私は聖女じゃねえんですよ   作:苦闘点

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 色々ごたついてて遅れました! 申し訳ありません!



第22節 “天聖(アニマ)

 

 

 俺のヴェルダナーヴァとの修行は、今のところ大きく二つに分けられる。

 

 一つは、闘気の制御による基礎的な戦い方の練習。

 闘気の効率的な練り方、闘気を用いた身体強化の“気闘法”、それ以外に用いる“気操法”、その他“瞬動法”や“隠形法”などの技術を磨いている。

 これは見取り稽古のようなものであり、ヴェルダナーヴァがやってみてそれを真似る。魔法の習得みたいで楽しいものだ。

 たまーに最初の受け身練習のように鬼畜なメニューなこともあるが、比較的優しめなことが多い。

 

 

 そして二つ目は、実践的な組出稽古だ。

 修行を初めて直ぐの頃からやっている修行だが、俺がヴェルダナーヴァをクソ鬼畜ドラゴンと呼ぶ所以はこれのせいだ。

 

 耐性を全て切り、闘気と思考加速のスキルのみを用いて棒立ちのヴェルダナーヴァに殴りかかる。

 倒せる可能性は万が一にも無いにしても、これだけならさほど辛くもなさそうに聞こえる。

 

 しかしそうでは無いのだ。ヴェルダナーヴァは俺がほんの少しでも隙を見せれば、一切の容赦なく反撃しぶっ飛ばしてくるのだ。

 最初食らった時は冗談かと思ったよ。普通に吐いたもん。本気で腹に風穴が空いたかと錯覚する程だった。

 しかも例のごとく、それを前振り無しでやりやがったのだ。あれは今でも許していない。

 だがそんな鬼畜稽古で命の危機を幾度も感じたからか、ヴェルダナーヴァが言うにはそれなりに戦えるようにはなってるらしい。ボコボコにされた後に言われても説得力は無いがな。

 

 

「そういう訳だから、そろそろ次の段階に入ろうかなって思うんだ」

 

「地に倒れ伏す弟子を見下ろしながら次のメニューを説明するんですか貴方は」

 

「カレンならすぐ立ち上がれるでしょ?」

 

「まだ全身いってぇんですよ。ちょっと待ってください」

 

 

 ちょっと待ったくらいで痛みが引くのも嫌だがもう慣れた。

 

 今日も今日とてボッコボコにされていた俺だが、一頻り全身打撲気味になったら、急にヴェルダナーヴァにさっきのように言われた。

 次の段階とは何だろうか。全身打撲の次と言うと、複雑骨折か、なんなら欠損か。そういう特殊性癖は持ち合わせてないし、R-18Gはご遠慮したい。

 

 

「ボクがカレンに教えている近接格闘術は、言うなれば殴って蹴って相手を倒すものだ。カレンの前世の世界で言う空手みたいなものだね」

 

「そうですね。だからこんなボコボコになってるんですよね」

 

「そう。それもカレンの要望と才能に合わせた攻撃手段として教えてる。予想以上に良くなってきてて嬉しいよ」

 

「それはどーも」

 

「けど使ってるのは拳か脚だから、どうしても有効範囲の差というのは埋められない。まあやろうと思えば手も足も物理的に伸ばすこともできるけど」

 

「遠慮しときます」

 

 

 なんか怖いことを言っていた後半はさておいて、前者の有効範囲に関しては当たり前のことだ。

 遠距離攻撃である魔法は論外だし、同じ近接攻撃である剣や槍と比べても拳撃はそのリーチが最も短い。

 近接においてリーチの長さは正義だ。槍が近接最強と謳われるのもその為だし、体がゴムになったら強いのもそういう理由だと思う。

 

 

「この世界で徹頭徹尾、己の肉体のみで闘うのは巨人の中でも一握りくらいしかいない。それだけ難しいんだ」

 

「生来の肉体スペックが化け物じみて高くないと、貴方やルドラには食いつけないということですか」

 

「そうとも言えるけど、さっきの例は力任せに戦った場合の事だ。スペックの差を埋めることが出来る“技術(アーツ)”が、次の段階だね」

 

