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あと、今話で出てくるオリキャラは覚えなくてもいいです。
神父様が亡くなり、三年が過ぎた。
俺は神父様の後を継いで、シスターとして教会に引き続き住んでいる。ぶっちゃけ神父様がいた時とさほど変わっていない。変わったことと言えば、村に行く頻度が少し多くなったのと、毎朝神父様のお墓にお祈りするようになったくらいだ。
神父様に好きに生きろと言われたので、好きにしてる所存だ。あの神父様なら、「もっと自由に生きないか」とか言いそうだが、知らんそんなの。好きにやらせろ。
将来的にはそれも良いかもだが、今のところはコレがいい。落ち着くし。
(こっちはこっちで、うまくやってるよ神父様。だから現状に文句言うなよ。まだ70年くらいは生きるつもりなんだから、そう焦んな。……ちゃんと、幸せになってやるから)
今日も神父様のお墓に手を合わせる。
村の人が亡くなった時に、神父様に教わったものだ。普通のお祈りとそう変わらない姿勢だが、俺はいつもより真剣にやってる。
神様(というか竜様)はあの日以来そこそこ信仰してるが、顔も知らない竜より神父様の方が大事だ。許せ竜。
「……さて、今日も頑張りますか」
お墓の前から立ち上がり、俺は村の方向へ足を進めた。
神父様が亡くなってから数ヶ月、俺はほぼ毎日のように村に足を運んでいた。
……いや、一人が寂しかったとかじゃねえし。ただ村の人が俺を心配してたから安心させようと思ってただけだし。
それは置いておいて、その時村の子ども達が癒し過ぎてめちゃくちゃに構っていたら、今まで以上にめちゃくちゃに好かれてしまったので、落ち着いた今でも週四くらいで顔を見せないとグズっちゃうのだ。人気者は辛いぜ。
おかげで今は簡単な学校のような事までやってしまっている。村の教会もいつの間にか増設されてて、俺が住んでる教会くらいの大きさになってしまった。
十数分歩くと、村の入口が見えてきた。
その前に、アイツに声をかけとこう。
「おーい、いますかー?」
「グル……」
「おーよしよし、今日も村の守護ご苦労様です」
「グルル……♪」
村のすぐ側の木の影から出てきたのは、体長3mくらいの熊。俺が四歳の時に『
種族は……キリングベアだっけ? 初めて村に出た時は、当時の町長が顔面蒼白で泡吹いてたので、本来はヤバめな魔物なんだろう。
ちなみに、今は現実的な大きさをしているが、本来は家の2階に相当する大きさだった。今は放出魔素の調整でこの大きさになってる、らしい。どういう理屈だ。
昔は村の人にも怖がられていたけど、十年経った今じゃすっかりマスコットだがな。今も俺に頬擦りしてくるし。コイツが唸るのは神父様だけだ。
コラ、舐めるな。口臭い。お前歯磨いてんのか。
俺は昨日狩った魔物の肉と果物を熊にやった。雑食で助かる。ついでにミント系の薬草も放り込んでおいた。嫌そうな顔をするんじゃない。口臭いんだから。
唾を拭いながら村に入ると、二人の子どもが出迎えてくれた。待ってたのかな。
「あ、カレンお姉ちゃん! おはよう!」
「コラ、カレン様だろ! お、おはようこざいます!」
「はい、おはようございます。それとお姉ちゃん呼びは別にいいですよ」
もう諦めたから、とは言わないけど。
村で本格的に神父様の代わりをするようになってからは、少しだけ村の人たちの俺への対応が変わった。
大人たちは今まで通り俺を子どもとして世話を焼いてくれるが、一定の敬意みたいなのを感じるようになった。成人した事もその一因だろう。
そして子ども達。前までと同じように気安く呼んでくれる子もいれば、親に言われたのか様付けしてくる子も出てきた。個人的にはどっちでもいいんだけど。
と言っても、子ども達の間で変わったのは呼び方だけだ。
今も……ホラ、集まってきた。
「カレンお姉ちゃーん、今日もお勉強するー?」
「カレンさま、ぼくに魔法教えてください!」
「あ……か、カレン様! 僕にも教えて!」
「はいはい、町長のとこに行った後すぐ行きますから、それまで待てますかー?」
「「「はーい!!」」」
ここ数年で俺も子どもの扱いが上手くなった。引っ付いてくるのは変わらないがな。やめろ、服を引っ張るな。背中によじ登るな。伸びちゃうだろ。せっかく神父様の服を改造して作ったのに。
まあ、大人と子どもはいい。多少差異はあれど、何か大きな変化があった訳じゃない。それは俺にとってもありがたいし、これからも是非そうあってほしい。
……問題は、俺と同年代の奴らだ。
「……あ」
「あ、どうも。おはようございます、ジェイル君」
「お、おはよう、ございます」
「敬語はいいですよ。同い年でしょう」
正確には、同年代の男子だ。
