だけでいいですから。そのお話はまたあとで聞いてあげますから」
「…………要するに、『
「ほぇ〜」
よく分かんない効果ばっか出るとは思ってたけど、普通の“聖”属性とは違う“聖”属性だったのか。いや紛らわしっ。
じゃあ魔法の名前も聖属性魔法じゃなくて聖霊魔法に……いや、精霊魔法と間違える。これは紛らわし過ぎる。
「……魔法の名前は単純に“聖化魔法”とでもしましょうか」
「いいですね! ではそろそろ城に戻りましょうか」
城に戻ると、ルドラとグリンドが待ち構えていた。
「ルシアあなた、また暴走したわね? 郊外で大爆発が起きたのを感じたんだけど」
「……ちょぉっと……暴走しちゃったかもです……」
「宰相が『姫がまたやらかしましたぞ!』つって走り回ってたぞ。あ、一緒にいたカレンも同罪な」
「……逃げますよカレン!」
「裁判官! 私は無実です!」
「グリュン、お前はルシアを頼む。本気で逃げられると俺じゃ追いつけねえ」
「任せてルドラ。私じゃないとルシアには追いつけないしね」
俺はルドラに秒で捕まった。
ルシアはグリンドとの二時間に渡る鬼ごっこの後捕縛された。
「……私、ルシアの見方を見直そうと思います」
「おう、そうしとけ」
ルシアに関する情報をもっと出してくれ原作。作中でもかなり重要な位置にいるキャラなのに掘り下げ無さすぎだ。
というかルドラとギィ周りの過去編をもっとガッツリやってくれ原作。16巻のアレを一巻分やってくれ。
私の願望はここに吐きました。原作でこれらが明かされるまでは、私が見せる集団幻覚にお付き合いください。