 

 確かに、漫画とかではヨボヨボのお爺ちゃんが筋骨隆々の大男を伸したりする。漫画みたいなファンタジー世界であるこの世界では首トンが出来ても驚きはしない。

 恐らく、受け身修行の時にヴェルダナーヴァが俺の闘気を操って転ばせていたのも、そういう技術なのだろう。

 

 

「少ない力でも出来るものと言うと……柔道や合気道みたいな?」

 

「大正解。より正確に言えば、剣や魔法を全て受け流して懐に入り込んで、こちらの最大火力を打ち込む。もっと出来るなら、相手の攻撃の威力すら吸収して放てれば、十分に格上とも戦える」

 

「簡単に言ってくれますね……」

 

「そう簡単でも無いさ。寿命に限りのある人間では、何をやってもそこまで辿り着けないだろうね。もっと言えば、この世界でそこまで極めた子はまだ見た事が無い。理論上は可能ってだけさ」

 

 

 それは理論上可能っていうか、机上の空論って言うんじゃないだろうか。

 

 

「百年単位での修行が必須と。あくまで私の拳を貴方に届かせる為の、一つの目標みたいなものですか」

 

「そうだね。ま、これ以外にも色々しないとボクに攻撃を届かせることは出来ないけどね」

 

「分かってますよ〜。その色々の為に聖人に進化して時間を得たんですからね。ちなみに、理論上可能でまだ誰もやってないことを、貴方は出来るんですか?」

 

「理論上可能ならボクには出来るから、カレンにも問題なく教えられるよ」

 

「あーハイハイ、さす神さす神」

 

 

 誰にも出来ない。ただし創造主は除く。コイツがなんでもアリなのはもう慣れた。

 

 この前ヴェルダナーヴァに聞いたが、ルドラはもう少し修行すれば、スキル込みでも世界最強の剣士になれるらしい。

 技術において世界最高レベルのアイツに追いつくなら……こちらも徹底的に近接戦の技術を極める、ということだ。

 

 途方も無い時間がかかるのだろうが、聖人になったんだし気長にやっていこう。

 

 

「で、そのために修行ももっと厳しくいくから……はいこれ」

 

「……布? 手袋ですか?」

 

 

 ヴェルダナーヴァが取り出したのは、折り畳まれた長手袋。一見するとただの白い手袋だが、よく見ると疎らにキラキラと輝いている。

 そして俺の手を取り、俺の腕に嵌め始めた。

 

 

「カレンの武器さ。初日に言った、『カレンの修行に必要なものを取りに行った』っていうのはコレのことだね。見た目はこんなだけど、分類は籠手になるかな」

 

「あぁ、あの星の内核まで取ってきたと言ってたヤツですか。てっきり金属でも取ってきたのかと」

 

「フフ、布に見えるかもしれないけど、これはれっきとした金属、“星の核(スターハート)”と呼ばれる金属だよ」

 

 

 “星の核(スターハート)”とは、この世界に自然に存在する中で最も硬度の高い金属らしい。

 その塊を繊維状に細切れにし、さらにそれを織り込んだのがこの長手袋にしか見えない籠手だそうだ。世界で一番硬いんじゃなかったの?

 

 

「とても籠手には見えませんが……。まあ、ありがたく受け取らせて貰います。 でもそのくらい自分で付けますよ」

 

「いや、それはそうなんだけど、こうして触れて闘気を補強してあげないと……はいこれでヨシ」

 

「ありがあぁっ!!?

 

 

 ヴェルダナーヴァが手を離した瞬間、俺の両腕に象でも乗ったのかってくらいの重量が加えられ、俺は腕から顔面へとベシャっとぶっ倒れた。

 いやおっっっも。全然腕が上がらない。肘より上しか上がらないから土下座みたいな姿勢になる。

 クッソ、ニコニコのヴェルダナーヴァが見下ろしてくるのが凄い屈辱だ。くっ殺騎士の気分が分かった気がする。

 

 

「肌触りは滑らかな布だけど金属は金属。しかも天然物じゃ世界最硬の金属だ。当然地面にめり込むくらい重いし、まだ弱々なカレンじゃ持ち上げられる訳ないよね」

 