女子の方はそんなに変わってない。年下の子よりも更に構ってくるようになったり、化粧とか下着とか教えてくるようになったりしたが、そんなに変わってない。
問題はまあ、この目の前のジェイルを見れば分かるだろ。
───そう、思春期だ。
異世界と言えど、俺と同年代なら中学生から高校生くらいのとても多感な時期だ。同い年の女子に挙動不審になるのは不思議じゃない。
俺も前世ではそういう時期があったし、気持ちは分かるつもりだ。今も……そんなにだな。女の子に抱きつかれても適当にいなしているし。役得なんて思ってねえし。
とにかく、分かってるつもりだったんだが……
「ジェイル君はこの後何かあります? 良ければ教会で子どもたちと一緒に勉強しますか?」
「その説明で一緒に行く訳無いだ……行きませんよ」
「取り敢えずそれ、私とキャラ被ってるんでやめてもらっていいですか?」
「そっちから話しかけといて何なん……いや、話し方はお袋にこっぴどく言われたんで……」
「ジェイル君家のおばさん厳しいですもんね。じゃあ私は町長のとこに行ってくるので、また」
「お、おう……俺も行きゅので」
ほらおかしい。いや人によってはおかしくは無いんだけど、ちょっと普通の思春期にしてはキャラがおかしくなってる。伝わってないと思ってるのか、今コイツ顔真っ赤だったしな。最後噛んでたのが理由かもしれないけど。
このジェイルだけならまだいい。コイツがちょっと思春期拗らせてるだけで済むからな
問題はコレが村中の男子で起こっている事だ。皆挙動不審の茹でダコになってる。そういう魔法かと思った事もあったが違ったっぽい。あっても困るわそんな魔法。
で、何で男共がこうなってるのか、それとなくメリッサおばさんに前に聞いてみたことがあった。
『あ、あら〜……それは、カレンちゃんが昔から、その……ね?』
『私? 私が何かしました? 心当たりは無いですけど』
『その〜……距離感が、ね?』
オ〜〜ウマイゴ〜ッド……。
聞いた時は思わずそう思ってしまった。竜は信仰してても神はそんな信仰してないのに。
俺が原因だった。
いや、思えば思い当たる節はあるにはある。
今は態度が露骨な為気付いているが、昔はここまででは無かった。故に、二年ほど前までは今よりも物理的距離が近かったのだ。
完全に男友達に接する感じで話してた。年々可愛さと美しさが割増しされてくこの顔でだ。そりゃこうなるわ、俺でもこうなる。
近い距離感で育ってきた事、思春期に入ったこと、あと俺が神父様を継いだことで気安く接しづらくなった事。それらが組み合わさって今の村の男子どもの態度が形成されたのだ。
まあ、最初の頃はこの態度を不思議に思ってグイグイ行っていたが、気付いた今は適切な距離を保っていると思う。俺も思春期経験者だ。男子たちの気持ちはそりゃあ分かるとも。
幼少からこんな美少女と一緒にいたら、そりゃちょっと挙動がおかしくもなるよな。最近は胸も大きくなってきたしな。平均サイズよりかは小さいらしいけど。
町長さんに最近の魔物の出が多い事を聞いた俺は、その足で教会へ向かった。
すると、さっき出迎えてくれた女の子が俺に向かって走ってきた。
顔を見るに、あまり喜ばしいものでは無いな。
「カレンお姉ちゃん!」
「何がありました? クラリスちゃん」
「森の方で魔物が出たんだって! それで、お父さんとかお兄ちゃんが行っちゃって……!」
「……なるほど」
村の外の森の方に意識を向ける。
魔物を狩りまくってる影響で最近手に入れたスキル『魔力感知』により、森にある魔力を見る。
コレが中々便利だ。わざわざ気を張らなくても気配が分かるから。
デカイ魔力はひぃふぅみぃ……うち一つは他二つに比べて小さいな。
それと小さめの魔力が数人。多分村の男たちだろう。それにクラリスちゃんのお父さんは有事の時の纏め役だったか。
しかし、これは魔法が使えない人間には対処が難しいな。ここは小さい村だ。衛兵なんていないし魔物の対処は昔から神父様か俺がやっていた。村人だけじゃキツイ。
デカイ魔力のうち一つがキリングベアのものだとしても、それと同等の力を持つ魔物が二体もいれば挽肉にされるのがオチだ。早く行かなければ。
と、ここまでが思考加速により俺が考えた三秒の思考である。スキルってやっぱすげえわ。
「クラリスちゃんは教会にいてください。何があっても外に出ちゃいけませんよ」
「お、お父さんとお兄ちゃんは大丈夫?」
「大丈夫ですよ。私がいますから」
クラリスちゃんの頭を撫でると、俺は
程なくして見えてきたのは、キリングベアの後ろで各々武器を構える村の人たちと、それに対するブラックスパイダー。
弱めの魔力はブラックスパイダーのものだな。キリングベアがいてよかった。
とりあえず黒蜘蛛と距離を取らせるために、
「な、何だ!?」
「カレン様! どうして此処に?」