「金属を繊維状とかファンタジーなことやっておいて、そういう所はリアルなのムカつくんですがッ……!?」

 

「名付けて“天聖(アニマ)”。明日からはそれを付けて修行しようか。我ながら思っちゃったけど、重力トレーニングみたいだよね」

 

「考案した貴方が言っちゃ駄目でしょそれ……! てかそれ最終的に外すまでがセットでしょう。武器を離しちゃ意味無いのでは?」

 

「段々慣れていくと体の一部みたいに振り回せるようになるよ。さ、今日はとりあえず立ち上がれるようになろうか。ホラホラ、その格好のままだとボクに見下ろされ続けるよ?」

 

「クッ殺!!(クソ神がッ! 絶対ぶっ殺す!!)」

 

 

 結局その日の修行が終わるギリギリまで、俺はヴェルダナーヴァに見下された。

 

 

 

 

 

△ ▼ △ ▼ △ ▼ △ ▼

 

 

 

 

 

 

 ヴェルダナーヴァに武器というか訓練道具を貰った俺は、その翌日グリンドに手を握ってもらっていた。

 グリンドの片手に俺の両手が乗ってる状態であり、さらに言うと俺の足の関節はパニックになっている。

 

 

「クッ……! フゥッ……!」

 

「そろそろいいんじゃない?」

 

「あと……もう少し……!」

 

「マジで根性だけはあるよなお前。根性だけは」

 

「うるっせえですよルドラァ!」

 

「まだまだ余裕ありそうだね。ヴェルグリンド、もう少し負荷かけてあげて」

 

「ヴェルダナーヴァ様はまたそうやって……」

 

 

 グリンドからの闘気の供給が少なくなり、俺は今日何度目からも分からぬ顔面転倒をきめた。

 

 昨日、俺はヴェルダナーヴァから貰った“天聖(アニマ)”を付けた状態で自力で立ち上がることは結局出来なかった。半分くらいヴェルダナーヴァから闘気を供給してもらわなければ、構えを取るどころか立ち上がることも出来なかった。

 だから何とかそれを脱しようと、グリンドに助けを求めたのだ。そしたら何故か暇してたルドラとルシアまで来た。ついでにヴェルダナーヴァもいる。

 

 地面にうつ伏せになっている俺に、ルドラがしゃがんで指導してくる。

 

 

「まだ闘気の練り方がなってねえな。ロスが多い。魔素の四割程度しか変換できてねえ。頭で考えてっからそうなるんだ、無意識でも練れるようにしとけ。でなきゃルシアにも勝てねえぞ」

 

「それでも二ヶ月でコレなら、私より遥かに才能がありますよ。頑張ってくださいね、カレン。鍛錬あるのみ、ですよ」

 

 

 ナスカ兄妹の(ルシア)(ルドラ)を両肩に浴びながらの鍛錬は、絵面はともかく精神的にも技術的にもとても身になる。

 鞭の方はニヤケ面が腹立つのと、飴の方は若干脳筋気味な気もするけど。

 

 

「フフ、なんだか昔のルドラを思い出すわね。まだ“地神(デーヴァ)”に振り回されてた時とか、あちこち吹っ飛んでたじゃない?」

 

「懐かしいですね。なかなか言うことを聞いてくれなくて、ちょっといじけてましたもんね」

 

「へ〜〜」

 

「土下座してる奴にニヤニヤ笑われたところで、お前が滑稽にしか見えねえぞ」

 

「土下座ではありません、四つん這いと言ってください」

 

 

 大して変わらないとか知らない。俺はもう、昨日ヴェルダナーヴァに見下され続けたせいで、土下座というワードに敏感になってるんだ。

 

 

 この世界の武器には等級があるらしく、この“天聖(アニマ)”は上から二番目の伝説級(レジェンド)という等級らしい。

 大国の国宝レベルの凄い武器なんだと。そんな凄いものをホイホイ渡すなと思ったが、ルドラの剣、ルシアの杖、あとグリンドが『物質創造』の権能で作る武具はその伝説級(レジェンド)の上の神話級(ゴッズ)というランクらしい。

 そんなの聞かされたら、じゃあいっかとなるよね。一応世界で数えるくらいしか無いとか言われたけど、グリンドがいくらでも量産可能だしありがたみもクソもねえって。

 

 そんなことを思い出しながら、俺は立ち上がるのを一旦諦め、四つん這いから仰向けにグデっと倒れた。

 

 

「にしても昨日貰ったっつうのに、もうお前の変な属性になってんのな。伝説級(レジェンド)の武具を気軽に属性変化させんなよ」

 

「慣れてください。身に付けてる物には私の意思に関係なく発動するんですよ。でも、こうやってルドラの剣に触れても、発動しないんですよねコレが。あいたっ」

 

「流れるように無許可で人の大切な剣にスキル使ってんじゃねえ。しかも口振り的に今日が初めてじゃねえだろ」

 

「長く存在する神話級(ゴッズ)には意思が宿るからね。カレンの属性付与は無生物限定だから、“地神(デーヴァ)”は生物判定ってことかな。あ、カレンの“天聖(アニマ)”も、長く使い続けてたらそのうち神話級(ゴッズ)になると思うよ。あと百年くらいしたら」

 

「カレンの場合は、何か聖霊属性が作用してもっと早く至るかもしれませんね」

 

「そこまで変な事しでかしたら、もう驚きより呆れるわね」

 

 

 ルドラに小突かれた額を押さえる。やったのはこれとあと一回だけだから、ギリ無罪で。

 

 ヴェルダナーヴァの話の通りなら、今はただの拘束具以下の重しのこの布切れが、ルドラの剣やルシアの杖のようになると……思えんな。まだ百年とか想像ができない。

 

 最近思うけど、四人とも俺より遥かに長い時を生きてるからか、ナチュラルに時間感覚がバグった言動があるんだよな。ヴェルダナーヴァとグリンドは特に。

 まあ俺もきっと、徐々にこうなってくんだろうけど。

 

 

 そんな事を思ってると、グリンドとルシアが何やら訝しげに“天聖(アニマ)”を見てきた。

 

 

「ねえお兄様、確かコレ、“星の核(スターハート)”で作ったって言ってたわよね?」

 

「……うん、そうだよ?」

 

「贅沢だよなぁ。あんなクソ硬いのをさらに布にするとか。これで鎧とか作ったら、いくらになるのやら。カレンちょっとそれ借してくんね?」

 

「自分で星の内核まで取りに行けばタダで作れるんじゃないですか? 行ってきたらどうです?」

 

「お金の話はどうでもいいとして……ヴェルダナーヴァ様? 今何か不自然な間がありましたね? グリュン義姉様、私も恐らく同じ事を思ったのですが……カレン、ちょっと拝借しても?」

 

「? 自力では外せないので、はいどうぞ」

 

 

 俺は仰向けのまま、ズルズルと腕を引きずってバンザイの体勢になった。

 その腕からルシアはスルスルとめちゃくちゃに重いはずの手袋を外していく。この細腕の何処にそんな力があるんだろうか。

 

 そして手のひらに置かれた“天聖(アニマ)”を、ルシアはジッと見つめる。

 その間にヴェルダナーヴァはずっとそっぽを向いていた。珍しく汗をかいているようにも見える。

 

 ……何かしやがったな、コイツ。

 

 

「……解析鑑定、完了です」

 

「やっぱり?」

 

 

 何やらルシアの表情が険しい。

 

 これはアレだ。村で見たことがある。

 俺が姉妹の下の子ばかりに構ってるのを見た時の、お姉ちゃんの子の顔と似ている。

 純粋な怒りとかじゃなくて、羨ましさとか嫉妬とかが混ざった複雑な顔。

 一体何があったんだろうか。

 

 

「ヴェルダナーヴァ様……()()()、入れたでしょう」

 

「え゛っ」

 

「…………ちょっとだけだよ? 本当にちょっとだけ。それに一片を全部じゃなくて、硬い先端の方の鱗を少し削ったのをほんの少し入れただけで……」

 

「量は関係ありませんよ」

 