「あなたのお子さんに救援要請を貰いまして。帰っても叱ってあげないでくださいよ」
クラリスちゃんのお父さんに釘を刺しておき、村の人たちの状況を確認する。命に関わりそうな奴は居なさそうで良かった。
前へ出てキリングベアの頭を撫でる。お前が一番傷ついてんな。後でご褒美の餌をやろう。
「あなたもお疲れ様です。ちゃんと村の人たちを守ってくれて」
「グル……」
「後は私に任せてください」
神父様が昔言っていたが、ブラックスパイダーとキリングベアは大体同じくらいの強さらしい。一体で村が滅ぶレベルだとか。よくここまで持ち堪えられたな。
なるべくキレイに殺せるように、
「
そんで、未だ姿が見えないもう一匹だが……まだ遠いな。後にしよ。先に傷治しとくか。
近くにいた子が一番傷が深いな。出血もひどい。俺と同年代くらいだ。
「腕見せてください。治しますから」
「い、いやおれは……」
「でももヘチマもありません。いいから見せてください。それとも公衆の面前で私に服を剥かれたいんですか」
「分かったから女の子がそんな言葉使うな!」
神父様みたいなこと言ってんなー、と思いながら見せられた腕に聖属性の魔力をブチ込む。軽傷ならこっちのが楽だからな。というか、聖属性の魔力って何だ。聖なのか魔なのかどっちなんだ。
さて、酷いのはコイツだけで、後は似たり寄ったりか。じゃあ一気にやった方が早いな。
「せいっ!」
「うおっ! 何だ?」
「魔力の発散で全員治しました。全員かすり傷ですし、今はこれくらいでいいでしょう」
「ありがとうなカレンちゃん! 礼は村でするぜ」
「か、感謝します、カレン様」
「……余所余所しいのでカレンちゃんでいいですよ。もう諦めましたから。そっちの方が私も気が楽です。無理に神父様と同じように扱わなくても私は気にしません」
「……あぁ、ありがとなカレンちゃん」
「それでいいんですよ」
うんうん、高校生くらいの男の子から様付けされるのはちょっとむず痒い。ちゃん付けのがマシだ。
ブラックスパイダーをムシャムシャと食べるキリングベアよりも前へ出て、まだ息を潜めている魔物を探す。
お、こっちに向かってきてるな。お前もうちのクマさんの晩御飯に…………
……その姿を見た瞬間、俺は思考が吹き飛ぶと同時に全身の毛が粟立つのを感じた。
「───シュルルルルルル……」
「ミ゚ッ」
木の影から出てきたのは、俺がこの世界で初めて遭遇した魔物であり、俺が最も苦手としている魔物……黒蛇だ。
その危険度はブラックスパイダーやキリングベアをも凌ぐらしい。それを聞いた時は、よく俺助かったなと思った。
「ま、マジかよ……」
「流石にコイツは、カレン様でも……」
「………………コ……」
「ん?」
「
突如天から降ってきた雷により、黒蛇はその身を貫かれた。
黒い煙をあげる大蛇に、村の人たちは茫然としてたが俺はそれどころじゃなかった。
─── 一刻も早く、このクソ蛇をこの世界から抹消しなければ!───
「
「ちょっ! 待ったカレンちゃん! もう蛇いねぇから! 死体も残ってねえから!」
「ハァ、ハァ……! まだです! コイツは一匹見たら30匹はいると思ってください!」
「ゴキブリじゃねえんだよ!」
「それに、死体から卵が飛び散らせてくるかも……!」
「だからゴキブリじゃねえんだよ!」
うるせえ離せ! コイツは量刑審判にかけるまでもなく、存在が大罪だ! テメエの罪は罰でも浄めてやらん、ただ疾く死ねクソ蛇ィ!!
……その後、俺は村の男たちに何とか宥められ、魔法を乱発するのを止めた。跡には何も残っていなかった。ホッ。
帰り道、何やら生暖かい視線を浴びながら帰った。同年代の男の子からも年下の子を見るような目で見られた。キリングベアからは何故か怯えた様子でブラックスパイダーの足を貰った。何の意図だ、困るんだけど。
それから、俺は村で様付けされる事が少なくなった。代わりに子ども扱いが加速した。
何でだ、最近成人したのに。
魔法(『
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……元素魔法の
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……元素魔法の
・
……元素魔法の
・
……元素魔法の
・
……元素魔法の
ステータス
名前:カレン(15歳)
種族:人間
身長:160cm
加護:星王の紋章(秘匿)
称号:なし
魔法:元素魔法 神聖魔法
能力:ユニークスキル『
エクストラスキル『魔力感知』
耐性:痛覚無効
備考:カレンは自分の魔法のヤバさにはまだ気付いていない。神父様は「あ、これヤバいな」とは思っていたが、はしゃいでるカレンが可愛かったので自重させずに育てた。親バカにより生まれたモンスターである。