「普通に気持ち悪いですヴェルダナーヴァ」

 

「今までのカレンの罵倒の中で一番堪えるね」

 

 

 キモイストーカーみたいなことしてた。バレンタインチョコに髪の毛入れる並にキモイことやってたわ、うちの神様。

 

 どうしよう、今まで半分冗談で改宗とか言ってたけど、これは本格的に考えるべきかもしれない。流石に神父様でも擁護出来ないだろ。ていうかしないでくれ、俺の味方でいてくれ。

 

 ヴェルダナーヴァの言い分としては、“星の核(スターハート)”をそのまま加工するのは、可能だけど時間がかかりそうだった。だから自分の鱗をちょっと加えて加工しやすくし、さらに強度も上がって一石二鳥、ということらしい。

 いや説明されても証拠があがった以上、キモイ事は揺るぎないが。

 

 

「これ人間に例えたら、贈り物の服に自分の爪垢くっつけたようなもんですからね。言い逃れできませんよ変態クソドラゴン(ヴェルダナーヴァ)

 

「ルビがおかしくなってるよ。けどさ、竜種の肉体なんて魔素の塊でしかないんだし、ボクから離れればそれはボクの肉体じゃなくて……ちょっ、待ってってルシア。話せば分かるって」

 

「ええ、そうですね。少し向こうで()()()()しましょうか。まったく、最近は人間の倫理観も少しは学んで下さったと思ってましたのに……第一、そういった贈り物はカレンではなく先ず私に……

 

 

 久しぶりにルシアに首根っこを掴まれ引きずられていくヴェルダナーヴァ。最後ルシアが呟いてたが、聞かなかったことにしよう。

 

 どうしてくれようかこの“天聖(アニマ)”。別に生理的な気持ち悪さは感じないんだが、倫理観的になんかなという気持ちになる。“量刑審判”で何かの罪になるか見てみようかな。

 

 結局、悩みに悩んだ答えは、

 

 

(……聖霊属性ガンガンかけて、上塗りしちゃえばいいか)

 

 

 時間はあるし、気長にやってこう。

 

 

 

「自分の体の一部……なるほどそういうのもアリなのね」

 

「アリじゃないよ? アイツのああいう所を見習うのやめようなグリュン?」

 

「鱗を加工とかは難しいけど、なるべく形をそのままにして深紅色(カーディナル)の鎧とか……アリね!」

 

「だからアリじゃないって。別にグリュンの体を削らなくたって俺様は……ちょい待て、竜形態になろうとすんなって! 鱗はいいから! 見てるだけで十分美しいから! グリュン、ステイ!」

 

 






 伝説級(レジェンド)武具(ウェポン):“天聖(アニマ)

 ……星の核(スターハート)を主な素材とし、ヴェルダナーヴァの鱗をちょびっとだけ混ぜた金属布。ちょびっとだけ。
 見た目は前腕から指先までを覆う白いドレスグローブであり、注視すると星のような輝きがある。今後聖霊属性により更に分かりずらくなる。

 武器の分類としては籠手(ガントレット)であり、等級は伝説級(レジェンド)。ヴェルダナーヴァの鱗とカレンの聖霊属性のせいで、恐らくあと20年程で神話級(ゴッズ)に進化する。
 魔法に対して高い抵抗力を持ち、触れた魔素を弾く、流すことに長けている。耐久面では、現時点でも伝説級(レジェンド)クラスの剣で傷一つ付くことは無く、逆に掴んで粉砕できる。持ち上げられればの話ではあるが。
 ヴェルダナーヴァが鱗を仕込んだ事は全くの善意からであり、カレンもそれは分かっているので仕方なく使い続ける。それはそれとして、一ヶ月くらい態度は冷たくなった。
 これからのカレンの主武装であり、素材にも変化があるかもしれない。ただヴェルダナーヴァの影響は残ると思われる。


「…………」

「指先で摘んで持つのやめて? 汚くないよ?」

「……ヴェルダナーヴァは穢れの概念って知ってます?」

「ボク、一応は君の神だよね? 穢れとは一番縁遠い存在のはずなんだけど?」
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